与太朗の千夜一夜物語part0

はじめまして、アタイ、大工の与太郎ってイイヤス。

やっとアタイ、ブログに出たーット思ったら、文字飛びまくりの穴ダラケ、全部ブログの旦那の責任ナンすが、「頼む!与太!代わりに謝っトイテくれ。後生ダーっ!」ッテ言われて、アタイが誤りジャネー、謝りに来ヤシタ。旦那、冷や汗ブン流して、ヤットコサ直したッテ事ですカラ、ドーか勘弁して下さいヤシ。(だけどネ、「旦那っ!大変ダッ!アタイの出てるpart2のブログ、イノシシに荒らされた畑ミテェーに成ってヤスゼ!」ってアタイが言った時の、旦那の顔ったらナイヤネ。あんまり気の毒ナンで、アタイが謝る事に成りヤシタ。詳しい事は、別の「お話」とイタシヤス。

コレは、「君の名は part2改」の最初の部分でヤンス。

アタイとブログの旦那との、コレが「詳しい、別の『お話』」でヤンスょ

 

この前、親方に話が有るってカラって、聞いたら、ビックリしちゃったョ。

だってネ、何でも、今度アタイと親方が、インドの納豆のオマケ、ジャネェー

や、付録に出る事に成ったんで、その付録を作っテル旦那の家に、挨拶して

コイ、ってカラ、アタイが、

「親方、インドでも納豆、食うんデスかい?納豆っちゃあ、水戸じゃネェーん

すカイ?納豆の付録ッテなると、やっぱタレかな?アタイがバカのタレで、

親方がシミのタレ、バカッタレにシミッタレ……。」って言ったら、親方に

ヒッパタかれて、「何が、インド納豆の付録だ、このバカヤロー!

インターネットのブログ、だヨ!俺ッチは、挨拶、済ませテッカラ、

オメェーもトットと行って来ヤガレ!」ってカラ、アタイは、「行くんデス

かい?来るんデスかい?どっちデスかい?」って、本当は聞きタカッタんダ

ケド、コレ聞くと、100%もう一度、親方に頭ヒッパタかれルンで、代わりに

インターネットのブログって何スカ?って、聞きマシタ。アタイ、センテンス

長くて、くたびれマス。

デネ、親方が、「インターネットっちゃー、ホラ、オメェの好きなアニメで、

カニの甲羅ミテェーな題名の、難しい漢字の……ホラ何つッたッケ……?」

「ソリャァ、『こうかくきどうたい』ッスよ。漢字だとネ、コウ書き……」

「なんデェー、与太、オメェー、書けるンかい?」

「デヘッ、親方、オヤジギャグ言っちゃダメですゼ。こうですゼ、

『攻殻機動隊』」

「ホーッ……、コウかくのカイ……。」

「ホーラ、言っちゃった。」

「なんデェー、悪かったヨッ!オメェーは、映画ッてーと途端に頭が廻り

出すカラナァー。

そんでヨ、攻殻機動隊の面々が、首の後ろで繋がっテルのが、インターネット

でヨー、その向こうの仮想空間に組み立てるノガ、ブログってコッタローヨ。

何しろ、仮想世界だからヨー、方丈の庵、造ろうが、500階建てのマンション

建てようが、際限ないッテ話ダゼ。」

「アノネ、親方、それは寧ろ、電脳空間と呼称すべきで、アタイだったら、

親方の100倍優秀な大工の棟梁『左右甚五朗』って、アバターこさえて、

『眠り獅子』だの『花粉症でマスクしてる虎』(ゥン?タイガーマスク?

どっか違うナァ?)『アナコンダ飲み込んでるマングース』(やっぱ無理デス

かい?)なんざ、彫りマクラさせて……」ってココ迄言ったら、親方に、

頭ヒッパタかれマシタ。

「俺ッチより詳しい事ァ、聞くンじゃネェー!このバカヤロー!旦那の話ジャ

何でも、映画に関するブログとか言ってたカラ、ウチとこの与太は、アレでも

結構、映画ニャ詳しいンで、ったら旦那が、『オッ!イイね!是非、顔出す

よう言ってクンナ。』ってカラ、この話ィーしてんジャネェーか!四の五の

言ってネェーで、トットと行ってキヤガレ、このトンチキめ!」

「エーッ?アタイ、知らない人ン家、独りで行くの、イヤだよー。」

「何でェー、人見知りカョ。大丈夫ダョ、ホラ、去年の秋に○○町で、離れを

建て増したアソコの旦那だよ。オメェーも、顔ぐれェ知ってんダロー?

俺ッチも後から顔出すカラ、独りで先に行っテナ。それにヨー、俺ッチが

行った時は、オメェーの好物の、○屋の羊羹、茶菓子に出たゾ!」

「そんじゃ、アタイ、独りで行ってくる!」

ってンデ、こうして、今、アタイは、ブログの旦那の離れの、書斎、兼、

応接間にオリヤス。

本当に、○屋の羊羹、出ましたョ。それに、お茶がイイね!親方ン家の

出がらしタァー別物ダネ。デネ、羊羹も、お茶もイタダイちゃったンデ、

アタイ、手持ち無沙汰で、さっきカラ、旦那が机に向かって、しきりに指を

ツントンしてるノを、ジッーと見てんダヨネ。

するってーと、ヤッパ、何か、感じるんダネ。旦那の方から、

声かけて来たョ。

「オーッ、与太朗の兄ちゃんョ、もうチョイと勘弁ナッ!追っ付け親方、

来るカラ、それまで仕事かたしチマウんでナッ!」

「旦那、ブログっての、作ってんデスかい?大変っすネェ。

大工仕事だったら、アタイ、手伝えるんスけどネェ。」

「なんデェー、カワイイ事、言っちゃってクレちゃうネ。構わネェーから

コッチ来てミナ。」

デネ、アタイ、旦那の傍まで行ったんダケド、コレが凄いんダヨ。

粉薬じゃネェ、錠剤、ゥン?まだ違うナ、アッ、タブレットってのに、

一本指で文字入力ってのをヤッてる!だからネ、

「旦那、こりゃ、本当にエラいもんスよ!」

「オヤ、そーカイ。アッ、そうだ、コイツはヨー、オイラのブログの中で、

オメェーさんが出てるトコの原稿だ。親方、来る迄、読んでミナ。

構わネェーよ。」

デ、渡された原稿、一目見て、アタイ、本当にビックリしちゃった。

「旦那、これ、本当、スゲェーじゃネェーすか。大したもんスョ。」

「オッ!判るンかい?イイねェー。ァッ、お茶と羊羹、もうネェーやな!

今、お代わり持って来させっカラ。ォッ、そうだッ!おっ母さんの土産に、

一二本、持ってけ、持ってけ。オーイッ!与太朗の兄さんに、お茶と羊羹の

お代わりダヨ!同じ味んジャ駄目ダヨ!今度のは、抹茶味の切っトクレ。

それから、新しいヤツ、三四本、何でもイイから持って来トクレ!急ぎダヨ! 

ナーッ、で、ドコが、そんなに、凄いんダイ?」

「だって旦那、何が凄いって、コレ、全部、暗号じゃネェーすか!

全く読めネェ!」ってアタイが言ったら、旦那の顔色が、サーって変わって、

次の瞬間、旦那の右手がアタイに向かって、飛んで来たッ!

ダケドね、アタイ、いつも親方に頭ヒッパタかれテルでしょ。親方のパンチ、

150Kmだと、旦那のパンチは、50Kmてなモンだから、楽勝でコイツを

ヒョイとカワス。ッてーと、今度は、お代わりで、旦那の左手が飛んで来る。

で、ソイツもヒョイとカワスはずが、後ろから突然に150Kmが飛んで来た!

「アッ!親方!急にズルイや!」

「何がズルイだ!バカヤロー!旦那、どんな不始末か存じやセンが、

アッシに免じて、御勘弁頂く訳にはメェーりゃセンカ?この野郎の事ァ、

ガキの頃からアッシが面倒見てヤシテ、気立ても百も承知してオリヤス。

決して、ワザと悪さナンザ、シヤセン。何かの行き違いに決まってヤス。

ナァー、与太、そーダヨな!俺ッチも一緒に謝るカラ、オメェーも早く

旦那に謝ん……….

オヤッ?与太、オメェー、泣くのカヨ……、エーッ?チョッ、チョッ、

チョッと待っターッ!

旦那、悪いンすケド、チョッと待ってオクンナさい。テェーのは、この野郎、

テメエが悪いと知ってる時は、ヒッパタかれヨーガ、張り倒されヨーガ、

デヘデヘ笑ってやがんスヨ。ケドね、与太なりに、理不尽だって時ャー、

アァやって、口をへの字にして、下向いてジィッと我慢して、そのうちに、

口の端が震えて来て、涙が……って、オイ、オイ、オイ、マッタ、マッタ、

与太、マッタ!ガキじゃネェーんだから泣くんじゃネェー!何が有ったか、

今、全部、聞いてヤッカラ、話してミナ!」

「何言ってんデェー、一番悪いの、親方デェー!訳も聞かネェーで、急に頭

ヒッパタいチャ、いけネェーやぃ!」

「何デェー、俺カヨ!そりゃ勘弁ナッ!悪かった!で、何が有ったンダ?」

デネ、アタイは、これ迄のイキサツを親方に話したんダヨ。こんな具合にネ。

「アノネ、旦那、いい人ダヨ。チャンと○屋の羊羹も、お茶受けに出たよ。

デネ、旦那、ブログっての作ってんダケドね、コレがエラい手間ミテェーで、

アタイ、手伝ってもよかったケド、アタイ、タブレットっての出来ネェーから

シャーネェーやぃ。そんデネ、旦那が、アタイが出てるッテいうブログの原稿

の束、渡してクレテ、これ読んでミナってカラ、アタイ、すぐに原稿見タんだ

ヨネ。そしたらネ、コレがスゲェーんだヨ!一ッつも読める字がネェ!

束の中も最後んトコも見たんだケド、同じダヨ!全く読めネェー!

デ、アタイ、思ったんダヨ、コレは暗号に違いネェー!エニグマも、

真っ青ダヨ!」

(旦那、ドッカで暗号機、手に入れタ!きっと、コンなダネ。旦那、角ッチの

古道具屋の前を通ると、主人がスーッと出て来て、こう囁くョ。『掘り出し物

掘り出し物。内緒ですゼ!旧帝国陸軍の秘密研究所が、極秘裏に開発していた

暗号機、ホラ、ドイツの有名なエニグマってのパクって、日本語用に取ッ換え

たッテー、箱書き付きの、完全に胡散臭い、ジャない、由緒正しい代物。

血統書も有りヤスぜ。¥○△でドースカ?』『半値にナルかい?』

『八割引までOKッスよ。』『ジャァ、家に届けといてネ。』ッテー、

眉がツバでビッチョビチョのコイツが、なんと、大当たり!チャンと使えル。

コイツを、旦那、使いまくってイタと思いヤス。)

デネ、嘘だと思ったら、親方も、自分の目で見てミリャ良いんだョ!

アタイもダケド、親方ダッテ、字は○で×、ゥン?違うナァ、

アッ!マルでダメだ。たまに自分の書いた字が読めネェー時も有る。

凄いデショ!金くぎ流免許皆伝と一番弟子。(って、ヤッパ、エバレま

せんか?)でもネ、旦那のは、下手だの汚いを超えた、別次元!暗号ッスよ。

(親方ン家で、親方一杯引っ掛けテテ、赤い顔して、アタイに向かって、

『ナァ、与太!字が汚ネェーッタって、気にする事ァネェ。俺ッチ達は、

大ぇー工ダ!金くぎ流は、アタボーでぇー!ヘン、俺ッチ様は、金くぎ流免許

皆伝でぇー!コン次は、与太、オメェーが免許皆伝ダ!ヒクッ!……』

ッテたら、後ろの襖がサッと開いてオカミサンが仁王立ちで微笑んデル。

こりゃヤバイ、って思ったケド、遅かった!

もうオカミサン、親方の真後ろにいて、物言わずで思い切り親方の頭、

張り倒スと、横から親方の持ってる徳利取り上げ、中身の酒、顔にブッか

けると、今度は真ん前に立って、雷ドカーンとオッコとした。

『与太の字が一向に上達しない、アタイが教せえテンのにオカシィねぇー

ッテ、こう言う訳カイ!何が免許皆伝ダ!免許ッテなら人様の役に立つのに

シトキナッ!どーせアンタの免許ナンザ、何が書いて有るのか、

誰も読めネェー代物サネ。ザマーネェーやね、このトンチキ!黙ってナイで

何とか言ってミナ!』ッテも、親方、頭、張り倒されて、目がヒックリ返っ

ちゃってるから何も解んネェーはずナンダけど、あんまり可哀想ナンで、

アタイ、言ったんダヨ。

『アノネ、オカミサン。オカミサンは、お顔もキレーだし、字もキレーだよ。

だからネ、お口もキレーにした方が良いーんジャないのカナ、と思う今日

この頃ナノです……ヒクッ…..。』ッテたらネ、

『オヤッ!与太!アタイ、キレーかい?そーカイ!カワイイ事言ってクレル

ねぇー。シラフだったらモットうれしーんダケドね、チョッと待ってネ、

(ココで、親方の頭、ヒッパタクと)アンタ!何時までオネムしてんダイ!

起きテ下サイましな。ねぇッたら、お前さん。愛しの君、アタイの光源氏

サマ。おとなしく頼んデル内がハナだよ……』って、サスガに、付け焼き

ジャ、無理がアリマス。デヘッ、アレッ?オカミサンの声、聞こえマセンょ。

まっ、イイか?デネ、オカミサン、本当にキレーだし、字も上手ダケド、

切れると、スゲェーんダヨ。親方も切れるとスゲェーけど、一歩も引いて

ネェー。対決したらドーなんダロ?真っ向勝負!ゴジラ対メスゴジラ、

ゥン?チョッと違うナ?まっ、イイやッテ、アタイの話、何でしタッケ….? 

アッ、ブログの旦那の字が、暗号に違ぇネェーって、話ダッ!何しろ、

アタイの話、飛びまくるデショ、アタイ自身も行き先不明で、困ってマス。

ウイッ。デヘッ。

方向音痴のメダリスト。この前もネ、『ソウダ、富士山に行こう!』で、

西に向かって進んでタラ、知らないトコに着いチャッタ。

樹海に迷うハズが、見渡す限りの草原。風が渡ってゆく。

遥か向こうには、雄大なオヤマが有りヤス。で、通りがかりのヤケに背の高い

兄ちゃんに、山の名前を聞いてみた。日本語、通じナイですょ。誰?この人。

身振り、手振りで、やっとコサ、答えデス。『水饅頭(まんじゅう)山』

じゃネェー、『細かい水の饅頭』もうチョットかな、『霧饅頭』、

アッ『キリマンジェロ』ですョ。そー言ャー、さっきの兄ちゃん、

ヤケに日焼けしてたケド、1里も先の茂(しげみ)に、獅子が隠れてアタイを

狙ってるミテェーな変な事、言ってたラシイけど、嘘でしょッテ、エーッ!

マサカ!嘘デショー!! 草原の海の中、何か、コッチ向かって一直線が

来ヤガルーッ!! アーッ!牙ダラケの大きな口、もうソコまで来たーッ、

ヤダーッ!もうダメだーッ…………!

 

『ホラ、ドーシタの、与太。チャンと起きナさいな。』

『アッ、オカミサン……。アタイ、ドーシタの……?』

『ドーシタのジャないヨネ、ヨダレ垂らしチャッテ。慣れないオ酒、

飲むカラ。言わんコッチャ無い!マァ、ウチの人が、飲ませチマッタんで、

悪かったヨ。ダケドさ、与太、アンタ、さっき、“オカミサンはメスゴジラ”

とか言って無かったカイ?』

「絶対、言って無いッス!“オカミサンはメカゴジラ”、じゃネェー、

“ゴジラ対メカゴジラ”って言ったッス。怪獣映画の話ッス。』

『ゥフッ、すっかり醒めチマッタね。ウチんヒト、目回してたケド、さっき、

布団に放り込んどいたカラ、今じゃ大イビキさね。で、与太、もう遅いカラ、

今日は泊まってキナ!アンタのオッ母さんトコには、アタイがコレから

知らせに行く、ってヨリ、お土産持って、泊まりに行くカラね!

女子会だよ!タマにゃイイでショー。朝ごはん、オムスビこさえといたカラね。

まっ、アンタ達が起きる迄にゃ、帰って来るツモりだけど、間に合わ無かっ

たら、味噌汁暖めてチャンと食べるんダョ。与太の布団、敷いといたカラね。

じゃ行って来るネ!』ってンでオカミサン、アタイん家、行っちゃったヨ。

で、アタイは、戸締まりして、親方の隣の布団の中に入ってるンだけど、

ドコから夢だか解りませんデス。

コレも、夢カナ?って、第一、アタイの話って、何でしタッケ?

アッ!ソーだょ!

ブログの旦那の字が、エニグマも真っ青の、暗号ダッ!って話だョ。

ソーだ、ソーだった。)

デネ、親方、コレ、実物の原稿ダヨ。

ネッ!凄ェーでしょ!

紙に書いた『知恵の輪』。その大品評会、ッテより、『知恵の輪』の

大名行列。延々と、続いテル。アタイ、本当に、感心しちゃっタョ。

(デ、アタイが、この事を、旦那に言ってタラ、親方に闇討ちで、

頭ヒッパタかれマシタ。)

そんでネ、ブログの旦那、コレを解読した上、指1本で文字入力するンダヨ!

親方の話ジャ、ブログってのは、パソコンで両手使ってピアノを弾く

ミテェーに作るって言ってたケド、旦那のは、違う。超高速撮影、

又の名をスローモーション。

ピアノだと、お子ちゃま用のオモチャのヤツ。それを、哺乳ビン片手の

赤ん坊が、一本指でタタイてるのと同じ。

普通なら、タタタカ、タタタカ、タッタカ、タタタタ、タタタンタン、

てな具合のハズが、

旦那のは、タン、……、……、……、タン、……、……。タン?……、……、……、

……、タン……。

日が暮れチマウどころか、夜が明けチャウよ。

コリャ、エラい事ですョ。

それでネ、こんなコッチャ、旦那のブログ、出来上がるのに『10年カカルか、

20年カカルか、まるで敵討ち(カタキうち)ダッ!』って、アタイが言うと、旦那の顔色が、

一瞬で変わったョ。

それ迄、口をトンガラかしてたノガ、パッと、ニコニコ顔に変わった。

好物のお菓子が、急に、目の前に出て来た時の、オカンムリのお子チャマと

同じダョ。

で、旦那、こう言ったョ。

「親方、お前さんの言ってた事ァ、嘘じゃネェーやな。イーね、イーね!

エーッ!親方も下向いて、笑うの我慢してネェーで、顔上げナッ!

肩、震えてるョ。大丈夫、怒りゃシネェーから。オイラの字なら、

口の減らナイ連中は、やれ『紙に描いたインカの縄文字だ!』だの

『篆書字(てんしょ字、ハンコの字体)の特一級の乱雑体』だの、

言いたい放題。慣れッコだよ。

ケド、『知恵の輪の大名行列』っちゃアー、一理アらぁー。

親方ァ、知らネェーだろーケド、さっき与太の言った、『10年カカルか、

20年カカルか……』ッテのは、一級品の映画のセリフなんダヨ。」

それから、旦那、アタイに聞いて来た。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、オメェーさん、山中貞夫、好きカイ?」

「アッ、アイ。大のお気に入りダイ!『河内山宗俊』も、『人情紙風船』も

イイんだケド、ヤッパ『丹下左膳余話、百万両の壺』が一番デェーッ!」

「ホーッ、話せるネェー。ソーダッ、与太朗の兄ちゃん、ちょっと早いケド、

夕飯食べテケ。仕出しに成るケド、好きなの、頼んでヤッから。

親方もドーデェーッ、1本付けとくヨ。」

「有難う御座ぇーヤス。アッシは、まだ仕事残ってヤスんで、お言葉だけ

頂戴いたしヤス。この野郎は、仕事、上がってマスんで。オーッ、与太、

よかったジャネェーか。有難く頂戴しときナ!

ジャ、旦那、アッシはコレで失礼致しヤス。」ッテんで、親方、帰っちゃッタ。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、何にスル?好きナノ言って見ナ!」

「ジャー、アタイ、天ぷらがアッテ、鰻がアッテ、それから、刺身……やっば

刺身はイラネェ……。」

「ゥン?ドーしてダイ?アッ!おっ母さんの事かい!親方から聞いてるョ!

若ぇーのに偉ぇーもんだョ、ナァ。お前さん、ご馳走、食べる時ニャー、

おっ母さんの分、必ずって程、持って帰るんダッテな。女手ひとつで、

お前さんを育て上げた苦労、お前さんが一番解ってるカラだッテ、親方、

言ってタゼ。この陽気ジャ刺身、傷んじまうッテんだろ?大丈夫だよ、

保冷パックてのが有らぁーナ!ギンギンに冷えた刺身、おっ母さんの土産に

持たせてヤッから、安心して、お前さんも食べてキナ。」

「ジャ、アタイ、食べてく。」

ッテんで、アタイは、天ぷらと鰻と刺身の御馳走を戴きマシタ。

デネ、同ンナじ御馳走の黒塗りの御重を入れた、銀色の保冷パックってノを

ぶら下げて、アタイは、お家に帰る途中ですョ。

ブログの旦那、こう言ってヤシタ。

「お前さんの言う通り、オイラのブログ、まるで敵討ちミテェーに

成っチマッタ。それで ヨー、ブログ仕上げる間、お前さん、助っ人して

クレねぇーか、ってコッタよ。心配ご無用、ホラ、さっきの『山中貞夫と

百万両の壺』の話ナンザを、チョコッと仕上げリャ良いんダヨ。手間賃、

ハズムよ!頼むワァ!何?字が金くぎ流?馬鹿にしちゃイケネェーやぃ!

オイラの字は、泣く子も黙るエニグマ様デェーッ!カテゴリー5と1の力量の

違いヨーッ!お前さんの字を読むナンザ、赤子の手ッテなもんデェーッ!」

この後、ブログの旦那、いかに自分の字が凄いのか、ツバ飛ばして、

ひとしきりノタマッてオリやシタが、早い話、旦那の字は凄ェーきったネェー

って事で、そんなにエバルコトじゃアリマセン、とアタイは思いマシタが、

随分、ご馳走してモラッチャッたし、最初にエニグマだって言ったのアタイ

だったし、ココは、スルーっす。アタイ、センテンス長くて、クタビレます。

でね、アタイ、今、旦那の手伝いシテヤス。

『与太朗の千夜一夜』って名前もイタダキやしたンで、最初の原稿と、

この前の空の重箱の入った、銀色の保冷パックぶら下げて、アタイは今、

旦那の家に向かってイヤス。

手間賃もウレシーんだケド、アタイはヤッパ、ご馳走の方がイーね!

今度は何にシヨーかな?デザート有ったりシテ……デヘッ、アタイ、

早く行こーッと。

テんで、アタイ、今、ブログの旦那の離れの、書斎、兼、応接間にマタ来て

オリヤス。

旦那は、向こうの机にチョイと腰を乗っけて、さっきアタイが渡した原稿を、

ペラペラめくって読んデラァー。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、上等ダヨ。日曜の休みに、ワザワザ有難ナッ!

テーブルの上の封筒、駄賃入ってるヨ。持ってットクレ。さてと、丁度、

昼時だヨ。今日は、何ご馳走しようカナ?オイラも付き合うカラよ。

オッ、そうだ、お前さん、デザート、アイスでイイかい?大丈夫、土産には、

ドライアイスっての放り込んどくカラ。」

「(アリャマ、デザート、当たりでしたョ)アタイ、それでイイッす。」

でね、アタイの原稿が、本当に、旦那のブログに成りマスョ。

タイトルは『与太朗の千夜一夜』。

中身はネ、山中貞夫の『丹下左膳余話 百万両の壺』ダヨ。

(ダケド、アタイは思うのデス。旦那は、自分のブログが遅れてるカラ、

替わりに、アタイの原稿を使うンだって言うケドね、アタイの原稿も、

旦那が指1本入力するンだから、旦那のブログが出来るの、かえって

遅れチマウんじゃネェーのか?って、心配してオリヤス。マッ、旦那

は、『心配ご無用!ガハハハハッ!』テナ調子ッすケドね。アタイは、

ご馳走とアイス持って早くお家に帰ろーッと。デヘッ!)

 

「君の名は。」と「天才バカボンのパパ」part3

「今度バカリは、ダメかも知れない……….。」

柄にも無く、与太郎が悲観して、犬が尾を下げるように、首をウナダレ、

沈んでユク……….。

……….暗くドンヨリした空気が漂い始めた……….。

と、その時、全てを吹き払う、澄んだ一声が、お白州に響いた!

「待っターッ!!」

吟味の関係人の出入り口から、スッと現れた町衆。

伏して両の手を付き、土下座のまま動かない。

姿形こそ、ひれ伏してはイテモ、

江戸前の気っ風と矜持が、羽織り袴をまとって、そこに居た。

シッポを下げかけていた与太郎が、スグに気づいた!

「アッ!親方!! 」

与太郎のシッポが、クルリとハネ上がる。

その言葉と同時に、男は微かに顔を上げ、与太郎にチラリと微笑みを返した。

そして、ヨドミの無い口上。

「アッシは、神田OO町に住まいヤス、大工棟梁の政五郎と申しヤス。

本日、ただ今より、このお白州に参戦致しヤス。

この通り、大岡様からの参戦許可証も、頂いて参りヤシタ。

そしてコチラは、全日本大工連盟の、棟梁許認可証でゴザイヤス。

宜しく御改め下さいヤシ。」

用意の書状を側役人に渡そうとする政五郎。

スルト奉行がそれをさえぎって、

(奉行)「オーッ!その方が政五郎か!待ちかねたゾ!参戦などと物騒な事は申

ナ。書類などはアトでイイから、早くコッチ来なさい!与太君の隣り、空い

てるョ!」

言われるママに、政五郎は与太郎の隣りに座る。横の与太郎をチラリと見て、

「もう大丈夫」と言うように、再びカスカに微笑む。

(与太郎)「親方、アリガトウ……。」

(奉行)「イヤーッ、政五郎ョ!ソチは知らんでアロウが、その与太郎目に奉行

は、ボッコボゴじゃー!つい苦し紛れに、吟味案件以外の、本来はスルーのハ

の事案を持ち出スという禁じ手を出してたトコジャョ!

ココで、オヌシまで、与太君に味方されると、奉行は完敗必至ジャ!

そこで、チト相談ジャガ、奉行の味方に廻ってクレマイカノー?」

(政五郎)「チョ、チョット待って下セーナ。お奉行様、このお白州は

「大工調べ」ジャネェーんデスカイ?

アッシはてっきり大岡様から遠山様に、吟味役が繰り上がったとバカリ

思ってオリヤシタが……….。」

(奉行)「チャウチャウ!「大工調べ」は、キレ者の大岡君が、この後

キッチリ、スッキリやるでしょうョ。

ココはネ、「君の名は」のヒーロー、滝クーンの吟味中ナンデスョ。

シカシのー。与太君は大したモンダヨ!奉行も、この映画ニャー、

恒例の潜入捜査してきたケド、与太君が一枚上だよ。

ヨーク調べてるネェー!

政五郎ョ、与太君とこの映画の関わりについて、奉行に教えては

クレマイカ?」

(政五郎)「ソーでしたカイ。与太が因業大家に、道具箱カタに取られて、

ブラブラ……

アッ、ソコは、ご存知なんでヤスネ。で、アッシが映画でも見といでッテ、

昼前に与太に木戸銭渡しタンでヤンしたが、この野郎が戻って来やガッタのが

日暮れ時で、今日はコレで仕事上がろうって時分でサァ。

それも、コイツにゃ珍しく仏頂面下げて来やガッタもんデスから、アッシが、

「オーッ!映画どうだったい?」ッテ水向けると、

「親方、とってもオカシかった。」て答えやがんデサァー。

「面白くって良かったジャネェーカ!」て言いやすとネ、今度は、

「ソーじゃネェーや!とっても筋ツマが合わなカッタ。」って

ヌカシやがったンデスヨ。」

(奉行)「 (ドコカで聞いたような展開ジャナ?) 」

(政五郎)「以下、掛け合いで参りヤス。」

(政)「与太郎ョゥ、気ィ悪くシチャ勘弁ナ。オメェの頭ジャ人様が

1で判る事ァ、メェは6も7もカケネェーと、イケネェーんだせ゛。

それでも判んなカッタラ、アッシのトコに聞きに来ナッ!テ、

いつも言ってるダローョ。」

(与太)「ソーじゃネェーや!アタイ、今日「君の名は」と「ゴジラ」両方、

見て来たケド、「ゴジラ」は、アタイのオツムじゃ難しくて良く判んネェー所

が、イッパイ有った。これは、後で親方に教えて貰おうッテ思ったョ。

だけどネ、「君の名」の方は、随分と筋ツマが合ってネェーや!!

あんまり筋が合ってネェーから、アタイ、途中で寝たのカナ?と思って、

もうイッペン見たケド、ちゃんと起きて見てタンだ、筋の方がオカシイん

だって判った時点で、アタイは安心して寝チャイましたョ。」

(政)「何デェー、3本立かよ!道理で日も暮れチマワァー。ケド、木戸銭、

そんなに渡しチャイネェーダロ?足りたのカイ?」

(与太)「親方ァー知らネェーダローケド、最近は「シネコン」てのが

流行っテテ……」

(政)「シネコンぐれぇ知ってらぁ。けどよー、アリャ入れ替えとかウルセーん

じゃネーノカイ?お前!まさかズルしたんジャネェーダローナ?!」

(与太)「アタイはオツムは悪いケド、悪さはシネェーや!

親方ァー知らネェーダローケド、今度「重宝シネマ」ッテのが出来て、

アタイは重してんデェー。」

(政)「何デェー、その「重宝シネマ」ッテーのは?」

(与太)「アノネ!「重宝シネマ」ッテのはネ、二回目から半額で、オマケに

見放題ナノ!だけどネ、見放題でも予約が優先だから、大当たりで満席

なんかダト、見られネェー。で、大当たりの作品でも安心して見たケリャ、

又、半額払えば、座席がチャンと指出来ラァー。デモネ、並みの映画なら、

空いてる席にチョコッと座って見てる分ニャ、3本目からは、タダ見ナノ!

映画館にしてミリャ賑やかに成るし、ドリンクは売れるしで、悪かネェー

見テェーだよ。上手く出来てやがんの!親方、知らネェーでショー。」

(政)「知らネェーョ!そうかい。それで3本立てカヨ!ナルほどネ。」

って、お奉行様、そこでアッシが話しを止めとキャ良かったンですが、

アッシも懲りネェー性分で、ツイこう聞いチマッタんでサァー。

「で、与太ヨゥ、どこがソンナニ、筋ツマが合ってナカッタんデェー?」

ッテネ。これが、間違いの始まりデサァー。

それからッテート、この野郎、シャベルはシャベルは、口から泡飛ばし

ヤガッテ、アッシに向かって来やがるカラ、コチトラ仕事の片付けも

出来ネェーんで、こう言ったんでサァー。

(政)「オーッ与太ョ、ワカッタから続きは明日にして、今日はココラで

帰ンナ。おっ母さんが心配してんソ゛。」

(与太)「アッ、ソウダ!アタイ帰ラァー。」

ってんで、翌朝、仕事場……今、番町のお屋敷やってんデスけどネ、

その屋敷の松が向こうに見えたカナ、と思いヤスと、誰かが手を振って

アッシを待ってヤガンデサァー。

近づくと、コレが与太なんで。イャーな予感がしたんでサァー。」

(与太)「親方!昨日の続きダッ!約束ダッ!」

ってんで、この野郎、半時近くも、ココがオカシイ、アソコもオカシイ、

親方ドーダ?ってアーダコーダ言いヤガッテ。

何しろ、アッシの見てネェー映画の事デスんで、サッパリ判らネェー。

仕事ニャなネェー。金魚の糞ミテェーに付きまとって離れネェー。

その内、職人達が陰でクスクスし始めヤガッテ、ショーがネェーから

(政)「オイ、与太ッ!そんなにオカシかったら、3ベンでも4ヘンでも

イイから、今から「重宝シネマ」行ってその映画見て、もう一度

確かめて来い!

寝チマッたら起きてマタ見りゃイージャネェーか!ドーセ見放題ダローョ?

ホレ、木戸銭ダッ。余ったらドリンクでも買いナ!」

(与太)「サスガァー親方ダ!アタイ、行ってくらぁ。」

ってんで,この野郎、木戸銭掴んでワァーッてんで走ってって、

今日はソのまま家帰るダローと油断してたら、又、日暮れに、

ハァハァしながら走って戻って来ヤガッたんでサァー。

(政)「オー、与太ッ!落ち着け!オイッ誰か水持って来てヤレ!デ、

今日は何ベン見た?」

(与太)「1ぺん見て、2へん目は寝て、3ぺん見て、4へん目は

半分寝てタ。アタイ、結構、クタビレタ。」

(政)「そりゃ、走って来たからダョ!オメェーも懲りネェーなぁ。

よく眼が疲れネェーな!」

(与太)「デモネ、オカシな所はヤッパシ、オカシイヤ!アタイの頭も

チートは悪いケド、オカシクは無かったッテ、おかげ様でヨク判り

マシタ。」

(政)「そりゃ、良かったジャネェーカイ。コチトラも仕事、

もう上がるから、オメェーも、今日はコレで帰ンナ!

おっ母さん、心配してンゾ。」

(与太)「アッ、そうダッ!アタイ帰らぁ。皆さん、お疲れ目様ジャネェ、

お疲れ様デシタ。ジャ、親方!又、明日!!。」

ってんで、与太の野郎、帰ったんデスけど、「又、明日!!」デサァ!

今度はドーヤッテしのごうか。アリャオカシイ、コリャオカシイで、

今日、半時 ( はんとき約1時間 ) ダッタから、明日は一時 ( いっとき 

約2時間 ) ジャとても済まネェー。 エーイッ!ドーとでも成りヤガレ!

ってんで、覚悟を決めタンでサァ。」

(奉行)「コレ、コレ!チョット待って下さいヨ?!話が変デスョ?!

政五郎ョ、オヌシは知らんダローが、奉行はこの映画に、「ソレは

ネェーダローョ!」との判決を出したんデスョ!ところが、与太君は、

アー言えばコー言うでことごとく反論しまくって、奉行の方が与太与太、

いやヨタヨタなのジャョ。つまり、与太君は、この映画の、予想外の

ボランティア弁護人ダョ!!

ところが、オヌシの話では、その与太君こそが、「ソレはネェーダローョ!」

の旗百本振り回してる、鬼検事って事だよネ!ドーナッテルノ?!」

(政五郎)「アッ!そりゃキット、こうナンデやすョ。翌朝、与太の野郎が、

ヤッパシ番町のお屋敷で、アッシを待ち伏せしてイヤガッタんで、
こう言ったんでサァー。」

(政)「与太ョ、オメェーの心持ちは良ーく判るョ。ナァーッ、筋が通ら

ネェー、筋ツマが合わネェーって所が、手足の指でも足りネェーってん

ダロー?それじゃー、こうしたらドーデーッ。オメェーの好きにシテミナ。」

(与太)「……好きにするって………何デェ?……。」

(政五郎)「オメェーも、映画が嫌いなコタァ、ネェーんダローが。

だったら オメェーが、コレだったら真っ当で、一本筋が通ってラァーと

納得出来筋書きを、考えちゃドーデェー。

ドーセ、お白州までには、まだ日数がアラァ。毎日、「重宝シネマ」

って訳にもイカネェーから、与太、テメェーが筋書きを好きに書いて

見たらドーデェー、って事ヤナ。」

(与太)「………… 」

(政五郎)「但し、コイツを忘れちゃ、イケネェーゼ。

世の中に「角に曲がった柱」なんざ、アリャしねぇーダロー。

ケドョ、二本の柱の片方にホゾ穴くり抜いて、片方にホゾこさえて、

ソイツを合わて、クサビを打ち込みゃ、立派な、ビクともしねぇ

「角に曲がった柱」に成るダローガョ。だから与太郎ョー、オメェーが

オカシィヤ!と思った事でも、よーく見りゃ、オカシクも何ともネェー、

上手くコサエられてる事も有ルンダ、って事を忘れちゃイケネェーって

事サナ!それでも判んネェー事が有ったら、オイラんトコ、いつでも来ナ!」

スルッテェーと、与太の野郎、急にシレっとして、こう言ったんでサァー。

(与太)「………. 親方 ……….。それは「君の名は」真っ当化プランと云う事デス

イ?」

(政五郎)「マットウでも、四等でも構わネェーが、早い話、与太版のアナザー

バージョンってコッタな。」

(与太)「……….名前はトモカク、これは時間との闘いにナリマスな……….!!

親方、アタイは今日はコレにて、お面をカブリます、じゃネェーや、何だっけ?

アッ!ご免コウムリますダッ!」

ってんで、野郎、サァーって走って帰ったんデサァー。

デ、その日は勿論、仕事場ニャ戻らネェー。

翌日も与太の野郎、顔出さネェーんでホッとしましたらネ、

翌々日も、出てコネェーんデスョ。スルッテェーと、職人達の中ニャ、

「親方、与太公、顔出しマセンネ。」とか、

「与太の野郎、大丈夫ですカイ?」とか、お節介、出しやがんデスヨ。

さすがに、ソン次の日ニャ、アッシも心配になって、与太の野郎ん家を覗きに

行くと、入り口の木戸に、キッタネェーひらがなで、「めんかいしゃぜつ!」

の貼り紙が目に飛び込んだ!

てっきり、おっ母さんでも大病かと思って、

「オーッ!政五郎デェー!入るゾーッ!」ってんで、急いで木戸開けると、

与太の野郎、部屋の中で、机の前にチョコンと座ってヤガンデスヨ。

「おっ母、どうしたっ!!」ッテ聞くと

「今、紙と鉛筆、買いに行った。」テカラ、手延ばして与太の頭、ヒッパ

タイテ、「テメェーが買い行きヤガレ!このバカヤローッ!!」ッテート、

「アタイも、そう言ったんだケド、おっ母が自分が買って来てやるカラって

言うから、本人のたっての希望を、かなえて差し上げマシタ。」テカラ、

もうイッペン、野郎の頭をヒッパタイテ、

「何してヤガンダ、コノヤローッ!」ッテ聞きヤスト、こう答えたんデ。

「アタイは、ただ今、……オカエリなさい、じゃネェーや、

ただ今「君の名は」っ当化プランの作戦の実戦配備中でゴザンス。」

アーッ、そうか!アッシが3日前に与太に「好きにシテミロ!」って言った

を、野郎チャントやってヤガッタンダ!って、気付キヤシタ。

よーく見るッテート、机の脇に、結構な厚めに紙が重ねてあるんでヤンスョ。 

作戦原稿だテンデスヨ。

「その真っ当化プランてのは、大部出来たのカイ?」

「そんなに早くは出来ネェーヤイ!ケド、肝心な所は出来テラァー。

プロローグと、エピローグ、始めと終わり、アルファーにしてオメガ……….」

って、又、生意気な事ホザキやがるんで、もう一度、頭ヒッパタイテ、

本人いやがるのをヒッタクルようにして、作戦原稿を取り上げて見ますトネ、

ヒデェーもんだ、コレが!! キッタネェーひらがなバッカリで、とても他人様

に出せる物じゃネェー。

ところが、お奉行様、一言一言たどりながら、苦労して読んでミヤスと、

コレが意外に結構なもんでヤンスョ。

デネ、アッシのカカァ、読み書きが一丁前なもんで、コイツに清書させる事に

決めヤシタ。

「オーッ、与太、コレ借りてくゼ。カカァに清書させて、出来次第、持って来

てヤラー。続きは又、取りに来ラァー。コレは紙代の足しダョ。おっ母さんに

ヨロシクなっ!」

ってんで、家に帰って、アッシのカカァに頼むと、最初はアーダコーダ言って、

渋ってたんスケト゛「アノ与太公が書いたんダカラ。」ってーと、

「そんじゃ、ショーがナイヤネ。」って引き受けたんデサァ。

ホッとして、アッシが煙草しばらくクユラしてマスと、カカァの野郎、戻って

来ましてネ、こう言ったんでサァー。  

「アンタ、コレ、本当にアノ与太が書いたのカイ?」

「そんなキッタネェーひらがな、誰が書くんデェー!」ッタラ

「ソリャそーだねー。フーン。アノ与太がネェー……….。」ッテンデ

仕上げたのが、今、アッシの懐の中にアリヤス。

(奉行)「ホーッ!そういう事か!ナルホド……..。与太君なりに、角に曲がった

柱の謎を解いた、という事ジャナ………!」

(政五郎)「で、お奉行様、このお白州ジャ「君の名は」の「ソレはネェー

ダローョ!」を吟味中との事ですが、ご無礼を百も承知で申し上げヤスが、

コウしちゃ頂けネェーでショーカ?」

(側役人)「コレ!政五郎!控えぃ!」

(奉行)「カマァーネェーョ。政君、何ーンでも言ってチョーダイナ。」

(政五郎)「有り難うゴザイヤス。お言葉に甘えヤス。アッシも「ソレはネェー

ダローョ!」に付いチャー、コノ与太から、耳鳴りスル程攻撃されましたン

デ、痛ェー程解りヤス。

只、コレを一々取り上げていたら、夜が明けチマウ所か、ウン気の時分ニャ、

物は腐っチマイマサァー。そこで、どうでガンショーネェー、「ソレはネェー

ダローョ!」を、あげつらうんジャなくて、「コレならソーダローョ!」って

のを、ハナっからシマイ迄、ズラリと並べて見チャ、どーですカイ?

たまたま、アッシがこの与太に、「好きにしてミロ!」ってタのを、この野郎

が何とかマトモに仕上げた物も、ココに有りヤスンデ、コイツをタタキ台に

して、一丁、お考え頂けマスと有り難ェーと、考えてオリヤス。」

(奉行)「政君ョ。オヌシは知らんダローが、この奉行も、「コレならソーダ

ローョ!」ってのを、既に一部分やって見たのジャヨ。

ところが、これも与太君にボッコボコにされチマッテネェー。

全部とナルトだよねー、ボッコボコのボッコボコのボッコボコ……。」

(政五郎)「イヤイヤ、違うんデサァー。お奉行様お一人でって事ジャー有り

ヤセン。与太の野郎でさえ、コノくれぇの事はヤレたんでサァー。

世の中、頭の切れる奴ァ、ゴマンとイマサァー。で、このお奉行所で、

まとめて頂けりゃー宜しいんジャネェーかと思いヤスンデ。」

(奉行)「政君の言う事も、もっともジャヨ。だけどネェ……。」

(側役人)「お奉行様、よろしいでショーか。」

(奉行)「エッ?何ッ?側役人のOOチャン!珍しい!何か言いたい事アルノ?

慮……してナイネ……。何でもドーゾ。」

(側役人)「お奉行様も、ココいらで、お好きに為されては、如何ですか?」

(奉行)「アリャマ!ヨクゾ申しタ、側役人殿。持つべき物は側役人。有り難い

ネェー。一本、筋の通った王道の台本を、実物丸ごと目の前にゴロリと転がし

て見せる、って事か。

ヨーッシャ!オイラも、好きにシチャウゼ!」

(デ、ハンコはドコに押すの?エッ?ハンコ要りません?本当?映画が違イマス?

ーッ、ソーダネ。OK,OK。)

(奉行)「で、政君、例の真っ当化プランは、どこまで完成してるの?」

(政五郎)「ハイ、それが、まだ2,3分て所でショーか。」

(奉行)「何ッ!そういう事か。それで衆知を集めヨーッて訳カイ。ソリャ、

かえって都合が良い。と言うのはネェー、ホラ、オイラもこの映画に潜入捜査

してるデショー。その時、個人的に引っかカッテル事が2つバカリ有って

ネェー。ソレ、ついでッチャー何だけど、何とかしてモラエネェーかなッテ訳

ョ。」

(政五郎)「アッシなんざ、この映画、見てネェーんでヤンスけど、判るヨーな

気ィシヤス。で、何スか?その2つテーのは?」

(奉行)「1つは、入れ替わりの記憶ジャ!この映画だと互いに入れ替ってる時

の記憶が曖昧デショー!目が醒めた時は覚えていても、夢みたいに段々

ボヤケル、ってケド、その割ニャー、キッチリ覚えてタリ、全て忘れてタリ、

イーカゲンだよね。

オイラ、細かい事が気になるタチでネ。1つ、スッキリ、サッパリ入れ替り時

の記憶は、互いに、お持ち帰り出来ない事にしてはモラエネーかな。」

(政五郎)「そりゃー、心配ご無用デサァー、お奉行様。この与太、その事ァー

ンザ言ってヤシテ、アッシの耳ニャ、タコの足8本どころかムカデの足

100本位に成ってマサァー。」

(奉行)「オーッ、そうか!ムカデか!刺されんヨーにナ!腫れると痛ェゾー。

デ、2つ目は、「結び」ジャ。一葉のバッチヤン、やたら結びマクっている

ダロゥ。オイラにゃーアレがチョイと気に障るんダョ。

何とかナランかのー。」

(政五郎)「お奉行様は、アッシと与太との掛け合いに立ち会ってイラシたん

デスカイ?コレ又、心配ご無用どころか、この与太の野郎、「結び」の事ジャ

半時もギャギャー言ってましたンデ。こんな具合でサァー。

[与太]「人も神も「結び」だって言ってんダケド、親方、オカシクねぇーか?」

[政五郎]「そりゃ、オメェー、「縁結びの神」ってーカラ、オカシクねぇー

ダローョ。」

[与太]「それジャ親方、その神様のお供えに、オニギリあげる時、ヤッパし

三角ムスビは、ダメですカイ?」

[政五郎]「何デェー、ソレは?」

[与太]「円ムスビの神様じゃネェーんスカ?三角はダメで丸い円ムスビ。」

[政五郎]「何がムスビだ、バカヤロー!!「縁」違いダョ!!」

[与太]「「円」違い?ジャお金の「円」ダッ!いくらのカナ?コンビニの

100円ムスビじゃダメですカイ?やっぱし、デパ地下の200円グレェーの高級

品……。」

[政五郎]「いい加減にシネェーと、ハッタオスぞ、コノ、バカヤローッ!!」

てな具合で、コチトラ仕事ニャ成らんは、職人達は陰でクスクスし始めるはで

シャーネェーから、コノ野郎を重宝シネマに放り込んだって訳でサァー。

ケドネ、結構、真っ当な事も言ってヤスンデ、今からコノ野郎に、直に言わせ

マスんで、チョッと、お待ちを。」

(政五郎)「オイ、与太!お奉行様に「結び」の一件、申し上げるンダ!

但し、7つも8つもジャ、ダメだゼ!短くまとめて、1つ2つに、しときナ。

わかったカイ?」

(与太郎)「アッ、アイ。それジャーお奉行様、短くまとめて、

2つにシトカァー。(短く出来るカナ?チョット無理カモネ……)」

(与太郎)「1つ目は、「解(ホド)き」の事。結んでバッカじゃ、ダメでぇー。

アタイは、ノコギリだってノミだってカンナだって、毎日、ちゃんと手入れ

シテルよ。チョットでも油断すると、サビちまワァー。

これ、親方から教わったんダケド、空気の中ニャ、失敗の素ってのが有って、

何をやっても失敗……って、アレッ?チョット違うナ?……アッ!

スッパイの素ダ!酸っぱいの素ってのが有って、コイツが鋼の鉄とヒッツキ

やがると、赤い粉ふいてビちまワァー。

一葉のバッチャンに言わせりゃ、これも「結び」ダョ。

ケド、「結び」っ放しダト大変ダョ。ノコは、サビちまう。

アタイら大工は、オマンマの食い上げで、干物になっチマワァー。

大工の干物なんざ、犬も喰わネェーや。

喰うカナ?ヤッテミョ。ハイ、オアズケ!オヤッ?….ヨダレだ。喰う気ダョ。

コレ、「親方の干物」ダョ。腹コワスとコワイよ。止めといた方が……って、

何の話でしダッケ?……アッ!ノコのサビの話ダッ!

デネ、アタイは毎日、チャンとノコの手入れをスルんです。

だけどネ、サビを、引っ剥がすンじゃネェーや。

「今日も、ご苦労さんデシタ。頑張ったネ。有り難うネ。」ってんで、

サビをほどいてヤルんデェー。「解(ほど)き」ダョ。

スルッテェーと、ノコもネ、触った物ァ何でも切っチマウような、

野暮なノコには、成らネェー。切る物ダケがスーッと切れる、優しいノコに

成らァ!不思議と、怪我しネェーんデェー。

デネ、一葉のバッチャンは、お奉行様の言う通り、やたら「結び」まくってた

ド、「結び」ってのは、良い事バッカじゃネェーや。

「解き」を忘れチャ、いけネェーや。

相撲で言えば、「結び」が「東の横綱」なら、「解き」は「西の横綱」ダョ。

ダケド一葉のバッチャンのセリフじゃ、「解き」は「十両」扱いダョ。

そりゃネェーやい!!「解き」は強ェーンデェー!!

一葉のバッチャンだって、かわいそうデェー。

シナリオ通りに、読んでるダケだもんネェー。

一葉のバッチャンに、責任は有りヤセン。アタイは悲しくナッチマウョ。

こうした台本上の問題の責任は、一義的には、脚本家、原作者、あるいは監督

は、その全ての者に帰すべきであり、違反した者には、1000万円以下の

罰金、あるは、10年以下の懲役、又はその両方が課せられ……」

(側役人)「コレ!与太郎!二度目!! シャンとせい!」

(与太郎)「アッ、アイ。じゃ次行くネ。

デネ、2番目が「時間」と「結び」の事。

一葉のバッチャンが、「時の流れ」を「結び」って言ってタケド、コリャ、

ちゃんちゃらオカシーヤイ!

「時の流れ」ってのは、アタイにはムズカシ過ぎるんダケド、

コレだけは、判らァー。

「結び」バッカじゃ、「時」は「流れ」ネェーやい!

「結ンデ」、「開いて」、ジャナイや

「結んで」、「解イテ」、「時」は「流れ」るんデェー!

「コレ迄」が有って、「今」が有って、「コレから」が有る。

「過去」と、「今」と、「未来」。

チョット、隙間が、有る。

横に並べると、….「過去」「過去」「過去」、「今」、「未来」「未来」「未

来」……

チョィト、クタビレますョ。

ココでね、「過去」と「今」、「今」と「未来」、は仲良しで、引っ張り合い

ョ。 チョット油断すると、すぐヒッツいチャウ。

「好きダョッ!」、「アタイもッ!」、「キャーッ!」、なんちゃってネッ。

ダケドね、「過去」と「過去」、「未来」と「未来」、同じどうし、(「今」

「今」も)は、仲悪くて、反発ダネ。

「アッチ行けっ!シッ!!」、「オメェーこそ、アッチ行けっ!シッ!!」、

喧嘩ダネ。犬と猿ダョ。ウン?……犬と猿ッテーと、桃太郎のお供ダネ!

よく喧嘩に成らナカッタね。実は、犬が、キビダンゴ100個と骨1ヶ月分で

裏切ッタとかネ。

デ、猿が桃太郎に、「大変デス。犬の野郎が、ヤッパリ裏切りヤシターッ!」

ッテーと、実は、桃太郎が1000両箱10個、(それも箱ダケ、中身ナシ!イャダ

ネェー!)で、最初に裏切ってターッ……….って、何の話でしダッケ?

アッ!「過去」と「今」と「未来」の話ダッ!

デネ、「今」が「未来」に、ヒッツクと、「未来」は「今」に、変わる。

又ネ、「過去」が「今」にヒッツクと、「今」は「過去」に、変わる。

「仲良し」と「反発」。コレって、磁石ミテェーだね。

同じ極だと「反発」して、違う極だと「ヒッツク」のと一緒だね。

磁石はスゴいョ!口で「アッチ行け!」なんてもんジャないョ。

絶対にヒッツカない。ムチ出して、互いにピシッピシッ!

SとS、MとM、ウン?チョット違うナ?

アッ!お隣さんダッ!SとMジャなくて、SとNダッ!

ェーと、何の話でしタッケ?

アッ、「過去」と「今」と「未来」の話ダッ!

全然、進んでネェーや。

デネ、「未来」が「今」とヒッツクと、「未来」の方は「今」に変わっチマウ

、すると、「今」「今」に成るから、喧嘩ダョ。結婚、即、離婚、ダネ。

ソンで、「今」は頭きて、元の、自分の場所に戻ると、「過去」が迫ってイテ、

「好きダョッ!」「アタイもッ!」「キャーッ!」で、「今」と「過去」が

ヒッツク、「今」が「過去」に変わっチマウ。デ「過去」「過去」に成るから、

即、喧嘩ダ。デ、「元今」の「過去」が自分の場所に戻ろうと、向こうを見る

と、大変ダ!

「元未来」の「今」の野郎が、その先の「未来」の野郎とヒッツイテ、そいつ

が、「今」に変わって、即、喧嘩デ、コッチに戻って来やがるンダ。

ってーと、「元今」の「過去」は、「元未来」の「今」と懲りずに、「好きダ

ョ!」「アタイも!」「キャーッ!」でスグにヒッツク。

すると、「元未来」の「今」は「過去」に変わる、と、即、喧嘩ダョ。

結構、クタビレるデショー。

こうして、「未来」が「今」と成って、「今」が「過去」と成って、

「時間」は、流れテク。

デネ、ヒッツクのが「結び」、離れるのが「解き」ダネ。

ここで、問題はネ、「隙間」のことダョ。

「今」が「未来」とヒッツク迄にカカル時間は、どん位カナ?

ンデもって、「今」「今」に成って、喧嘩して、帰って来て、「過去」と

ヒッツクのに、カカル時間は、どん位カナ?

てな事、考えると、難しいケド、面白くって、夜も寝られなくナッチまうハズ

なんスけど、五つも数えネェー内に、アタイはスヤスヤですョ。

良ーく、眠れるョ。デネ、アタイが寝チマウと、交代で起き出して、夜っぴき

徹夜で、難問に頭をひねってる、影のアタイが、居たりシテネ。ご苦労さまデ

ス…….って、何の話でしダッケ?

アッ!「今」と「未来」がヒッ付いて、離れるのにカカル時間の話ダッ!

アタイ、親方に、割り算と分数を習った時、コリャ面白ェー、と思った話が

アル。多分、アレだ!と思うョ。

1を3で割るデショ?テェーと、答えは2つアルね。変デショ。

3分の1、と、0.333333333333……..アーッ、クタビレタ。(算術はヤダネ!

アタイは、瞬間でクタビレます!マラソンで言ゃー、ゴールインしてクタクタ

なら、ごもっともデスョ。アタイの場合は、ヨーイドン、ハイ、スタートの

直後に、クタビレます。イヤだネェー。でもネ、中ニャー、スッゴく面白ェの

もアル! 次のが、ソレ!)

デネ、親方が、「与太、2つの答えを3倍してミナ!こう成るダロ。

3分の1掛ける3、で、1。もう一つは、0.333333333……掛ける3で、

0.999999999……。

で、0.000000000…….1、足り無くナッチマウ。この差の分はドコに行っチ

マッタのカイ? 与太ョ、サァどうする?」

デ、アタイが、「親方、それジャ番所に、行方知れずの届け、出して来ヤス

か?」ッテーとオコゴトを食べました、ジャネェーや、頂きました。

あんまり、ウマくなかったネェー。塩が足りてネェーのカナ?……ッテ、

何の話でしタッケ? 

アッ、そうだ、ゼロに近い0.00000000……….1がドコ行った?の話ダ!

「親方、手品みテェーなズルしちゃ、イケマセンゼ!きっとズルでしょ?」

って、アタイが 確かめたら、親方、種明かし、してくれたヨ。

コウでした。

1を3で割ると、「0.33333333333……….」は、間違いなんだって!

「0.33333333333……….と、オツリじゃネェーや、余りが0.00000000………1」

が、本当デス。余りを忘れチャ、イケマセン。迷子になっチャウヨ。

だから、コレを3倍すると、「0.999999999……….」は、間違いデシタ。

「0.333333333……….と、余り0.00000000………..1」の3倍、つまり

「0.999999999……….と、余り0.00000000………..3」が正解デス。

ここデネ、余り0.0000000……….3、は3で割り切れるヨネ。

するっテェーと、「余り」は「答え」に、出世できるンダッテ。

「余り0.0000000……….3」は「答え0.0000000……….1」に出世して、

「0.999999999………+答え0.00000000……….1」=「1.000000000……….」

=「1」に、ヤッパシ成るンデェー。

「何ーンダ。ヤッパシ、隠れんぼシテ、ズルしてヤガンの!」って、アタイが

言ったら、親方がネ、「ソーじゃネェーょ。与太ョ。物事ァ、ヨーク注意して

見とかネェーと、アッサリ本当の姿を、見失なっチマウって事ダヨ。

0.00000……….1 は、隠したんジャネェーぞ。見てる方が、忘れてんだ。

親がチャンと見てりゃ、迷子にゃならネェーんダヨ。」

「ソウデスカイ。親方、アタイが油断したバッカリに、アタイの子供と嫁さん

は、迷子にナッチマッテるんデスカイ。でもね、アタイは油断した覚えは

ネェー。第一、嫁さんもらった覚えもネェー。

けど、ヤッパシ番所に、今度は失せ者の届け、出しに行って来やショーか?」

て、アタイが言ったら、親方に頭ヒッパタかれマシタ。

痛かったネェー。ッテ、何の話デシタっけ?

アッ、0.00000……….1を、忘れチャいけネェーって話ダ!

デネ、話がアチコチ飛びまくりヤシタが、「過去」と「今」と「未来」の間の

時間の差はネ、この0.00000……….1、ジャネェーかと、アタイは思いヤシタ。

「結び」に、0.00000……….1、「解き」に、0.00000……….1、限り無くゼロに

近い「瞬間」で、時間は「過去」から「未来」に、流れて行くんダロナァー

と……….。

(但し、コレは、何のカニ、じゃネェー、エビデンスを伴っチャー、オリや

セン。アタイの、文字通りの、与太話デスョ。

だけどネ、この前、親方にこの話をした時、

「お前、本当に与太か?」ッテから、「アタイは、チョット足りない事にかけ

チャプロでェー。」って、エバったら、親方に頭ヒッパタかれマシタョ。)

ここデネ、0.00000………..1に付いチャ、もう一つ、面白い話がアルョ。。

これ、親方に聞いた時、アタイ、びっくりシチャッタ。

ノロノロ亀と駆けっこして、絶対に追い付く事が出来ネェー、アキレタ兄ちゃ

ん、(ゥン?チョット、違うカナ?まっ、イイや。)の話デス。

デネ、アキレタ兄ちゃんは、楽勝で100mを10秒、亀さん、必死で1mが10秒。

ハン100m付けて、よーいドン!

アタイは、アキレタ兄ちゃんの楽勝、と思ったら、親方がロクデナシ言いヤガ

のンノ。

「与太ョ、アキレス(アッ!アキレタじゃネェーや、アキレスの兄ちゃん

デシタ。)が亀のスタート地点に着いた時、亀は1m先に進んデル。

で、アキレスが1m先に着くと、亀は、0.01m先に進んデル。

で、アキレスが0.01m先に着くと、亀は0.0001m先に進んデル。

で、アキレスが0.0001m先に着くと、亀は0.000001m先に進んデル。

コレが、ずーっと続く。

だから、アキレスは、亀に、永遠に絶対に追い付けネェー。

サア、どーする、与太?。」

コレって、0.00000……….1の話ダヨネ。

「親方、又、手品ミテェーなズルしてんでショー。ズルしちゃイケマセンぜ。」

て、アタイが言ったら、種明かしをしてクレマシタョ。

「永遠に、追い付けネェーのは、時間を細切れにしている回数、の事で、

時間の流れの量としての、永遠じゃネェーんだょ。

(細切れ作業を)いつまでヤッテも追い付けネェーんで、いつまでタッテも

追い付けネェー事にはならネェーんだょ。

時間の量じゃ0.00000……….1秒の話になるんダヨ。

これジャ、時間が止まっチマウ。だけど、時間は止めようがネェーんダ。

オイラ達が、ドッカで、時間の測り方、捕まえ方を間違えテルに違いネェーん

ヨ。」

「ヤッパシ、親方、ズルしてヤガンノ。だけどネ、アタイが亀さんと駆けっこ

したら、アキレタじゃネェーや、アキレスの兄ちゃんミテェーに、ドジは踏ま

ネェーやぃ。」って言ったら、親方が口トンガラかして

「じゃ、与太、どーするンデェー。」ってカラ、今度は、アタイの方が、

種明かしをシタョ。

駆けっこは、二度シマス。

一度目。アキレスの兄ちゃんと同じで、ハンデ100mで、よーいドン!

デネ、アタイが亀さんのスタート地点に着いた時の、亀さんの位置を測る。

アタイは、アキレスの兄ちゃんヨリ、ずーっと遅いカラ、亀さんは1mより、

ずーっと向こうに着いてるヨネ。その位置を測る。

そんでネ、亀さんニャー悪いんダケド、亀さんのスタート地点から、逆方向に

同じダケの距離を戻ッテもらう。ココが、新しいスタート地点ダヨ。ハンデは

その分だけ短いヨネ。

ココで、二度目の、よーいドン。

アタイが、亀さんの元のスタート地点に着く迄、アタイは亀さんを追い抜け

ないョ。

ダケド、元のスタート地点に着いた時、亀さんは、アタイより極めてチョット

でも先に出る事はナイヨネ。0.00000……….1秒の分もネ。

100%完全な同着、に成る。

そんでネ、ココは、ゴールじゃネェから、駆けっこは続いてル。

だから、同着した次の瞬間、アタイは0.00000……….1秒の分だけ、亀さんを

追い抜いテル。

ホラね、親方、アタイは亀さんを追い抜きマシタ。

デネ、同着する直前の瞬間の、0.00000……….1秒が「結び」。

同着した直後の、0.00000……….1秒が「解き」にカカル時間じゃネェーかな?

と、アタイは思いヤシタ。

だからネ、一葉のバッチャンの「時間も結び」じゃダメなんデェー!

時間も、「結び」と「解き」の、両横綱で出来てるんジャネェーかな?ッテ

のが、アタイの、ラストの与太話デシタ。

エーッ、ココ迄の与太話で、お判りにナラナイ点、ご不明な点は、ゴザイマス

か……?」

(側役人)「コレっ!与太!三度目ジャ!イイカゲンにセイ!」

(奉行)「ヨイヨイ、不明の点は、宇宙ミテェーに果てしネェーけど、

与太話は、お判りにナリマシタよ。けど政五郎ョー、お前さんも、与太のカウ

ンターを食らってんだネェー。

オイラは、四五発、食らって与太与太、いやヨタヨタだけど、あのパンチは、

どこから出てくるンダイ?」

(政五郎)「そりゃあ、アッシもビックリでサァー。与太の野郎、普段は

文字通りの与太ナンスけど、映画の事となると、話が違うんでサァー。普段、

使ってネェ分だけ、映画の事だと、一気に頭が廻り出すミテェーで。

亀がアキレスにナッチマウんでサァー。」

(奉行)「ホーッ、与太君の変身ベルトは、映画って訳だ!世の中、面白ェ

なぁー。

さて、滝君ヨ。大変、お待たせシチャッて、勘弁ナッ!聞いての通りダ!

『ソリャネェーダローヨ!』の判決は、即『撤収、無罪放免』ジャナッ!

早いデショ。何でもアリっ!

それでサァー、この後、直ぐに御神体の祠に戻るカイ?

それとも、この奉行所で、チョイと遊んで行くカイ?」

(滝)「お奉行様、僕はこの後の、真の切れ者で評判の大岡様の『大工調べ』を

見テキたいデス。この与太朗さんと、政五朗親方が主役でショ?

だったら尚更です。」

(奉行)「オーッ、構わネェーよ。ジャア、そんなゴザに座ってネェーで、

コッチに上がって来ナッ!大丈夫だから。オイラが、大岡君には良く言っとく

カラ。ソコの特等席で、よーく、『大工調べ』を見てってクレタマエ。

オイラと違って、あの野郎、ジャねぇ、大岡君は本当に、頭が切れるゼ!

瓦10枚、一刀両断、電光石火の切れ味ダゼ!(ちなみに、オイラは叩き割る

タイプだな、ウン!) ケドね、心配ご無用。オイラほどジャねぇーが、

偉ぶらネェー人ダゼ、安心シナ!

さて、コレで、滝君の一件は、一件落着、祝着至極と行きテェー所だが、

一つ荷物が残ってラァーッ!

オーッ!政五郎の親方、政君ヨーッ!お主の懐に入ってる、例の与太君の原稿

『君の名は、真っ当化プラン』ダッケか?コピーすっからオイラにチョイと

預からせてクンナ。ナーニ、『大工調べ』の前までニャ返すカラよー。」

(政五郎、言われた通り懐の原稿を側役人に渡し、側役人から原稿が奉行に

渡る。奉行、パラパラと原稿をメクル。)

(奉行)「政君ヨ、お前さん、奥方にはカラッキシだな?」

(与太朗)「お奉行様、今度はヨク切れてラァーッ!ドーして解るの?アノネ、

親方とオカミサンはネェー、スゲェーんダヨ、アノネ、アタイが……」

(政五郎)「与太ッ!余計なオセッカイ出すんじゃネェー!」

(奉行)「マァマァ、政君、クールダウン、クールダウン。

しかし、お主の奥方は、一体何者なんダイ? この奉行所にも、筆の達者は

揃ってるケド、お主の奥方の右に出る者は、まず、大岡君ぐれぇダヨ。

(何しろ、あの野郎、まっイイカッ、文武両道、それもテッペンだぜ。)

政君も色々、ご苦労の御様子、お察し申し上げる。

ソレはソーと、『君の名は、真っ当化プラン』の正式な作戦名は有るのカイ?

エッ?何ッ?まだアリマセン?そりゃイケネェーやぃ!

何事も、作戦名は重要だぜ!

オーッ、与太君、何か希望はネェーかい?」

(与太朗)「ジャアね、『天プラが有って、鰻が有って、刺身が有る作戦』」

(政五郎)「そりゃ、オメェーが食べたい物じゃネェーか!お奉行様、

コンナのは、如何でショーか?『フリードリッヒ ベートホッヘン先生が作曲

された、交響曲第6番へ長調作品68『田園』の内、第5楽章作戦』、

コレは、スッタモンダの嵐の去った後の希望と感謝の……」

(側役人)「長いッ!」

(奉行)「マァマァ、それでは、拙者が決めて遣わそう。

コレは、政五郎の知恵にて、与太朗が心血を注ぎし物、よって、今後

『ヨタマ作戦』と致す。一同、異存は御座らんナッ!

コレにて、一件落着ッ。 フーッ、やっと終わった!お疲れ様デシタ。」

 

  次回、『ヨタマ作戦』の予定…………デス?

 
    
   

   

「君の名は。」と「天才バカボンのパパ」part2 改

「君の名は。」と「天才バカボンのパパ」part2 改

 

はじめまして、アタイ、大工の与太郎ってイイヤス。

やっとアタイ、ブログに出たーット思ったら、文字飛びまくりの穴ダラケ、全部ブログの旦那の責任ナンすが、「頼む!与太!代わりに謝っトイテくれ。後生ダーっ!」ッテ言われて、アタイが誤りジャネー、謝りに来ヤシタ。旦那、冷や汗ブン流して、ヤットコサ直したッテ事ですカラ、ドーか勘弁して下さいヤシ。(だけどネ、「旦那っ!大変ダッ!アタイの出てるpart2のブログ、イノシシに荒らされた畑ミテェーに成ってヤスゼ!」ってアタイが言った時の、旦那の顔ったらナイヤネ。あんまり気の毒ナンで、アタイが謝る事に成りヤシタ。詳しい事は、別の「お話」とイタシヤス。

 

摩訶不思議な緊張感に、支配されようとするお白州。

ソコに、突如響く、何ともシマリの無い一声。

「おっ…..おぶぎょうさま……….。おぶぎょうさまー…………!!」

(奉行) 「ンッ?誰ジャ、拙者を呼ぶのは?ソレも、ひらがなデっ!!

エーッ?エート、どなたデスカ?」

(謎の男)「アッ、アイ。」

(側役人)「(オッ!奉行の瞳から怒りの色が消えた!何という慈しみの「アイ」ジャー!!助かったー!!) エー、お奉行様に申し上げます。かの者は、この次に大岡様のお裁きとなる、「大工調べ」の訴え人、OO町に住まいます、大工の「与太朗」めにゴザイマス。」

(奉行)「何?大岡君の「大工調べ」の訴え人?アッ!知ってる知ってる。与太君ネ!デ、付き添い人の棟梁の政五郎は、来てるの?エッ?出番は次だからマダ?ソーダネ。とにかく、与太君はソンナに遠くに居ないで、コッチに来なさい!滝クーンの隣、空いてるデショ。デ、与太君は、何か言いたい事、アルノ?何でもドーゾ。」

(与太郎)「アー、アイッ。アタイも、この映画 ( 君の名は ) 見て来た。アタイがタメちまった家賃のカタで、大家さんに、大工の道具箱、取られて、仕事出来なくて、ブラブラしてたら、親方が木戸銭くれて、お前もキライじゃ無いんダローから、映画でも見といでって言われて、この映画見て来て、とってもオカシかった。  ( 横の滝君を見つめて ) この兄チャン、映画に出テタ。」

(奉行) 「コレコレ、与太君の言いたい事は、何ジャ?センテンスが 長い。細かく切って、手短に申してミヨ!」

(与太朗)「アーッ、アイ。お奉行様の言い分は、2つの点でオカシイや!」

(奉行) 「2つ、面白いか?」

(与太朗)「ソーじゃネェーや!筋ツマが合ってネェー。コレでお裁きなら、チャンチャラ可笑しいや!相撲だったらモノ言い、消費者だったら、クレーム、大統領だったら、弾劾…….。」

(奉行) 「コレコレ、判った、判った。デ、2つの点とは、何ジャ?」

(与太朗)「1つ目は、滝の兄チャンの事。

お奉行様は、滝兄(タキニイ)が、三葉チャンの事、覚えてないって、ヒツッコク文句言ってるケド、トンデモネェーおかど違い ダ!滝兄は、アニメのキャラなんだから、実写の映画みテェーな自由なんて、ネェーんだョ。

滝兄が、「コレ、変?」って思っても、監督に一言も、文句言えネェーや。こうした、台本上の矛盾の責任は、一義的には、原作者、脚本家、あるいは監督、又はその全ての者に帰すべきであり、違反した場合は、1000万円以下の罰金、あるいは10年以下の懲役、又は、その両方が課せられ……」

(側役人)「コレ!与太朗!ここは映画館ではナイッ!シャンとせい!」

(与太朗)「アッ、アイ。ソンでも、お奉行様のやり口は、滝兄イジメに違いネェーから、これ以上、滝兄をイジメると、教育委員会に訴えて、出る所に出るゾッ!って、もう、出てマシタカ。」

(側役人)「コレ!与太!、イー加減にセンカ!!」

(奉行) 「マァ良い良い。ノー、与太。オヌシの申す事、一理、有る。奉行の負けジャ。

しかしノー、3年前に、滝クーンに逢いに来て、自らの髪を留め結んでいた赤い組み紐を投げ渡し、名前もハッキリ名乗った、本件三葉の事を、滝クーンが、顔も名前も全て、スッキリサッパリ忘れてイルという、この1点、オカシイ事は間違いナカローが!!「天才バカボンのパパ」ではナイカ!ドウジャナ?」

(与太朗)「ソコ、ソコ、お奉行様がオカシイ2つ目は、ソコ!。 お奉行様は、「 (心に深く刻み付いているので、) 忘れようとしても、決して思い出せない。」のは「天才バカボンのパパ」に限るッて、「サンマは目黒に限る」ミテェーな事、言ってるケド、サンマはアッチコチで売ってラァ!。「天才バカボンのパパ」に 限っちゃイケネェーや!。

心に刻みが入る時、涙や血が、あふれ出る事だってアラァ。

そんな時ニャ、外から心にフタをかぶせチマウしかネェ……。

そうスリャ、想い出さずにスム……….。

忘れたんジャネェーや…….。

想い出せなくナルンだよ……….

外面は、「バカボンのパパ」と同じダョ…….。

忘れようとしても、決して想い出せない……….。

だけど、まだ、コッチ側に居るから、マシなんだョ…….。

もっとヒデェー目に逢えば、内側から心にフタをするしか

ネェーや……。

ハタから見りゃ、気フレだローョ……….。

もう、帰っちゃ来ネェーサ……….

アタイなんざ、ガキの頃から、何もしてネェーのに、石コロみテェーに、人に踏まれたり、蹴られたりして、大きくなったから、(ドッカで、聞いたヨーナ?歌かな? )チョットやソットじゃ、アタボー、ヘッチャラだい。

それでも母ちゃんと親方は、アタイの事を、一丁前に、扱ってくれたヨ。

ダケドネ、お奉行様、世の中にゃー、何ベンも何ベンも廻りをグルッと見渡しても、広い世間で、タダの一人の味方スラ見つからネェー、それでいて、天や神を呪ってもシャーネェーような、アタイなんざ目じゃネェー位、ヒデェー目にアッテる人は大勢いると、アタイは思うヨ。

そんな、身も心も裂けチマウ、つらい思いをした人、の中に

「忘れようとしても、決して思い出せない」人が居ても、オカシクはネェーと、アタイは思うのですヨ。

「忘れようとしても、決して思い出せないノダ。コレで良いノダっ!」で、良いノデスョ。世の中、広いんデェー!

「バカボンのパパ」ってキャラは、アタイと致しましては、大変、親近感が湧いて来ルのでは、ゴザイマスが、ソレはソレ、コレはコレですョ。ウン。

だから、アタイが、この映画の作者なら、滝兄と三葉チャンとの間に、そうした「 事件 」をコサエンだけど、ソーは、なってネェーや。

この映画だと、滝兄が三葉チャンの事、忘れチマウのは、タソガレ時、逢魔が時のセイだとナッテラー。

夕暮れ時、滝兄( 身体は三葉チャン )が、御神体の祠のある、外輪山の周りを、めぐり歩いているヨ。

三葉チャン( 身体は滝兄 )も、同じ所を歩いてル。

だけど、3年間の時間のズレがある…….。

タソガレ時が迫って来る。

すると、相手の気配を感じていたダケだったのが、

相手の声が聞こえるようにナル。

そして、トウトウ、相手の姿が見え、触れる事が出来る迄にナッチマウ!!

だけど、タソガレ時ってのは、逢魔が時って云う、オッカネェー別の名前があるミテェーに、ただジャー帰れネェー。

目ん玉、飛び出る勘定書が、廻ってくらぁ。

この映画だと、滝兄と三葉チャンの互いの記憶、想い出が、全て消されチマウ…….。

サァーッ、コッからダヨ、お奉行様!

アタイは、コンナ風に思ったんダヨ

タソガレ時になると、夕焼けの空ニャー、目に見えネェ位、ほとんど透き通った大きな寺の鐘(教会の鐘でもイイカ……)が現れるんダヨ。

そして、その鐘が鳴り響くと…….ただしソイツは、姿形が透明であるミテェーに音もしネェーんだ…….。(……電波の鐘カナ……?)

とにかく、その鐘が鳴り終わる時、滝兄と三葉チャンから、互いの想い出の全てが、一片も残らず、泡ミテェーに消えて行く……….。

ココでダヨ、お奉行様!肝心なのは!

「想い出消しの鐘」の音が、滝兄と三葉チャンに響く時、

忘れちゃナラネェーのが、「もう一人の滝兄」の事ダヨ!

100里(ジャネェーや、キロか?)以上も離れた、江戸ジャネェ、東京はOO町で、試験勉強かナンカで、机にカジリついてる、中坊の滝兄を、忘れチャ駄目デェーッ!

「想い出消しの鐘」は、中坊の滝兄の心にも、確実に響いているに違いネェーや。

だって、鐘の音が響くのは、「場所」ジャなくて「人」だからデェー!

するテェーと、こうナルよ。お奉行様が、さっきヤッテタ再現フィルムみテェーに、アタイもヤッテ見るヨ。出来るカナ?

場面 伊 (イロハ、のイ)

滝兄が、勉強机にカジリ付いてる。問題集と首ッピキだよ。

難問ダネ。頭かかえテラァ。何ナニ? 「ノコギリの刃を研ぐことを、目立て(めたて)と言いますが、次の説明の内、正しいものは、ドレですか?」 オッ、アタイ判りマスヨ。

居間の方からは,TVの声がしてる。

「OO彗星は、いよいよ今晩O時に、地球に最接近し……….」

滝兄の父ちゃんが、夕餉の支度してるョ。コンロで何か作りら、滝兄に声を掛ける。

「滝っ!余り根詰めんナヨ!少しは休め。」

滝兄は、生返事。走らせる筆を止めネェーや。

「アーッ…….。」 やっと伸びをシタョ。

フト脇に目を落とす。

その左手首には、前の日に、三葉チャンから渡された、紅い組が、グルグルと結ばれてイルョ……。

筆が止まった………。

「アノ娘は誰ナンダロウ?名前……ミツハ、だったヨナ…….。どんな字なのカナ?

一息つくか…….。」

滝兄は立ち上がると、居間の向こうに夕焼け空が覗いているベランダに向かうョ。

父ちゃんの声が後ろから追っかけて来る。「OO彗星、もう見えるカナ?」

ベランダに出てる滝兄が、空を見上げる。

彗星はまだ見えなかったケド、美しい夕焼けが広がっていた。

きっと綺麗な星空…….。彗星、ドンナかな……?」

滝兄は、文字通り深く一息ついて、部屋に戻ろうとする。

と、何か、クラッとする。

「(めまい?イヤ違う…….?)」無意識に、片手をコメカミに当てるョ。

その手首には、昨日三葉チャンから渡された、紅い組み紐。

滝兄の父ちゃんが、炊事の手の水を切りながら、近づいてくるョ。

「オウ、滝、勉強疲れデスカイ?そうそう、お前が昨日言ってた、紅いリボンジャネェー「紅い組み紐の少女」、思い出せたカイ? オヤ?何だい、もう腕に巻いてるジャン。」

滝兄には、もう全く、訳が判らない。

自分の左手首の紅い紐は、一体、何ダ!?

ダッテ、たった今し方、「想い出消しの鐘」が鳴っチマッタんだから、ドーショーもネェーや。

滝兄の中で、三葉チャンとの一部始終は、もう封じ込められチマッタ。

(以下、掛け合いにするョ。)

(滝兄)  「コレ、父さんが、くれたの?」

(父)  「何言ってヤガンダ、気色ワリィー。ドコの父親が息子に、ソンなのプレゼントでゴザイするカヨ。で、下級生か?アッ、制服、違ってタンダッケな。ドコの女子中?ソウソウ、お前、その娘の名前、言ってたぞ。何だっけな、ホラッ……!」

(滝兄) 「……….ワカンナイ……….!」

(父)  「オヤオヤ、我が息子殿は、罪つくりダネェー。その娘は、カワイソーだネェー。たったの1日で、名前も忘れられチマウんだから!この薄情者メガッ!」

……コンロの鍋が、グツグツ始める……

(父)  「オッ!、鍋、鍋、フクフク!。」

父ちゃんは、炊事の仕上げに戻るョ。

滝兄は自分の部屋に戻る。そして、机の上に乗せた左手首を、ジッと見つめた。

紅い組み紐が結ばれてイルョ。

滝兄は、何も想い出せない……….。

…………昨日の、学校帰りの電車内……….。

滝兄が、一方向を、見つめている。

足音が近づいて来る。と、……電車内の人や景色が、霞んでゆく……。

真っ白い空間に、ポツリと、独り残された、滝兄。

足音が止む。

姿は無い。

有るのは、……人の「気配」だけ…….。

音の無い世界で、滝兄は、名前を呼ばれた…….。

いや、滝兄の心に、直接に響いて来る、無音の声……….。

 

「…………..(滝)………..(君)………..。(滝)………………。」

 

「 誰っ ?!! 」

気配が、遠ざかってゆく…….。

 

「……….(私)……..(の)……….(名前)………..(は)……..(……)………..。」

 

「君は?!!!」

 

と、突然、真っ白い空間に、宙を舞って現れる、紅い組み紐。

時間の流れが、スローモーションの様に、遅くなってゆく。

ゆっくりと、滝兄の眼前まで迫って来る、紅い組み紐……….

 

ハッとして、滝兄は我に帰るョ。

 

いつも通りの、勉強机。

左手首には、覚えの無い、紅い組み紐。

瞬間、よみがえる、空白の景色。

 

かすかに残る、人の「 気配 」……….。

 

しかし……….。

 

想い出せない…………!!   何も……….!!!

 

滝兄が、つぶやく。

「……….君は……….、」

「……….誰だ………?!!!」

 

一巻の終わりデスョ。再現って、結構、大変ダネ。

アーッア、アタイもクタビレましたョ。

デネ、こうした訳だから、「想い出消しの鐘」のせいで、中坊の 滝兄は、三葉チャンの顔も名前も、何もかも、忘れチマウんだョ。たったの1日で。だから、3年たって、高2の滝兄が、三葉チャンと入れ替わって、その顔を鏡で見ヨーガ、「ミツハ」の名前を呼ばれヨーガ滝兄に判るワケがネェーや!。

イヤさ、奉行ォーッ! 思い知ったカァー!!。

(側役人)「イヨッ!O代目ッ!じゃナクッテ、コレ!与太郎!調子に乗るナ!シャンとせい!。」

(奉行)「ヨイヨイ。イヤァー与太君、よう気付いたノォー。このままだと又、奉行の負けジャ。

しかしノォー、与太君ョ。滝くーんは、忘れたハズの本件三葉を、クリアーに想い出しているシーンが有るではナイカ!ホレッ、奇跡の最後の入れ替わりの後、妹の四葉の「姉ちゃん、 昨日は突然、東京に行っチャウし…..」とかをキッカケに、思い出しチャッタでショー。本件三葉が、東京にいる中坊の滝くーんに、会いに来た事を。アニメみたいに鮮明に!

オカシイでしょー?

「想い出消しの鐘」の封印は解かれチマッタ、とでも言うのカイ?」

(与太郎) 「アッ、アイ。解かれチマッタ、とでも言うのデスョ。

封印を解く「 鍵 」は、2つ。

だけど、封印されテル中身は、魔物でも、オッカネェー化物でもネェーや。滝兄と三葉チャンの「 想い出 」ダヨネ。万一、中身がモレても、傷つく人はイネェーョ。だから、「鍵」が、そんなに厳重デモ難しいのデモ、アルワケがネェーや。

それでは、「 鍵 」の答えデスョ。早いデショ。お奉行様と同じ。

「 1 の 鍵 」は、「 時 」。

鐘の鳴った、タソガレ時、又は、その近所。( ん?チとオカシイ?)

「 2 の 鍵 」は、「 場所 」。

鐘の鳴った、カルデラ、又は、その近所。( コリャ、合ってラァー。)

ドンピシャなら、「 時 」100点、「 場所 」100点で、1等賞。封印が解けて、扉が開いて、くす玉が割れラァー( 割れマセンカ )。

だけど、近づくダケで、封印は、弛むんダヨ。

滝兄が、三葉チャンの事、想い出しチャッタこの場合、

「 時 」は、夕暮れ近くで80点。「 場所 」は、カルデラの麓の近くで80点。

コレダケで、封印は弛むんダケド、解けるには、最初に「キッカケ」が必要デスョ。火打ち石の、「カチッ!!」で、火が付くようなモンデェ。(コレって、第3の鍵なのカナ?実は、一番重要だったりして。デヘヘ。 )

ソンデネ、この場合の「キッカケ」は、お奉行様の言う通り、妹の四葉チャンの言葉、「姉ちゃん昨日、東京に行った。」ダヨ。「カチッ!!」ダネ。

コレを聞いて、滝兄の封印は弛み始めるョ。

三葉チャンが、3年前に、自分に逢いに来た事を、想い出し始めルンダ。

滝兄は、チャリでカルデラに向かうよ。陽は傾き、タソガレ時が迫って来る。ドンドン100点に迫ってクル。封印は、ミルミル弛 ンで、トウトウ解けチマウ。

もしも、「鐘の封印の守り神」ミテェーのが居て、99点デモ駄 目、両方100点デナキャ駄目ダ!なんてヌカシやがったら、アタイもダケド、親方が、黙っちゃイネーゼ!!

親方、オッカネェーぞ!!

アタイは、家賃を1両と800 ( ェーと、今のお金ジャ10万と2000円ぐらいカナ?)ためチマッテ、大家さんに、大工の道具箱、カタに取られて、仕事出来なくて、ブラブラしてたら、親方が来て、「コレで払ってこい!」ッテ、財布を渡されたケド中身が1両シカなくて、大家さんチで、1両( 10万円 )払って、道具箱、返せって言ったら、大家さんが、800 ( 2000円 ) 足りネェー」ッテ言って、道具箱、離さないから、アタイが、「 800 は、アタボーだ!」ッテ言ったら、大家さんが怒って、 親方が、謝りに行って、「 800 は、すぐ、持って来ヤスから、与太郎の道具箱、後生だから先に返しチャくれヤセンカ。」ッテ、頭下げて頼んだら、大家さんが、「イヤなコッタ」ッテ断ったから、今度は、親方が切れて、「ヤイ大家!テメェーなんざに、金輪際、頼み事はシネェーヤ!道具箱は、出る所に出て、キッチリ10倍返しで返して貰うカラ、首洗って、覚悟シトキヤガレーッ!! オイ、与太っ!! 喧嘩ダッ!!コレカラ、奉行所駆け込んで、大岡様に訴えるゾーッ!!早くツイテ来ヤガレーッ!!」ッテ、スゴいケンマクで、顔、真っ赤にして、言ったんデスョ。

オッカナカッタネェー。

( コン時に、親方が切った「啖呵」は、語り草デスョ。スゴカッタネェー。

落語の「大工調べ」の元ネタに成ってヤンスョ。古今亭志ん朝師匠のが、アタイのお気に入りデヤス。親方、本当に、本物みたいにスゴイもの。)

そして、アタイが、ここ、お白州に居るのでアリマスョ。

アーア、センテンスがとっても長くて、アタイは、又又、クタビレタ。

親方、切れると、スゲェーから、「想い出消しの鐘」ナンザ、どデカい、ゲンノゥ持って来て、あたり構わずタタキマクッテ、ぶち壊しチマウでしょうョ、キット。ザマァー見やがれッテンダ、オトトイ来ヤガレーッ!!

ェート? アタイの話は、何でしたっけ?

アッ、ソウソウ、滝兄が、封印されてた三葉チャンの事、想い出しチマッタ話ダ!!

四葉チャンの話がキッカケで、封印はホドケたんだけど、鍵は開いても、扉は開いてネェー。

戻って来た想い出は、まだクリアーじゃネェー。だから最初は、「アッ、……三葉は オレに逢いに来たんだ。3年前の俺に……。」位だったんダヨ。

それが自転車コイで、山ン中入って、木漏れ陽が紅く染まっテク。

影もドンドン長くなって、タソガレ時が迫って来る。

カルデラは、もうチョットだョ。

スルト、鍵の解かれた扉が、大きく開いて来るョ。

もう「クリアーな映像とサウンドを、存分にお楽しみ下さい。」 のレベルだネ。

学校帰りの電車の中……….。

近づいて来る三葉チャンの顔が、ハッキリ見える。

声も聞こえる。

 

「滝……….君………。滝……..君…………。私の事……….覚えて……ナイ……….?……….。」

 

覚えてイルヨ!!、今度は!!

ここで、滝兄は、想い出したダケじゃなくて、三葉チャンの気持ちの全てが、解ったンダと思うョ。

そりゃあ、そうサ。

相手の身体で、ご飯食べて、トイレ行って……

コレって、同じ穴のムジナ、じゃネェーや,「同じ釜の飯を食べチャッタ仲」ッテのが、保育園ミテェにナッチマウほど、超高度な、「人付き合い」ですヨネ。

コリャ、二人ダケで宇宙船に乗って、太陽系、3ベン回ってワン、じゃネェーや,外宇宙で波乱万丈の末に帰還、満身創痍の宇宙船での大気圏再突入を、全人類が固唾を呑んで見守るッテー

…………話が遥か彼方にソレヤシタ。スイヤセン。

デモネ、身体の入れ替わりって、こうだヨネ。

滝兄の身体から、魂が抜ける。と、滝兄の身体はココで、チョイと死ぬヨ。

ケド、抜けた魂は、同じくチョイと死んでる三葉チャンの身体の中で、生き返る。

ソンデ、滝兄は、三葉チャンとして、生まれ替わるワケだよね。

三葉チャンも同じ。鏡のコッチとアッチ。

こうして、滝兄と三葉チャンは、「死んで、生き返って、生まれ替わる」又、「死んで、生き返って、生まれ替わる」を、何度も繰り返しチマッてるワケだよね。

コレってサァー、「生命」のナイショの根っコの所を、二人とも幾度も通って来たんジャネェーのカナ?

何見て来たんダロゥネェー。

滝兄が右からッテート、三葉チャンは左から、同時に互いにすれ違って入れ替わる。

デネ、アタイは、滝兄と三葉チャンが、双子ミテェーに成っチマッタと、思いヤシタ。(エッ?何デスカイ?後天的一卵性双生児?本当デスカイ?そんなの有るんデスカイ?エッ?比喩?ムツカシイネェー。)

アノネ、双子って、「共鳴」するデショ。音叉ミテェーに。

( 双子のジャンケンって、アイコばっか……なワケ無いデスカイ。)

滝兄と三葉チャンも、「死んで、生き返って、生まれ替わる」を、繰り返す内に、互いの身体も魂も、音叉ミテェーに共鳴し始めチマッタとアタイは思いヤシタ。

ダカラネ、滝兄は山道を自転車コギながら、三葉チャンが、どんな思いでタッタ独りで、東京まで、自分に逢いに来たか、今ジャ痛い程、解る。

第一、今、滝兄は、三葉チャンの身体なンダゼ。

いじらしくテ、切なくテ、たまんナカッタと、アタイは思うョ。滝兄のホホを、夕陽が更に、紅く熱く染めてユク。

滝兄は泣いていたンダョ。

視界が、涙で霞んでクル。

自転車、コケたのは、そのセイだと、アタイは思ったョ。

 

エーッ、少々ッテカ、大部長くなりましたが、滝兄の「想い出消しの封印」は、こうして、解けチマッテ、三葉チャンの事、チャンと想い出せたのでアリマスョ。

それでは、お奉行様、コレまでの、アタイの説明で、ご不明、お判りにならなかった点は、ゴザイマスでしょ……」

(側役人)「コレッ!! 与太!! 調子に乗るでナイ!!」

(奉行) 「ヨイヨイ。奉行の負けっぱなしジャノゥ。

デモノゥ、1つヨイか?「想い出消しの封印」を、解く鍵が、「時 ( タソガレ時 ) 」と、「場所」 (カルデラ ) の2つ、としたら 、本件 三葉の場合はドウなのジャ?

三葉はカルデラの麓に住むので、80点。タソガレ時は毎日来るので100点。つまりは、毎日毎日、封印は弛み続け、遂には解けて、滝くーんの事を想い出してシマウのではナイカね。ノー、与太君よ。ドウジャ?」

(与太郎)「アッ、アイ。お奉行様は、他人の話をチャンと聞かなキャ駄目ダイ!第3の鍵 (本当は1番大切かも知れネェーや。)  つまり「キッカケ」の事デェーッ!!

満点ジャなくても、封印はドンドン弛むケド、最初に「キッカケ」が無キャ解けはシネェーヤイ!

残念ですが、三葉チャンには、「キッカケ」が無いんデスョ。だからネ、三葉チャンは、滝兄の事、想い出すことは出来ネェ。

タダね!ココでアタイは思ったノデスョ。解けはシネェーけど、お奉行様の言う通り、滝兄に付いての「想い出の封印」は、毎日毎日弛むんダヨ。

スルト、どう成りますカネ?滝兄と入れ替わって暮らし、生きた日々の場所の「想い出」の中身は、封印され、消されてはイル。

ダケド、中身の映らない、輪カクだけは、三葉チャンの心の中で、毎日毎日、浮かび上がり、そして消えてゆく……….。

三葉チャンにとって、忘れチャいけない大事な人が、どこかに、居る。

その「 気配 」だけが、毎日毎日、浮かんでは、消えてゆく…..。

ダカラネ、大人になった三葉チャンが、故郷を離れた理由が、ココに有るンダネ。

三葉チャンは、都会にアコガレて、「東京」に行ったんジャないヨ!

滝兄の身体で暮らしていた、大事な滝兄が居た「場所」の「気配」に、心の底の方で引っ張られて、「その場所」、に行ったンダと、アタイは思ったョ。

ダカラ、大人の三葉チャンは、銀座でも渋谷でもない、「滝兄」で暮らした周辺に居るデショ。

アレは、偶然ジャネェーや。うまく出来テラァー。ソーは、思いまセンカネ、お奉行様!

( エッ?銀座や渋谷は、家賃が高いカラ無理?ソーなんデスカイ。)

但し、コレまで、アタイの話した事は、全て、アタイの仮の説明でアリまして、早い話しが、与太バナシでヤス。決して、エビデンス(※)を、伴ったモノではナイ事を、アラカジメお断りしちゃっトキマスよ。デネェーと、親方にオコラレラァー。

親方、オッカネェーゾーッ。

( ※ココで、チョイト、「エビデンス」の説明デスョ。

この前、親方が、親方のお師匠と、何か話してテ、アタイが脇で聞いてテ、

「親方、今度は、マンションの仕事デスカイ?」ッテ尋ねたら、

「ソレは、OOレジデンスだローガ。ソーじゃネェー。エビデンスだ。」ッテから、

アタイが、「ソレ、何デスカイ?」

親方「マー、平たく言ヤー、動かぬ証拠ミテェーなもんダローョ。」

アタイ「ジャー、横に動いチャウ証拠は、カニデンスですカイ?」ッテ言ったら、

親方に、コッピドク、怒られマシタ。コワかったネー。)

エーッと、何の話しダッケ?

アッ!ソウソウ、お奉行様の4度目、ン?3度目カナ?の間違いの話しダッ!」

(奉行)「4度目ジャヨ!与太郎君よ、貴公は、聞くと見るとジャ大違いのマサに標本ジャ ノー。奉行、負けっぱなしジャ!」

(側役人)「 ( アッ!与太が、「貴公」に、出世した!ウソォッ!お奉行様、ココで白旗か?ハタマタ反撃ナルか……?) 」

(奉行)「しかしノー、与太君ヨ。貴公は、「紅い組み紐」の一件を、どう考えるのジャ?

中坊の滝クーンから、本件三葉の記憶は全て消されていた、とシテも、滝クーンの左手首に、ズーッと巻き付けている「紅い組み紐」は、どうナノジャ?

本件三葉との入れ替わりの際、滝クーンが、本件三葉の「紅い組み紐」に、全く気づかないトハ、「ソレはネェーダローヨ!!」ダローヨ!!

そして、奉行が自ら再現フィルムした、「コレならソーダローヨ!!」がソーダローヨではないのカイ?」

(与太郎)「アッ、アイ。ソレは、「ソーナラネェーのダローヨ」デスョ。

理由は簡単。お奉行様の、「コレならソーダローヨ」には、エビデンスが無いんデスョ。

お奉行様の、「想像」デスョ。アタイみテェーのが、勝手にホザイてる分は、カマーやシネェーが、お奉行様が、「御裁き」スルのに、エビデンスが、無くっチャ、イケネェーヤィ!

アタイだって、お奉行様の言う事は、シゴク、もっともだト思ワァ!

ダケドね、滝兄の目の前に、三葉チャンの髪留めの、「紅い組み紐」が、突き付けラレルような場面は、この映画ニャ、全く見当たらネェーヤ。

ズルイっチャー、ズルイけど、「筋が通らネェー」の一歩手前だと、アタイは思うョ。

そうそう、一葉婆ッチャンの髪留めが、三葉チャンのと同じ蝶結びで、同じような紅い組み紐だったシーンも有ったケドネ、三葉チャンの想い出を消されチマッタ滝兄が、ソレを見逃しても、「ソンナの、気が付きませんデシタ。」ッテ言われりゃ、シャーネェーヤ。

「気付かぬノハ、いかにも不自然!」ジャ、全然ダメデェー!

「気付いてイタ事は、コレコレの証拠で、明々白々。気付かぬノハ、不自然どころかコレコレの理由で、無理デアル!観念セイッ!!」デナキャ、ダメデェー!

ソレをシネェーで、自分の都合のイイように想像して、「コレならソーダローョ。」テナ事を、お奉行様が言ってチャ、イケネェーヤイ!!

コンなコッチャ、無実の罪を着せられチマッタ人で、江戸の町は溢れカエっちゃッテ、バイオハザードみてぇーに成っチマワァー。 (ゾンビ、オッカナイネェ。イャだネェー。)

このゾンビの群れを大量発生させチマッタ元凶が、「このO町奉行所だった!」テナ事に成っタラ、この期に及んで、マスコミ殺到、「大スクープ、ゾンビ第一号は、滝兄だった!独占インタビュー10ページ!」「滝兄、スタジオ緊急生出演!コレが真相だ!」「金さん処分カウントダウン、大目付、本日2時、緊急会見!」テナ具合で、幕府の面目、丸ツブレ。ひいては、 日の本の、お国の面目、丸ツブレ。ツブレて、全ーン部、平らにナッチャッて、「見渡せば、山も凸凹も、なかりケリ……….。」 コリャ、殺風景の極みダネ。エーッと、下の句、何ダッケ? エッ?そんな下の句、有るワケ無い?ソウナンデスカイ。

アレッ?エーッ、……アタイの話し、何でしタッケ?

アッ!ソウダ、お奉行様の五度目、ン?四度目カナ?の間違いに、文句タレてタンだ!」

(奉行)「五度目ジャヨ!。マァ与太郎ョ。よくぞ申した。奉行、ボッコボゴで出る所ナイワ!」

(側役人)「 (本当ッお奉行様、ヤラレッ放し。大方の予想を裏切り、ココでタオルを投げるか?それとも、起死回生のカウンターを喰らわせ大逆転か?) 」

(奉行)「しかしノー。このお白州では、取り上げるツモリは無かったのジャガ、貴公の了見を、是非知りたく、尋ねる事にした。

……….他でも無い、彗星落下の大事件を、滝クーンが、スッキリサッパリ忘れている、一件ジャ。

「想い出消しの鐘」で、本件三葉との記憶が、滝クーンから一切消えた、としてもダナ、彗星落下は、その後に生じた事ではナイカ?まして、街の半分がホボ消失という大惨禍は、人類史上初の大事件ジャ。その調査研究は、世界規模となり、5年、10年で、済むハズはあるマイ。

その報道、情報の、嵐の中で暮らして来たハズの滝クーンが、

「エーッ?アノ時の惨劇の町ダッタンですか?チーッとも覚えて 無かった。」ジャー、

復活の判決主文、「ソレはネェーダローョ。」に、今度こそナルのでは、ネェースカねー。

のう、与太君よ、教えてくれマイカ?

(側役人)「 (オッ!気持ち悪ッ!お奉行様下手に出る一方、苦し紛れに、このお白州では、スルーのハズの事案を持ち出した。キッタネェー。今日は、珍百景のツルベ打ちダ!

で、与太君、貴公はどう出るのジャ? ( アッ、ウツッタ…… )

ンッ?……….ドウした?与太、答えナイノか?……….。 ) 」

 

与太郎は、珍しく口をつぐんで居る。大の苦手の「思案中」ダッ!

 

(与太郎)「 (個々の矛盾は、個別に撃破して行けば、勝機は見えるカモ……….!ダケド、この矛盾は、余りに大き過ぎるし、深過ぎる……….。今度バカリは、アタイの頭脳を持ッテしても、ダメかも知れナイ……….。」( って、ドッカで聞いたような、セリフだネ? )

柄にも無く、与太郎が悲観して、犬が尾を下げるように、首をウナダレ、沈んでユク……….。

……….お白州に、暗くドンヨリした空気が漂い始めた……….。

と、その時、全てを吹き払う、澄んだ一声が、お白州に響いた。

 

「待っターッ!!!」

 

続くーっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の名は。」と「天才バカボンのパパ」part1(part3 出来マシタ)

「君の名は。」 滝君は、天才バカボンのパパなのか?

(ネタバレどころか、バーレバレデス。映画を御覧になっていない方は、絶対に、読んではイケマセン!以上、危険情報のお知らせデシタ。)

 

傑作漫画「天才バカボン」の「パパ」の名セリフがコレです。

「忘れようとしても、決して思い出せないノダッ!コレで良いノダ!」

良くありませんッ!

こんな事が許されるのは、「バカボンのパパ」だけです。

しかし、本作の滝クーンは、まさに、「バカボンのパパ」 状態です。

次の2点で。

1番目。

彗星落下という、人類史上の大事件を、滝クーンが、スッキリサッパリ忘れチマッタ点 。(サジだらけなんで、スルーです。尚、サジは、投げるヨリも、置いた方が、ヨロシイヨウデ。当たると、結構、イテェーですヨ。)

2番目。

これ、ほとんど、ご指摘が無く、不思議でなりません。

これを、ズボリ、いやズバリ、あるいはネチネチと、指摘するのもナンですので、ここは  時代を越え、大岡様、いや遠山の金さんに出張って頂き、吟味といたしましょう……….。

速くも、時空は変わって、O町奉行所のお白州。敷かれたゴザに???状態で神妙にポケッと座っている、本作主人公、滝くーん。

(そして、後方に控えている謎の何者か………..。)

遠山の金さん、早くも登場。

(奉行) 「エーッ私が奉行の金さんです。エリートの大岡君と違って、ザックバランですから、大丈夫ですよ。滝くーんは、御神体の祠の前で、口噛み酒を飲んでヒックリ返った瞬間に、当奉行所特殊チームが身体確保、時空を瞬間移動させて、現在、ココに在りマス。ネッ!

エーッ、吟味が終わり次第、ヒックリ返った「瞬間」に戻しマスので、心配しないように。

勿論、ここでの記憶は、全て消去しマスから。

何ったって、このお白州は、君の映画なんて目ジャない位、何でもアリですからネェー。

さて、滝くーん。ここ迄の説明で、何かご不明、お分かりにならナイ点はゴザイますか?」

(滝) 「ハイ。お奉行様は、韓国の方ですか?」

(奉行) 「早速のご質問、有り難う御座います。お答えします。それでは遠山の「キム」さんにナッチャイますネ。違いマス。私は「きん」さんです。正しくは、遠山サエモンのジョウです。ジョウと言っても、特上、上、中、並の、上ではありません。(左右衛門之尉と書きます。)サエモンの並、とか、サエモンの特上は、頼まれてもアリませんョ。念の為。良いですか。それでは、吟味を始めマス!」

[奉行、改まって]

(奉行) 「OO滝、平成O年O月O日生まれ、OO高校2年、東京都O区O町O番在住。アナタは、ここ数週間、OO県O市糸守町OO在住の、OO高校2年、OO三葉と、睡りを契機として、その身体が相互に入れ替わり、当初は夢か?と思われたが、その後、諸点より、現実に身体が入れ替わっているのだと、確信するに至った。

しかし、その入れ替わりには、何と、3年の時間のズレが生じていた、と判明。アナタが入れ替わった本件三葉は、アナタの暮らす、平成28年ではなく、遡る3年前、かの彗星落下直前の平成25年O月に暮らす本件三葉であった。

以上、相違ナイですか?」

(滝) 「その通りです。」

(奉行) 「それでは尋ねます。アナタが右手首に二重巻にしている、ミサンガの様な紅いテープ状の物は、奉行には絹の組み紐の様に見えますが、それは何に使うのですか?」

(滝) 「これは、御守り替わりに、付けているものです。」

(奉行) 「滝くーん、アナタはその紅い組み紐を、通学時にも、バイト時にも、つまりは、ほとんど肌身離さず、着用している。ツマリは大事な物に、違いない。ソレは、どこで入手したのですか?何時からソレをしているのですか?」

(滝) 「これは、人からもらったような…….? 何時と言われても、結構、以前から………..?」

(奉行) 「何!それほど大事にしている物を、オヌシは余り覚えていない、というより、ほとんど思い出せない、と申すカ!」

(側役人) 「 (アッ、お奉行様の言葉使いが、時代劇風に変わった!皆さん、これからお奉行様が話す場面は、この映画をご覧になった、極めて少数派の小学生の良い子達も、全てお判りの事ナンですが、本題は、その後デスので、判り切っていても、しばし、ご容赦下さいネ。) 」

(奉行) 「エーッ、当奉行所の調べには、こうありマス。

時は今から3年前、それも彗星落下の大事件の1日前、当時中2の滝くーんは、学校を終えて、帰宅途中の混み合う電車の中で、勉強の暗記物をしていた所、アニメのヒロインが出来そうな美少女が、突然、滝くーんの隣りに迫って、名前を呼ばれた。と、ありマス。

その場面を、奉行が再現してみマス。

エーッ、オホン(…….少女の声で…….)

「滝……….君………。滝……君………..。私の事……、覚えて……..イナイ…….?」

ここで、滝ョ!オヌシのその時の態度は何ジャ!!!! 「何ダ、変な女?」ダトッ!! モッタイナイ!アリガタイ!ナサケナイ!。オヌシはアホか!バカか!マヌケか!ニホンノダンシか!テメェ!バカヤロ!コノヤロ!チキショー!ゼッタイニ、ユルセネェー!アホ!!バカ!マヌケ!!○△×※◎#×………..!!!!」

(側役人) 「お奉行様、全部カタカナにナッチャッテマスヨ!アッ!ウツッタ! コラッ!お奉行!お気を確かに!リセット!オン!」

奉行、我に帰り、深々と礼。

(奉行) 「皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けして、又、大変お見苦しい所を……….しかし、…….ヤッパリ、テメェ!カンベンナラネェーゾ!!」

(側役人) 「リセット、オン!」

(奉行) 「ハッ!失礼致しました。吟味を続けます。 その美少女は、オヌシのつれナイ態度に、あきらめて「滝…….君…….」から離れ、電車を降りる。

その間際、オヌシもやっと我に帰り(奉行と一緒ジャノー)その少女を呼び止めておる。

そして、このセリフジャ!この映画のタイトルじゃナ。

「君の名前は!!」

すると美少女はその瞬間、覚悟を決めた様に、髪を結んでいた紅い組み紐を振りほどいて、オヌシに投げかけ同時に、精一杯の声で答える。

「私の!名前は!ミツハ!!」

滝くーん、オヌシと三葉が紅い糸で結ばれた瞬間ジャ。

そして、滝ョ!オヌシが今、その右手首に大事にグルリと巻いている、紅い組み紐の出所こそ、この場面で美少女に渡された物であり、その少女こそ、本件三葉に相違ナイ!!明々白々ジャー!!

(奉行が控えの役人に小声で尋ねる。)

(念の為に聞くネ。この時の紅い組み紐と、滝くーんが今してるのと、DNA鑑定は一致しているの?エッ?DNAジャありません?ソーナノ?何?良く聞こえない。組み紐の編み方、色目は、完全に一致しているの?YESorNO? YESネッ!OK,OK!)

[良い子の皆さん、お待たせしました。本題の始まり!]

(奉行) 「さて、問題は、ここからジャ!のう、滝ョ!今から数週間前、最初にオヌシと本件三葉の、身体入れ替わりが生じた際、オヌシはノートにこう書きなぐってオルナ。

「お前は誰ダーッ!!」と。間違いあるマイナ!」

(滝) 「間違いありません。」

(奉行) 「ハイッ!それでは、判決を下します!速いデショ。即決!何でもアリ!」

[奉行、改まって……….]

「主文。「それはネェーダローヨ!!!!」

以下、判決理由を述べます。

判決理由 その1。 顔

入れ替わりの初日、オヌシは、少女になった己の姿を確かめようと、鏡を見たな! その時、鏡に映った本件三葉の顔を、オヌシは100%スッキリ、サッパリ忘れていたトデモ申すカッ!オヌシが右手首に大事に巻いている、紅い組み紐の渡し主である、本件三葉の顔を!! それが許されるのは、世の中広しと言えども「天才バカボンのパパ」だけジャー!!

判決理由 その2。 名前

入れ替わりの初日、オヌシは、入れ替わった少女の名前で、何十回となく呼ばれておるハズジャ!

即ち、三葉(ミツハ!)、三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),………..(アー、クタビレタ)…….とナッ!

のう滝くーんョ。3年前に、オヌシ自ら少女に聞いたのでアロウ、「君の名前は?!!」と。

そして少女は何と答えた?「個人情報は教えタカアリマセーン!」とでも申したか?

少女はハッキリ、精一杯の声で答えたでアロウ「名前は!ミツハ!!!」と。

オヌシの頭の中で、「ミ・ツ・ハ・」の名前は、100%アッサリ,スッパリ、どこに消えたと言うのジャー!!

「ピーン,ポーン,パーン……….O町奉行所からのお知らせです。滝くーんの頭の記憶の中で、「ミ・ツ・ハ・」の名前の行方が、判りません。「ミツ」は、一ニ三の「三」、「ハ」は、若葉の「葉」。お心当たりの方は、お近くの番所、又は奉行所まで、お知らせ下さい………..。」テナ事はセンゾ!アホタレが!バカボンのパパなのか、オヌシは!

判決理由 その3  運命の紅い組み紐

滝くーんは、運命的な出逢いをした、本件三葉の顔も名前も、100%想い出せないと申すのダナッ!

「だって3年も前の事だから、無理ーっ。」とでも申スカ!アー,ソーカイ。

しかしダナッ!オヌシが今、右手首に大事に巻いている、紅い組み紐をヨモヤ忘れた、トハ言ワセネーゾ!

(側役人) 「 (段々、言葉使いが乱暴にナッテ、カタカナが増えて来た。何ダカ、ヤバソウ。アッ!又ウツッタ!) 」

その出所こそ、本件三葉の髪止めの、紅い組み紐でアル事、当奉行所の調べで明白でアル。

彗星落下の前日、帰宅途中の電車の中で、本件三葉から紅い組み紐を手渡された事スラ、オヌシが、スッキリ,サッパリ忘れチマッタと仮に認めようジャネーカ。

それでもナァ、滝ョ、オヌシが本件三葉と入れ替わっていた、ここ数週間の間、オヌシの今、右手首に大事に巻きつけてアル、紅い組み紐と同一の物を、本件三葉がトレードマークとして、髪止めに使っている事に、全く気付かずに過ごせたとデモ申すノダナッ!

マッコト、相違ナイナッ!!

滝くーんョ、答えんノカ。

ここで、判決主文の再登場デス。「それは、ネェーダローヨ!!!」

ソーマデ、シラを切るナラ、奉行が「これなら、ソーダローヨ!!」の場面を示して進ぜよう。

エーッ、オッホン。

場面 A

入れ替わりの初日、本件三葉の身体になった滝くーんは、訳が解らす゛夢かと思っている。

それでも何とか制服に着替え、渋々、学校に行こうと、玄関に向かう。髪はバッサバサ。

その後から、見送りに来た祖母の一葉が、声を掛ける。

(一葉) 「チョイマチ!何だい、その髪は!ドーシタン、アンタ!いい若い娘が、そんな髪で表に出るモンじゃ無いョ。(妹の)四葉!いつもの姉ヤンの髪止めを取っといて゛。」

ランドセル姿の四葉は、玄関先で、もう靴を片足履いている。

(四葉) 「いやダー、学校遅れルー。」

(一葉) 「私シャ、コン娘の髪とかしとるケン、早ョ、持って来!」

[ 方言、メチャクチャです。]

四葉、仕方なく、ランドセルを背負ったまま、2階へ向かう。

一葉、三葉の髪をとかしながら、

(一葉) 「お前ン髪は、母さんの二葉に似て、猫っ毛のクセっ毛ヤキ、ソンデン、マッコト綺麗な黒髪や……..、大事にせにゃあイカン。」

四葉が、階段をドタバタ駆け下りて来る。手には三葉の紅い組み紐。一葉に渡そうとする。

(四葉) 「 ホイ、バッチャン!」

(一葉) 「私シャ手が一杯サケ、四葉、アンタが渡してヤリ。」

四葉は、玄関先に降りて、乱暴に靴を履くと、座っている三葉の前に立つ。

(四葉) 「ホイ!バカ姉 (バカネエ)!コレッ!」

眼前にコレ見よガシに差し出された、紅い組み紐を見て、滝 (三葉)が言葉を失う。

(四葉)  「ホレ!バカ姉、何シトル!取らんカッ!」

(滝 [三葉] ) 「コレ ……….. 俺の ………..(組み紐 ……..) …….!」

(四葉) 「何が俺のジャ! アタリ前!ア・ン・タ・ン・ジャ!!」

滝 (三葉)、無理やり掴まされた、紅い組み紐を握ったまま、反応がない。

(四葉) 「ンモーッ!先行くデッ!遅刻や!」

四葉、玄関の戸を開けっ放して、走り去る。  足音が遠のく…。

(一葉)  「コレッ、チャンと閉めていかんカイ……….。」

一葉の声が滝 (三葉) からフーッと、遠のいて行く ………. 同時に滝 (三葉)の視界の全てが、白く霞んでゆく。

フラッシュバック 。

白い霞の向こうに、開いた電車の扉が現れる。

その向こうに、何かを話しかけている少女 …… 髪を紅い組み紐で結んでいる。

顔はボヤケて解らないが、口だけが動いている。

声は、届かない。

無音の世界 ……………..。

フリーズしている滝 (三葉)に、一葉が気付いて、声を掛ける。

(一葉)「ドーシたんネ、三葉 (ミ・ツ・ハ・)!何かアッタンカ?」

滝 (三葉)、一瞬、我に帰る。

一葉の言葉が刺さる。

(滝)「 (ミ・ツ・ハ・……………? 俺の名前 …………….? ……….!! )

次の瞬間、再び視界が白く霞んでゆく。

今度は、すぐ目の前に、独りで立っている少女。

顔形はクリアだ。

何も無い白い世界で、三葉が2人、向かい合って、立っている。

(滝 [三葉 ] )「 …………….鏡を見テイルノカ? …………!イヤ、違ウ…………?

今のオレは ………….、君ハ …………3年前ノ ………..アノ時ノ ………. 君カ ……….? 」

少女は、決心したように、髪を結んでいた紅い組み紐を解くと、もう一人の三葉(滝)、の右手首に結び付ける。美しい蝶の結び。

その右手にソッと、両手を添える。

そして、名前を呼ぶ。

「 ……….. 滝 ………..君 。」

瞬間、もう一人の三葉 (滝) の身体が、滝 本人に戻っている。

何も無い白い世界。

向き合って立っている滝と少女。

少女が滝に語りかける。

声が、ハッキリ聞こえる。

「私の名前は ………..ミ・ツ・ハ・………..!!! 」

(滝)「 (……….ソウダッタノカ!! ) 」

全てを悟る、滝くーん。

(滝)「 (オレは、3年前に逢いに来てくれた、アノ三葉になってる夢を見ているのか ……….!! ) 」

途端、我に帰る、滝くーん。

右手首には、紅い組み紐を結んでくれた、三葉の指の温もりが残っている。

まだ焦点が定まっていない、滝くーん ( 三葉 ) の様子に、一葉が気付く。

(一葉)「三葉、本当にドーシタン?しっかりセント ……….!」

一葉が髪から視線を落とすと、三葉 ( 滝 ) の手首に紅い組み紐が、蝶の形に結び付いているのに気付く。

(一葉 )「オヤ?、お前、ソレ独りで結んダンカ?………..」

(滝 [ 三葉 ] )「 ………..オバアサン ……….」

滝( 三葉 ) が、一葉に顔を向ける。

(一葉) 「何カネ、三葉。ウン?……….お前 ……….今、夢見とったナ ………..? 」

次の瞬間、ハッ!となる一葉。

(一葉)「三葉 …………アンタは ………….誰ジャ ……….?…..!! 」

 

以上、全巻の終わりジャー。ドウジャ!「これなら、ソーダローヨ!」にナルダローョ!

場面BもCもDもあるが、チョイとクタビレタので省略ジャ。

のう、滝くーんョ!

コレでも知らぬ存ぜぬを通すのなら、オイラはいざ知ず、背中の桜吹雪のイレズミが、黙ッチャイネーゼ!!

ドーデー!滝くーんョー!覚悟を決めて、答えヤガレ!」

(滝)「ハイッ!お奉行様は、暴力団関係の方デスカ?

お奉行様の背中のイレズミは、シャベルのデスカ?」

(奉行)「早速のご質問、有り難うゴザイマス。それでは、お答えシマス。エーッ、奉行の時代のイレズミは、一般に、消防署員、ジャナクテ、火消しの兄さん達デスネ。 又、鳶(トビ) 職のお兄さん達も ………..テユーカ、待テ、シバシ待タレヨ!コレ、変デショ! 何で奉行が答えニャいかんノダ!聞いテルのは、奉行の方デショーガ!!

第一、何ダ、滝、オヌシの質問は!

背中の桜吹雪のイレズミはシャベルのか?ダト?

エーッ。それが結構シャベルんです。オハコは桜つながりで落語の「長屋の花見」で、2番目が「愛宕山」………..テユーカ、ソンナ、ワケ、ネーダロー!!

黙って聞イテリャ、イーキにナリヤガッテ。

自慢ジャネーガ、オイラハ、奉行所始マッテ以来の切れ者の評判が、まかり通ってイルンダゼー!コーナッタラ、ブチ切レルシカ、ネーナ!

ヤイ!滝!コノヤロー!テメェー …………….テカ………..アレッ?……….少々お待ち下さい ……….。

評判の「切れ者」って、コッチの「 (ブチ) 切れ者」ナノ?「 超頭イイなーの、切れ者」の方ジャナイノ?

エッ?「ソッチは大岡様の方?」ソウナノ?本当?本当に本当?知ラナカッターッ………..!!

無念の極みジャー!! エーイッ!コーナリャドーデモイーヤ!!」

(側役人)「 (ヤバイ!お奉行様、タブーに気付いた。確実にコワレル。オッ!お奉行様の瞳が、怒りに満ちている。こう成ったら、もう誰にも止められない。お奉行様第3形態ダ!

コノママで良イノカ?イヤ、ヨクナイ。デハ、ドウスレバ……….アッ、又ウツッタ!) 」

摩訶不思議な緊張感に支配されようとする、お白州。

ソコに突如響く、何ともシマリの無い一声。

「おっ…おぶぎょうさま…‥。おぶぎょうさまー!!」

(奉行)「ンッ?誰ジャ、拙者ヲ呼ぶのは?ソレも、ひらがなデ!エーッ? エーと、どなたデスカ?」

(謎の男)「アッ、アイ。」

(側役人)「(オッ!お奉行様の瞳から、怒りの色が消えた!何という慈しみの「アイ」ジャー!! 助かったー!!)

お奉行様に申し上げます。かの者は、この次に大岡様のお裁きとなる、「大工調べ」の訴え人、OO町に住まいます、大工の「与太朗」めに、ゴザイマス。」

風雲急を告げる、O町奉行所、お白州。

突如、現れた、落語の名キャラ「与太朗」

この与太に「金さん」ボッコボコにされ、与太与太、いや、ヨタヨタと成る、お馴染み(な訳無いデスカ)「金さんvs.与太朗」の一席 、本日は、チョイと、クタビレマシタので、此処までと致します。

続くーッ!!  有り難うゴザイました。有り難うゴザイました。