ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝

アノネ、この間、アタイがブログの旦那ン家に、エンニオモリコーネの原稿、持ってッタ時、

旦那、変だッタんだ!

何時も見たく、書斎に入ると、旦那、机の上にうっ伏したママだ!

直ぐに「旦那、大丈夫ですカイッ!」って声掛けると、うっ伏したママ片手チョット持ち上げて、挨拶してるツモリだょ。

「アーッ、ビックリしたぁーっ、脅かしッコ無しデスょ。アタイ、旦那がヒックリ返っチャッタと思いヤシタ。何、有ったンすか?」

デネ、傍に行くと、机の上が濡れテル。ヤッパ、変な事に成ってる!

「旦那っ!大変デスぜ!眼が大汗かいてヤスぜ!早くふかネェと風邪ひきヤスよ。」ってーと、旦那、顔上げて言いヤシタ。

「与太ッ!コノ馬鹿野郎ッ!他人のオメェーがソレ言っチャお終めぇダロがヨゥ!」

「エッ?旦那、ジャその眼から出てたノは、何デスかい?エッ?マカサ、鼻水?キッタネェーすょ。ウン?だッタら、もう風邪かな?ティッシュ持って来ヤショーか?」

「いちいちウルセェー野郎だなッ!ドコのドイツが眼で風邪ひくンだよッ!涙!涙だよッ!

泣いてたンダョっ!解ったかコノ馬鹿野郎ッ!」

「デへッ、旦那、怒るの無しデスぜ。ソーですカイ。泣いてたンですカイ。よっぽどコッピドク、おかみさんにトッチメられたンすか?アタイ、代わりに、謝って来やショーか?」

「うん、ソーしてクレると大変有難い—-ッテ、違う違うッ!そんな訳ネェーだろ!

コレだよ、コレっ!」

ってンで旦那がアタイに指し出したノが、一枚の映画チラシでヤシタ。

コレが、大変な代物で、一見して『アリャマ』って成りました。

宝塚歌劇団的少女漫画100%の直球ど真ん中ッ!

さすがのアタイも、こりゃパスと思いヤシタ。デネ、旦那に、

「アタイも映画に掛けチャ守備範囲は狭くはネェつもりデおりヤシタが、旦那にゃ、恐れ入りヤシタ。イャーっ、人間、色色、旦那も色色。かくの如き嗜好をお持ちタァ、お見それシヤした。で、ソレなりのフィギュアなんざも、コレクトされているンすか?その目ん玉飛び出るレア物フィギュア、内緒で買ったのバレちゃって、オカミサンと、一悶着有ったンすかい?」

「何がフィギュアだ、コノ馬鹿野郎ッ!そのチラシ、スタッフんトコ、よく見てみなッ!

シリーズ構成、誰に成っテル?」

「ソー言われても、アタイ、少女漫画アニメの監督も、脚本家も、よく知らネェーから—-

ッテ、アレッ!?コノ映画のシリーズ構成、吉田玲子女史に成っテルっ!?」

「ソーだローがょ。なぁ、もう解っただローがょ!お前さんの贔屓の『ガールズ&パンツァー』『聲の形』の脚本家、吉田玲子女史!オイラも、最初はヨー、パスだったケド、コレ見ッけて、映画館直行ヨーッ!

で、どんなに良い映画だッタかは、パンフレット、完全品切れって事でも判る!

お前さんも、四の五の言ってネェで、重宝シネマのチケット有るから、コレで、トットと見といでッ!」

ってンで、アタイ、コノ映画、見て来やした。

パンフレット、やっぱ品切れでした。

で、旦那ン家に映画の報告しに行くと、待ち構えてて、直ぐ言われチャイました。

「オウッ、映画、どうだッタイ?」

アタイ、映画の事想い出しチャッて、黙って、下向いてると、

「ナンでぇー、お前さんも眼に汗かいテルんカイ?ソレとも、鼻水カイ?

黙ってチャ判らネェ—-って、判る、か。マッ、良いヤ。でヨー、コノ映画のブログ、

オイラ、書いといタカラ、お前さんは、別の又、頼むワァー。」

コン時、旦那に、アタイ手伝いマショーかッテ言ったンだケド、相変わらず、

「心配ご無用、ガッハッハッ!」てなモンで、ケド、やっぱ、超、超遅れて、早1年、結局

アタイ今、手伝いしてます。

でも、旦那、今回は結構頑張って、何とか言う映画サイトに、DVD出る前に、やっとこさ、

レビューっての、投稿出来たッテ言ってた。

ケド、やっぱ、遅すぎダヨね。アタイ、早く手伝ってレバ良かったョ。

デネ、今回はネ、旦那のレビューの続きの原稿を、アタイが仕上げてオリヤス。

何しろ、アノ旦那の字でショ!アタイ、随分、慣れたケド、アリャ、初めての人は、感動するか、トラウマに成るか、ドッチかダヨね。

エッ?お前はドッチだったッテ?

デへッ、あのね、アタイは、結構、感動してヤシタ。だって、アレ見れば凄いンだモノ!

最初から最後まで、知恵の輪がズラーッと並んでルンだモノ!

アタイなんか、オツムが少々なんで、知恵の輪ッテ、憧れチャウんだョ。

ソレが何10ページも有るンだモノ!凄かったネェーッ!

エッ?もうイイから早く始めろッテ?

判りヤシタ。ドーもスイマセン。ジャ、始めマス。

アッ、イケネェ、タイトル。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 永遠と自動手記人形』ですョ。

良い映画とは、私にとって、心に残る場面、台詞、音楽が、有る映画です。

この映画、心に響き刻まれた場面、台詞は、両の手指でも足りません。

4つ、並べて見ます。

(この映画の底には、戦争のうめき声が閑かに流れています。

そして、主人公の心の底には、戦場の飛び散った肉片と血飛沫がこびり付いています。

 以下、ネタバレどころか、バレバレです。)

その1。 オープニング場面。

青空に向かって、思い切り広げられた、小さな手の平のアップ—-。

カメラが引く—-。海洋をカモメと伴に進む客船の甲板—-。

その手摺りに、もたれかかっている、目深に帽子をかぶった子供の乗客—-。

バッグから、折り目がボロボロになっている古びた手紙を取り出し、

口を真一文字にして、ジッと見詰めている—-。

潮風が、容赦なく子供の頬を叩く—-。

両の端を小さな手で握り締められた手紙は、潮風に小刻みに揺らいでいる—-。

小さな、ため息が洩れる—-。

その子は、憂いた顔で、波頭を切って流れて去る波の行方を眼で追っていた—-。

と、一瞬、その瞳が輝いて、舳先に向かって、バタバタと足音を立て走り出す。

舳先にかじり付くと、子供の視線の彼方に、陸地が、そして目的地の港が

その姿を現し始める—-。

一片の説明も、一言の台詞も有りマセン。

在るのは、小さなため息と、カモメの鳴き声、

そして、子供を乗せた船が、海を切り分け進む、潮の音—-。

この子供は、どこから来て、どこに行こうと、しているのか?

そして、青空に向かって差し出され、精一杯、拡げた手の平で、

この子供は、一体、何を掴もうと、あるいは、何を伝えようとしたのか?

イヤー、実に見事なプロローグです。実写の『名作映画』でも、導入部から

『名作』は、なかなかナノです。

エーッ、始めから申し開きで、失礼致します。

自分で言うのも、おこがましいノですが、私、敢えて申しますと、

『馬鹿』種族に分類されてオリマシテ、そのセイか、映画の『分析』とか、

『総括』とか、無理デス。

ご覧の通り、『馬鹿の一徹』で、以下も、自分の心に響いた場面を、

ダラダラと書き綴ったダケと成ります。

(実際の映画場面との差異、『馬鹿』に免じ、ご容赦下さい。)

その2。 降る雪。

驚きました–。この映画に降る雪は、『雪』では、ありません。

この映画で降っている雪は、『雪の結晶』でした—-。

本編の主人公、ヨーク家子女イザベラが、まだ違う名前で暮らしていた少女時代—-。

孤児の彼女は、粗末な家で、「まともな稼ぎ」とは無縁の、荒んだ暮らしを

選ぶ他に道は無かった。

そして、彼女の、余裕など無い暮らしにすら、「戦争」の余波は忍び寄り、

容赦無く蝕んでゆく—-。

遂に、その日稼いだ小銭が、『絶望』と言う値を付けた時、彼女は、耐え切れず

怒り叫んで戸外に飛び出す—-。

と—-、

そこには、閑かに、雪が舞っていた—-。

彼女を、家を、街を閑かに包んで、舞い降り続ける—-。

そこに舞い落ちているのは、『雪の結晶』。

それが単独で、あるいは重なり合い、結び付き、それでも『結晶』の姿を保って

降り続けている—-。

『空気』の次に身近で大切な『水』。

その『ありきたりの水』に秘められた『結晶』の姿は、

この『世界』が、それだけで『美しい』事の、揺るぎ無い、証(あかし)。

地の表を、「戦争」と言う、愚かさと、醜さの「極み」が覆い尽くそうとする—-。

その同じ空の高みから舞い落ちる、無数の『雪の結晶』は、一つとして同じ物は無く、

その全てが、この上無く、美しい—-。

そして、降る雪の中、独り残され佇む幼女に歩み寄った彼女は、その手を、

幼女にギュッと握られる。

小さな指先は、凍てつく寒さで、すでに薄赤く変色している—-。

その幼女の手の甲に『雪の結晶』が舞い降りる。

それは、幼女の生きている証の体熱で閑かに溶け、透き通った水滴に生まれ変わる—-。

彼女は、ここで、誓うのだ。

名前すら判らない、この児は、物心すら付かぬのに、孤児として生きる他ないのか—-。

辛酸をなめ尽くしたはずの自分には、粗末ながらも、雨露、寒さをしのぐ家が有る。

悔し涙を流せる寝床が、貧しくとも暖かい煮炊き出来るカマドが有る—-。

この児には、何も無い。有るのは、自分でさえ持て余すに違いない幾つもの重荷—-。

心の底に怒りがたぎった。

「この児が、何をした!」

「この児が生きて、何が悪い!」

「この児の行く末を邪魔する者は、私が許さない!」

「どけっ!近づくなっ!立ち去れ!」

「その代わり、私はどう成ってもいい!—-だから、頼むから、—-お願いだから、

この児に構わないでくれ—-。」

彼女は、誓うのだ。

「この児は、必ず、自分が、守り、育てる!」と。

『雪の結晶』、それは、ありふれた奇跡。

幼女に優しく話し掛けている彼女と幼女を見守る様に、

『雪』は、閑かに舞い続けている—-。

その3。  二人だけの食卓

薄明かりの下、二人だけで囲む小さな食卓の上に、場違いな大きさの

幾枚ものホットケーキが重ねられている—-。

少女は、その上に蜂蜜をタップリと回し掛け、切り分けたケーキを幼女に

差し出し食べる様に促す—-。

そして、尋ねる—-。『美味しい?』

幼女は、顔中を笑顔にして、全身で肯き、応える—-。

『ネェーネッ(姉ェーネ)!』

言葉の芯に有るのは、無条件の、そして、絶対の『信頼』。

彼女の心に、灯がともり、暖かさに包まれる–

ハズの、その灯がかき消えた—-。

同時に、幼女の姿も消えた—-。

眼の前に残された、裸の椅子と机—-。

『夢』—-なのか—-?!!

『独り』の荒れ野に、再び投げ出されるのか—-!

躰の全てが叫び声を上げようとした、その時、

ヨーク家子女、イザベラは、贅を尽くしたベッドで、泣き疲れた眼で、『夢』から、

醒めるのだった—-。

そして、全てが同じ、遠い過去の現実の光景—-。

薄明かりの下、二人だけで囲む小さな食卓の上に置かれた、スープ皿。

2粒の豆と、指先程にもならない、数片の野菜くずが浮いている—-。

少女は、ほとんど白湯(さゆ)に等しい、そのスープをすくうと、

何度か息を吹きかけ、幼女に差し出して、飲む様に促す—-。

そして、尋ねる—-。『美味しい?』

幼女は、顔中を笑顔にして、全身で肯き、応える—-。

『ネェーネッ(姉ェーネ)!』

言葉の芯に有るのは、無条件の、そして、絶対の『信頼』。

彼女の心に、灯がともり、暖かさに包まれる—-。

そして、心の底に溜まった澱(おり)が、透き通って、消えてゆく。

貧しく、そして、満ち足りて豊かな食卓—-。

しかし、この危うい『幸福』が、長続きする道理など、無かった—-。

僅かな糧を得る為に、底冷えのする深夜の街角に、立ち続ける少女—-。

凍える息を吸うたびに、少女の気道は、確実に蝕まれてゆく—-。

心の悲鳴の変わり身である、咳き込む少女の姿が、見慣れた景色に

変わり始めた矢先、『運命』が戸口の前に立つと、扉を押し開けた—-。

そして、少女に自らの誓いの証を迫り、少女は閑かに応じた—-。

幼女の先行きの見守りと引き換えに、少女、エイミー・バートレッドは、

その名を納めた小さな柩の閉じ釘を、全て打ち終えると、心の底に埋めた—-。

その封印された名前を、自ら名付けた幼女、テイラー・バートレッドが、

喉を涸らし叫び続ける呼び声に、背を鞭打たれ、断腸の悲しみを産声とし、

その日、ヨーク家子女、イザベラは生まれた—-。

その4 鋼(はがね)の手

贅沢な家具で飾られた、独りには広すぎる部屋の窓辺に、少女は佇んでいた—-。

ガラスに微かに映る少女の瞳は、消え入るように虚ろだった—。

名門良家の子女のみで閉ざされた学園—-。

少女にとって、日々の暮らしは、鎖で繋がれた獄舎と変わりが無かった—-。

ヨーク家子女、イザベラ。

(—-「泥水」をすすって、生を継いで来た彼女には、場違いに過ぎた—-。

彼女の周りは、世の中には「泥水」が有る事を想像すら出来ない人々の

集まりだった—-。歩く事も、座る事も、息を継ぐ事すら、惨めだった—-。)

日を重ねるごとに、心が吐き出す闇の糸で、黒い繭が彼女を覆ってゆく—-。

イザベラは、自分を、『僕』と呼ぶ—-。

それは、彼女が心の底で『本当の私とは違う—-。』と呟く、無音の叫び声—。

そうする事で、弾(ハジ)けて崩れてしまう、心の釣り合いを、守っていた—-。

しかし、ひ弱な盾の隙間を突かれ、日に日に、心の傷は、深まってゆく—-。

(心の悲鳴は絶叫に近づき、その変わり身である、激しい咳の発作の苦痛が過ぎ去るのを、

独りには広すぎる部屋の贅沢に飾られたベッドで、背を丸め、指を強張らせ、爪を立て、

誰にも看られず耐え忍ぶ姿が、見慣れた景色に変わり始めた矢先、)

『運命』が、学園の門の前に立つと、扉を押し開けた—-。

そして、その靴音は、彼女の部屋の戸口で止まり、ドアが開いた—-。

イザベラと変わらぬ年格好の、何処か大人びた少女が、閑かに立っていた。

そして、名前を告げた—-。

「お初にお目にかかります。お客様がお望みなら、何処でも駆け付けます。

自動手記人形サービス、バイオレッド・エバーガーデンと申します。」

『運命』は、エイミー・バートレッドを縛りに来たのではなかった—-。

『運命』は、エイミー・バートレッドを解き放つ為に来た—-。

自ら造り上げた『幻』に過ぎない、黒い繭の中で溺れかけている、

イザベラ、いや、エイミーを解き放つ為に—-。

そして、物語の幕が閑かに上がって行く—-。

バイオレッドが差し伸べようとした手を、

イザベラは、一喝の下に振り払った!

「僕に、触るなっ!—-」

その言葉が終わる前に、彼女は信じ難い衝撃に打たれた。

イザベラが強張った顔で、言葉を失っている様を見て、バイオレッドは

肘まで覆っていた白いサテン地の手袋を、おもむろに、外して行く—-。

光沢に輝く、鋼の手が、ゆっくりと姿を現し始める—-。

そして、鋼の両の手を全て露わにすると、少女は、穏やかに告げた—-。

「この両手は、先の戦争で失いました。」

『悲痛な人生』に喘ぎ続けて来たエイミーの目の前に、

『苛烈な人生』が閑かに微笑み、立っていた—。

イザベラの本能は、目の前に微笑みを浮かべ立っている少女の内に、

踏み越えて来た『苛烈な人生』を悟った。

彼女は、『悲痛』に溺れかけていた—-しかし、

今、眼の前に立っている少女は、『苛烈』を生き抜き、乗り越えかけていた—-。

イザベラは、表の意識では、少女への『未知への恐れ』で顔を強張らせていたが、

意識の底には、少女により『確かな希望』の小さな灯りが瞬き始めていた—-。

そして、その微かな光は、闇の中で眠り続けているエイミーを、閑かに目覚め

させてゆく—-。

その夜更け、激しい咳の発作がイザベラを襲った—-。

独りには広すぎる部屋の贅沢に飾られたベッドで、

上体を起こし、背を丸め、指を強張らせ、爪を立て、

身が捩れる苦痛が過ぎ去るのを、眼を閉じ、黙って耐える他ないのか—-。

と、その背に触れる物を感じた。

苦痛の涙に濡れた眼を、ゆっくり開けると、昼間の少女が傍らにいた。

イザベラは、もう、『独り』では無かった。

少女、バイオレットの鋼の手は、イザベラの背に、優しく添えられていた。

そして、イザベラの口元には、吸い吞みが、そっと当てられる—-。

『鋼の手』は、激しい咳の発作で熱したイザベラの背中を

優しく冷やした—-。

同時に、黒い繭の闇の中で、凍え、眼を閉じ、震えているエイミーを、

優しく温めた—-。

そして、『鋼の手』は、イザベラの、強張りが残っている手の甲に、

優しく重ねられる—-。

エイミーを覆っている黒い繭を生んでいる、心の闇が閑かに払われて行く—-。

遙か彼方に在るハズの『闇の果て』は、エイミーの目の前に在った。

闇が、閑かに明けて行く—-。

そして、エイミーはゆっくりと目覚めて行く—-。

イヤーァ、心に響くドコロか、揺さぶられっパナシです。

しかし、「話」が長い!って、馬鹿なモンで、短く出来ナイのデス!

エッ?威張るナって?ドーもスイマセン。

ところで、ご存知ですか?『馬鹿』種族には、2種類有りまして

1つは、『自覚の有る馬鹿』で、2つは、『自覚の無い馬鹿』。

『馬鹿』種族は、顔見りゃ、直ぐ判る。

でも『自覚の有る馬鹿』は、私も含め至って単純。

「馬鹿デショ?」「当たりっ!」で、軽々と国境を越える。

 問題なのは、『自覚の無い馬鹿』。顔見りゃ直ぐ判るのに、

 呼んでも応えない。

「馬鹿デショ?」「—-」「エッ?馬鹿じゃ無いノ?」

「失礼な!馬でも鹿でも無い!ちょっと頭が不足がちの人ナノだ!」

って、話が又々、ズレまくってオリマス—-。スイマセン。

エッ?「お前は、『自覚の無い馬鹿』では無い!」ウレシイなっ!

エッ?「お前は、『自覚の全然足りて無い馬鹿』ダッ!」

イヤー、ソコまで褒められると、照れマスナー。って褒めてナイ?

ソーなんデスかい!

京都アニメーションの方々には、最大限の敬意と、最大限の「ありがとう」を

言わせて下さい。

この映画にも、星空が映し出されますが、満天の星空を渡り流れ行く『天の川銀河』は、

都会の明かりの喧噪で、その姿を隠してしまいました。

しかし、コンクリートとアスファルトの臭いに囲まれ、時計表示で夜を迎える暮らしから、

土と草木の臭いに囲まれ、夕陽が山の端に沈み夜を迎える地に足を踏み入れた途端—-

見上げる夜空には、満天の星々の中央を、光の瞬きが群れと成り、蕩々と流れ行く『天の川銀河』の『永久の姿』が、確かに、ここに『在る』—-。

その『光の瞬き』の一つ一つは、取るに足らない小事に躓き、眉間にシワを刻み俯いたまま歩みを止めしまった私達の、全ての者に、分け隔て無く、希望の光と成ってソノ傍らに閑かに寄り添う—-。

そして、『光の瞬き』は、いつの間にか、私達の心の芯を共鳴させ、或る者は自ら再び歩み始め、或る者は、差し伸ばされた手を恥ずかしソウに摑み、顔を挙げ、一歩を踏み出す—-。

ソレは、エイミーとヴァイオレットの物語その物であり、

その物語を映し出す銀幕こそが『天の川銀河』であり、

その物語を創ったスタッフの一人一人が、永久の『銀河に瞬く星々』で有る事は、疑う余地は有りません。

京都アニメーションの皆さん、本当に、有難う御座いました。