与太朗の千夜一夜物語part0

はじめまして、アタイ、大工の与太郎ってイイヤス。

やっとアタイ、ブログに出たーット思ったら、文字飛びまくりの穴ダラケ、全部ブログの旦那の責任ナンすが、「頼む!与太!代わりに謝っトイテくれ。後生ダーっ!」ッテ言われて、アタイが誤りジャネー、謝りに来ヤシタ。旦那、冷や汗ブン流して、ヤットコサ直したッテ事ですカラ、ドーか勘弁して下さいヤシ。(だけどネ、「旦那っ!大変ダッ!アタイの出てるpart2のブログ、イノシシに荒らされた畑ミテェーに成ってヤスゼ!」ってアタイが言った時の、旦那の顔ったらナイヤネ。あんまり気の毒ナンで、アタイが謝る事に成りヤシタ。詳しい事は、別の「お話」とイタシヤス。

コレは、「君の名は part2改」の最初の部分でヤンス。

アタイとブログの旦那との、コレが「詳しい、別の『お話』」でヤンスょ

 

この前、親方に話が有るってカラって、聞いたら、ビックリしちゃったョ。

だってネ、何でも、今度アタイと親方が、インドの納豆のオマケ、ジャネェー

や、付録に出る事に成ったんで、その付録を作っテル旦那の家に、挨拶して

コイ、ってカラ、アタイが、

「親方、インドでも納豆、食うんデスかい?納豆っちゃあ、水戸じゃネェーん

すカイ?納豆の付録ッテなると、やっぱタレかな?アタイがバカのタレで、

親方がシミのタレ、バカッタレにシミッタレ……。」って言ったら、親方に

ヒッパタかれて、「何が、インド納豆の付録だ、このバカヤロー!

インターネットのブログ、だヨ!俺ッチは、挨拶、済ませテッカラ、

オメェーもトットと行って来ヤガレ!」ってカラ、アタイは、「行くんデス

かい?来るんデスかい?どっちデスかい?」って、本当は聞きタカッタんダ

ケド、コレ聞くと、100%もう一度、親方に頭ヒッパタかれルンで、代わりに

インターネットのブログって何スカ?って、聞きマシタ。アタイ、センテンス

長くて、くたびれマス。

デネ、親方が、「インターネットっちゃー、ホラ、オメェの好きなアニメで、

カニの甲羅ミテェーな題名の、難しい漢字の……ホラ何つッたッケ……?」

「ソリャァ、『こうかくきどうたい』ッスよ。漢字だとネ、コウ書き……」

「なんデェー、与太、オメェー、書けるンかい?」

「デヘッ、親方、オヤジギャグ言っちゃダメですゼ。こうですゼ、

『攻殻機動隊』」

「ホーッ……、コウかくのカイ……。」

「ホーラ、言っちゃった。」

「なんデェー、悪かったヨッ!オメェーは、映画ッてーと途端に頭が廻り

出すカラナァー。

そんでヨ、攻殻機動隊の面々が、首の後ろで繋がっテルのが、インターネット

でヨー、その向こうの仮想空間に組み立てるノガ、ブログってコッタローヨ。

何しろ、仮想世界だからヨー、方丈の庵、造ろうが、500階建てのマンション

建てようが、際限ないッテ話ダゼ。」

「アノネ、親方、それは寧ろ、電脳空間と呼称すべきで、アタイだったら、

親方の100倍優秀な大工の棟梁『左右甚五朗』って、アバターこさえて、

『眠り獅子』だの『花粉症でマスクしてる虎』(ゥン?タイガーマスク?

どっか違うナァ?)『アナコンダ飲み込んでるマングース』(やっぱ無理デス

かい?)なんざ、彫りマクラさせて……」ってココ迄言ったら、親方に、

頭ヒッパタかれマシタ。

「俺ッチより詳しい事ァ、聞くンじゃネェー!このバカヤロー!旦那の話ジャ

何でも、映画に関するブログとか言ってたカラ、ウチとこの与太は、アレでも

結構、映画ニャ詳しいンで、ったら旦那が、『オッ!イイね!是非、顔出す

よう言ってクンナ。』ってカラ、この話ィーしてんジャネェーか!四の五の

言ってネェーで、トットと行ってキヤガレ、このトンチキめ!」

「エーッ?アタイ、知らない人ン家、独りで行くの、イヤだよー。」

「何でェー、人見知りカョ。大丈夫ダョ、ホラ、去年の秋に○○町で、離れを

建て増したアソコの旦那だよ。オメェーも、顔ぐれェ知ってんダロー?

俺ッチも後から顔出すカラ、独りで先に行っテナ。それにヨー、俺ッチが

行った時は、オメェーの好物の、○屋の羊羹、茶菓子に出たゾ!」

「そんじゃ、アタイ、独りで行ってくる!」

ってンデ、こうして、今、アタイは、ブログの旦那の離れの、書斎、兼、

応接間にオリヤス。

本当に、○屋の羊羹、出ましたョ。それに、お茶がイイね!親方ン家の

出がらしタァー別物ダネ。デネ、羊羹も、お茶もイタダイちゃったンデ、

アタイ、手持ち無沙汰で、さっきカラ、旦那が机に向かって、しきりに指を

ツントンしてるノを、ジッーと見てんダヨネ。

するってーと、ヤッパ、何か、感じるんダネ。旦那の方から、

声かけて来たョ。

「オーッ、与太朗の兄ちゃんョ、もうチョイと勘弁ナッ!追っ付け親方、

来るカラ、それまで仕事かたしチマウんでナッ!」

「旦那、ブログっての、作ってんデスかい?大変っすネェ。

大工仕事だったら、アタイ、手伝えるんスけどネェ。」

「なんデェー、カワイイ事、言っちゃってクレちゃうネ。構わネェーから

コッチ来てミナ。」

デネ、アタイ、旦那の傍まで行ったんダケド、コレが凄いんダヨ。

粉薬じゃネェ、錠剤、ゥン?まだ違うナ、アッ、タブレットってのに、

一本指で文字入力ってのをヤッてる!だからネ、

「旦那、こりゃ、本当にエラいもんスよ!」

「オヤ、そーカイ。アッ、そうだ、コイツはヨー、オイラのブログの中で、

オメェーさんが出てるトコの原稿だ。親方、来る迄、読んでミナ。

構わネェーよ。」

デ、渡された原稿、一目見て、アタイ、本当にビックリしちゃった。

「旦那、これ、本当、スゲェーじゃネェーすか。大したもんスョ。」

「オッ!判るンかい?イイねェー。ァッ、お茶と羊羹、もうネェーやな!

今、お代わり持って来させっカラ。ォッ、そうだッ!おっ母さんの土産に、

一二本、持ってけ、持ってけ。オーイッ!与太朗の兄さんに、お茶と羊羹の

お代わりダヨ!同じ味んジャ駄目ダヨ!今度のは、抹茶味の切っトクレ。

それから、新しいヤツ、三四本、何でもイイから持って来トクレ!急ぎダヨ! 

ナーッ、で、ドコが、そんなに、凄いんダイ?」

「だって旦那、何が凄いって、コレ、全部、暗号じゃネェーすか!

全く読めネェ!」ってアタイが言ったら、旦那の顔色が、サーって変わって、

次の瞬間、旦那の右手がアタイに向かって、飛んで来たッ!

ダケドね、アタイ、いつも親方に頭ヒッパタかれテルでしょ。親方のパンチ、

150Kmだと、旦那のパンチは、50Kmてなモンだから、楽勝でコイツを

ヒョイとカワス。ッてーと、今度は、お代わりで、旦那の左手が飛んで来る。

で、ソイツもヒョイとカワスはずが、後ろから突然に150Kmが飛んで来た!

「アッ!親方!急にズルイや!」

「何がズルイだ!バカヤロー!旦那、どんな不始末か存じやセンが、

アッシに免じて、御勘弁頂く訳にはメェーりゃセンカ?この野郎の事ァ、

ガキの頃からアッシが面倒見てヤシテ、気立ても百も承知してオリヤス。

決して、ワザと悪さナンザ、シヤセン。何かの行き違いに決まってヤス。

ナァー、与太、そーダヨな!俺ッチも一緒に謝るカラ、オメェーも早く

旦那に謝ん……….

オヤッ?与太、オメェー、泣くのカヨ……、エーッ?チョッ、チョッ、

チョッと待っターッ!

旦那、悪いンすケド、チョッと待ってオクンナさい。テェーのは、この野郎、

テメエが悪いと知ってる時は、ヒッパタかれヨーガ、張り倒されヨーガ、

デヘデヘ笑ってやがんスヨ。ケドね、与太なりに、理不尽だって時ャー、

アァやって、口をへの字にして、下向いてジィッと我慢して、そのうちに、

口の端が震えて来て、涙が……って、オイ、オイ、オイ、マッタ、マッタ、

与太、マッタ!ガキじゃネェーんだから泣くんじゃネェー!何が有ったか、

今、全部、聞いてヤッカラ、話してミナ!」

「何言ってんデェー、一番悪いの、親方デェー!訳も聞かネェーで、急に頭

ヒッパタいチャ、いけネェーやぃ!」

「何デェー、俺カヨ!そりゃ勘弁ナッ!悪かった!で、何が有ったンダ?」

デネ、アタイは、これ迄のイキサツを親方に話したんダヨ。こんな具合にネ。

「アノネ、旦那、いい人ダヨ。チャンと○屋の羊羹も、お茶受けに出たよ。

デネ、旦那、ブログっての作ってんダケドね、コレがエラい手間ミテェーで、

アタイ、手伝ってもよかったケド、アタイ、タブレットっての出来ネェーから

シャーネェーやぃ。そんデネ、旦那が、アタイが出てるッテいうブログの原稿

の束、渡してクレテ、これ読んでミナってカラ、アタイ、すぐに原稿見タんだ

ヨネ。そしたらネ、コレがスゲェーんだヨ!一ッつも読める字がネェ!

束の中も最後んトコも見たんだケド、同じダヨ!全く読めネェー!

デ、アタイ、思ったんダヨ、コレは暗号に違いネェー!エニグマも、

真っ青ダヨ!」

(旦那、ドッカで暗号機、手に入れタ!きっと、コンなダネ。旦那、角ッチの

古道具屋の前を通ると、主人がスーッと出て来て、こう囁くョ。『掘り出し物

掘り出し物。内緒ですゼ!旧帝国陸軍の秘密研究所が、極秘裏に開発していた

暗号機、ホラ、ドイツの有名なエニグマってのパクって、日本語用に取ッ換え

たッテー、箱書き付きの、完全に胡散臭い、ジャない、由緒正しい代物。

血統書も有りヤスぜ。¥○△でドースカ?』『半値にナルかい?』

『八割引までOKッスよ。』『ジャァ、家に届けといてネ。』ッテー、

眉がツバでビッチョビチョのコイツが、なんと、大当たり!チャンと使えル。

コイツを、旦那、使いまくってイタと思いヤス。)

デネ、嘘だと思ったら、親方も、自分の目で見てミリャ良いんだョ!

アタイもダケド、親方ダッテ、字は○で×、ゥン?違うナァ、

アッ!マルでダメだ。たまに自分の書いた字が読めネェー時も有る。

凄いデショ!金くぎ流免許皆伝と一番弟子。(って、ヤッパ、エバレま

せんか?)でもネ、旦那のは、下手だの汚いを超えた、別次元!暗号ッスよ。

(親方ン家で、親方一杯引っ掛けテテ、赤い顔して、アタイに向かって、

『ナァ、与太!字が汚ネェーッタって、気にする事ァネェ。俺ッチ達は、

大ぇー工ダ!金くぎ流は、アタボーでぇー!ヘン、俺ッチ様は、金くぎ流免許

皆伝でぇー!コン次は、与太、オメェーが免許皆伝ダ!ヒクッ!……』

ッテたら、後ろの襖がサッと開いてオカミサンが仁王立ちで微笑んデル。

こりゃヤバイ、って思ったケド、遅かった!

もうオカミサン、親方の真後ろにいて、物言わずで思い切り親方の頭、

張り倒スと、横から親方の持ってる徳利取り上げ、中身の酒、顔にブッか

けると、今度は真ん前に立って、雷ドカーンとオッコとした。

『与太の字が一向に上達しない、アタイが教せえテンのにオカシィねぇー

ッテ、こう言う訳カイ!何が免許皆伝ダ!免許ッテなら人様の役に立つのに

シトキナッ!どーせアンタの免許ナンザ、何が書いて有るのか、

誰も読めネェー代物サネ。ザマーネェーやね、このトンチキ!黙ってナイで

何とか言ってミナ!』ッテも、親方、頭、張り倒されて、目がヒックリ返っ

ちゃってるから何も解んネェーはずナンダけど、あんまり可哀想ナンで、

アタイ、言ったんダヨ。

『アノネ、オカミサン。オカミサンは、お顔もキレーだし、字もキレーだよ。

だからネ、お口もキレーにした方が良いーんジャないのカナ、と思う今日

この頃ナノです……ヒクッ…..。』ッテたらネ、

『オヤッ!与太!アタイ、キレーかい?そーカイ!カワイイ事言ってクレル

ねぇー。シラフだったらモットうれしーんダケドね、チョッと待ってネ、

(ココで、親方の頭、ヒッパタクと)アンタ!何時までオネムしてんダイ!

起きテ下サイましな。ねぇッたら、お前さん。愛しの君、アタイの光源氏

サマ。おとなしく頼んデル内がハナだよ……』って、サスガに、付け焼き

ジャ、無理がアリマス。デヘッ、アレッ?オカミサンの声、聞こえマセンょ。

まっ、イイか?デネ、オカミサン、本当にキレーだし、字も上手ダケド、

切れると、スゲェーんダヨ。親方も切れるとスゲェーけど、一歩も引いて

ネェー。対決したらドーなんダロ?真っ向勝負!ゴジラ対メスゴジラ、

ゥン?チョッと違うナ?まっ、イイやッテ、アタイの話、何でしタッケ….? 

アッ、ブログの旦那の字が、暗号に違ぇネェーって、話ダッ!何しろ、

アタイの話、飛びまくるデショ、アタイ自身も行き先不明で、困ってマス。

ウイッ。デヘッ。

方向音痴のメダリスト。この前もネ、『ソウダ、富士山に行こう!』で、

西に向かって進んでタラ、知らないトコに着いチャッタ。

樹海に迷うハズが、見渡す限りの草原。風が渡ってゆく。

遥か向こうには、雄大なオヤマが有りヤス。で、通りがかりのヤケに背の高い

兄ちゃんに、山の名前を聞いてみた。日本語、通じナイですょ。誰?この人。

身振り、手振りで、やっとコサ、答えデス。『水饅頭(まんじゅう)山』

じゃネェー、『細かい水の饅頭』もうチョットかな、『霧饅頭』、

アッ『キリマンジェロ』ですョ。そー言ャー、さっきの兄ちゃん、

ヤケに日焼けしてたケド、1里も先の茂(しげみ)に、獅子が隠れてアタイを

狙ってるミテェーな変な事、言ってたラシイけど、嘘でしょッテ、エーッ!

マサカ!嘘デショー!! 草原の海の中、何か、コッチ向かって一直線が

来ヤガルーッ!! アーッ!牙ダラケの大きな口、もうソコまで来たーッ、

ヤダーッ!もうダメだーッ…………!

 

『ホラ、ドーシタの、与太。チャンと起きナさいな。』

『アッ、オカミサン……。アタイ、ドーシタの……?』

『ドーシタのジャないヨネ、ヨダレ垂らしチャッテ。慣れないオ酒、

飲むカラ。言わんコッチャ無い!マァ、ウチの人が、飲ませチマッタんで、

悪かったヨ。ダケドさ、与太、アンタ、さっき、“オカミサンはメスゴジラ”

とか言って無かったカイ?』

「絶対、言って無いッス!“オカミサンはメカゴジラ”、じゃネェー、

“ゴジラ対メカゴジラ”って言ったッス。怪獣映画の話ッス。』

『ゥフッ、すっかり醒めチマッタね。ウチんヒト、目回してたケド、さっき、

布団に放り込んどいたカラ、今じゃ大イビキさね。で、与太、もう遅いカラ、

今日は泊まってキナ!アンタのオッ母さんトコには、アタイがコレから

知らせに行く、ってヨリ、お土産持って、泊まりに行くカラね!

女子会だよ!タマにゃイイでショー。朝ごはん、オムスビこさえといたカラね。

まっ、アンタ達が起きる迄にゃ、帰って来るツモりだけど、間に合わ無かっ

たら、味噌汁暖めてチャンと食べるんダョ。与太の布団、敷いといたカラね。

じゃ行って来るネ!』ってンでオカミサン、アタイん家、行っちゃったヨ。

で、アタイは、戸締まりして、親方の隣の布団の中に入ってるンだけど、

ドコから夢だか解りませんデス。

コレも、夢カナ?って、第一、アタイの話って、何でしタッケ?

アッ!ソーだょ!

ブログの旦那の字が、エニグマも真っ青の、暗号ダッ!って話だョ。

ソーだ、ソーだった。)

デネ、親方、コレ、実物の原稿ダヨ。

ネッ!凄ェーでしょ!

紙に書いた『知恵の輪』。その大品評会、ッテより、『知恵の輪』の

大名行列。延々と、続いテル。アタイ、本当に、感心しちゃっタョ。

(デ、アタイが、この事を、旦那に言ってタラ、親方に闇討ちで、

頭ヒッパタかれマシタ。)

そんでネ、ブログの旦那、コレを解読した上、指1本で文字入力するンダヨ!

親方の話ジャ、ブログってのは、パソコンで両手使ってピアノを弾く

ミテェーに作るって言ってたケド、旦那のは、違う。超高速撮影、

又の名をスローモーション。

ピアノだと、お子ちゃま用のオモチャのヤツ。それを、哺乳ビン片手の

赤ん坊が、一本指でタタイてるのと同じ。

普通なら、タタタカ、タタタカ、タッタカ、タタタタ、タタタンタン、

てな具合のハズが、

旦那のは、タン、……、……、……、タン、……、……。タン?……、……、……、

……、タン……。

日が暮れチマウどころか、夜が明けチャウよ。

コリャ、エラい事ですョ。

それでネ、こんなコッチャ、旦那のブログ、出来上がるのに『10年カカルか、

20年カカルか、まるで敵討ち(カタキうち)ダッ!』って、アタイが言うと、旦那の顔色が、

一瞬で変わったョ。

それ迄、口をトンガラかしてたノガ、パッと、ニコニコ顔に変わった。

好物のお菓子が、急に、目の前に出て来た時の、オカンムリのお子チャマと

同じダョ。

で、旦那、こう言ったョ。

「親方、お前さんの言ってた事ァ、嘘じゃネェーやな。イーね、イーね!

エーッ!親方も下向いて、笑うの我慢してネェーで、顔上げナッ!

肩、震えてるョ。大丈夫、怒りゃシネェーから。オイラの字なら、

口の減らナイ連中は、やれ『紙に描いたインカの縄文字だ!』だの

『篆書字(てんしょ字、ハンコの字体)の特一級の乱雑体』だの、

言いたい放題。慣れッコだよ。

ケド、『知恵の輪の大名行列』っちゃアー、一理アらぁー。

親方ァ、知らネェーだろーケド、さっき与太の言った、『10年カカルか、

20年カカルか……』ッテのは、一級品の映画のセリフなんダヨ。」

それから、旦那、アタイに聞いて来た。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、オメェーさん、山中貞夫、好きカイ?」

「アッ、アイ。大のお気に入りダイ!『河内山宗俊』も、『人情紙風船』も

イイんだケド、ヤッパ『丹下左膳余話、百万両の壺』が一番デェーッ!」

「ホーッ、話せるネェー。ソーダッ、与太朗の兄ちゃん、ちょっと早いケド、

夕飯食べテケ。仕出しに成るケド、好きなの、頼んでヤッから。

親方もドーデェーッ、1本付けとくヨ。」

「有難う御座ぇーヤス。アッシは、まだ仕事残ってヤスんで、お言葉だけ

頂戴いたしヤス。この野郎は、仕事、上がってマスんで。オーッ、与太、

よかったジャネェーか。有難く頂戴しときナ!

ジャ、旦那、アッシはコレで失礼致しヤス。」ッテんで、親方、帰っちゃッタ。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、何にスル?好きナノ言って見ナ!」

「ジャー、アタイ、天ぷらがアッテ、鰻がアッテ、それから、刺身……やっば

刺身はイラネェ……。」

「ゥン?ドーしてダイ?アッ!おっ母さんの事かい!親方から聞いてるョ!

若ぇーのに偉ぇーもんだョ、ナァ。お前さん、ご馳走、食べる時ニャー、

おっ母さんの分、必ずって程、持って帰るんダッテな。女手ひとつで、

お前さんを育て上げた苦労、お前さんが一番解ってるカラだッテ、親方、

言ってタゼ。この陽気ジャ刺身、傷んじまうッテんだろ?大丈夫だよ、

保冷パックてのが有らぁーナ!ギンギンに冷えた刺身、おっ母さんの土産に

持たせてヤッから、安心して、お前さんも食べてキナ。」

「ジャ、アタイ、食べてく。」

ッテんで、アタイは、天ぷらと鰻と刺身の御馳走を戴きマシタ。

デネ、同ンナじ御馳走の黒塗りの御重を入れた、銀色の保冷パックってノを

ぶら下げて、アタイは、お家に帰る途中ですョ。

ブログの旦那、こう言ってヤシタ。

「お前さんの言う通り、オイラのブログ、まるで敵討ちミテェーに

成っチマッタ。それで ヨー、ブログ仕上げる間、お前さん、助っ人して

クレねぇーか、ってコッタよ。心配ご無用、ホラ、さっきの『山中貞夫と

百万両の壺』の話ナンザを、チョコッと仕上げリャ良いんダヨ。手間賃、

ハズムよ!頼むワァ!何?字が金くぎ流?馬鹿にしちゃイケネェーやぃ!

オイラの字は、泣く子も黙るエニグマ様デェーッ!カテゴリー5と1の力量の

違いヨーッ!お前さんの字を読むナンザ、赤子の手ッテなもんデェーッ!」

この後、ブログの旦那、いかに自分の字が凄いのか、ツバ飛ばして、

ひとしきりノタマッてオリやシタが、早い話、旦那の字は凄ェーきったネェー

って事で、そんなにエバルコトじゃアリマセン、とアタイは思いマシタが、

随分、ご馳走してモラッチャッたし、最初にエニグマだって言ったのアタイ

だったし、ココは、スルーっす。アタイ、センテンス長くて、クタビレます。

でね、アタイ、今、旦那の手伝いシテヤス。

『与太朗の千夜一夜』って名前もイタダキやしたンで、最初の原稿と、

この前の空の重箱の入った、銀色の保冷パックぶら下げて、アタイは今、

旦那の家に向かってイヤス。

手間賃もウレシーんだケド、アタイはヤッパ、ご馳走の方がイーね!

今度は何にシヨーかな?デザート有ったりシテ……デヘッ、アタイ、

早く行こーッと。

テんで、アタイ、今、ブログの旦那の離れの、書斎、兼、応接間にマタ来て

オリヤス。

旦那は、向こうの机にチョイと腰を乗っけて、さっきアタイが渡した原稿を、

ペラペラめくって読んデラァー。

「オーッ、与太朗の兄ちゃん、上等ダヨ。日曜の休みに、ワザワザ有難ナッ!

テーブルの上の封筒、駄賃入ってるヨ。持ってットクレ。さてと、丁度、

昼時だヨ。今日は、何ご馳走しようカナ?オイラも付き合うカラよ。

オッ、そうだ、お前さん、デザート、アイスでイイかい?大丈夫、土産には、

ドライアイスっての放り込んどくカラ。」

「(アリャマ、デザート、当たりでしたョ)アタイ、それでイイッす。」

でね、アタイの原稿が、本当に、旦那のブログに成りマスョ。

タイトルは『与太朗の千夜一夜』。

中身はネ、山中貞夫の『丹下左膳余話 百万両の壺』ダヨ。

(ダケド、アタイは思うのデス。旦那は、自分のブログが遅れてるカラ、

替わりに、アタイの原稿を使うンだって言うケドね、アタイの原稿も、

旦那が指1本入力するンだから、旦那のブログが出来るの、かえって

遅れチマウんじゃネェーのか?って、心配してオリヤス。マッ、旦那

は、『心配ご無用!ガハハハハッ!』テナ調子ッすケドね。アタイは、

ご馳走とアイス持って早くお家に帰ろーッと。デヘッ!)