すずめの戸締まり ヤッパおかしい

御無沙汰してオリヤス。与太朗ッス。

相変わらず映画好きの『バカ』ッス。

何せ、頭、悪いンデ、この映画『すずめの戸締まり』も、難しくて、アタイ、良く解りませんデシタ。

デネ、沢山、沢山の人が、コノ映画、観てるンデ、ほとんどの人は、アタイより頭良いハズなんで、アタイが解んなカッタ所を、是非、教えて下さいマセンか?お願いします。

アノネ、アタイが解んなカッタ所、3つですョ。

その1、 主人公の『すずめ』ちゃん、保育園の頃に大地震(東北の震災3.11)で、お母さんが死んじゃッて、心の底に大きな傷が有るケド、この大地震の時、『ミミズ』の出て来た『扉』は、何処に有ったノでショーか?  

その2、 その時『扉』の『戸締まり』は『誰』が行ったノでショーか?

その3、 『戸締まり』は、結局、『失敗』したに違いネェーんだケド、『失敗』の『理由』は何だったんノでショーか?

以上の3つでヤンス。

デネ、アタイ、馬鹿なりに、途中まで考えて見ましたョ。

その1、 『地震』には、『震源』ってノが有るソーです。学校で習いました。

3.11震災の『震源』は、遠い遠い『海の底(沖合い130km)』だったカラ、『扉』も『海の底』に出来てたハズ。(アタイ、自慢じゃネェーけど、リッパな馬鹿ですケドネ、コレ、無理過ぎでネェーすか?)

その2、 アタイ、全く解りませんデシタ。無理。

その3、 コレ、何と無く、解ります。(ボヤっとダケドね。)

映画の中の、最初の『扉』の『戸締まり』は、(こう言っチャいけネェーすケド)震度5位の地震ですら、男一人じゃ無理で、女の子の助太刀が有っても、失敗してヤシタ。

デネ、東北震災は、エネルギーの量は1000倍以上ってカラ、沖合い130kmの海底に1000人集まったって、役に立たネェーから、250馬力ぐれぇーの『戸締まり道具』使うしかネェーけど、

海の底で使える『戸締まり道具』見当たりマセン。ヤッパ、無理過ぎ!

後ネ、『左大臣』ってノが『ミミズ』と格闘してたケド、『震災のミミズ』はズーっと巨大なハズなんで、もっと『上位』の偉い『神様』が、海底で格闘しても負け—-って、アタイ、馬鹿

に違いネェーけど、コレ、考えテテ、つくづくウンザリして来マス。アタイ、馬鹿ですカラ、これ以上、解りマセン。誰か助けて下さい。

そんでネ、この映画、冒頭12分間無料公開してるでショ。

アタイ、この映画観て、最初から、コリャ『オカシイ』やって思った所が結構有って、いつもダト、同じ映画、『重宝シネマ』で何度も観て、『ヤッパ解んネェー!イャだー!』ってなるンデやんすが、デヘヘ、今度は、楽ッス。

デネ、『オカシイ』所、2+1有りヤス。

その1、『すずめちゃん』が、校舎の窓、遥か向こうの山の中腹から、『煙のような物』が立ち登って来る姿に、顔が一瞬で青ざめる!だって、その場所は、さっき迄自分が居て、ドジ踏んで怖くなって逃げて来た辺りに違いなく、まして他の人には、その姿が見えていない—-。

デネ、『オカシイ』のは『煙のような物』の『大きさ』!

アレって、幅10mジャ効かネェー、幅40~50m位有るンじゃネェーの?(ホボ当てずっぽうデヤス。けどネ、山の手前の住宅地の家々の3軒分位は有りそうナンで幅50mッス。10mジャ、糸ミ

ミズっす!)

そんでネ、煙の立つ登ってる付近は横にも煙が広がってヤス。太さの3~4倍、150~200m位は土埃見テェのが広がってるンデやんす。

(アタイの仕事、大工なんで、物の『大きさ』には、チートうるさいンデやんす。

扉の大きさナンザ、尺、当てなくても、ピッタリ当たりヤス。

けどネ、アタイ、馬鹿ですカラ、『距離』になると、解りマセン!

遠くの『大きさ』、ほとんど解りマセン!ケドね、馬鹿なりに、途中まで考えて見たのデヤス。)

そんでネ、『すずめちゃん』が扉の有る『廃墟ドーム』に近付くと、『大きさ』、一変してるヨネ!

『廃墟ドーム』って、せいぜい幅40m~50m位でショー?って事は、立ち登る40~50mの『煙』は本当はドーム全てを覆う様に立ち登ってるハズでショー?

まして、地表付近は150~200m位は土埃に包まれてるンデ、『廃墟温泉街』丸ごと土埃の中に沈んでて、『ドーム』の位置すら、分かんないと思いヤス。

つまり、『すずめちゃん』は『廃墟温泉街』にすら、近付けないハズっす。

でもネェ、映画の中じゃ、『横に広がる土埃』は、いつの間にか消え去ってクリアーに、そんで立ち登る『煙』もドームの4分の1、10m位に大幅ダイエットでヤンス。

コレって『オカシイ』よね。

(ケドね、外国娯楽映画じゃコンなの、カワイイ方で、アタイのお気に入りのアサライム映画の.『メガ・シャークvs.グレート・タイタン』ナンざ、巨大ロボットのグレートタイタンが一軒家を遙かに超えた15m位で颯爽と登場するンデやんすが、対するメガシャークは、アメリカ軍の空母や戦艦をガブリしたり、ヒレでバシッと叩いて空中高く放り上げチャウ!超巨大っす!戦艦、長さ300mは有りヤス。デネ、グレートタイタンは超巨大メガシャークと一騎討ちするンデやんすが、コン時、大きさ、ホボ同じに成っているノデヤス。20倍!超オカシイよね。ケドね、アタイ、この映画、結構お気に入りナンスよ。馬鹿なモンで平気、デヘヘっ。)

そんでネ、コレはオマケなんだケドね、廃墟ドームって、学校から結構、距離あるデショ?

アタイ、馬鹿なんで、景色見てもサッパリ解りマセン。デヘヘっ。

でもネ、すずめちゃん、踏切で学校行くの止めて、廃墟ドーム行って、逃げ出して、スタコラ学校の自分の教室にヤットコサ着くと、友達はお弁当タイムだったデショ?

学校行くのが、8時頃、お弁当タイムは、12時頃だから、この間は、4時間だヨネ?

廃墟ドームで、かなりグズグズしても、1時間。

って事は、踏切の所から廃墟ドームに『行って』、『帰って』、学校迄が、自転車で3時間かかるッテ事デショ?踏切から学校迄は、友達は歩いてるカラ、せいぜい徒歩15分、自転車じゃ5分位、この5分は無視しチャッて、往復3時間、つまり片道1.5時間(距離で約20km位)。

ココだけで、2つ、オカシイやい。

1つ、 1.5時間も有りゃ、『自転車のすずめちゃん』は『歩きの戸締まりの兄さん』に、途中で必ず追い付くデショ?兄さん無敵方向オンチ?

2つ、 1.5時間も有りゃ、『煙の様な物』は、(『すずめちゃん』が教室の窓からチョッと眺めてる数分間で『煙』一気に大きく成っているカラ)幅、数100m高さ数Kmで巨大なトグロぐるぐる巻きに成ってるハズっす!

(でもネ、抜け道有るッス。例えばネ、廃墟ドームの『扉』を1回『通り抜ける』と『時間』が1時間経っチャウとかネ。2回で2時間。ケドね、この場合、『すずめちゃん』、教室に着いて弁当タイムに成ってるノに、ビックリしなきゃオカシイよね。「まだ10時なのに弁当タイムかい!!エーっ!12時過ぎなのッ!」とかネ。ケド、ビックリして無い。ヤッパおかしい!)

以上、オマケ終わりッス

その2、 『すずめちゃん』が夢中で『廃墟ドーム』に走り込むと、不安的中で、開いた『扉』の間から猛烈な勢いで『赤黒い煙の筋の様な物』が噴出している。良く見ると、探していた兄ちゃんが『扉』を閉じようと必死だっ!ケドも遂に兄ちゃん弾き飛ばされ、『扉』は全開、『煙の筋』は第2形態の『垂直状態』に成ると、次に、ゆっくりと街の上に覆い被さる様に倒れ込んで行く—-。

ケドも、住人達は『煙の柱』も『煙の筋』も全く見えネェーし、『異音』も起きネェーから、普段通りの生活を続けてイル—-。そして、怪しい巨大な影だけが、街を覆って行く—-。

どう成る、街の人々!?

遂に、完全に倒れ込む煙の柱。土埃が上がり所々に閃光が走る!大地が揺れ始める—-。

デネ、『オカシイ』のはホボ全部。

『兄ちゃん』は『扉』を閉じようと全力出してるヨネ。

ジャあ、何が『扉』を強く押してるノでショーか?

『風』は、そんなに強くはネェ。

って事は、『扉』を押してるノは、『煙の様な物、本体』って事カナ?

えっ?それッテ、『煙の様な物』には、『重さ』が有るッテ事だヨネ?

するっテェーと、『兄ちゃん』を軽々と跳ね飛ばす『煙の様な物』は、ドンだけの重さが有るのカナ?幅40~50m高さ500mの『煙の柱』だと、何人分の重さに成るンでショーか?

デヘヘっ、アタイ、馬鹿なので、解りマセン。

でもネ、コン位は、分かるのでヤス。

500mの『煙の柱』が地上に倒れて来る。10秒でも大変でショー?

先ッポは、落ちるのと同じだから、10秒で500m、秒速50m!大型台風並みだよネ!

風は空気だから、重さホトンド無くて軽いケド、『煙の様な物』は重さが有るでしょ!

秒速50mは、時速だと180km。(大谷投手の速球が160km!)コレが空から降って来る!

雹(ヒョウ)なんてモンじゃネェッ!それも、音も立てず、見えもしネェーから始末に負え無い!

屋外に居る人達は、訳が解らぬママ、頭から血を流して次々と倒れて行く—-。

『煙の柱』が高さ2000mだったら、凄い事に成る!10秒で2000m、秒速200m!(最大の竜巻で秒速150m)時速だと720km。(新幹線360kmの2倍)—-大惨事に成る!

デモね、抜け道、有るよネ。

『煙の様な物』が『見え無い』人には、『重さも感じ無い。』ってお約束にすれば、大丈夫だよネ!文字通りの透明な煙に成るから、痛くも痒くもネェっす!

怪我人ゼロで、メデタシ、メデタシ。

ケドね、コレだと、『戸締まり』、楽勝に成っチャウでショーっ?

簡単だよネ。『戸締まり』する時、『煙』の見え無い一般人を連れて行くのでヤスよ。

閉じ師には、『赤黒い煙の筋の様な物』が猛烈な勢いで噴出している『手強い扉』が

一般人には、何故かバタバタしてる『開いた扉』に過ぎヤセン。

閉じ師 「この『扉』、閉めて下さいネ。」

一般人 「ハイ、承知しヤシた。」

『扉』バタン。『鍵』ガチャン。で戸締まり完了っす!

ケドね、コレでは『お話し』ッテゆうか『映画』に成らネェーっす。

アタイ、一丁前の馬鹿でヤンスが、コンな『?設定』は勘弁して貰えネェすかネェーっ。

頭、コンガラがっチャィますヨ!

普段でも、ほぼ、コンガラがってヤスから、凄まじい事に成るンでヤンス。

コレを『馬鹿迷惑』と言いヤス。解(ホド)くの大変なんダカラ、本当に—-。

何とかならネェーすかネェ—-?

エッ?「『オカシイ』を解く『策』が有る。」ッテ?

本当っ—-?アナタ誰?

エッ!まさか『羌カイ』さん!?

『扉』の前に、廃材かき集めて『防壁』を築くンデやすカイ?

エッ?『映画』が違うッテ?ソーなんデスカイ!

で、どうスリャ良いスカ?

何々?「『ミミズ』が押し開く『扉』も『(『ミミズ』と同じ)異世界の物』と設定すれば、良い。」んスカ?

エーと、どう言う事カナ?

アッ!『扉』も『一般人』には『見え無い物』にする訳ネ!

『ミミズ』と同じで『閉じ師』と『すずめちゃん』ダケが『見える』ッテ約束に変えるンだネ!なる程、なる程—-。

エッ?他にも有るンすか?エッ?メモを用意したので読めッて?

何々?「『異世界』と『現世』を結ぶ『境界』が『扉』の役割で、『異世界』の『ミミズ』は『扉』を通ってシカ『現世』には入れ無い。『異世界の事物』が『見える人』は、見えている『異世界の事物』に触る事が出来るし、同時に、『異世界の事物』の『力』などの影響を受けてしまう。『扉』を閉じレバ『現世』に入った『異世界』の『ミミズ』は消滅する。」って?

エーと、コレは、ホボ映画の通りダヨね。

エッ?コレにプラスが有るンすか?

何々?「『現世』での『ミミズ』は『幽霊』と同じで、『現世』の物に原則的に物理的な影響を全く与え無い。但し、『第2形態のミミズの柱』が倒れて大地に沈む時、地上の事物には何の作用も及ぼさ無いが、地下深部で『ミミズ』が自ら解体消滅する時、マントル層には『共鳴』の様な影響作用を及ぼし『マントルの歪み(ヒズミ)部分』が弾け『地震』を誘発させる。」ッテか?

エーっ!『ミミズ』って巨大な『幽霊』みてぇな物なんだネ!

そんジャぁ『ミミズ』が地上に倒れて来ても、人や建物を素通りするダケで、被害は出ネェーや!

ソンデ、一般人を戸締まりに連れてっテモ、扉は見えネェーし、第一、触れネェーから、役立たずダヨネ。

アト、『扉』と『地震の震源』が離れてテモ問題無いンダ!

なる程ネ、ウメぇ具合に成ってラァー!

ケド、映画、アっチャコっチャ変わって来るヨネ。

エッ?「変わる場面は用意済み」でヤンスか?さすが『羌カイさん』!

エッ?『羌カイ』じゃ無い?『映画』が違うッテ?

イーじゃネェーすか、硬い事言わネェーで。白地中央に紅い模様の鉢巻きに、その独特な衣装ジャ間違いヨウがネェっす。アタイ、何十万人も居るに違いネェ『羌カイさん』の大大ファンの一人なんすカラ。

アレッ?『羌カイさん』、何、下向いチャって。ドーしたンすか?

エーっ!ホッペうっすら紅いッスよ?マサカ、マサカ照れてるンすか?

キャーッ!可愛いーっ!!アタイ、死んじゃうーッ!

ネェ、言って言って、『お前、殺すゾっ!』って言って!

「—-言えば良いノカ—-。——お前、—-殺す——。」

ワァーっ、本当に言ったーっ!アタイ、死んじゃうッ!絶対にココで死ぬーっ!

って、アタイの話—-、何でしタッケ?

アッ!『羌カイさん』の新設定だと変わって来る『映画の場面』の話だ!

で、具体的にドコが変わるンデやんすカ?

何々?「ココに新しい場面のメモが有る。参考にしてクレ。」って?

エッ?『羌カイさん』もう帰っチャウの?時間なの?

エッ?実写版の仇討ちシーンの立合い監修に呼ばれテルの?

ジャぁ、しゃーネェーや—-。

色々教えて下さいマシテ有難う御座いヤシタ。

最後のお願いッス、『ぐータッチ』してクレませんか?

エッ?『ぐータッチ』知らないの?本当?

ホラ、『蛇甘平原の戦い』の後、仇討ちの為に独り魏国に旅立つ『羌カイさん』と、秦軍に残る『信』との別れのシーンで、互いに差し出した正拳をタッチする、アレが『ぐータッチ』!

「アーっ、実写版では、私のラストシーンだったな—-。しかし、アニメ版には『信』との別れのシーン自体が無いので、アニメキャラの私には無縁の物だ。—-だが、試して見るか。コウか?」

(正拳を差し出す『羌カイ』と、応じる与太郎。拳が触れ合う!)

ワァーっ!本当にタッチしたーっ!もう、アタイ、この手、絶対に洗えないッ!

アタイ、もう絶対にトイレ行かないッ!

エッ?『羌カイさん』?又、下向いチャって今度は何?って、肩が細かく震えてヤスぜ!笑ってるンすか?エーッ!羌カイさん、本当に笑ってラァー!

(『羌カイ』、微笑みの残る顔を上げると)

「お前、本当に変わってイルな!お別れダ!ジャァな!」

(『羌カイ』は、すれ違いザマに、与太郎のミゾオチに電光石火の当て身の真似事をした。。

与太郎は、『羌カイ』が、いつの間にか傍に立ちアッと言う間に離れ去る瞬間、躰の芯に優しい掌の温もりが残されている事に気付いた。)

(見る見る、小さくなって行く『羌カイ』の姿。)

(与太郎は感極まって、涙で『羌カイ』の輪郭が朧だ—-。)

—-アタイ、ブログ、ココで辞めチャおうカナ—-。もうイイヤ—-。

(すると、彼方に去った『羌カイ』が歩みを止め振り向いた。そして、口に手を当て大きな声で何かを呼びかけている。

与太郎は夢中で涙を拭うと、『羌カイ』の口元に全神経を集中させた。)

「ブログ、チャンと仕上げろよーッ!又なーッ!」

アタイ、仕上げる!絶対に仕上げるッ!

エーと、アタイの話、ドコまでダッケ?

アッ!『羌カイ』さんの新設定だと変わって来る場面についてダッ!

エーと、メモ、メモ、何処、何処だっけ?アーっ、落ち着け!アタイっ!

アッ!コレコレ、コレだっ!

エーと、何々?場面は4つ?フムフム—-。

(その1)『草太との出会い』

(長い坂道を歩いて上って来る男の姿に気付く自転車のすずめ)

エッ?—-マジで徒歩—-?新手の変態—-?

何っ!手、挙げたの?イヤだ、無視しよう—-って、

エッ、ヤバイ、ヤバイ、何で変態、超イケメンなの!

ドーしよう、って、 エッ?何で?何で私、自転車止めテンのよッ!

アーっ、もう来ちゃッタ!エーィっ、ヤルっきゃネェーっ!

(コチっコチの作り笑顔で)

「何か、お困りデスか?」

「道、聞いて良いデスか?廃墟に成った◯◯温泉って、この道?」

「ええ、向こうに見える山の中腹位だったと思いますケド。

でも確か、立ち入り禁止ジャァ無かったカナ—-?」

「どうも有難うネ、アッ、僕、廃墟巡りをしてイマス。歩くノが趣味でネ。その土地を知り味わうには、車より自転車、自転車より歩きでショ?ホラ、コーして素敵な君とも話せたしネ。

怪しい者ジャァ有りません。本当に有難う。それジャァ、サヨナラ。」

『すずめ』は『素敵な君』に、一瞬で耳が紅く成り、青年がすれ違いザマに呟いた言葉がうわの空に成っていた—-。

「フフフッ、やはり怪しい者かな?『見え無い扉』を探してイルのダカラ—-。」

(その2)『踏切』

(※方言、めちゃくちゃ適当ですョ。御免下さいネ。)

遮断機が開くのを待っているすずめ。仲良しの◯◯が傍に立つ。

「すーずめッ!オッ早う!」

「アッ!◯◯お早うッ!ソレよか聞いて聞いて!」

「聞く聞く!ドーしたン?早う早う!」

「ホラ、あの◯◯坂で、私ーッ、」

「ウンウン、あの下るは極楽、上るは地獄の◯◯坂で、何っ?」

「私、歩いて上って来る超イケメンに逢ったッ!」

「エーっ?歩きッ?マジで?それヤバくネェ?」

「ウン、それで、私、聞いたの!」

「なる程、職質(職務質問)ネ!」

「何が職質よッ!チャンと聞いてヨ!もうイイッ!」

「御免、御免。で、ドーしたン?」

「ウン、何かネ、廃墟巡りしてるンだって!」

「廃墟?アーっ、◯◯地区の◯◯温泉街か!それで?次は?次っ!」

「次って、エーと—-。」

「エーっ!もうオシマイっ?って、ハハーン、すずめ、おぬし、話は上の空で、イケメンの顔バッカ見てオッタな!間違い無かろーッ!」

(すずめ、図星で下を向く)

「オッ、すずめ、顔、赤く成っとるゾっ!すずめをココ迄惑わす超イケメンの正体とは!

うーん、増々怪しいッ!すずめ、自転車、貸せッ!拙者、自ら出向いて職質しちゃるゾっ!

テカ、何としても超イケメンの御尊顔をこの眼で—-、しかし上るは地獄の◯◯坂が—-。エエーぃッ、構わン!放せ、すずめッ!」

(すずめと◯◯、自転車の奪い合いで必死だッ!奪う◯◯、守るすずめッ!)

(すずめ、ハッと成って顔を上げる)

「オッ、何か思い出したノカ!」

「別れ際に—-、何だっけ、—-何か言ってた!確か—-『扉』?」

「扉?」

「ウン、そうだっ!『扉を探してる』、だ!」

「扉を探す?」

「そう、間違い無い!ケド、—-まだ何か有る?何っ—-!?」

「すずめ、もう一歩ジャ!ガンバっ!」

「ウン—-、アッ!『見え無い扉を探してる』ダッ!そうだ!そうだッ!」

「ワーッ!ヤッタヤッタ!すずめーっ!—-テカ、それ、かえってマジでヤバくネっ?」

(すずめ、顔から血の気がサーッと引いて行く—-。)

(冷や汗が浮かび始める。)

「す、すずめ、—-今度は顔、青く成っチョル—-。ドーしたトネ?」

「悪いっ。忘れ物!私、戻るッ!」

「了解ッ!何か解らンけん、頑張りヤ!気ィ付けてなッ—-!」

(◯◯の言葉を背に受け、一気に全速で走り出すすずめ。)

『私、昔から知ってた!見え無い扉ッ!』

『私、本当に昔から知ってた!!見え無い扉ッ!!確かめナキャ!!』

(その3)『廃屋ドーム』

廃墟温泉街の入り口で自転車を乗り捨て、一気に廃屋ドームを目指し走り出すすずめ!

「こんなに胸がドキドキする!間違い無い!アスコだッ!」

すり鉢状の盆地に広がる温泉街の中心に、朽ち残る廃屋ドームの屋根が見えた。

坂道を駆け下りると、入り口は直ぐソコだ!

「アノーッ!『見え無い扉』を探してたお兄さんッ!何処ですかーッ!私、知ってたンです、『見え無い—-』。」

すずめは既に廃屋ドームの中に居る。

そして、貯まり水が大きな水盤と成ったドーム中央にポツンと立つ何物かが、すずめを絶句させたノダ!。

「—-扉が—-見えてる—-!私、本当に—-白い扉を見てる—-。」

靴も脱がずに水に入り、夢中で扉に近づいて行くすずめ。

「—-似ている—-。あの時と同じだ—-。」

ハッと成るすずめ。屈んで水中のタイル片を拾うと、扉に向かって投げ付けた。

何も無い様に扉の中に吸い込まれ、瞬時に消え去るタイル片—-。

そして、扉の向こうで、ポチャンと水音が聞こえた。

「この扉、—-見え無いンだ、私にしか—-。本当だったンだ—-『見え無い扉』—-!」

扉の傍らに立つすずめ。

ソッと手を伸ばして扉に触れようとスル—-。

板に手が当たった。

「私、見えるし、触れる—-。」

微かに震える手でドアノブを回して行く—-。

少しづつ開いて行く扉—-。

少しづつ姿を現す扉の向こうの世界—-。

扉が大きく開いた—-。

朝焼けと夕焼けが同居している星空の世界—-。

「—-同じだ—-私、この星空、知ってる—-。」

思い切って扉の中に踏み込むすずめ。

しかし、何も無い様に、素通りしてしまうすずめ。

「エッ?コレ何ッ—-?」

再び、扉の中に踏み込むすずめ。

やはり素通りだ—-。

もう一度—-!

やはり、素通りだ—-。

振り返ると、開いた扉の向こうには変わらず星空が広がっている—-。

「—-どうして—-?」

呆然と立ち尽くしているすずめの背中に声が掛かった。

『すーずめッ!大きく成ったネェーっ!(本当、ソックリっ!ッテ当たり前か。)』

『僕の事、覚えてる?』

「エッ?誰ッ?」

振り返るすずめ。誰もいない。

が、細かい模様が彫り込まれた小さな石柱の廻りに、何故か波紋が広がっていた—-。

『ヤッパ声だけジャ駄目か—-。それジャァ、コレはどう?』

小さな石柱は霧と成って消え、霧は白い子猫に姿を変えた。

「エッ?石が喋った?エッ—-猫にッ—-?」

『すーずめッ!僕だったら覚えているヨネ?』

「こ、今度は、猫が喋った—-?!」

その場にヘナヘナと崩れて倒れるすずめ—-。

『アーアッ!気絶させたカァーッ!失敗、失敗。—-ちょっと寝かせて置くか。』

『しかし、こんな所ですずめに逢えるとはネェーッ!吉兆吉兆!』

『それにしても、閉じ師の奴、影も形も見え無いな。マッ、いいか!』

『僕は僕で、先を急ごう!』

倒れたすずめを残し、開いた扉を目指し、水の上を滑る様にサーッと走り始める白猫!

扉の直前で後ろ足に一瞬タメを作り、大きくジャンプすると、白猫の躰は扉の向こうの世界に着地し、朝焼けと夕焼けが混じり合う星空の下を一気に駆け抜けて行った—-。

ようやく気が付くすずめ。

「エッ?私、何っ?」

肘を立て起き上がろうとする視線の先に開いた白い扉—-。

記憶が戻る。

「アッ!石の柱が喋った—-猫に成っても喋った—?!エッ?何っ!何っ?」

「ウァァーッ、イヤだ、イヤだ、ココはヤだーッ!」

脱兎の様に走り去るすずめ。アッと言う間にドームを抜け坂を駆け上り、廃墟温泉街の入り口に着くと置き去りにした自転車にかじり付き、もと来た道を全速で走り出した。

風と夏の陽射しが、ずぶ濡れのすずめを一気に乾かして行く。

そして、下るは極楽の◯◯坂を抜けた頃には、靴を残し、ほとんど乾いていた。

すずめが漸く自分の教室に着いた時、昼休みは大きく過ぎていた。

仲良しの◯◯は空に成った弁当箱を包んでいたが、すずめと眼が合うと、それを放り出して駆け寄って来る。

「遅かったノォ、すずめッ!生きとっタカ!何よりジャ」

そう言うと◯◯は、勝手にすずめの弁当袋を開けると蓋を取り、箸まで揃えて机の上に置いた。

「昼休み、残り20分切っとる。『腹が減っては戦は出来ぬ』ジャ!おおッ、相変わらずの愛情タップリ弁当じゃノゥ。まず座れ。早う、食べろ!話は後ッ!」

すずめは黙って座り、箸を手に取ったが、急に込み上げる何かに、涙が溢れそうに成った。

廻りに悟られぬ様に、下を向いたまま必死に箸を動かしたが、頬の紅潮までは隠せなかった。

◯◯は、すずめの異変にトウに気が付いていたが、ソレには触れず、敢えて茶化して言った。

「すーずめッ!又、顔、赤う成っとるゾ!又、頭ン中、超イケメンが占拠しとるナッ!

イケメン独占禁止法違反ジャ!罰金として、愛情たこウィンナー1個没収ジャー!」 

◯◯は、もう一人の仲良し、美人の△△が待つ窓際の席に戻ると、戦利品のウィンナーを半分食べ、残りを△△に差し出した。「ホイっ」

ソレを無造作に頬張る△△の整った横顔を眺めながら◯◯はヒソヒソ話を始めた。

「例の超イケメン、アリャー、只者ジャなか!そんな気がするとョ!」

「エッ?ジャー、やっぱ、超変態ッ?!」

◯◯、すかさず△△の頭のテッペンをヒッパタク!

「イテッ!」

「そージャ無かろーが!オヌシ、顔が美しい分、頭に可成りシワ寄せが来とるゾ!」

「やめてヨー!ソコ迄言われると、照れるジャン!」

「オヌシなぁーッ!—-まぁ良ぃか。△△、気ぃ付いたとか?すずめ、靴、ビチョ濡れジャ!

ソレになぁ、シャツ、乾いとるが、所々、泥水に浸かった様に汚れとった。

可成りの何かが有った事は間違い無か!ケド、すずめはイケメンとは遭って無いようジャ。

良う判らんが、すずめとイケメン、深い接点が有る様な気がする—-。

だから今度遭う時は、ショートじゃ!火花が飛ぶ。無事だと良いンジャが—-。」

「ヘェー、ソーなん!相変わらず◯◯、冴えとるネェーっ!アッ!顔の悪か分、頭が冴えとる訳じゃネ!成る程、成る程。」

「ウン、顔の悪か分、頭が冴え—-って、△△、オヌシなぁーッ!」

すずめは、独り、弁当を食べている。しかし、

すずめは、独りでは無かった。

すずめは、それが涙が出るほど、嬉しかった。

先刻まで、すずめは、廃墟ドームに居た。

そして、独りで、封印の解かれた過去と、対決していた。

『見えない扉』、この一言が、十数年の記憶の封印の鍵を外した。

すずめは、期待と不安、安心と恐怖が入り混じった嵐の直中に放り込まれていた。

張り詰め切った心の糸は、僅かな刺激で容易く弾けて切れた—-。

もう、独りはイヤだッ!

もう、独りは絶対にイヤだッ!

しかし、今、すずめは独りでは無い。

窓辺の席には◯◯と△△が居る—-。

そして、せっせと箸で口に放り込んでいる弁当をひと噛みする毎に、◎◎叔母さんの

想いが伝わって来る—-。

幼い頃、泣きながら帰って来た時、物言わずに抱き挙げ額を付けると、こう言った。

『大丈夫ッ!すずめは叔母さんの大事大事だから、絶対に大丈夫ッ!忘れ無いでネッ!』

すずめの小さな眼に新しい涙が湧いて出た。—-嬉しい涙が—-。

私、忘れ無いッ!

私、絶対に忘れ無いッ!

そして、幼いすずめは思った。

私、もう、独りジャ無いンだ!

私、もう、生きてテモ良いンだ!

(その4) ミミズの 1

(空に成った弁当箱を片付け、すずめは◯◯と△△の座る窓辺に向かった。)

◯◯ :オーッ、すずめ。昼休み、5分切っとる。話は後ジャ。

    それとも皆で次の授業サボって保険室で談合とシャレ込むか!?

△△ :それイーねッ!「先生、たこウィンナーでお腹痛いデース」とかネ。

◯◯ :オッ、ソレソレっ!ドウする、すずめッ!?

    ンッ?ドウした、すずめ!?

(すずめ、窓の外の一点を見詰め続けている—-。)

すずめ:あれ、何ッ—-?!

◯◯ :何ッ?何処—-?!

すずめ:(見えないの—-ッ?!)

(すずめの眼に確かに映っている物—-。

ソレは、遥か彼方の山の中腹から斜めに立ち昇って来る煙の様な白い筋—-。

その場所は、すずめが再び出会った白い『見えない扉』の立つ廃墟ドームの辺り—-。

ソレが煙では無い事は確かダ—-。

見る見るうちに、高く、太く、赤黒く成っててゆく—-。

そしてソレは、獲物を狙う蛇が鎌首を擡(モタ)げる様に姿を変えた—-。)

すずめ:(—-生き物なの—-?)

(すずめ、顔から血の気がサァーッと引いてゆく—-。冷や汗が浮かび始める—-。)

◯◯ :すずめ、か、顔が又、青う成っちょる—-!

    おいッ△△ッ、何か見えるか?!ンッ?何故オヌシまで真面目顔で黙ってルンだ!

    (—-エッ?まさか—-ココで『シン・△△姫』降臨なのか!?キャラ激変するゾ—-。)

△△ :—-すずめ、肯くダケで良い。私達には『見えない何か』を今、見ているノだな?!

(すずめ、黙って肯く—-。)

△△ :何をタメラッてオルのだッ!『見えない扉』と同じジャ!行くのダッ!すずめッ!

◯◯ :オーッ!まさしく『シン・△△姫』様降臨ッ!アリガタヤ、アリガ—-

(△△、すかさず◯◯の頭のテッペンを引っ叩く!) 

◯◯ :イテッ!

△△ :茶化すなッ!

◯◯ :ごもっともッ!すずめッ!聞いての通りジャ!カバンなんか置いてケ!

    後の事は任せろッ!何とでもシチャル!

    わしら、一緒に行っテモ、無念ジャが確実に足手マトイにしか成らん—-。

    何せ、相手が見え無いンじゃカラ—-。

    姫、間違いなかネッ!

(△△姫、黙って肯く)

◯◯ :すずめ、ソーいう訳ジャ!

    何か有れば連絡せいッ!出来る限りシチャル!但し、忘れるなッ!

    わしら、おぬしと何時でも一緒ジャ!『△△姫』は、頼りに成るゾッ!

    間違いナカッ!信じろッ!

    姫、コレで良かネッ!

(△△姫、肯くとすずめに向かって告げた。)

△△ :大丈夫ッ!

    たとえ独りで苦しもうと、独りでは無いゾッ!

    決してヘコたれるナッ!

    すずめッ!行けッ!

すずめは小さく頷くと、教室の外に向かって走り出す—-。

青ざめていた顔は、血の気が戻るを通り越して、紅潮して行く。

階段を駆け降り、駐輪場に飛び込むと自転車を引きずり出し、一気に全速で漕ぎ出した。

矢の様な直線が校門に向かって走る様を、教室の窓から◯◯と△△は見送っていた。

◯◯:(すずめッ!)

△△:(すずめッ—-!)

すずめは強く歯を食いしばっていた。

それでも、唇の両端の震えは止めようが無かった。

込み上げる嗚咽を、辛うじて閉じ込めていた。

空に立ち昇る赤黒い蛇の鎌首は、地上を走るすずめの眼にも、ハッキリと見える—-。

「怖く無い」、と言えば嘘に成る。

すずめは今、その恐怖の根元に、一直線で向かっているノだから。

しかし、すずめは確信している。今、独りでは無い事を。

右の背には◯◯の手が、左の背には△△の手が、すずめをシッカリ支えている。

その手から伝わる温もりは、恐怖を打ち払うに充分な勇気を、すずめの躰の芯の底からフツフツと湧き上がらせた。そして心の中で叫んでいた。

『怖い?笑わせルンじゃネェーよ!コチとらぁ_四つ五つのお子チャマ時分にゃ、本物の恐怖様を、ズブ濡れで味わい尽くしてイルんデェーッ!』

そして、幼い頃、◎◎叔母さんが額を付けて話してくれた時の思いが、今、躰の芯から力強く甦って来た。

『私、もう、独りジャ無いンだッ!』

『私、もう、生きてテモ良いンだッ!』

「待ってローッ!化け物ッ!行ッくゾーッ!すッずめーッ!!」

蝉時雨の青空の下、1台の自転車が駆け抜けて行く。

その空の高みには、更に大きさを増した赤黒い蛇の鎌首が地上を覗う様に聳え立っていた。

フムフム—-、エッ?場面4はコレでお終いナノ?

エーと、この続きがコレかな?アッ、ソーみたい。

以上で『オカシイ2』の『コンガラがり』は解けたハズだ。

この後、『(その5) ミミズの2』と成っても良いが、もう充分だ。話の先は見えたも同然。

不思議なモノで、キャラは独りで動き出す。

与太郎、お前にも分かるハズだ。

只、コレだけは、オマケで付けて置く。『見え無い扉』の前日譚だ。

(オマケ) すずめの帰還

降りしきる風雪の中、急に姿を消したすずめを夢中で探し続ける、すずめの叔母◎◎。

「アタシのセイだ。アタシが目を離したバッカリに—-。」

「姉さん、御免なさい—-。」

「アア、すずめッ!何処ッ—-!?」

「姉さん、お願いッ!すずめを助けて!すずめを守って!お願い—-!」

うわごとの様に呟くと、◎◎は雪の積もる地面に手を付いて座り込んでしまった—-。

「—-ドウしよう—-すずめッ—-。」

と、背後から風音に混じって、人声が聞こえた—-。

「(気のせいか—-?イヤ、違うッ!)」

「—-◎◎叔母チャン—-?叔母チァン、大丈夫?」

血走った眼で振り返る◎◎。

「すずめッ?すずめナノッ?!」

降りしきる雪の中、僅か数メートル先に、何も無かった様に佇んでいる、すずめ—-。

膝を立てたママ、手で雪を掻き分けて一気に走り寄る◎◎。

思いっ切り抱き締め、頬を密着させた。

「すずめッ!すずめッ!!良かったーッ!有難う、姉さん、本当に有難う—-!

もう、絶対、離しません—-!」

◎◎の頬を流れる熱い涙は、すずめの頬に伝わって行く—-。

◎◎は、一頻り強く、すずめを抱き締めた。

「◎◎叔母チャン、痛い—-。」

「アッ、御免、御免ネ、すずめッ!」

◎◎は、漸く落ち着きを取り戻した。

しかし、長時間、雪の中に居たで有ろう割には、すずめの躰が冷たく無い事にも、

その躰に雪がほとんど付着して無い事にも、気付く余裕など有るハズは無かった。

「すずめッ、大丈夫?怪我して無い?痛いトコ無い?」

「ウン、アノネ、すずめネ、綺麗なオ帽子のお姉チャンと一緒に居たノ。

始めネ、遠くからネ、お母さんカナと思ったらネ、知らないお姉チャンなの。」

「お姉チャン?」

◎◎はココで、すずめの手に棒の様な物が有るノに気付いた。

「すずめ、ソレ、何?」

「コレはネ、すずめのダヨ。お母さんがネ、お誕生日にすずめに作ってくれた、お椅子の脚ダヨ。御守りナンだって。お姉チャンがくれた。」

◎◎が手に取ると、ニス塗りで仕上げた棒には、日付とすずめの名前が印して有った。

◎◎の手が、微かに震えている—-。

「す、すずめ、そのお姉チャンは、今、何処?」

「ウン、お姉チャンはネ、後ろの扉のトコ迄、一緒に来てくれたヨ。

綺麗なお兄チャンが扉を開けてくれた。」

すずめと◎◎が居る辺りは、津波で家々が全て薙ぎ払われていた。

◎◎が眼を凝らしても、降る雪の中、扉など有るハズが無かった—-。

そして、すずめの次の一言が、◎◎の心を決定付けた。

「アノネ、すずめネ、白いニャンコとも、お話しシタよ。」

「(アア、姉さん、神隠しだろうと、何でも構わない!すずめが無事に戻って来てくれた。ソレだけで充分だッ!本当に有難うッ!大丈夫、すずめは私が育てますッ!)」

「すずめ、お母さんの生まれ故郷の宮崎に行って、叔母チャンと一緒に暮らそう!」

「生まれ故郷—-?」

「そう!お母さんが産まれて、叔母チャンと一緒に育った宮崎!

今度は、すずめチャンと一緒だネ。サァ、お家に帰ろう!」

すずめ達から僅か数メートル先に、降る雪に紛れてポツンと建っている白い扉—-。

その半開きの内側に佇み、すずめ達の様子を見守る様にジッと視ている白猫—-。

◎◎が、すずめと自分の雪を払って立ち上がり、用意の傘を広げ、すずめの手を取って帰り始めるノを見届けると、白猫は踵を返し扉の中に消えてゆく—-。

去り際、立ち上げた尻尾の先を横に振り、扉を軽く叩いた—-。

すると、独りでにユックリと閉じ始める白い扉—-。

そして、カチャンと音を立て閉じ終えると同時に、降りしきる雪の中、白い扉は雪煙と成って閑かに消えて行った—-。

雪が降る—-。

閑かに、雪が降る—-。

白い雪野原の中を、雪を乗せうっすらと白くなった傘が、小さな希望と成って、ゆっくりと動いて行く—-。

私の『メモ』は、以上だ。

コレで、お前の『コンガラがり』は、ほぼ解けたダロう。

ただし、お前の『オカシイ』が全て解けた訳では、勿論、無い。

それに、お前の『オカシイ+1』が何かも、知らない。

まぁ、私なりの『オカシイ』も勿論有るが、ソレは『別のお話し』だ。

さらばダッ!

エッ、コレでお終いナノッ!?

アタイの話、いつも長いンだけど、『羌カイさん』の『メモ』もかなり長いヤ!

ソレでも、『羌カイさん』のオカシイ、聞きテェなぁ。

でも、シャーねぇヤ!

本当に有難う御座いヤシタ。

アノネ、アタイの『オカシイ+1』はコレですヨ。

(『オカシイ+1』)

映画の冒頭、幼いすずめチャンがお母さんを探して『異世界』を、さまよい歩いてるヨネ。

『オカシイ』のは、ほぼ全部。

この『異世界』、アタイは最初、何でも有りの『夢の世界』と思いヤシタが、違ってヤシタ。

現実に起こった『記憶の世界』(記憶がベースの夢)でヤシタ。

この、『異世界』、とっても『変』だヨネ。

朝の様で、夜の様で、昼の様で—-。

草原は緑を保って、シロツメクサやタンポポが咲いてるノに、『すずめちゃん』は冬服にグルグル巻きのマフラーで、吐く息は真冬の様に真っ白だヨネ—-。

デモね、『変』だケド、『オカシイ』事は、無いヨネ。

だってね、ココは『異世界』でショ?

『異世界』何でも有りッス!

ジャあネ、何が『オカシイ』のか?

アノネ、『幼いすずめちゃん』は『震災』の強烈な『大地震』に遭ってるヨネ。

『死んじゃう』カモ知れ無い、逃げ隠れ出来ネェ『怖さ』に正面から向き遭ってた—。

『自分の命』の『崖っぷち』に立ってたンだよネ—-。

まして、あらゆる全てを失った—-。

帰れるお家も、そして、お母さん迄も—-。

けどネ、この映画の『幼いすずめチャン』には、ソレが全く感じられ無い!アタイには—-。

交通事故でお母さんを突然亡くした幼子にしか見えネェっす。

コレだって大変な事に違いはネェっす。

ダケドね、事故だったら、独り残された幼いすずめチャンが誰の子で何処に住んでいるかトカ緊急の連絡先は誰かトカが判る保育園は、普段通りオープンしてるし、警察も、役所も、チャンと機能してるヨネ。

そんで、連絡するのに必要な携帯電話網も、移動するのに必要な交通網も、車、バス、鉄道、全てがチャンと機能している。

ダカラ、宮崎の◎◎叔母チャンとこにも、すぐに連絡が出来て、遅くとも事故の翌日には、独りポッチのすずめチャンに逢えるヨネ。

そんで、ソレ迄、口を一文字にして、何も言わずに必死に耐えて来たすずめチャンは、何処かお母さんの面影が残る◎◎叔母チャンの顔を見ると、堪えきれずに、大泣きするンだよネ—-。

ソンでも、その日の夜は、電気もガスも水道も使え、無事に残ってるすずめチャンのお家で、

◎◎叔母チャンが作ってくれた晩御飯を何とか一緒に食べ、一緒にお風呂に入り、暖かいお布団で◎◎叔母チャンと一緒に泣きながら寝れるヨネ。

デモ、震災は、ソーじゃ無いデショ!

震災では15,000人以上の御遺体が見つかって、行方不明の人々が2000人以上いらっしゃる

ッテ聞きヤシタ。

『すずめちゃん』のお家の建っていた区画は全て、津波で、土台だけ残して、消えました。

津波が来た時、『すずめちゃん』が何処に居たのか、解りません—-。

津波が去った時、『すずめちゃん』は全てを失いマシタ—-。

帰れるお家が、消えたノです。

雷の響く夜に一緒に恐がってクレた、縫いぐるみの熊の◯チャンも、

何でもお話し出来て、お母さんに怒られた時、一緒に泣いてクレたウサギの◎チャンも、

お気に入りのフワフワのバジャマも、

お母さんの暖かい匂いがするエプロンも、

上手ネェー!ッテ褒められた自慢のクレヨン書きの絵も、

滑らない様に当て布を貼っある、お母さん手作りの小さな踏み台も、

そんなお母さんと一緒に写った写真も1枚残らず、全て、消えたノです。

そして、そんなお母さんが、消えたノです—-。

震災の凍てついた夜、すずめチャンは、着の身、着のまま、何処に、誰と居たノでショーか?

避難場所の体育館で、幾夜、幾日、独りで過ごしたノでショーか?

(アタイ達、日本人は、震災の大混乱の最中でも、キチンと行列を作り、略奪など決して起きません。

ケドね、『我が身が優先』って大原則は、動物の本能で覚醒してシマウんでヤスょ。

そのシワ寄せは、最も弱い立場の人に酷く集まっチャウ—-。

身寄りの無い、幼いすずめチャンも、必ずそう成るヨネ—-。

こん時ネ、隠れた、もう一つノ大原則『弱い者が優先』の『沈黙の悲鳴』を聞き分けられる、気立ての優しい人が運良く近くに居れば、良いンでヤスが—-。

幼いすずめチャンには、どんな手が差し出されたンでショーかネェ?)

映画では、一片の描写すらネェっす。

けどネ、すずめチャンの『心』が傷だらけッテ事は、馬鹿なアタイにすら判りヤスょ。

『心』の傷は、見えネェっす—-。

見るには覚悟が要る、惨い傷が刻まれ、血を流している—-。

即時に、手当てを、手術を行わネェと、手遅れになっチャウ—-。

すずめチャンは、文字通り言葉を亡くす、口が訊けなく成ってもオカシクねぇと、アタイは思いヤスょ。

ダカラね、映画の冒頭、すずめチャンが、津波で打ち壊された廃屋を覗き込ンだり、

コンクリートの廃屋の屋上に、雑草が絡み付いた中型の漁船が乗り挙げている様を眺めさせたり—-、

そんな事、出来る訳がネェっ!

酷すぎヤスょ—-。

苛烈な戦場に身を置き、心に深い傷を負ってしまった若い帰還兵士の眼の前に、血と泥でズタズタに成った傷だらけの軍服を放り出すのと変わりネェ!

もう一度言いヤス。

酷すぎヤスょ—-。

映画では、乗り挙げた漁船を見たすずめチャンの眼に、涙が湧き出してイヤしたが、ソレで済む訳がネェ!

漁船の姿が眼に入った途端、すずめチャンはソノ場に踞(うずくま)り、過呼吸に成るダケだったら、まだマシだとアタイは思いヤスょ。

『オカシイ』過ぎヤスょ。

アトね、この『異世界』、『常世』とか言ってて、『死後の世界』らしいンだけど、コレも『オカシイ』よね。

ココはネ、『死にかけてイル人の世界』でショ?『死後の世界』とは別物だよネ。

アノネ、『死にかけてイル人』ッテ2種類有るでショ?

その1、『躰』が死にかけてイル人。

    文字通り、病気や怪我で躰が瀕死の人。

その2、『心』が死にかけてイル人    

              『躰』は無傷だけど、『心』が瀕死の人ッテ居るヨネ。

    最愛の独り息子が突然、事故死した母親—-。

    飛ぶ鳥を落とす勢いだった事業が、一転して破綻、世の中の『手のひら返し』の全て

    を眼に焼け付けてシマッタ男—-。

    苛烈な戦場の砲火をくぐり抜け、仲間たちの血と肉を全身に浴び、自分独りが何故か    生残ってシマッタ男—-。

    悪い事して無いノに、次々と廻りの人から攻撃され続け、心は傷ダラケ。血もダラダ    ラ流れ止まら無い。けれど、その血は見えネェーから無視され、助けを求める気力も    失せ、孤立の極みに追い捨てられ、閉じ込もってシマッタ青年—-。

       

    いくらデモ居るヨネ—-。

デネ、『オカシイ』のは、『常世』の世界の『在り方』。

『死にかけてイル人』を迎える世界ッテ、穏やかで優しいンじゃネェーの?

(以下は全て、アタイの勝手な想像でヤス。)

フ、と気付くと、見た事も無い世界が広がっている—-。

瀕死の躰の傷は、何故か癒えており、何処か懐かしい、自分の全てを、有りのママ受け入れてクレている様な安心に包まれている—-。

「あーっ、気持ち良いナァー。ずーっとココに居ても良いナァー!」

するッテーと、光の射す向こうから、ポツンと人影が現れ、徐々に近づいて来る—-。

顔が見えて来る—-。

先に逝った親しい人達—-。

デネ、ココから、二つに別れるヨネ。

その1、

涙が込み上げて来る—-。

『◯◯、良く頑張った。もう良い。一緒に来るカイ—-?』

黙って、頷く—-。

光の粒と成って、◯◯の躰が消えて往く—-。

その2(part1)

涙が込み上げて来る—-。

『◯◯、良く頑張った。けどネ、◯◯には、まだやり残した事が有るヨネ?

◯◯、間違っチャいけないヨ。コレだけは、覚えてイテね。

◯◯は、独りジャ無い!何時でも、何処でも、一緒に居るカラね。』

閉じた眼に、再び涙が込み上げて来る—-。

フーッと眼を開けると—-、

現世に戻っている—-。

その2 (part2)

『コラッ!!◯◯っ!!

今からコンナ所に来て何様のツモリだっ!!

トットとお帰り!!

グズグズしてると承知しないヨ!!』

ウワァーっ、昔のマンマでオッカネェーなぁー!

思わず眼をつぶり、フーッと眼を開けると—-、

現世に戻っている—-。

コンナもんデショ?

『ガーディアンズofギャラクシーvolume3』では、主人公の一人、アライグマの『ロケット』が瀕死の重傷を負い、最後の救命措置の甲斐も無く、息絶えようとスル刹那に迎えた『世界』が、ホボまんま『その2(part1)』でヤシタ。

多分、世界共通なのでヤスかな?

ソレなのに、この『映画』は、正反対でヤスょネ。

『死にかけてイル人』を迎える『世界』は、この『映画』だと、瀕死の深い傷にタップリと塩を塗り込む『世界』だよネ。

酷すぎヤスょ。

アタイ、一丁前の馬鹿だし、死んだ事も、死にかけた事もネェーから、何の屁理屈も打てネェんだケド、さすがに、コレは、ドウすかネェー。

コレは『オカシイ』気がする、のでヤス!

ソレとネ、すずめチャンの亡くなった『お母さん』ノ事、忘れチャいけヤセン!

『お母さん』、幼いすずめチャンを独り残して、ドンな気持ちで死を迎えて逝ったのか、

アタイ見テェーな馬鹿でも、ハッキリ解る事でショ?

そんな幼いすずめチャンが、『常世』とやらで、自分を探して、凍てつく寒さの中、さまよい歩き、疲れ果て、座り込む迄、『お母さん』がホッポッて置くハズがネェんでヤス!

(次もアタイの勝手な想像でヤスょ。)

(例えば、その1、大忙し超特急バージョン)

すずめチャンが『常世』に入り込んだ瞬間、お母さん、すずめチャンを確保。胸に抱きカカえ、即時に『現世』に移行。必死にすずめチャンを探している◎◎叔母チャンの背後にすずめチャンをソッと降ろす—-。

一方のすずめチャンは、突然の事で誰なのかも何も解らない。しかし、自分の躰をシッカリと守る様に包み込んでクレている、柔らかく温かい胸に『覚え』が有る。で、地面に足が着いて『お顔』を確かめる前に思わず口走ってしまう—-。

「お母さん?」

その言葉と同時に、すずめチャンは思いッ切り強く抱き締められた。

痛みが走る。しかし、眼をつむって黙って耐えた。

何故なら、『少しでも長くコノままで居たかった—-。』カラ—-。

『お母さんだッ—。』って判ったカラ—-。

ソレが永く続かない事は、何故か解っていたカラ—-。

そして、その時は直ぐに来た—-。

すずめチャンを抱き包んでいる腕の力がフーッと抜けて行く。

すずめチャンは直ぐに眼を開ける。

『お母さん』の姿が有った—-。

しかし、その躰は最早、透明に近く、背後の◎◎叔母チャンの姿が透けて見えている。

それでも、顔の輪郭は明らかで、その眼から頬に幾筋も涙が伝わっていた。

何が起ころうとシテいるノか、本能が教えてくれた。

「—-お母さん、お別れナノ—-?」

ほぼ透き通ってしまった躰は、何も答えなかった。

しかし、消えてしまう間際、『お母さん』が確かに微笑んだ気がした。

そして、姿が跡形も無く消えた瞬間、心の内でハッキリと声が聞こえた。

『いつでも一緒だヨ。すずめッ、忘れ無いでネ—-。』

◎◎は、一部始終を、背後から視ていた—-。

すずめチャンを探し倦(アグ)ねて途方に暮れ、降る雪の中、立ち尽くシテ居ると、背後で、消え入る様な子供の声がした。「お母さん—-?」

ハッとして振り返ると、片膝を付き、すずめチャンを強く抱き締めて一体と化している人の後ろ姿が有った—-。

一目で、誰か判った。間違うハズが無いッ!

『姉さん—-ッ!』

しかし、その姿は輪郭を残して透き通り、すずめチャンの躰が透けて見えていた—-。

そして、すずめチャンの小さな口元が開いて何かを呟(つぶや)く—-。

その声は、か細過ぎて、聞き取れる物では無かった。

しかし、◎◎には、耳元で囁かれる様にハッキリと判った。

『お別れナノ—-?』

◎◎はソノ場に崩れる様に座り込み、両手で顔を覆い、肩を震わせた。

指の隙間から、雫が滴り落ちた。

『姉さん—-、有難う、姉さん—-ッ、私—-ッ、』

と、◎◎は肩に優しく触れる、柔らかい大人の掌をフッと感じた。

ハッとして眼を開けると、目前の雪で覆われた地面に、小さな足が二本、シッカリと立っていた。

『すずめチャン—-?!』

ゆっくりと視線を上げてゆく—-。

小さな口元が眼に映った—-。

◎◎は再びハッと成る!

その口元には、思いもよらず、和(なご)やかな『微笑』が浮かんでいたノダ—-。

そして、その『微笑』には自身にも、確かな『覚え』が有った—-。

間違い無い—-。

幼い頃、大好きなお母さんと手を繋いで、一緒に歩いて居る時、自然と浮かんで来た『微笑』—-。

◎◎は、震えの残る声を何とか絞り出した。

「—-お母さん、チャンと逢えたネ—-。」

すずめはユックリと、しかしハッキリ頷いた—-。

微笑みが、笑顔に変わって行く—-。

◎◎は、堪えられ無く成って、顔を下に背け、再び目頭に手を当てようとした、ソノ時—-。

完全に、意表を突かれてシマッタ!

◎◎の頭頂部には、すずめチャンの小さな小さな手が当てられ、大人が子供を褒める時にする様に、ペンペンされてイルのだ!

そして、あどけない笑顔の言葉が続いた。

「◎◎叔母チャン、有難うネ!大丈夫、ヨシヨシっ!」

涙は、嬉し涙に変わって行った。同時に和やかな『笑』が静かに湧き、涙を越えて行った。

『—-フフッ、コレじゃドッチが子供だか、分かんナイや—-!』

「アッ!◎◎叔母チャン、やっと笑った!」

「—-御免ネ、すずめチャン、心配かけチャッて。叔母チャン、もう大丈夫ッ!」

◎◎は、すずめチャンに僅かに付いた雪を、丁寧に払い落とすと、キッパリと言った。

「さぁ、すずめッ!一緒にお家に帰ろうネ!」

「—-お家って、—-宮崎の、叔母チャンのお家—-?」

「違う、違うッ!今日からはもう『すずめと私』の宮崎のお家ダョ!!さぁ、行こう!今日は疲れたデショ?オンブする?」

「ウウン、すずめ、歩いてく。」

「そう、—-ジャぁ、お手々繋ごうか?」

◎◎は、立ち上がると、用意の傘を開き、残った手をすずめに向けて差し出した。

すずめは、黙って頷き、前を向くと、差し出された◎◎の指先を精一杯摑んだ。

すずめの小さな手は温かく、◎◎の指は優しかった—-。

雪が降る—-。

閑かに、雪が降る—-。

白い雪野原の中を、雪を乗せうっすらと白くなった傘が、小さな希望と成って、ゆっくりと動いて行く—-。

最後は、羌カイさんのメモをパクリやした。デヘヘッ。

コンで、アタイの『オカシイ+1』はオシマイですョ。

デネ、『オカシイ+2』ってノが、実は有るンでヤンス。

でもネェー、アタイ、迷ってるンでヤスょ。

ッテのはネ、オカシイのが『映画の冒頭の謎が、終末で明かされる。』部分だからでヤンス。

コノ映画のレビューってのを見るとネ、大勢の人がコノ種明かしの場面で、感動した!心が震えた!って書いてるデショ?

ヤッパ、気が引けチャウんでヤスょ。マッ、コノ場面が直接オカシイんジヤ無いンすが、関係大有りでヤスからネェーッ。

アノネ、『君の名は』ッテ映画、有るでショ?同じ監督の。

あの映画、とってもオカシイとこ、有るヨネ?

ホラ、主人公の滝君が、もう一人の主人公三つ葉チャンと、最初に躰が入れ替わった時、鏡を見てビックリ!!そんで叫ぶ、「お前は誰ダァーッ?」

コレ、オカシイよネ?

だって、滝君、3年前に三つ葉チャンと会ってるデショ?

通学途中の電車の中で。見知らぬ少女に、突然、声を掛けられて—-。

「—-滝–君、—-滝君、—-私の事—-、覚えてる—-?」

初めは変な女ッテ思うンだけど、余りの真剣さに心が動いて、次の停車駅でホームに降りた少女に思い切って尋ねる!

「君の名前はッ?」コノ映画のタイトルでヤスょ。

少女は、覚悟を決めた様に、髪を結んでいた紅い組み紐を振りほどいて、滝君に投げかけ同時に、精一杯の声で答える

「私の名前は、三つ葉ッ!!」

で、滝君は、この時渡された赤い組み紐を、3年間、ミサンガの様に手首に巻き付けているノでヤス。

ネッ! ヤッパ、オカシイでショ?

コレだけ劇的な出逢いをして、名前も聞いて知ってて、トレードマークの組み紐も3年間ずーっと手首に巻き付けてて、最初に躰が入れ替わった時、

鏡に映った『顔』を見ても

『—-誰?全然、知らない。』

名前を『三つ葉』ッテ呼ばれても

『—-誰?全然、知らない。』

『赤い組み紐』を見ても、

『—-何コレ?全然、知らない。』ッテ、

ヤッパ、全然、オカシイよネ!

アタイも由緒正しいお馬鹿でヤスが、3年前のお顔は忘れても、三つ葉チャンって名前くレェは覚えてると思いヤスょ。だって、手首の組み紐と、文字通り紐付けられテルはずダカラね。

『コノ組み紐、三つ葉チャンがクレたンだヨネ。』ッテいつも思い出せるカラね。

そんでネ、アタイ、親方に「アスコはオカシイ、絶対に変ダァーッ!」ってヒツッコク散々言い付けてヤッタんスョ。

そしたらネ、親方言ったンす。

「与太、コレはオメェが馬鹿だからッテ言うンじゃネェーぞ。

世の中、オメェが絶対にオカシイ、変だッテ思える事でも、見方を変えリャ、全く正しい事も有るンだぜ!

世の中に『角に曲がった柱』なんざ、アリャしねぇーダロー。ケドョ、二本の柱の片方にホゾ穴くり抜いて、片方にホゾこさえて、ソイツを合わせて、クサビを打ち込みゃ、立派な、ビクともしねぇ『角に曲がった柱』に成るダローガョ。

だから与太郎ョー、オメェーがオカシィヤ!と思った事でも、よーく見りゃ、オカシクも何ともネェー、上手くコサエられてる事も有ルンダ、って事を忘れちゃイケネェーよ。」

そんでネ、アタイなりに、一生懸命、考えたンでヤスょ。

そしたらネ、木造五階建て見テェーな、アタイにしては壮大な『超・屁理屈』が組み上がっチャッたンすョ。

(但しネ、木造五階建てッテも、荘厳な五重の塔タァー別物!アタイの住んでる裏長屋を1軒ずつ横に切り割けたノを、五つ縦に重ねたダケの、バロック様式、ゥン?チョット違うナ?アッ、バラック様式でヤス。そよ風が吹くダケで、風の随(まみま)にファーファー揺れチャウ、完全サステナブル揺り籠かご住宅の優れ物、の訳、無いでヤスか?スイヤセン!)

ほいデネ、この屁理屈、ダメ元で言って見たら、遠山の金さんニャー通ってシマイやした。

当人のアタイも、ビックリでヤスょ。

ケドね、今回の映画ニャー、頭ひねりヤシタけども、超・屁理屈、浮かんで来ヤセン。

(誰か、頭良い人、教えてクレルと有難いンでヤスけどネェー。)

だから、ヤッパ、オカシイのでヤスょ。

ソンじゃ、やっとコサ『オカシイ+2』でヤス。

今度バカリは、手短に申し上げヤスょ。

映画の冒頭、常世の草原で疲れ果て、座り込んでシマッタ幼いすずめチャンの背後に人の気配がする—-。

振り向くと、逆光の中、人影が浮かぶ—-。

「—-お母さん—-?」

夢が覚める!夢を見ていたノは、高校生のすずめチャン!

そして、映画の終幕で、この夢が実体験に根ざしていた事が明らかに成るンでヤスよネ。

更に、人影の正体が、高校生のすずめチャンって事が明かされるンでヤスょ!

それも、夢を見た日の数日後の高校生のすずめチャン—-。

そして、その数日間に生き抜いて来た『命懸けの冒険』と、泊まるアテも無い旅先で心易く手を差し伸べてクレた人達との『日々の暮らし』を過ごす内に、今まで全く気付け無かった、世の中の、そして世界の姿が見える様に成った高校生のすずめチャンは、眼の前で、独りボッチの寒さに震え疲れ果てテル幼いすずめチャンに、精一杯の言葉のエールを送るンでヤスょネ。

(アーアっ、肝心な所でセンテンス長くてスイヤセン。何しろ、馬鹿なモンで。)

高校生のすずめチャン、ガチで真剣ですヨネ。

こんな時、どうシヤスか?

そうナンでヤス。シッカリと相手の眼を見詰めて、話すンじゃネェーすか?

つまり、幼いすずめチャンの眼をシッカリ見詰めて、話す。

って事は、幼いすずめチャンも、高校生のすずめチャンの顔をハッキリ見ていたッて事でショ?

ネッ!!ヤッパ、オカシイでショー?

ドコがオカシイのかッテ?

ソレでは、質問しヤスょ!答えて見て下さいネッ。

質問その1

幼いすずめチャンは、常世で出逢い、何故かお母さんが作ってくれた大事なオ椅子もクレタ、

知らないお姉チャンが、なんと、高校生の自分だッテ事に、何時、気付くノでショーか?

答えの1、小学生の時。コリャ無理ッスよネ。

答えの2、中学生の時。コリャ有り得ヤスょ。(似た様な制服、着てヤスからネ。でも、直ぐ判るンすョ。アノ制服は◯△高校のだッテね。)

答えの3、高校生の時。コリャ遅すぎデスよネ。でも、確実に気付いテル訳でヤス。

つまり、映画の冒頭、夢から醒めた高校生のすずめチャンは、幼い頃に不思議な世界で出逢い、真剣に話をしてクレタ、そしてお母さんが作ってくれた大事な椅子もクレタ謎のお姉ちゃんの正体が現在の自分だった事に、既に気付いテル訳でショー?

ッテ事は、夢から醒める時の台詞、違うヨネ。

「—-お母さん—-?」ジャ無くて

「—-ヤッパ、どう見ても、アタシだ—-!」でショー?

と成りヤスとネ、映画の展開がガラリと変わらネェーと行けヤセン。

つまりネ、高校生のすずめチャンは、

訳の判から無い事件に、コレから巻き込まれるンじゃネェー、

訳の判かる事件が、コレから何時起こるノか、待ち構えテル事に成るンすョ!

大違いでヤス!

ソレも、10年以上も前の幼い自分に、摩訶不思議な世界で、必ず出逢うと言う、事件の『結果』だけが判ってはイテも、事件の『始まり』と『経過』は何一つ判ら無い、真っ暗闇が眼の前に迫っているノでヤスょ!

全く別物のハラハラドキドキの、始まり始まりーッ!!

勿論、お話は、アッチャコッチャで取っ替えニャーいけヤセン。

アタイのオツムじゃ無理ッス—-。どうシヤスかネェー?

(ここで急に弱気に成った与太郎が、何とは無しに腕を組むと、懐に何か当たる物が有る—-。)

アレッ?コッ、コレは畳んだ紙メモ—-?

表に字が—-、アッ!コッ、コノ字は羌カイさんの字だッ!

(与太郎は気が付いた!別れ際に羌カイの軽い当て身をミゾオチに喰らった時、同時に懐にコノ紙メモが忍ばされてイタって事を!)

エーと、何々?

『コレはお前が本当に困った時に開けて読む様に!何かの役に立つハズだ。困ってイナければ、捨てて構わない。』

ウン、アタイ困ってる。開けて見よ—-。エーと、何々—-?

『与太郎、お前のオカシイ+1が何か、私には判ら無い。しかし、見当は付く。私なりのオカシイが有る事は前に言った。与太郎、お前は頭が悪いと自ら恥じるが、ソレは違う。個性に過ぎ無い。(顔の良し悪しと同じダ。)心配なノは、お前が、まま優し過ぎる事だ。場合に寄っては、弱さに繋がる。

映画の冒頭、幼い自分が常世の世界をさまよう夢から醒めたスズメがつぶやく、「お母さん–?」と。

お母さんでは無い事は自明だ。お母さんだったら「お母さんッ!!」だ。

では、誰か?

相手の顔を見ていたなら、その記憶から「将に高校生の今の自分だ」と気が付かないハズが無い。

コレが、私の『オカシイ』の1つだ。

このオカシイは、急所だ。衝けば、話は崩れる。

しかし、お前は多分アーダコーダ言ってコレを中々指摘しないと思う。

何故なら、お前が優しいカラ。そして崩れた後の手立てが見え無いカラ。

それでも、最後には、お前は指摘をするだろう、ソレがお前の『オカシイ+1』だ。

お前は今、ニッチもサッチも行かない手詰まりのハズだ。

しかし、安心しろ。策は有る。

「常世での記憶は、扉の外に原則、持ち出せ無い」事にすれば良い。

ただし、「何かのキッカケで思い出す事が出来る」と含みを残して置く。

つまり、何かの「カチッ」で、記憶が戻る訳だ。

例えば、「踏切の場面」で、「見え無い扉」という言葉がスズメの「カチッ」だ。

幼いスズメは「扉」を通して常世に出入りした。

「扉」から出た途端、常世の中の記憶はほぼ失われたが、「扉」の記憶だけは残される。

しかし、その「扉」はスズメ以外には見え無いから、誰も信じてくれ無い。

そうこうシテいる間に、「扉」の記憶は遥か彼方に追いやられ、霞の様に消え去る訳さ。

そして、年月が過ぎ、めぐり逢い、「カチッ」だ。

「扉」の記憶と伴に、「扉の向こうの世界」の記憶が蘇って来る—-。

コレで、話の背骨は折れずに済むハズだ。

与太郎、強く成れ!ジャぁ、又なっ!』

フーッ、ヤッパ羌カイさん、スゲェや!助かりヤシタ。

(ケドね、正確には、アタイの『オカシイ+1』ジャ無くて、『オカシイ+2』でヤスょ。

マッ、ドーでもイー事でヤス。)

しかし、返す返すも、コノ映画を造り上げた作者は偉いモンでヤス!

アタイなんざ、『完成品』をアーダコーダ、『いちゃモン』を付けテルんすケドね、

コリャ、楽ッスよネ。

『創る苦労』が100だとスレば、『いちゃモン』は5で済みヤスょ。楽勝ッス。

コノ作者、とっても良質なアニメ、創ってヤシタ。

だからネ、アタイ、信じて疑わ無いのでヤス。

コノ作者の代表作は、間違い無く傑作となる次回作でアル事を!

 

    

   

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