「君の名は。」と「天才バカボンのパパ」part1(part3 出来マシタ)

「君の名は。」 滝君は、天才バカボンのパパなのか?

(ネタバレどころか、バーレバレデス。映画を御覧になっていない方は、絶対に、読んではイケマセン!以上、危険情報のお知らせデシタ。)

 

傑作漫画「天才バカボン」の「パパ」の名セリフがコレです。

「忘れようとしても、決して思い出せないノダッ!コレで良いノダ!」

良くありませんッ!

こんな事が許されるのは、「バカボンのパパ」だけです。

しかし、本作の滝クーンは、まさに、「バカボンのパパ」 状態です。

次の2点で。

1番目。

彗星落下という、人類史上の大事件を、滝クーンが、スッキリサッパリ忘れチマッタ点 。(サジだらけなんで、スルーです。尚、サジは、投げるヨリも、置いた方が、ヨロシイヨウデ。当たると、結構、イテェーですヨ。)

2番目。

これ、ほとんど、ご指摘が無く、不思議でなりません。

これを、ズボリ、いやズバリ、あるいはネチネチと、指摘するのもナンですので、ここは  時代を越え、大岡様、いや遠山の金さんに出張って頂き、吟味といたしましょう……….。

速くも、時空は変わって、O町奉行所のお白州。敷かれたゴザに???状態で神妙にポケッと座っている、本作主人公、滝くーん。

(そして、後方に控えている謎の何者か………..。)

遠山の金さん、早くも登場。

(奉行) 「エーッ私が奉行の金さんです。エリートの大岡君と違って、ザックバランですから、大丈夫ですよ。滝くーんは、御神体の祠の前で、口噛み酒を飲んでヒックリ返った瞬間に、当奉行所特殊チームが身体確保、時空を瞬間移動させて、現在、ココに在りマス。ネッ!

エーッ、吟味が終わり次第、ヒックリ返った「瞬間」に戻しマスので、心配しないように。

勿論、ここでの記憶は、全て消去しマスから。

何ったって、このお白州は、君の映画なんて目ジャない位、何でもアリですからネェー。

さて、滝くーん。ここ迄の説明で、何かご不明、お分かりにならナイ点はゴザイますか?」

(滝) 「ハイ。お奉行様は、韓国の方ですか?」

(奉行) 「早速のご質問、有り難う御座います。お答えします。それでは遠山の「キム」さんにナッチャイますネ。違いマス。私は「きん」さんです。正しくは、遠山サエモンのジョウです。ジョウと言っても、特上、上、中、並の、上ではありません。(左右衛門之尉と書きます。)サエモンの並、とか、サエモンの特上は、頼まれてもアリませんョ。念の為。良いですか。それでは、吟味を始めマス!」

[奉行、改まって]

(奉行) 「OO滝、平成O年O月O日生まれ、OO高校2年、東京都O区O町O番在住。アナタは、ここ数週間、OO県O市糸守町OO在住の、OO高校2年、OO三葉と、睡りを契機として、その身体が相互に入れ替わり、当初は夢か?と思われたが、その後、諸点より、現実に身体が入れ替わっているのだと、確信するに至った。

しかし、その入れ替わりには、何と、3年の時間のズレが生じていた、と判明。アナタが入れ替わった本件三葉は、アナタの暮らす、平成28年ではなく、遡る3年前、かの彗星落下直前の平成25年O月に暮らす本件三葉であった。

以上、相違ナイですか?」

(滝) 「その通りです。」

(奉行) 「それでは尋ねます。アナタが右手首に二重巻にしている、ミサンガの様な紅いテープ状の物は、奉行には絹の組み紐の様に見えますが、それは何に使うのですか?」

(滝) 「これは、御守り替わりに、付けているものです。」

(奉行) 「滝くーん、アナタはその紅い組み紐を、通学時にも、バイト時にも、つまりは、ほとんど肌身離さず、着用している。ツマリは大事な物に、違いない。ソレは、どこで入手したのですか?何時からソレをしているのですか?」

(滝) 「これは、人からもらったような…….? 何時と言われても、結構、以前から………..?」

(奉行) 「何!それほど大事にしている物を、オヌシは余り覚えていない、というより、ほとんど思い出せない、と申すカ!」

(側役人) 「 (アッ、お奉行様の言葉使いが、時代劇風に変わった!皆さん、これからお奉行様が話す場面は、この映画をご覧になった、極めて少数派の小学生の良い子達も、全てお判りの事ナンですが、本題は、その後デスので、判り切っていても、しばし、ご容赦下さいネ。) 」

(奉行) 「エーッ、当奉行所の調べには、こうありマス。

時は今から3年前、それも彗星落下の大事件の1日前、当時中2の滝くーんは、学校を終えて、帰宅途中の混み合う電車の中で、勉強の暗記物をしていた所、アニメのヒロインが出来そうな美少女が、突然、滝くーんの隣りに迫って、名前を呼ばれた。と、ありマス。

その場面を、奉行が再現してみマス。

エーッ、オホン(…….少女の声で…….)

「滝……….君………。滝……君………..。私の事……、覚えて……..イナイ…….?」

ここで、滝ョ!オヌシのその時の態度は何ジャ!!!! 「何ダ、変な女?」ダトッ!! モッタイナイ!アリガタイ!ナサケナイ!。オヌシはアホか!バカか!マヌケか!ニホンノダンシか!テメェ!バカヤロ!コノヤロ!チキショー!ゼッタイニ、ユルセネェー!アホ!!バカ!マヌケ!!○△×※◎#×………..!!!!」

(側役人) 「お奉行様、全部カタカナにナッチャッテマスヨ!アッ!ウツッタ! コラッ!お奉行!お気を確かに!リセット!オン!」

奉行、我に帰り、深々と礼。

(奉行) 「皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けして、又、大変お見苦しい所を……….しかし、…….ヤッパリ、テメェ!カンベンナラネェーゾ!!」

(側役人) 「リセット、オン!」

(奉行) 「ハッ!失礼致しました。吟味を続けます。 その美少女は、オヌシのつれナイ態度に、あきらめて「滝…….君…….」から離れ、電車を降りる。

その間際、オヌシもやっと我に帰り(奉行と一緒ジャノー)その少女を呼び止めておる。

そして、このセリフジャ!この映画のタイトルじゃナ。

「君の名前は!!」

すると美少女はその瞬間、覚悟を決めた様に、髪を結んでいた紅い組み紐を振りほどいて、オヌシに投げかけ同時に、精一杯の声で答える。

「私の!名前は!ミツハ!!」

滝くーん、オヌシと三葉が紅い糸で結ばれた瞬間ジャ。

そして、滝ョ!オヌシが今、その右手首に大事にグルリと巻いている、紅い組み紐の出所こそ、この場面で美少女に渡された物であり、その少女こそ、本件三葉に相違ナイ!!明々白々ジャー!!

(奉行が控えの役人に小声で尋ねる。)

(念の為に聞くネ。この時の紅い組み紐と、滝くーんが今してるのと、DNA鑑定は一致しているの?エッ?DNAジャありません?ソーナノ?何?良く聞こえない。組み紐の編み方、色目は、完全に一致しているの?YESorNO? YESネッ!OK,OK!)

[良い子の皆さん、お待たせしました。本題の始まり!]

(奉行) 「さて、問題は、ここからジャ!のう、滝ョ!今から数週間前、最初にオヌシと本件三葉の、身体入れ替わりが生じた際、オヌシはノートにこう書きなぐってオルナ。

「お前は誰ダーッ!!」と。間違いあるマイナ!」

(滝) 「間違いありません。」

(奉行) 「ハイッ!それでは、判決を下します!速いデショ。即決!何でもアリ!」

[奉行、改まって……….]

「主文。「それはネェーダローヨ!!!!」

以下、判決理由を述べます。

判決理由 その1。 顔

入れ替わりの初日、オヌシは、少女になった己の姿を確かめようと、鏡を見たな! その時、鏡に映った本件三葉の顔を、オヌシは100%スッキリ、サッパリ忘れていたトデモ申すカッ!オヌシが右手首に大事に巻いている、紅い組み紐の渡し主である、本件三葉の顔を!! それが許されるのは、世の中広しと言えども「天才バカボンのパパ」だけジャー!!

判決理由 その2。 名前

入れ替わりの初日、オヌシは、入れ替わった少女の名前で、何十回となく呼ばれておるハズジャ!

即ち、三葉(ミツハ!)、三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),三葉(ミツハ!),………..(アー、クタビレタ)…….とナッ!

のう滝くーんョ。3年前に、オヌシ自ら少女に聞いたのでアロウ、「君の名前は?!!」と。

そして少女は何と答えた?「個人情報は教えタカアリマセーン!」とでも申したか?

少女はハッキリ、精一杯の声で答えたでアロウ「名前は!ミツハ!!!」と。

オヌシの頭の中で、「ミ・ツ・ハ・」の名前は、100%アッサリ,スッパリ、どこに消えたと言うのジャー!!

「ピーン,ポーン,パーン……….O町奉行所からのお知らせです。滝くーんの頭の記憶の中で、「ミ・ツ・ハ・」の名前の行方が、判りません。「ミツ」は、一ニ三の「三」、「ハ」は、若葉の「葉」。お心当たりの方は、お近くの番所、又は奉行所まで、お知らせ下さい………..。」テナ事はセンゾ!アホタレが!バカボンのパパなのか、オヌシは!

判決理由 その3  運命の紅い組み紐

滝くーんは、運命的な出逢いをした、本件三葉の顔も名前も、100%想い出せないと申すのダナッ!

「だって3年も前の事だから、無理ーっ。」とでも申スカ!アー,ソーカイ。

しかしダナッ!オヌシが今、右手首に大事に巻いている、紅い組み紐をヨモヤ忘れた、トハ言ワセネーゾ!

(側役人) 「 (段々、言葉使いが乱暴にナッテ、カタカナが増えて来た。何ダカ、ヤバソウ。アッ!又ウツッタ!) 」

その出所こそ、本件三葉の髪止めの、紅い組み紐でアル事、当奉行所の調べで明白でアル。

彗星落下の前日、帰宅途中の電車の中で、本件三葉から紅い組み紐を手渡された事スラ、オヌシが、スッキリ,サッパリ忘れチマッタと仮に認めようジャネーカ。

それでもナァ、滝ョ、オヌシが本件三葉と入れ替わっていた、ここ数週間の間、オヌシの今、右手首に大事に巻きつけてアル、紅い組み紐と同一の物を、本件三葉がトレードマークとして、髪止めに使っている事に、全く気付かずに過ごせたとデモ申すノダナッ!

マッコト、相違ナイナッ!!

滝くーんョ、答えんノカ。

ここで、判決主文の再登場デス。「それは、ネェーダローヨ!!!」

ソーマデ、シラを切るナラ、奉行が「これなら、ソーダローヨ!!」の場面を示して進ぜよう。

エーッ、オッホン。

場面 A

入れ替わりの初日、本件三葉の身体になった滝くーんは、訳が解らす゛夢かと思っている。

それでも何とか制服に着替え、渋々、学校に行こうと、玄関に向かう。髪はバッサバサ。

その後から、見送りに来た祖母の一葉が、声を掛ける。

(一葉) 「チョイマチ!何だい、その髪は!ドーシタン、アンタ!いい若い娘が、そんな髪で表に出るモンじゃ無いョ。(妹の)四葉!いつもの姉ヤンの髪止めを取っといて゛。」

ランドセル姿の四葉は、玄関先で、もう靴を片足履いている。

(四葉) 「いやダー、学校遅れルー。」

(一葉) 「私シャ、コン娘の髪とかしとるケン、早ョ、持って来!」

[ 方言、メチャクチャです。]

四葉、仕方なく、ランドセルを背負ったまま、2階へ向かう。

一葉、三葉の髪をとかしながら、

(一葉) 「お前ン髪は、母さんの二葉に似て、猫っ毛のクセっ毛ヤキ、ソンデン、マッコト綺麗な黒髪や……..、大事にせにゃあイカン。」

四葉が、階段をドタバタ駆け下りて来る。手には三葉の紅い組み紐。一葉に渡そうとする。

(四葉) 「 ホイ、バッチャン!」

(一葉) 「私シャ手が一杯サケ、四葉、アンタが渡してヤリ。」

四葉は、玄関先に降りて、乱暴に靴を履くと、座っている三葉の前に立つ。

(四葉) 「ホイ!バカ姉 (バカネエ)!コレッ!」

眼前にコレ見よガシに差し出された、紅い組み紐を見て、滝 (三葉)が言葉を失う。

(四葉)  「ホレ!バカ姉、何シトル!取らんカッ!」

(滝 [三葉] ) 「コレ ……….. 俺の ………..(組み紐 ……..) …….!」

(四葉) 「何が俺のジャ! アタリ前!ア・ン・タ・ン・ジャ!!」

滝 (三葉)、無理やり掴まされた、紅い組み紐を握ったまま、反応がない。

(四葉) 「ンモーッ!先行くデッ!遅刻や!」

四葉、玄関の戸を開けっ放して、走り去る。  足音が遠のく…。

(一葉)  「コレッ、チャンと閉めていかんカイ……….。」

一葉の声が滝 (三葉) からフーッと、遠のいて行く ………. 同時に滝 (三葉)の視界の全てが、白く霞んでゆく。

フラッシュバック 。

白い霞の向こうに、開いた電車の扉が現れる。

その向こうに、何かを話しかけている少女 …… 髪を紅い組み紐で結んでいる。

顔はボヤケて解らないが、口だけが動いている。

声は、届かない。

無音の世界 ……………..。

フリーズしている滝 (三葉)に、一葉が気付いて、声を掛ける。

(一葉)「ドーシたんネ、三葉 (ミ・ツ・ハ・)!何かアッタンカ?」

滝 (三葉)、一瞬、我に帰る。

一葉の言葉が刺さる。

(滝)「 (ミ・ツ・ハ・……………? 俺の名前 …………….? ……….!! )

次の瞬間、再び視界が白く霞んでゆく。

今度は、すぐ目の前に、独りで立っている少女。

顔形はクリアだ。

何も無い白い世界で、三葉が2人、向かい合って、立っている。

(滝 [三葉 ] )「 …………….鏡を見テイルノカ? …………!イヤ、違ウ…………?

今のオレは ………….、君ハ …………3年前ノ ………..アノ時ノ ………. 君カ ……….? 」

少女は、決心したように、髪を結んでいた紅い組み紐を解くと、もう一人の三葉(滝)、の右手首に結び付ける。美しい蝶の結び。

その右手にソッと、両手を添える。

そして、名前を呼ぶ。

「 ……….. 滝 ………..君 。」

瞬間、もう一人の三葉 (滝) の身体が、滝 本人に戻っている。

何も無い白い世界。

向き合って立っている滝と少女。

少女が滝に語りかける。

声が、ハッキリ聞こえる。

「私の名前は ………..ミ・ツ・ハ・………..!!! 」

(滝)「 (……….ソウダッタノカ!! ) 」

全てを悟る、滝くーん。

(滝)「 (オレは、3年前に逢いに来てくれた、アノ三葉になってる夢を見ているのか ……….!! ) 」

途端、我に帰る、滝くーん。

右手首には、紅い組み紐を結んでくれた、三葉の指の温もりが残っている。

まだ焦点が定まっていない、滝くーん ( 三葉 ) の様子に、一葉が気付く。

(一葉)「三葉、本当にドーシタン?しっかりセント ……….!」

一葉が髪から視線を落とすと、三葉 ( 滝 ) の手首に紅い組み紐が、蝶の形に結び付いているのに気付く。

(一葉 )「オヤ?、お前、ソレ独りで結んダンカ?………..」

(滝 [ 三葉 ] )「 ………..オバアサン ……….」

滝( 三葉 ) が、一葉に顔を向ける。

(一葉) 「何カネ、三葉。ウン?……….お前 ……….今、夢見とったナ ………..? 」

次の瞬間、ハッ!となる一葉。

(一葉)「三葉 …………アンタは ………….誰ジャ ……….?…..!! 」

 

以上、全巻の終わりジャー。ドウジャ!「これなら、ソーダローヨ!」にナルダローョ!

場面BもCもDもあるが、チョイとクタビレタので省略ジャ。

のう、滝くーんョ!

コレでも知らぬ存ぜぬを通すのなら、オイラはいざ知ず、背中の桜吹雪のイレズミが、黙ッチャイネーゼ!!

ドーデー!滝くーんョー!覚悟を決めて、答えヤガレ!」

(滝)「ハイッ!お奉行様は、暴力団関係の方デスカ?

お奉行様の背中のイレズミは、シャベルのデスカ?」

(奉行)「早速のご質問、有り難うゴザイマス。それでは、お答えシマス。エーッ、奉行の時代のイレズミは、一般に、消防署員、ジャナクテ、火消しの兄さん達デスネ。 又、鳶(トビ) 職のお兄さん達も ………..テユーカ、待テ、シバシ待タレヨ!コレ、変デショ! 何で奉行が答えニャいかんノダ!聞いテルのは、奉行の方デショーガ!!

第一、何ダ、滝、オヌシの質問は!

背中の桜吹雪のイレズミはシャベルのか?ダト?

エーッ。それが結構シャベルんです。オハコは桜つながりで落語の「長屋の花見」で、2番目が「愛宕山」………..テユーカ、ソンナ、ワケ、ネーダロー!!

黙って聞イテリャ、イーキにナリヤガッテ。

自慢ジャネーガ、オイラハ、奉行所始マッテ以来の切れ者の評判が、まかり通ってイルンダゼー!コーナッタラ、ブチ切レルシカ、ネーナ!

ヤイ!滝!コノヤロー!テメェー …………….テカ………..アレッ?……….少々お待ち下さい ……….。

評判の「切れ者」って、コッチの「 (ブチ) 切れ者」ナノ?「 超頭イイなーの、切れ者」の方ジャナイノ?

エッ?「ソッチは大岡様の方?」ソウナノ?本当?本当に本当?知ラナカッターッ………..!!

無念の極みジャー!! エーイッ!コーナリャドーデモイーヤ!!」

(側役人)「 (ヤバイ!お奉行様、タブーに気付いた。確実にコワレル。オッ!お奉行様の瞳が、怒りに満ちている。こう成ったら、もう誰にも止められない。お奉行様第3形態ダ!

コノママで良イノカ?イヤ、ヨクナイ。デハ、ドウスレバ……….アッ、又ウツッタ!) 」

摩訶不思議な緊張感に支配されようとする、お白州。

ソコに突如響く、何ともシマリの無い一声。

「おっ…おぶぎょうさま…‥。おぶぎょうさまー!!」

(奉行)「ンッ?誰ジャ、拙者ヲ呼ぶのは?ソレも、ひらがなデ!エーッ? エーと、どなたデスカ?」

(謎の男)「アッ、アイ。」

(側役人)「(オッ!お奉行様の瞳から、怒りの色が消えた!何という慈しみの「アイ」ジャー!! 助かったー!!)

お奉行様に申し上げます。かの者は、この次に大岡様のお裁きとなる、「大工調べ」の訴え人、OO町に住まいます、大工の「与太朗」めに、ゴザイマス。」

風雲急を告げる、O町奉行所、お白州。

突如、現れた、落語の名キャラ「与太朗」

この与太に「金さん」ボッコボコにされ、与太与太、いや、ヨタヨタと成る、お馴染み(な訳無いデスカ)「金さんvs.与太朗」の一席 、本日は、チョイと、クタビレマシタので、此処までと致します。

続くーッ!!  有り難うゴザイました。有り難うゴザイました。

 

 

雄獅少年・ライオン少年 コノ映画、スゴイぞっ!

墨で一筆書きの獅子(ライオン)が、画面一杯に雄々しく躍動し、咆哮すると次の瞬間、獅子舞の頭(かしら)に変わる—-。

中国大陸での獅子舞の本質(舞踊、音楽、そして武芸の合体)と歴史が簡潔に語られる—-。

『斬新の極み』の美しいタイトルに魅了されマス。

そして、再び墨の獅子(ライオン)が画面から観客側に飛び出そうとする瞬間、画像はフルカラーのCG映像の痩せコケた野良猫と入れ替わる。路地裏を進み歩く向こうの路に、自転車を思い切り飛ばす、主人公の少年が現れる—-。

コノ映画は、『痩せた野良猫である少年』が、躓き倒れナガラも立ち上がり、『雄々しい獅子(ライオン)の少年』に育つ、見事な物語です。

そして、心を打つ美しい場面は、両の手指でも足りマセン。

巻頭、自転車を飛ばす少年を映し出す『風景』は、少年が村や街に暮らす人々の間だけで無く、草や木々に包まれた『美しい世界』で息づいて居る事が数カットで明示されマス。

最後に、冒頭の、もう1場面。

木綿(きわた)の紅い花が、閑かに咲き誇る林の丘に、少年が立つシーン。

(無知な私は、木綿(きわた)を初めて知りました。)

桜の花の10倍は有ろう大輪の紅い花が枝一杯に咲き乱れる木綿の樹—-。

運命のイタズラで出逢った『達人の少女』から、獅子舞の頭(かしら)を譲り受けた少年が問いかけマス。

「僕なんかに、獅子が舞えるノか?」

ソノ少年の頭に、木綿(きわた)の紅い花がフーッと落ちて来る—-。

その様を見て、少女が答える。

「キッと出来るワッ!『英雄の樹』とも呼ばれる木綿の花が君を選んだ!」

コウして『痩せた野良猫の少年』は、『雄々しい獅子(ライオン)の少年』への険しい道を歩み始めマス。

木綿の樹は、その間の全てに於いて、少年を、蔭で見守り、蔭で支え続け、そしてコノ映画の最後のクライマックスで、ソノ姿を現すのデス!

このアニメ映画を味わう為に、何らの教養も知性も必要有りマセン。

ソレは、天地を紅く染め上げる夕焼けの美しさを味わう為に、何らの知性も教養も必要無い事と同じデス。

完全なネタばれデスが、文字で綴った予告編と思い、ご容赦下さい。

サア、珠玉の本篇の始まり始まりーッ!

すずめの戸締まり ヤッパおかしい

御無沙汰してオリヤス。与太朗ッス。

相変わらず映画好きの『バカ』ッス。

何せ、頭、悪いンデ、この映画『すずめの戸締まり』も、難しくて、アタイ、良く解りませんデシタ。

デネ、沢山、沢山の人が、コノ映画、観てるンデ、ほとんどの人は、アタイより頭良いハズなんで、アタイが解んなカッタ所を、是非、教えて下さいマセンか?お願いします。

アノネ、アタイが解んなカッタ所、3つですョ。

その1、 主人公の『すずめ』ちゃん、保育園の頃に大地震(東北の震災3.11)で、お母さんが死んじゃッて、心の底に大きな傷が有るケド、この大地震の時、『ミミズ』の出て来た『扉』は、何処に有ったノでショーか?  

その2、 その時『扉』の『戸締まり』は『誰』が行ったノでショーか?

その3、 『戸締まり』は、結局、『失敗』したに違いネェーんだケド、『失敗』の『理由』は何だったんノでショーか?

以上の3つでヤンス。

デネ、アタイ、馬鹿なりに、途中まで考えて見ましたョ。

その1、 『地震』には、『震源』ってノが有るソーです。学校で習いました。

3.11震災の『震源』は、遠い遠い『海の底(沖合い130km)』だったカラ、『扉』も『海の底』に出来てたハズ。(アタイ、自慢じゃネェーけど、リッパな馬鹿ですケドネ、コレ、無理過ぎでネェーすか?)

その2、 アタイ、全く解りませんデシタ。無理。

その3、 コレ、何と無く、解ります。(ボヤっとダケドね。)

映画の中の、最初の『扉』の『戸締まり』は、(こう言っチャいけネェーすケド)震度5位の地震ですら、男一人じゃ無理で、女の子の助太刀が有っても、失敗してヤシタ。

デネ、東北震災は、エネルギーの量は1000倍以上ってカラ、沖合い130kmの海底に1000人集まったって、役に立たネェーから、250馬力ぐれぇーの『戸締まり道具』使うしかネェーけど、

海の底で使える『戸締まり道具』見当たりマセン。ヤッパ、無理過ぎ!

後ネ、『左大臣』ってノが『ミミズ』と格闘してたケド、『震災のミミズ』はズーっと巨大なハズなんで、もっと『上位』の偉い『神様』が、海底で格闘しても負け—-って、アタイ、馬鹿

に違いネェーけど、コレ、考えテテ、つくづくウンザリして来マス。アタイ、馬鹿ですカラ、これ以上、解りマセン。誰か助けて下さい。

そんでネ、この映画、冒頭12分間無料公開してるでショ。

アタイ、この映画観て、最初から、コリャ『オカシイ』やって思った所が結構有って、いつもダト、同じ映画、『重宝シネマ』で何度も観て、『ヤッパ解んネェー!イャだー!』ってなるンデやんすが、デヘヘ、今度は、楽ッス。

デネ、『オカシイ』所、2+1有りヤス。

その1、『すずめちゃん』が、校舎の窓、遥か向こうの山の中腹から、『煙のような物』が立ち登って来る姿に、顔が一瞬で青ざめる!だって、その場所は、さっき迄自分が居て、ドジ踏んで怖くなって逃げて来た辺りに違いなく、まして他の人には、その姿が見えていない—-。

デネ、『オカシイ』のは『煙のような物』の『大きさ』!

アレって、幅10mジャ効かネェー、幅40~50m位有るンじゃネェーの?(ホボ当てずっぽうデヤス。けどネ、山の手前の住宅地の家々の3軒分位は有りそうナンで幅50mッス。10mジャ、糸ミ

ミズっす!)

そんでネ、煙の立つ登ってる付近は横にも煙が広がってヤス。太さの3~4倍、150~200m位は土埃見テェのが広がってるンデやんす。

(アタイの仕事、大工なんで、物の『大きさ』には、チートうるさいンデやんす。

扉の大きさナンザ、尺、当てなくても、ピッタリ当たりヤス。

けどネ、アタイ、馬鹿ですカラ、『距離』になると、解りマセン!

遠くの『大きさ』、ほとんど解りマセン!ケドね、馬鹿なりに、途中まで考えて見たのデヤス。)

そんでネ、『すずめちゃん』が扉の有る『廃墟ドーム』に近付くと、『大きさ』、一変してるヨネ!

『廃墟ドーム』って、せいぜい幅40m~50m位でショー?って事は、立ち登る40~50mの『煙』は本当はドーム全てを覆う様に立ち登ってるハズでショー?

まして、地表付近は150~200m位は土埃に包まれてるンデ、『廃墟温泉街』丸ごと土埃の中に沈んでて、『ドーム』の位置すら、分かんないと思いヤス。

つまり、『すずめちゃん』は『廃墟温泉街』にすら、近付けないハズっす。

でもネェ、映画の中じゃ、『横に広がる土埃』は、いつの間にか消え去ってクリアーに、そんで立ち登る『煙』もドームの4分の1、10m位に大幅ダイエットでヤンス。

コレって『オカシイ』よね。

(ケドね、外国娯楽映画じゃコンなの、カワイイ方で、アタイのお気に入りのアサライム映画の.『メガ・シャークvs.グレート・タイタン』ナンざ、巨大ロボットのグレートタイタンが一軒家を遙かに超えた15m位で颯爽と登場するンデやんすが、対するメガシャークは、アメリカ軍の空母や戦艦をガブリしたり、ヒレでバシッと叩いて空中高く放り上げチャウ!超巨大っす!戦艦、長さ300mは有りヤス。デネ、グレートタイタンは超巨大メガシャークと一騎討ちするンデやんすが、コン時、大きさ、ホボ同じに成っているノデヤス。20倍!超オカシイよね。ケドね、アタイ、この映画、結構お気に入りナンスよ。馬鹿なモンで平気、デヘヘっ。)

そんでネ、コレはオマケなんだケドね、廃墟ドームって、学校から結構、距離あるデショ?

アタイ、馬鹿なんで、景色見てもサッパリ解りマセン。デヘヘっ。

でもネ、すずめちゃん、踏切で学校行くの止めて、廃墟ドーム行って、逃げ出して、スタコラ学校の自分の教室にヤットコサ着くと、友達はお弁当タイムだったデショ?

学校行くのが、8時頃、お弁当タイムは、12時頃だから、この間は、4時間だヨネ?

廃墟ドームで、かなりグズグズしても、1時間。

って事は、踏切の所から廃墟ドームに『行って』、『帰って』、学校迄が、自転車で3時間かかるッテ事デショ?踏切から学校迄は、友達は歩いてるカラ、せいぜい徒歩15分、自転車じゃ5分位、この5分は無視しチャッて、往復3時間、つまり片道1.5時間(距離で約20km位)。

ココだけで、2つ、オカシイやい。

1つ、 1.5時間も有りゃ、『自転車のすずめちゃん』は『歩きの戸締まりの兄さん』に、途中で必ず追い付くデショ?兄さん無敵方向オンチ?

2つ、 1.5時間も有りゃ、『煙の様な物』は、(『すずめちゃん』が教室の窓からチョッと眺めてる数分間で『煙』一気に大きく成っているカラ)幅、数100m高さ数Kmで巨大なトグロぐるぐる巻きに成ってるハズっす!

(でもネ、抜け道有るッス。例えばネ、廃墟ドームの『扉』を1回『通り抜ける』と『時間』が1時間経っチャウとかネ。2回で2時間。ケドね、この場合、『すずめちゃん』、教室に着いて弁当タイムに成ってるノに、ビックリしなきゃオカシイよね。「まだ10時なのに弁当タイムかい!!エーっ!12時過ぎなのッ!」とかネ。ケド、ビックリして無い。ヤッパおかしい!)

以上、オマケ終わりッス

その2、 『すずめちゃん』が夢中で『廃墟ドーム』に走り込むと、不安的中で、開いた『扉』の間から猛烈な勢いで『赤黒い煙の筋の様な物』が噴出している。良く見ると、探していた兄ちゃんが『扉』を閉じようと必死だっ!ケドも遂に兄ちゃん弾き飛ばされ、『扉』は全開、『煙の筋』は第2形態の『垂直状態』に成ると、次に、ゆっくりと街の上に覆い被さる様に倒れ込んで行く—-。

ケドも、住人達は『煙の柱』も『煙の筋』も全く見えネェーし、『異音』も起きネェーから、普段通りの生活を続けてイル—-。そして、怪しい巨大な影だけが、街を覆って行く—-。

どう成る、街の人々!?

遂に、完全に倒れ込む煙の柱。土埃が上がり所々に閃光が走る!大地が揺れ始める—-。

デネ、『オカシイ』のはホボ全部。

『兄ちゃん』は『扉』を閉じようと全力出してるヨネ。

ジャあ、何が『扉』を強く押してるノでショーか?

『風』は、そんなに強くはネェ。

って事は、『扉』を押してるノは、『煙の様な物、本体』って事カナ?

えっ?それッテ、『煙の様な物』には、『重さ』が有るッテ事だヨネ?

するっテェーと、『兄ちゃん』を軽々と跳ね飛ばす『煙の様な物』は、ドンだけの重さが有るのカナ?幅40~50m高さ500mの『煙の柱』だと、何人分の重さに成るンでショーか?

デヘヘっ、アタイ、馬鹿なので、解りマセン。

でもネ、コン位は、分かるのでヤス。

500mの『煙の柱』が地上に倒れて来る。10秒でも大変でショー?

先ッポは、落ちるのと同じだから、10秒で500m、秒速50m!大型台風並みだよネ!

風は空気だから、重さホトンド無くて軽いケド、『煙の様な物』は重さが有るでしょ!

秒速50mは、時速だと180km。(大谷投手の速球が160km!)コレが空から降って来る!

雹(ヒョウ)なんてモンじゃネェッ!それも、音も立てず、見えもしネェーから始末に負え無い!

屋外に居る人達は、訳が解らぬママ、頭から血を流して次々と倒れて行く—-。

『煙の柱』が高さ2000mだったら、凄い事に成る!10秒で2000m、秒速200m!(最大の竜巻で秒速150m)時速だと720km。(新幹線360kmの2倍)—-大惨事に成る!

デモね、抜け道、有るよネ。

『煙の様な物』が『見え無い』人には、『重さも感じ無い。』ってお約束にすれば、大丈夫だよネ!文字通りの透明な煙に成るから、痛くも痒くもネェっす!

怪我人ゼロで、メデタシ、メデタシ。

ケドね、コレだと、『戸締まり』、楽勝に成っチャウでショーっ?

簡単だよネ。『戸締まり』する時、『煙』の見え無い一般人を連れて行くのでヤスよ。

閉じ師には、『赤黒い煙の筋の様な物』が猛烈な勢いで噴出している『手強い扉』が

一般人には、何故かバタバタしてる『開いた扉』に過ぎヤセン。

閉じ師 「この『扉』、閉めて下さいネ。」

一般人 「ハイ、承知しヤシた。」

『扉』バタン。『鍵』ガチャン。で戸締まり完了っす!

ケドね、コレでは『お話し』ッテゆうか『映画』に成らネェーっす。

アタイ、一丁前の馬鹿でヤンスが、コンな『?設定』は勘弁して貰えネェすかネェーっ。

頭、コンガラがっチャィますヨ!

普段でも、ほぼ、コンガラがってヤスから、凄まじい事に成るンでヤンス。

コレを『馬鹿迷惑』と言いヤス。解(ホド)くの大変なんダカラ、本当に—-。

何とかならネェーすかネェ—-?

エッ?「『オカシイ』を解く『策』が有る。」ッテ?

本当っ—-?アナタ誰?

エッ!まさか『羌カイ』さん!?

『扉』の前に、廃材かき集めて『防壁』を築くンデやすカイ?

エッ?『映画』が違うッテ?ソーなんデスカイ!

で、どうスリャ良いスカ?

何々?「『ミミズ』が押し開く『扉』も『(『ミミズ』と同じ)異世界の物』と設定すれば、良い。」んスカ?

エーと、どう言う事カナ?

アッ!『扉』も『一般人』には『見え無い物』にする訳ネ!

『ミミズ』と同じで『閉じ師』と『すずめちゃん』ダケが『見える』ッテ約束に変えるンだネ!なる程、なる程—-。

エッ?他にも有るンすか?エッ?メモを用意したので読めッて?

何々?「『異世界』と『現世』を結ぶ『境界』が『扉』の役割で、『異世界』の『ミミズ』は『扉』を通ってシカ『現世』には入れ無い。『異世界の事物』が『見える人』は、見えている『異世界の事物』に触る事が出来るし、同時に、『異世界の事物』の『力』などの影響を受けてしまう。『扉』を閉じレバ『現世』に入った『異世界』の『ミミズ』は消滅する。」って?

エーと、コレは、ホボ映画の通りダヨね。

エッ?コレにプラスが有るンすか?

何々?「『現世』での『ミミズ』は『幽霊』と同じで、『現世』の物に原則的に物理的な影響を全く与え無い。但し、『第2形態のミミズの柱』が倒れて大地に沈む時、地上の事物には何の作用も及ぼさ無いが、地下深部で『ミミズ』が自ら解体消滅する時、マントル層には『共鳴』の様な影響作用を及ぼし『マントルの歪み(ヒズミ)部分』が弾け『地震』を誘発させる。」ッテか?

エーっ!『ミミズ』って巨大な『幽霊』みてぇな物なんだネ!

そんジャぁ『ミミズ』が地上に倒れて来ても、人や建物を素通りするダケで、被害は出ネェーや!

ソンデ、一般人を戸締まりに連れてっテモ、扉は見えネェーし、第一、触れネェーから、役立たずダヨネ。

アト、『扉』と『地震の震源』が離れてテモ問題無いンダ!

なる程ネ、ウメぇ具合に成ってラァー!

ケド、映画、アっチャコっチャ変わって来るヨネ。

エッ?「変わる場面は用意済み」でヤンスか?さすが『羌カイさん』!

エッ?『羌カイ』じゃ無い?『映画』が違うッテ?

イーじゃネェーすか、硬い事言わネェーで。白地中央に紅い模様の鉢巻きに、その独特な衣装ジャ間違いヨウがネェっす。アタイ、何十万人も居るに違いネェ『羌カイさん』の大大ファンの一人なんすカラ。

アレッ?『羌カイさん』、何、下向いチャって。ドーしたンすか?

エーっ!ホッペうっすら紅いッスよ?マサカ、マサカ照れてるンすか?

キャーッ!可愛いーっ!!アタイ、死んじゃうーッ!

ネェ、言って言って、『お前、殺すゾっ!』って言って!

「—-言えば良いノカ—-。——お前、—-殺す——。」

ワァーっ、本当に言ったーっ!アタイ、死んじゃうッ!絶対にココで死ぬーっ!

って、アタイの話—-、何でしタッケ?

アッ!『羌カイさん』の新設定だと変わって来る『映画の場面』の話だ!

で、具体的にドコが変わるンデやんすカ?

何々?「ココに新しい場面のメモが有る。参考にしてクレ。」って?

エッ?『羌カイさん』もう帰っチャウの?時間なの?

エッ?実写版の仇討ちシーンの立合い監修に呼ばれテルの?

ジャぁ、しゃーネェーや—-。

色々教えて下さいマシテ有難う御座いヤシタ。

最後のお願いッス、『ぐータッチ』してクレませんか?

エッ?『ぐータッチ』知らないの?本当?

ホラ、『蛇甘平原の戦い』の後、仇討ちの為に独り魏国に旅立つ『羌カイさん』と、秦軍に残る『信』との別れのシーンで、互いに差し出した正拳をタッチする、アレが『ぐータッチ』!

「アーっ、実写版では、私のラストシーンだったな—-。しかし、アニメ版には『信』との別れのシーン自体が無いので、アニメキャラの私には無縁の物だ。—-だが、試して見るか。コウか?」

(正拳を差し出す『羌カイ』と、応じる与太郎。拳が触れ合う!)

ワァーっ!本当にタッチしたーっ!もう、アタイ、この手、絶対に洗えないッ!

アタイ、もう絶対にトイレ行かないッ!

エッ?『羌カイさん』?又、下向いチャって今度は何?って、肩が細かく震えてヤスぜ!笑ってるンすか?エーッ!羌カイさん、本当に笑ってラァー!

(『羌カイ』、微笑みの残る顔を上げると)

「お前、本当に変わってイルな!お別れダ!ジャァな!」

(『羌カイ』は、すれ違いザマに、与太郎のミゾオチに電光石火の当て身の真似事をした。。

与太郎は、『羌カイ』が、いつの間にか傍に立ちアッと言う間に離れ去る瞬間、躰の芯に優しい掌の温もりが残されている事に気付いた。)

(見る見る、小さくなって行く『羌カイ』の姿。)

(与太郎は感極まって、涙で『羌カイ』の輪郭が朧だ—-。)

—-アタイ、ブログ、ココで辞めチャおうカナ—-。もうイイヤ—-。

(すると、彼方に去った『羌カイ』が歩みを止め振り向いた。そして、口に手を当て大きな声で何かを呼びかけている。

与太郎は夢中で涙を拭うと、『羌カイ』の口元に全神経を集中させた。)

「ブログ、チャンと仕上げろよーッ!又なーッ!」

アタイ、仕上げる!絶対に仕上げるッ!

エーと、アタイの話、ドコまでダッケ?

アッ!『羌カイ』さんの新設定だと変わって来る場面についてダッ!

エーと、メモ、メモ、何処、何処だっけ?アーっ、落ち着け!アタイっ!

アッ!コレコレ、コレだっ!

エーと、何々?場面は4つ?フムフム—-。

(その1)『草太との出会い』

(長い坂道を歩いて上って来る男の姿に気付く自転車のすずめ)

エッ?—-マジで徒歩—-?新手の変態—-?

何っ!手、挙げたの?イヤだ、無視しよう—-って、

エッ、ヤバイ、ヤバイ、何で変態、超イケメンなの!

ドーしよう、って、 エッ?何で?何で私、自転車止めテンのよッ!

アーっ、もう来ちゃッタ!エーィっ、ヤルっきゃネェーっ!

(コチっコチの作り笑顔で)

「何か、お困りデスか?」

「道、聞いて良いデスか?廃墟に成った◯◯温泉って、この道?」

「ええ、向こうに見える山の中腹位だったと思いますケド。

でも確か、立ち入り禁止ジャァ無かったカナ—-?」

「どうも有難うネ、アッ、僕、廃墟巡りをしてイマス。歩くノが趣味でネ。その土地を知り味わうには、車より自転車、自転車より歩きでショ?ホラ、コーして素敵な君とも話せたしネ。

怪しい者ジャァ有りません。本当に有難う。それジャァ、サヨナラ。」

『すずめ』は『素敵な君』に、一瞬で耳が紅く成り、青年がすれ違いザマに呟いた言葉がうわの空に成っていた—-。

「フフフッ、やはり怪しい者かな?『見え無い扉』を探してイルのダカラ—-。」

(その2)『踏切』

(※方言、めちゃくちゃ適当ですョ。御免下さいネ。)

遮断機が開くのを待っているすずめ。仲良しの◯◯が傍に立つ。

「すーずめッ!オッ早う!」

「アッ!◯◯お早うッ!ソレよか聞いて聞いて!」

「聞く聞く!ドーしたン?早う早う!」

「ホラ、あの◯◯坂で、私ーッ、」

「ウンウン、あの下るは極楽、上るは地獄の◯◯坂で、何っ?」

「私、歩いて上って来る超イケメンに逢ったッ!」

「エーっ?歩きッ?マジで?それヤバくネェ?」

「ウン、それで、私、聞いたの!」

「なる程、職質(職務質問)ネ!」

「何が職質よッ!チャンと聞いてヨ!もうイイッ!」

「御免、御免。で、ドーしたン?」

「ウン、何かネ、廃墟巡りしてるンだって!」

「廃墟?アーっ、◯◯地区の◯◯温泉街か!それで?次は?次っ!」

「次って、エーと—-。」

「エーっ!もうオシマイっ?って、ハハーン、すずめ、おぬし、話は上の空で、イケメンの顔バッカ見てオッタな!間違い無かろーッ!」

(すずめ、図星で下を向く)

「オッ、すずめ、顔、赤く成っとるゾっ!すずめをココ迄惑わす超イケメンの正体とは!

うーん、増々怪しいッ!すずめ、自転車、貸せッ!拙者、自ら出向いて職質しちゃるゾっ!

テカ、何としても超イケメンの御尊顔をこの眼で—-、しかし上るは地獄の◯◯坂が—-。エエーぃッ、構わン!放せ、すずめッ!」

(すずめと◯◯、自転車の奪い合いで必死だッ!奪う◯◯、守るすずめッ!)

(すずめ、ハッと成って顔を上げる)

「オッ、何か思い出したノカ!」

「別れ際に—-、何だっけ、—-何か言ってた!確か—-『扉』?」

「扉?」

「ウン、そうだっ!『扉を探してる』、だ!」

「扉を探す?」

「そう、間違い無い!ケド、—-まだ何か有る?何っ—-!?」

「すずめ、もう一歩ジャ!ガンバっ!」

「ウン—-、アッ!『見え無い扉を探してる』ダッ!そうだ!そうだッ!」

「ワーッ!ヤッタヤッタ!すずめーっ!—-テカ、それ、かえってマジでヤバくネっ?」

(すずめ、顔から血の気がサーッと引いて行く—-。)

(冷や汗が浮かび始める。)

「す、すずめ、—-今度は顔、青く成っチョル—-。ドーしたトネ?」

「悪いっ。忘れ物!私、戻るッ!」

「了解ッ!何か解らンけん、頑張りヤ!気ィ付けてなッ—-!」

(◯◯の言葉を背に受け、一気に全速で走り出すすずめ。)

『私、昔から知ってた!見え無い扉ッ!』

『私、本当に昔から知ってた!!見え無い扉ッ!!確かめナキャ!!』

(その3)『廃屋ドーム』

廃墟温泉街の入り口で自転車を乗り捨て、一気に廃屋ドームを目指し走り出すすずめ!

「こんなに胸がドキドキする!間違い無い!アスコだッ!」

すり鉢状の盆地に広がる温泉街の中心に、朽ち残る廃屋ドームの屋根が見えた。

坂道を駆け下りると、入り口は直ぐソコだ!

「アノーッ!『見え無い扉』を探してたお兄さんッ!何処ですかーッ!私、知ってたンです、『見え無い—-』。」

すずめは既に廃屋ドームの中に居る。

そして、貯まり水が大きな水盤と成ったドーム中央にポツンと立つ何物かが、すずめを絶句させたノダ!。

「—-扉が—-見えてる—-!私、本当に—-白い扉を見てる—-。」

靴も脱がずに水に入り、夢中で扉に近づいて行くすずめ。

「—-似ている—-。あの時と同じだ—-。」

ハッと成るすずめ。屈んで水中のタイル片を拾うと、扉に向かって投げ付けた。

何も無い様に扉の中に吸い込まれ、瞬時に消え去るタイル片—-。

そして、扉の向こうで、ポチャンと水音が聞こえた。

「この扉、—-見え無いンだ、私にしか—-。本当だったンだ—-『見え無い扉』—-!」

扉の傍らに立つすずめ。

ソッと手を伸ばして扉に触れようとスル—-。

板に手が当たった。

「私、見えるし、触れる—-。」

微かに震える手でドアノブを回して行く—-。

少しづつ開いて行く扉—-。

少しづつ姿を現す扉の向こうの世界—-。

扉が大きく開いた—-。

朝焼けと夕焼けが同居している星空の世界—-。

「—-同じだ—-私、この星空、知ってる—-。」

思い切って扉の中に踏み込むすずめ。

しかし、何も無い様に、素通りしてしまうすずめ。

「エッ?コレ何ッ—-?」

再び、扉の中に踏み込むすずめ。

やはり素通りだ—-。

もう一度—-!

やはり、素通りだ—-。

振り返ると、開いた扉の向こうには変わらず星空が広がっている—-。

「—-どうして—-?」

呆然と立ち尽くしているすずめの背中に声が掛かった。

『すーずめッ!大きく成ったネェーっ!(本当、ソックリっ!ッテ当たり前か。)』

『僕の事、覚えてる?』

「エッ?誰ッ?」

振り返るすずめ。誰もいない。

が、細かい模様が彫り込まれた小さな石柱の廻りに、何故か波紋が広がっていた—-。

『ヤッパ声だけジャ駄目か—-。それジャァ、コレはどう?』

小さな石柱は霧と成って消え、霧は白い子猫に姿を変えた。

「エッ?石が喋った?エッ—-猫にッ—-?」

『すーずめッ!僕だったら覚えているヨネ?』

「こ、今度は、猫が喋った—-?!」

その場にヘナヘナと崩れて倒れるすずめ—-。

『アーアッ!気絶させたカァーッ!失敗、失敗。—-ちょっと寝かせて置くか。』

『しかし、こんな所ですずめに逢えるとはネェーッ!吉兆吉兆!』

『それにしても、閉じ師の奴、影も形も見え無いな。マッ、いいか!』

『僕は僕で、先を急ごう!』

倒れたすずめを残し、開いた扉を目指し、水の上を滑る様にサーッと走り始める白猫!

扉の直前で後ろ足に一瞬タメを作り、大きくジャンプすると、白猫の躰は扉の向こうの世界に着地し、朝焼けと夕焼けが混じり合う星空の下を一気に駆け抜けて行った—-。

ようやく気が付くすずめ。

「エッ?私、何っ?」

肘を立て起き上がろうとする視線の先に開いた白い扉—-。

記憶が戻る。

「アッ!石の柱が喋った—-猫に成っても喋った—?!エッ?何っ!何っ?」

「ウァァーッ、イヤだ、イヤだ、ココはヤだーッ!」

脱兎の様に走り去るすずめ。アッと言う間にドームを抜け坂を駆け上り、廃墟温泉街の入り口に着くと置き去りにした自転車にかじり付き、もと来た道を全速で走り出した。

風と夏の陽射しが、ずぶ濡れのすずめを一気に乾かして行く。

そして、下るは極楽の◯◯坂を抜けた頃には、靴を残し、ほとんど乾いていた。

すずめが漸く自分の教室に着いた時、昼休みは大きく過ぎていた。

仲良しの◯◯は空に成った弁当箱を包んでいたが、すずめと眼が合うと、それを放り出して駆け寄って来る。

「遅かったノォ、すずめッ!生きとっタカ!何よりジャ」

そう言うと◯◯は、勝手にすずめの弁当袋を開けると蓋を取り、箸まで揃えて机の上に置いた。

「昼休み、残り20分切っとる。『腹が減っては戦は出来ぬ』ジャ!おおッ、相変わらずの愛情タップリ弁当じゃノゥ。まず座れ。早う、食べろ!話は後ッ!」

すずめは黙って座り、箸を手に取ったが、急に込み上げる何かに、涙が溢れそうに成った。

廻りに悟られぬ様に、下を向いたまま必死に箸を動かしたが、頬の紅潮までは隠せなかった。

◯◯は、すずめの異変にトウに気が付いていたが、ソレには触れず、敢えて茶化して言った。

「すーずめッ!又、顔、赤う成っとるゾ!又、頭ン中、超イケメンが占拠しとるナッ!

イケメン独占禁止法違反ジャ!罰金として、愛情たこウィンナー1個没収ジャー!」 

◯◯は、もう一人の仲良し、美人の△△が待つ窓際の席に戻ると、戦利品のウィンナーを半分食べ、残りを△△に差し出した。「ホイっ」

ソレを無造作に頬張る△△の整った横顔を眺めながら◯◯はヒソヒソ話を始めた。

「例の超イケメン、アリャー、只者ジャなか!そんな気がするとョ!」

「エッ?ジャー、やっぱ、超変態ッ?!」

◯◯、すかさず△△の頭のテッペンをヒッパタク!

「イテッ!」

「そージャ無かろーが!オヌシ、顔が美しい分、頭に可成りシワ寄せが来とるゾ!」

「やめてヨー!ソコ迄言われると、照れるジャン!」

「オヌシなぁーッ!—-まぁ良ぃか。△△、気ぃ付いたとか?すずめ、靴、ビチョ濡れジャ!

ソレになぁ、シャツ、乾いとるが、所々、泥水に浸かった様に汚れとった。

可成りの何かが有った事は間違い無か!ケド、すずめはイケメンとは遭って無いようジャ。

良う判らんが、すずめとイケメン、深い接点が有る様な気がする—-。

だから今度遭う時は、ショートじゃ!火花が飛ぶ。無事だと良いンジャが—-。」

「ヘェー、ソーなん!相変わらず◯◯、冴えとるネェーっ!アッ!顔の悪か分、頭が冴えとる訳じゃネ!成る程、成る程。」

「ウン、顔の悪か分、頭が冴え—-って、△△、オヌシなぁーッ!」

すずめは、独り、弁当を食べている。しかし、

すずめは、独りでは無かった。

すずめは、それが涙が出るほど、嬉しかった。

先刻まで、すずめは、廃墟ドームに居た。

そして、独りで、封印の解かれた過去と、対決していた。

『見えない扉』、この一言が、十数年の記憶の封印の鍵を外した。

すずめは、期待と不安、安心と恐怖が入り混じった嵐の直中に放り込まれていた。

張り詰め切った心の糸は、僅かな刺激で容易く弾けて切れた—-。

もう、独りはイヤだッ!

もう、独りは絶対にイヤだッ!

しかし、今、すずめは独りでは無い。

窓辺の席には◯◯と△△が居る—-。

そして、せっせと箸で口に放り込んでいる弁当をひと噛みする毎に、◎◎叔母さんの

想いが伝わって来る—-。

幼い頃、泣きながら帰って来た時、物言わずに抱き挙げ額を付けると、こう言った。

『大丈夫ッ!すずめは叔母さんの大事大事だから、絶対に大丈夫ッ!忘れ無いでネッ!』

すずめの小さな眼に新しい涙が湧いて出た。—-嬉しい涙が—-。

私、忘れ無いッ!

私、絶対に忘れ無いッ!

そして、幼いすずめは思った。

私、もう、独りジャ無いンだ!

私、もう、生きてテモ良いンだ!

(その4) ミミズの 1

(空に成った弁当箱を片付け、すずめは◯◯と△△の座る窓辺に向かった。)

◯◯ :オーッ、すずめ。昼休み、5分切っとる。話は後ジャ。

    それとも皆で次の授業サボって保険室で談合とシャレ込むか!?

△△ :それイーねッ!「先生、たこウィンナーでお腹痛いデース」とかネ。

◯◯ :オッ、ソレソレっ!ドウする、すずめッ!?

    ンッ?ドウした、すずめ!?

(すずめ、窓の外の一点を見詰め続けている—-。)

すずめ:あれ、何ッ—-?!

◯◯ :何ッ?何処—-?!

すずめ:(見えないの—-ッ?!)

(すずめの眼に確かに映っている物—-。

ソレは、遥か彼方の山の中腹から斜めに立ち昇って来る煙の様な白い筋—-。

その場所は、すずめが再び出会った白い『見えない扉』の立つ廃墟ドームの辺り—-。

ソレが煙では無い事は確かダ—-。

見る見るうちに、高く、太く、赤黒く成っててゆく—-。

そしてソレは、獲物を狙う蛇が鎌首を擡(モタ)げる様に姿を変えた—-。)

すずめ:(—-生き物なの—-?)

(すずめ、顔から血の気がサァーッと引いてゆく—-。冷や汗が浮かび始める—-。)

◯◯ :すずめ、か、顔が又、青う成っちょる—-!

    おいッ△△ッ、何か見えるか?!ンッ?何故オヌシまで真面目顔で黙ってルンだ!

    (—-エッ?まさか—-ココで『シン・△△姫』降臨なのか!?キャラ激変するゾ—-。)

△△ :—-すずめ、肯くダケで良い。私達には『見えない何か』を今、見ているノだな?!

(すずめ、黙って肯く—-。)

△△ :何をタメラッてオルのだッ!『見えない扉』と同じジャ!行くのダッ!すずめッ!

◯◯ :オーッ!まさしく『シン・△△姫』様降臨ッ!アリガタヤ、アリガ—-

(△△、すかさず◯◯の頭のテッペンを引っ叩く!) 

◯◯ :イテッ!

△△ :茶化すなッ!

◯◯ :ごもっともッ!すずめッ!聞いての通りジャ!カバンなんか置いてケ!

    後の事は任せろッ!何とでもシチャル!

    わしら、一緒に行っテモ、無念ジャが確実に足手マトイにしか成らん—-。

    何せ、相手が見え無いンじゃカラ—-。

    姫、間違いなかネッ!

(△△姫、黙って肯く)

◯◯ :すずめ、ソーいう訳ジャ!

    何か有れば連絡せいッ!出来る限りシチャル!但し、忘れるなッ!

    わしら、おぬしと何時でも一緒ジャ!『△△姫』は、頼りに成るゾッ!

    間違いナカッ!信じろッ!

    姫、コレで良かネッ!

(△△姫、肯くとすずめに向かって告げた。)

△△ :大丈夫ッ!

    たとえ独りで苦しもうと、独りでは無いゾッ!

    決してヘコたれるナッ!

    すずめッ!行けッ!

すずめは小さく頷くと、教室の外に向かって走り出す—-。

青ざめていた顔は、血の気が戻るを通り越して、紅潮して行く。

階段を駆け降り、駐輪場に飛び込むと自転車を引きずり出し、一気に全速で漕ぎ出した。

矢の様な直線が校門に向かって走る様を、教室の窓から◯◯と△△は見送っていた。

◯◯:(すずめッ!)

△△:(すずめッ—-!)

すずめは強く歯を食いしばっていた。

それでも、唇の両端の震えは止めようが無かった。

込み上げる嗚咽を、辛うじて閉じ込めていた。

空に立ち昇る赤黒い蛇の鎌首は、地上を走るすずめの眼にも、ハッキリと見える—-。

「怖く無い」、と言えば嘘に成る。

すずめは今、その恐怖の根元に、一直線で向かっているノだから。

しかし、すずめは確信している。今、独りでは無い事を。

右の背には◯◯の手が、左の背には△△の手が、すずめをシッカリ支えている。

その手から伝わる温もりは、恐怖を打ち払うに充分な勇気を、すずめの躰の芯の底からフツフツと湧き上がらせた。そして心の中で叫んでいた。

『怖い?笑わせルンじゃネェーよ!コチとらぁ_四つ五つのお子チャマ時分にゃ、本物の恐怖様を、ズブ濡れで味わい尽くしてイルんデェーッ!』

そして、幼い頃、◎◎叔母さんが額を付けて話してくれた時の思いが、今、躰の芯から力強く甦って来た。

『私、もう、独りジャ無いンだッ!』

『私、もう、生きてテモ良いンだッ!』

「待ってローッ!化け物ッ!行ッくゾーッ!すッずめーッ!!」

蝉時雨の青空の下、1台の自転車が駆け抜けて行く。

その空の高みには、更に大きさを増した赤黒い蛇の鎌首が地上を覗う様に聳え立っていた。

フムフム—-、エッ?場面4はコレでお終いナノ?

エーと、この続きがコレかな?アッ、ソーみたい。

以上で『オカシイ2』の『コンガラがり』は解けたハズだ。

この後、『(その5) ミミズの2』と成っても良いが、もう充分だ。話の先は見えたも同然。

不思議なモノで、キャラは独りで動き出す。

与太郎、お前にも分かるハズだ。

只、コレだけは、オマケで付けて置く。『見え無い扉』の前日譚だ。

(オマケ) すずめの帰還

降りしきる風雪の中、急に姿を消したすずめを夢中で探し続ける、すずめの叔母◎◎。

「アタシのセイだ。アタシが目を離したバッカリに—-。」

「姉さん、御免なさい—-。」

「アア、すずめッ!何処ッ—-!?」

「姉さん、お願いッ!すずめを助けて!すずめを守って!お願い—-!」

うわごとの様に呟くと、◎◎は雪の積もる地面に手を付いて座り込んでしまった—-。

「—-ドウしよう—-すずめッ—-。」

と、背後から風音に混じって、人声が聞こえた—-。

「(気のせいか—-?イヤ、違うッ!)」

「—-◎◎叔母チャン—-?叔母チァン、大丈夫?」

血走った眼で振り返る◎◎。

「すずめッ?すずめナノッ?!」

降りしきる雪の中、僅か数メートル先に、何も無かった様に佇んでいる、すずめ—-。

膝を立てたママ、手で雪を掻き分けて一気に走り寄る◎◎。

思いっ切り抱き締め、頬を密着させた。

「すずめッ!すずめッ!!良かったーッ!有難う、姉さん、本当に有難う—-!

もう、絶対、離しません—-!」

◎◎の頬を流れる熱い涙は、すずめの頬に伝わって行く—-。

◎◎は、一頻り強く、すずめを抱き締めた。

「◎◎叔母チャン、痛い—-。」

「アッ、御免、御免ネ、すずめッ!」

◎◎は、漸く落ち着きを取り戻した。

しかし、長時間、雪の中に居たで有ろう割には、すずめの躰が冷たく無い事にも、

その躰に雪がほとんど付着して無い事にも、気付く余裕など有るハズは無かった。

「すずめッ、大丈夫?怪我して無い?痛いトコ無い?」

「ウン、アノネ、すずめネ、綺麗なオ帽子のお姉チャンと一緒に居たノ。

始めネ、遠くからネ、お母さんカナと思ったらネ、知らないお姉チャンなの。」

「お姉チャン?」

◎◎はココで、すずめの手に棒の様な物が有るノに気付いた。

「すずめ、ソレ、何?」

「コレはネ、すずめのダヨ。お母さんがネ、お誕生日にすずめに作ってくれた、お椅子の脚ダヨ。御守りナンだって。お姉チャンがくれた。」

◎◎が手に取ると、ニス塗りで仕上げた棒には、日付とすずめの名前が印して有った。

◎◎の手が、微かに震えている—-。

「す、すずめ、そのお姉チャンは、今、何処?」

「ウン、お姉チャンはネ、後ろの扉のトコ迄、一緒に来てくれたヨ。

綺麗なお兄チャンが扉を開けてくれた。」

すずめと◎◎が居る辺りは、津波で家々が全て薙ぎ払われていた。

◎◎が眼を凝らしても、降る雪の中、扉など有るハズが無かった—-。

そして、すずめの次の一言が、◎◎の心を決定付けた。

「アノネ、すずめネ、白いニャンコとも、お話しシタよ。」

「(アア、姉さん、神隠しだろうと、何でも構わない!すずめが無事に戻って来てくれた。ソレだけで充分だッ!本当に有難うッ!大丈夫、すずめは私が育てますッ!)」

「すずめ、お母さんの生まれ故郷の宮崎に行って、叔母チャンと一緒に暮らそう!」

「生まれ故郷—-?」

「そう!お母さんが産まれて、叔母チャンと一緒に育った宮崎!

今度は、すずめチャンと一緒だネ。サァ、お家に帰ろう!」

すずめ達から僅か数メートル先に、降る雪に紛れてポツンと建っている白い扉—-。

その半開きの内側に佇み、すずめ達の様子を見守る様にジッと視ている白猫—-。

◎◎が、すずめと自分の雪を払って立ち上がり、用意の傘を広げ、すずめの手を取って帰り始めるノを見届けると、白猫は踵を返し扉の中に消えてゆく—-。

去り際、立ち上げた尻尾の先を横に振り、扉を軽く叩いた—-。

すると、独りでにユックリと閉じ始める白い扉—-。

そして、カチャンと音を立て閉じ終えると同時に、降りしきる雪の中、白い扉は雪煙と成って閑かに消えて行った—-。

雪が降る—-。

閑かに、雪が降る—-。

白い雪野原の中を、雪を乗せうっすらと白くなった傘が、小さな希望と成って、ゆっくりと動いて行く—-。

私の『メモ』は、以上だ。

コレで、お前の『コンガラがり』は、ほぼ解けたダロう。

ただし、お前の『オカシイ』が全て解けた訳では、勿論、無い。

それに、お前の『オカシイ+1』が何かも、知らない。

まぁ、私なりの『オカシイ』も勿論有るが、ソレは『別のお話し』だ。

さらばダッ!

エッ、コレでお終いナノッ!?

アタイの話、いつも長いンだけど、『羌カイさん』の『メモ』もかなり長いヤ!

ソレでも、『羌カイさん』のオカシイ、聞きテェなぁ。

でも、シャーねぇヤ!

本当に有難う御座いヤシタ。

アノネ、アタイの『オカシイ+1』はコレですヨ。

(『オカシイ+1』)

映画の冒頭、幼いすずめチャンがお母さんを探して『異世界』を、さまよい歩いてるヨネ。

『オカシイ』のは、ほぼ全部。

この『異世界』、アタイは最初、何でも有りの『夢の世界』と思いヤシタが、違ってヤシタ。

現実に起こった『記憶の世界』(記憶がベースの夢)でヤシタ。

この、『異世界』、とっても『変』だヨネ。

朝の様で、夜の様で、昼の様で—-。

草原は緑を保って、シロツメクサやタンポポが咲いてるノに、『すずめちゃん』は冬服にグルグル巻きのマフラーで、吐く息は真冬の様に真っ白だヨネ—-。

デモね、『変』だケド、『オカシイ』事は、無いヨネ。

だってね、ココは『異世界』でショ?

『異世界』何でも有りッス!

ジャあネ、何が『オカシイ』のか?

アノネ、『幼いすずめちゃん』は『震災』の強烈な『大地震』に遭ってるヨネ。

『死んじゃう』カモ知れ無い、逃げ隠れ出来ネェ『怖さ』に正面から向き遭ってた—。

『自分の命』の『崖っぷち』に立ってたンだよネ—-。

まして、あらゆる全てを失った—-。

帰れるお家も、そして、お母さん迄も—-。

けどネ、この映画の『幼いすずめチャン』には、ソレが全く感じられ無い!アタイには—-。

交通事故でお母さんを突然亡くした幼子にしか見えネェっす。

コレだって大変な事に違いはネェっす。

ダケドね、事故だったら、独り残された幼いすずめチャンが誰の子で何処に住んでいるかトカ緊急の連絡先は誰かトカが判る保育園は、普段通りオープンしてるし、警察も、役所も、チャンと機能してるヨネ。

そんで、連絡するのに必要な携帯電話網も、移動するのに必要な交通網も、車、バス、鉄道、全てがチャンと機能している。

ダカラ、宮崎の◎◎叔母チャンとこにも、すぐに連絡が出来て、遅くとも事故の翌日には、独りポッチのすずめチャンに逢えるヨネ。

そんで、ソレ迄、口を一文字にして、何も言わずに必死に耐えて来たすずめチャンは、何処かお母さんの面影が残る◎◎叔母チャンの顔を見ると、堪えきれずに、大泣きするンだよネ—-。

ソンでも、その日の夜は、電気もガスも水道も使え、無事に残ってるすずめチャンのお家で、

◎◎叔母チャンが作ってくれた晩御飯を何とか一緒に食べ、一緒にお風呂に入り、暖かいお布団で◎◎叔母チャンと一緒に泣きながら寝れるヨネ。

デモ、震災は、ソーじゃ無いデショ!

震災では15,000人以上の御遺体が見つかって、行方不明の人々が2000人以上いらっしゃる

ッテ聞きヤシタ。

『すずめちゃん』のお家の建っていた区画は全て、津波で、土台だけ残して、消えました。

津波が来た時、『すずめちゃん』が何処に居たのか、解りません—-。

津波が去った時、『すずめちゃん』は全てを失いマシタ—-。

帰れるお家が、消えたノです。

雷の響く夜に一緒に恐がってクレた、縫いぐるみの熊の◯チャンも、

何でもお話し出来て、お母さんに怒られた時、一緒に泣いてクレたウサギの◎チャンも、

お気に入りのフワフワのバジャマも、

お母さんの暖かい匂いがするエプロンも、

上手ネェー!ッテ褒められた自慢のクレヨン書きの絵も、

滑らない様に当て布を貼っある、お母さん手作りの小さな踏み台も、

そんなお母さんと一緒に写った写真も1枚残らず、全て、消えたノです。

そして、そんなお母さんが、消えたノです—-。

震災の凍てついた夜、すずめチャンは、着の身、着のまま、何処に、誰と居たノでショーか?

避難場所の体育館で、幾夜、幾日、独りで過ごしたノでショーか?

(アタイ達、日本人は、震災の大混乱の最中でも、キチンと行列を作り、略奪など決して起きません。

ケドね、『我が身が優先』って大原則は、動物の本能で覚醒してシマウんでヤスょ。

そのシワ寄せは、最も弱い立場の人に酷く集まっチャウ—-。

身寄りの無い、幼いすずめチャンも、必ずそう成るヨネ—-。

こん時ネ、隠れた、もう一つノ大原則『弱い者が優先』の『沈黙の悲鳴』を聞き分けられる、気立ての優しい人が運良く近くに居れば、良いンでヤスが—-。

幼いすずめチャンには、どんな手が差し出されたンでショーかネェ?)

映画では、一片の描写すらネェっす。

けどネ、すずめチャンの『心』が傷だらけッテ事は、馬鹿なアタイにすら判りヤスょ。

『心』の傷は、見えネェっす—-。

見るには覚悟が要る、惨い傷が刻まれ、血を流している—-。

即時に、手当てを、手術を行わネェと、手遅れになっチャウ—-。

すずめチャンは、文字通り言葉を亡くす、口が訊けなく成ってもオカシクねぇと、アタイは思いヤスょ。

ダカラね、映画の冒頭、すずめチャンが、津波で打ち壊された廃屋を覗き込ンだり、

コンクリートの廃屋の屋上に、雑草が絡み付いた中型の漁船が乗り挙げている様を眺めさせたり—-、

そんな事、出来る訳がネェっ!

酷すぎヤスょ—-。

苛烈な戦場に身を置き、心に深い傷を負ってしまった若い帰還兵士の眼の前に、血と泥でズタズタに成った傷だらけの軍服を放り出すのと変わりネェ!

もう一度言いヤス。

酷すぎヤスょ—-。

映画では、乗り挙げた漁船を見たすずめチャンの眼に、涙が湧き出してイヤしたが、ソレで済む訳がネェ!

漁船の姿が眼に入った途端、すずめチャンはソノ場に踞(うずくま)り、過呼吸に成るダケだったら、まだマシだとアタイは思いヤスょ。

『オカシイ』過ぎヤスょ。

アトね、この『異世界』、『常世』とか言ってて、『死後の世界』らしいンだけど、コレも『オカシイ』よね。

ココはネ、『死にかけてイル人の世界』でショ?『死後の世界』とは別物だよネ。

アノネ、『死にかけてイル人』ッテ2種類有るでショ?

その1、『躰』が死にかけてイル人。

    文字通り、病気や怪我で躰が瀕死の人。

その2、『心』が死にかけてイル人    

              『躰』は無傷だけど、『心』が瀕死の人ッテ居るヨネ。

    最愛の独り息子が突然、事故死した母親—-。

    飛ぶ鳥を落とす勢いだった事業が、一転して破綻、世の中の『手のひら返し』の全て

    を眼に焼け付けてシマッタ男—-。

    苛烈な戦場の砲火をくぐり抜け、仲間たちの血と肉を全身に浴び、自分独りが何故か    生残ってシマッタ男—-。

    悪い事して無いノに、次々と廻りの人から攻撃され続け、心は傷ダラケ。血もダラダ    ラ流れ止まら無い。けれど、その血は見えネェーから無視され、助けを求める気力も    失せ、孤立の極みに追い捨てられ、閉じ込もってシマッタ青年—-。

       

    いくらデモ居るヨネ—-。

デネ、『オカシイ』のは、『常世』の世界の『在り方』。

『死にかけてイル人』を迎える世界ッテ、穏やかで優しいンじゃネェーの?

(以下は全て、アタイの勝手な想像でヤス。)

フ、と気付くと、見た事も無い世界が広がっている—-。

瀕死の躰の傷は、何故か癒えており、何処か懐かしい、自分の全てを、有りのママ受け入れてクレている様な安心に包まれている—-。

「あーっ、気持ち良いナァー。ずーっとココに居ても良いナァー!」

するッテーと、光の射す向こうから、ポツンと人影が現れ、徐々に近づいて来る—-。

顔が見えて来る—-。

先に逝った親しい人達—-。

デネ、ココから、二つに別れるヨネ。

その1、

涙が込み上げて来る—-。

『◯◯、良く頑張った。もう良い。一緒に来るカイ—-?』

黙って、頷く—-。

光の粒と成って、◯◯の躰が消えて往く—-。

その2(part1)

涙が込み上げて来る—-。

『◯◯、良く頑張った。けどネ、◯◯には、まだやり残した事が有るヨネ?

◯◯、間違っチャいけないヨ。コレだけは、覚えてイテね。

◯◯は、独りジャ無い!何時でも、何処でも、一緒に居るカラね。』

閉じた眼に、再び涙が込み上げて来る—-。

フーッと眼を開けると—-、

現世に戻っている—-。

その2 (part2)

『コラッ!!◯◯っ!!

今からコンナ所に来て何様のツモリだっ!!

トットとお帰り!!

グズグズしてると承知しないヨ!!』

ウワァーっ、昔のマンマでオッカネェーなぁー!

思わず眼をつぶり、フーッと眼を開けると—-、

現世に戻っている—-。

コンナもんデショ?

『ガーディアンズofギャラクシーvolume3』では、主人公の一人、アライグマの『ロケット』が瀕死の重傷を負い、最後の救命措置の甲斐も無く、息絶えようとスル刹那に迎えた『世界』が、ホボまんま『その2(part1)』でヤシタ。

多分、世界共通なのでヤスかな?

ソレなのに、この『映画』は、正反対でヤスょネ。

『死にかけてイル人』を迎える『世界』は、この『映画』だと、瀕死の深い傷にタップリと塩を塗り込む『世界』だよネ。

酷すぎヤスょ。

アタイ、一丁前の馬鹿だし、死んだ事も、死にかけた事もネェーから、何の屁理屈も打てネェんだケド、さすがに、コレは、ドウすかネェー。

コレは『オカシイ』気がする、のでヤス!

ソレとネ、すずめチャンの亡くなった『お母さん』ノ事、忘れチャいけヤセン!

『お母さん』、幼いすずめチャンを独り残して、ドンな気持ちで死を迎えて逝ったのか、

アタイ見テェーな馬鹿でも、ハッキリ解る事でショ?

そんな幼いすずめチャンが、『常世』とやらで、自分を探して、凍てつく寒さの中、さまよい歩き、疲れ果て、座り込む迄、『お母さん』がホッポッて置くハズがネェんでヤス!

(次もアタイの勝手な想像でヤスょ。)

(例えば、その1、大忙し超特急バージョン)

すずめチャンが『常世』に入り込んだ瞬間、お母さん、すずめチャンを確保。胸に抱きカカえ、即時に『現世』に移行。必死にすずめチャンを探している◎◎叔母チャンの背後にすずめチャンをソッと降ろす—-。

一方のすずめチャンは、突然の事で誰なのかも何も解らない。しかし、自分の躰をシッカリと守る様に包み込んでクレている、柔らかく温かい胸に『覚え』が有る。で、地面に足が着いて『お顔』を確かめる前に思わず口走ってしまう—-。

「お母さん?」

その言葉と同時に、すずめチャンは思いッ切り強く抱き締められた。

痛みが走る。しかし、眼をつむって黙って耐えた。

何故なら、『少しでも長くコノままで居たかった—-。』カラ—-。

『お母さんだッ—。』って判ったカラ—-。

ソレが永く続かない事は、何故か解っていたカラ—-。

そして、その時は直ぐに来た—-。

すずめチャンを抱き包んでいる腕の力がフーッと抜けて行く。

すずめチャンは直ぐに眼を開ける。

『お母さん』の姿が有った—-。

しかし、その躰は最早、透明に近く、背後の◎◎叔母チャンの姿が透けて見えている。

それでも、顔の輪郭は明らかで、その眼から頬に幾筋も涙が伝わっていた。

何が起ころうとシテいるノか、本能が教えてくれた。

「—-お母さん、お別れナノ—-?」

ほぼ透き通ってしまった躰は、何も答えなかった。

しかし、消えてしまう間際、『お母さん』が確かに微笑んだ気がした。

そして、姿が跡形も無く消えた瞬間、心の内でハッキリと声が聞こえた。

『いつでも一緒だヨ。すずめッ、忘れ無いでネ—-。』

◎◎は、一部始終を、背後から視ていた—-。

すずめチャンを探し倦(アグ)ねて途方に暮れ、降る雪の中、立ち尽くシテ居ると、背後で、消え入る様な子供の声がした。「お母さん—-?」

ハッとして振り返ると、片膝を付き、すずめチャンを強く抱き締めて一体と化している人の後ろ姿が有った—-。

一目で、誰か判った。間違うハズが無いッ!

『姉さん—-ッ!』

しかし、その姿は輪郭を残して透き通り、すずめチャンの躰が透けて見えていた—-。

そして、すずめチャンの小さな口元が開いて何かを呟(つぶや)く—-。

その声は、か細過ぎて、聞き取れる物では無かった。

しかし、◎◎には、耳元で囁かれる様にハッキリと判った。

『お別れナノ—-?』

◎◎はソノ場に崩れる様に座り込み、両手で顔を覆い、肩を震わせた。

指の隙間から、雫が滴り落ちた。

『姉さん—-、有難う、姉さん—-ッ、私—-ッ、』

と、◎◎は肩に優しく触れる、柔らかい大人の掌をフッと感じた。

ハッとして眼を開けると、目前の雪で覆われた地面に、小さな足が二本、シッカリと立っていた。

『すずめチャン—-?!』

ゆっくりと視線を上げてゆく—-。

小さな口元が眼に映った—-。

◎◎は再びハッと成る!

その口元には、思いもよらず、和(なご)やかな『微笑』が浮かんでいたノダ—-。

そして、その『微笑』には自身にも、確かな『覚え』が有った—-。

間違い無い—-。

幼い頃、大好きなお母さんと手を繋いで、一緒に歩いて居る時、自然と浮かんで来た『微笑』—-。

◎◎は、震えの残る声を何とか絞り出した。

「—-お母さん、チャンと逢えたネ—-。」

すずめはユックリと、しかしハッキリ頷いた—-。

微笑みが、笑顔に変わって行く—-。

◎◎は、堪えられ無く成って、顔を下に背け、再び目頭に手を当てようとした、ソノ時—-。

完全に、意表を突かれてシマッタ!

◎◎の頭頂部には、すずめチャンの小さな小さな手が当てられ、大人が子供を褒める時にする様に、ペンペンされてイルのだ!

そして、あどけない笑顔の言葉が続いた。

「◎◎叔母チャン、有難うネ!大丈夫、ヨシヨシっ!」

涙は、嬉し涙に変わって行った。同時に和やかな『笑』が静かに湧き、涙を越えて行った。

『—-フフッ、コレじゃドッチが子供だか、分かんナイや—-!』

「アッ!◎◎叔母チャン、やっと笑った!」

「—-御免ネ、すずめチャン、心配かけチャッて。叔母チャン、もう大丈夫ッ!」

◎◎は、すずめチャンに僅かに付いた雪を、丁寧に払い落とすと、キッパリと言った。

「さぁ、すずめッ!一緒にお家に帰ろうネ!」

「—-お家って、—-宮崎の、叔母チャンのお家—-?」

「違う、違うッ!今日からはもう『すずめと私』の宮崎のお家ダョ!!さぁ、行こう!今日は疲れたデショ?オンブする?」

「ウウン、すずめ、歩いてく。」

「そう、—-ジャぁ、お手々繋ごうか?」

◎◎は、立ち上がると、用意の傘を開き、残った手をすずめに向けて差し出した。

すずめは、黙って頷き、前を向くと、差し出された◎◎の指先を精一杯摑んだ。

すずめの小さな手は温かく、◎◎の指は優しかった—-。

雪が降る—-。

閑かに、雪が降る—-。

白い雪野原の中を、雪を乗せうっすらと白くなった傘が、小さな希望と成って、ゆっくりと動いて行く—-。

最後は、羌カイさんのメモをパクリやした。デヘヘッ。

コンで、アタイの『オカシイ+1』はオシマイですョ。

デネ、『オカシイ+2』ってノが、実は有るンでヤンス。

でもネェー、アタイ、迷ってるンでヤスょ。

ッテのはネ、オカシイのが『映画の冒頭の謎が、終末で明かされる。』部分だからでヤンス。

コノ映画のレビューってのを見るとネ、大勢の人がコノ種明かしの場面で、感動した!心が震えた!って書いてるデショ?

ヤッパ、気が引けチャウんでヤスょ。マッ、コノ場面が直接オカシイんジヤ無いンすが、関係大有りでヤスからネェーッ。

アノネ、『君の名は』ッテ映画、有るでショ?同じ監督の。

あの映画、とってもオカシイとこ、有るヨネ?

ホラ、主人公の滝君が、もう一人の主人公三つ葉チャンと、最初に躰が入れ替わった時、鏡を見てビックリ!!そんで叫ぶ、「お前は誰ダァーッ?」

コレ、オカシイよネ?

だって、滝君、3年前に三つ葉チャンと会ってるデショ?

通学途中の電車の中で。見知らぬ少女に、突然、声を掛けられて—-。

「—-滝–君、—-滝君、—-私の事—-、覚えてる—-?」

初めは変な女ッテ思うンだけど、余りの真剣さに心が動いて、次の停車駅でホームに降りた少女に思い切って尋ねる!

「君の名前はッ?」コノ映画のタイトルでヤスょ。

少女は、覚悟を決めた様に、髪を結んでいた紅い組み紐を振りほどいて、滝君に投げかけ同時に、精一杯の声で答える

「私の名前は、三つ葉ッ!!」

で、滝君は、この時渡された赤い組み紐を、3年間、ミサンガの様に手首に巻き付けているノでヤス。

ネッ! ヤッパ、オカシイでショ?

コレだけ劇的な出逢いをして、名前も聞いて知ってて、トレードマークの組み紐も3年間ずーっと手首に巻き付けてて、最初に躰が入れ替わった時、

鏡に映った『顔』を見ても

『—-誰?全然、知らない。』

名前を『三つ葉』ッテ呼ばれても

『—-誰?全然、知らない。』

『赤い組み紐』を見ても、

『—-何コレ?全然、知らない。』ッテ、

ヤッパ、全然、オカシイよネ!

アタイも由緒正しいお馬鹿でヤスが、3年前のお顔は忘れても、三つ葉チャンって名前くレェは覚えてると思いヤスょ。だって、手首の組み紐と、文字通り紐付けられテルはずダカラね。

『コノ組み紐、三つ葉チャンがクレたンだヨネ。』ッテいつも思い出せるカラね。

そんでネ、アタイ、親方に「アスコはオカシイ、絶対に変ダァーッ!」ってヒツッコク散々言い付けてヤッタんスョ。

そしたらネ、親方言ったンす。

「与太、コレはオメェが馬鹿だからッテ言うンじゃネェーぞ。

世の中、オメェが絶対にオカシイ、変だッテ思える事でも、見方を変えリャ、全く正しい事も有るンだぜ!

世の中に『角に曲がった柱』なんざ、アリャしねぇーダロー。ケドョ、二本の柱の片方にホゾ穴くり抜いて、片方にホゾこさえて、ソイツを合わせて、クサビを打ち込みゃ、立派な、ビクともしねぇ『角に曲がった柱』に成るダローガョ。

だから与太郎ョー、オメェーがオカシィヤ!と思った事でも、よーく見りゃ、オカシクも何ともネェー、上手くコサエられてる事も有ルンダ、って事を忘れちゃイケネェーよ。」

そんでネ、アタイなりに、一生懸命、考えたンでヤスょ。

そしたらネ、木造五階建て見テェーな、アタイにしては壮大な『超・屁理屈』が組み上がっチャッたンすョ。

(但しネ、木造五階建てッテも、荘厳な五重の塔タァー別物!アタイの住んでる裏長屋を1軒ずつ横に切り割けたノを、五つ縦に重ねたダケの、バロック様式、ゥン?チョット違うナ?アッ、バラック様式でヤス。そよ風が吹くダケで、風の随(まみま)にファーファー揺れチャウ、完全サステナブル揺り籠かご住宅の優れ物、の訳、無いでヤスか?スイヤセン!)

ほいデネ、この屁理屈、ダメ元で言って見たら、遠山の金さんニャー通ってシマイやした。

当人のアタイも、ビックリでヤスょ。

ケドね、今回の映画ニャー、頭ひねりヤシタけども、超・屁理屈、浮かんで来ヤセン。

(誰か、頭良い人、教えてクレルと有難いンでヤスけどネェー。)

だから、ヤッパ、オカシイのでヤスょ。

ソンじゃ、やっとコサ『オカシイ+2』でヤス。

今度バカリは、手短に申し上げヤスょ。

映画の冒頭、常世の草原で疲れ果て、座り込んでシマッタ幼いすずめチャンの背後に人の気配がする—-。

振り向くと、逆光の中、人影が浮かぶ—-。

「—-お母さん—-?」

夢が覚める!夢を見ていたノは、高校生のすずめチャン!

そして、映画の終幕で、この夢が実体験に根ざしていた事が明らかに成るンでヤスよネ。

更に、人影の正体が、高校生のすずめチャンって事が明かされるンでヤスょ!

それも、夢を見た日の数日後の高校生のすずめチャン—-。

そして、その数日間に生き抜いて来た『命懸けの冒険』と、泊まるアテも無い旅先で心易く手を差し伸べてクレた人達との『日々の暮らし』を過ごす内に、今まで全く気付け無かった、世の中の、そして世界の姿が見える様に成った高校生のすずめチャンは、眼の前で、独りボッチの寒さに震え疲れ果てテル幼いすずめチャンに、精一杯の言葉のエールを送るンでヤスょネ。

(アーアっ、肝心な所でセンテンス長くてスイヤセン。何しろ、馬鹿なモンで。)

高校生のすずめチャン、ガチで真剣ですヨネ。

こんな時、どうシヤスか?

そうナンでヤス。シッカリと相手の眼を見詰めて、話すンじゃネェーすか?

つまり、幼いすずめチャンの眼をシッカリ見詰めて、話す。

って事は、幼いすずめチャンも、高校生のすずめチャンの顔をハッキリ見ていたッて事でショ?

ネッ!!ヤッパ、オカシイでショー?

ドコがオカシイのかッテ?

ソレでは、質問しヤスょ!答えて見て下さいネッ。

質問その1

幼いすずめチャンは、常世で出逢い、何故かお母さんが作ってくれた大事なオ椅子もクレタ、

知らないお姉チャンが、なんと、高校生の自分だッテ事に、何時、気付くノでショーか?

答えの1、小学生の時。コリャ無理ッスよネ。

答えの2、中学生の時。コリャ有り得ヤスょ。(似た様な制服、着てヤスからネ。でも、直ぐ判るンすョ。アノ制服は◯△高校のだッテね。)

答えの3、高校生の時。コリャ遅すぎデスよネ。でも、確実に気付いテル訳でヤス。

つまり、映画の冒頭、夢から醒めた高校生のすずめチャンは、幼い頃に不思議な世界で出逢い、真剣に話をしてクレタ、そしてお母さんが作ってくれた大事な椅子もクレタ謎のお姉ちゃんの正体が現在の自分だった事に、既に気付いテル訳でショー?

ッテ事は、夢から醒める時の台詞、違うヨネ。

「—-お母さん—-?」ジャ無くて

「—-ヤッパ、どう見ても、アタシだ—-!」でショー?

と成りヤスとネ、映画の展開がガラリと変わらネェーと行けヤセン。

つまりネ、高校生のすずめチャンは、

訳の判から無い事件に、コレから巻き込まれるンじゃネェー、

訳の判かる事件が、コレから何時起こるノか、待ち構えテル事に成るンすョ!

大違いでヤス!

ソレも、10年以上も前の幼い自分に、摩訶不思議な世界で、必ず出逢うと言う、事件の『結果』だけが判ってはイテも、事件の『始まり』と『経過』は何一つ判ら無い、真っ暗闇が眼の前に迫っているノでヤスょ!

全く別物のハラハラドキドキの、始まり始まりーッ!!

勿論、お話は、アッチャコッチャで取っ替えニャーいけヤセン。

アタイのオツムじゃ無理ッス—-。どうシヤスかネェー?

(ここで急に弱気に成った与太郎が、何とは無しに腕を組むと、懐に何か当たる物が有る—-。)

アレッ?コッ、コレは畳んだ紙メモ—-?

表に字が—-、アッ!コッ、コノ字は羌カイさんの字だッ!

(与太郎は気が付いた!別れ際に羌カイの軽い当て身をミゾオチに喰らった時、同時に懐にコノ紙メモが忍ばされてイタって事を!)

エーと、何々?

『コレはお前が本当に困った時に開けて読む様に!何かの役に立つハズだ。困ってイナければ、捨てて構わない。』

ウン、アタイ困ってる。開けて見よ—-。エーと、何々—-?

『与太郎、お前のオカシイ+1が何か、私には判ら無い。しかし、見当は付く。私なりのオカシイが有る事は前に言った。与太郎、お前は頭が悪いと自ら恥じるが、ソレは違う。個性に過ぎ無い。(顔の良し悪しと同じダ。)心配なノは、お前が、まま優し過ぎる事だ。場合に寄っては、弱さに繋がる。

映画の冒頭、幼い自分が常世の世界をさまよう夢から醒めたスズメがつぶやく、「お母さん–?」と。

お母さんでは無い事は自明だ。お母さんだったら「お母さんッ!!」だ。

では、誰か?

相手の顔を見ていたなら、その記憶から「将に高校生の今の自分だ」と気が付かないハズが無い。

コレが、私の『オカシイ』の1つだ。

このオカシイは、急所だ。衝けば、話は崩れる。

しかし、お前は多分アーダコーダ言ってコレを中々指摘しないと思う。

何故なら、お前が優しいカラ。そして崩れた後の手立てが見え無いカラ。

それでも、最後には、お前は指摘をするだろう、ソレがお前の『オカシイ+1』だ。

お前は今、ニッチもサッチも行かない手詰まりのハズだ。

しかし、安心しろ。策は有る。

「常世での記憶は、扉の外に原則、持ち出せ無い」事にすれば良い。

ただし、「何かのキッカケで思い出す事が出来る」と含みを残して置く。

つまり、何かの「カチッ」で、記憶が戻る訳だ。

例えば、「踏切の場面」で、「見え無い扉」という言葉がスズメの「カチッ」だ。

幼いスズメは「扉」を通して常世に出入りした。

「扉」から出た途端、常世の中の記憶はほぼ失われたが、「扉」の記憶だけは残される。

しかし、その「扉」はスズメ以外には見え無いから、誰も信じてくれ無い。

そうこうシテいる間に、「扉」の記憶は遥か彼方に追いやられ、霞の様に消え去る訳さ。

そして、年月が過ぎ、めぐり逢い、「カチッ」だ。

「扉」の記憶と伴に、「扉の向こうの世界」の記憶が蘇って来る—-。

コレで、話の背骨は折れずに済むハズだ。

与太郎、強く成れ!ジャぁ、又なっ!』

フーッ、ヤッパ羌カイさん、スゲェや!助かりヤシタ。

(ケドね、正確には、アタイの『オカシイ+1』ジャ無くて、『オカシイ+2』でヤスょ。

マッ、ドーでもイー事でヤス。)

しかし、返す返すも、コノ映画を造り上げた作者は偉いモンでヤス!

アタイなんざ、『完成品』をアーダコーダ、『いちゃモン』を付けテルんすケドね、

コリャ、楽ッスよネ。

『創る苦労』が100だとスレば、『いちゃモン』は5で済みヤスょ。楽勝ッス。

コノ作者、とっても良質なアニメ、創ってヤシタ。

だからネ、アタイ、信じて疑わ無いのでヤス。

コノ作者の代表作は、間違い無く傑作となる次回作でアル事を!

 

    

   

君たちはどう生きるか ヤッパおかしい

こんにちは。アタイ、映画好きの馬鹿です。

コノ映画、難しくッてサッパリ分かりませんデシタ。

何でも、メタファーとかが解ると、スラスラ判るッテ言いヤスが、

「メタファーって何?ソレ喰えるの?美味しいの?」ッテなレベルですカラ、話に成りヤセン。

何せ、由緒正しき馬鹿ですカラ、デヘへッ。

でもネ、こんな馬鹿なアタイから見ても、こりゃオカシイやッテ所が結構有りヤスょ。

3つ、上げヤス。

(その1) 田舎の小学校のガキども、じゃあ無い、男子生徒諸君の人相が、揃いも揃って根性悪の、ロクでナシ過ぎ。

ステテコタイプって言いヤスが、アレッ?チョッと違うカナ?アッ、ステレオタイプだッ!

雑キャラ過ぎヤスょ。

アノネ、子供の世界も大人の世界が反映するノでヤショ?

主人公の坊ッチャマの父上は、戦争特需で沸き立つ新工場を地元にモタらした、ッテ事は、

小さな町の小学校の生徒の中には、その工場で働いたり、稼いでいる家庭が、結構有るッテ事でショ?

まして坊ッちゃまの母君や、その後妻に入った妹君の実家は、維新前より続く大豪邸を構える

地元の名家でヤショ?ッテ事はコチラにも多種多様な奉公、稼ぎ場面が開かれているのでヤショ?

つまり、坊ッちゃまの父上、母君のいずれかで、生活の糧を得ている家庭が町や村には可成り有り、同級生にも結構居るハズって事ッす。

自分の弁当の一品が、坊ッちゃまの御家庭からの稼ぎ分と知れば、その生徒さんの坊ッちゃまに対する目つき態度は、当然、変わるンでヤンス。

大人の事情が、子供に反映するノでヤス。

コノ映画だと、同級生の『事情』には一切触れてオリやセン。

ケドね、大事な『事情』が、もう一つ有りヤス。

戦争の『徴兵』の事でヤスょ。

(『先の戦争』の時、『赤紙』と呼ばれた赤色の『徴兵通知葉書』が届いた者は、家業を捨て、嫌でも日本軍の兵士と成りヤシタ。アタイ、学校で習いヤシタ。)

同級生の中には、父親が徴兵されテル者も、多いハズっす。

その父ちゃんは、中国や東南アジア諸国の戦場の渦中で、月日が経つに連れ、物資が乏しく成って行く中、日本に残して来た子供(同級生)や妻の為に、日々を必死に生き抜いている—-。

しかし、ソレも虚しく、既に、震える手で戦死の公報(コレも葉書1枚)を受けた家族もいるハズっす。

父親が戦地に立ち、或いは戦死した同級生が、戦争で稼ぎマクり、徴兵とは恐らく無縁(実際、映画では召集された形跡は無い)の父の息子で有る『坊ッちゃま』を見る目つきは、『根性悪のロクで無し』とは全く別物とアタイは思うンでヤスょ。

ココで、人類補完計画、ンッ?又、違っチャッた?

同級生の事情補完計画ッス。

コンな同級生◎◎は如何でヤショー?

眞人は同級生の◎◎が苦手だった。

同級生の内には、妬みを通り越して、公然と恨みや敵意を向けて来る者もいる。

しかし、ソンな者はドウでも良かった。

しかし、◎◎は違った。

◎◎は、多くの農家と同様、豊かとは程遠い、自分の農地を持たない小作人の息子だった。

戦争が始まって1年経たぬ内に、◎◎の父は徴兵され、戦地からの手紙で、今はビルマという地で戦っていると言う。

手紙は◎◎宛も有った。

『—-母さんの事、妹、弟の事、くれぐれも、宜しく頼む—-。』

『—-上の学校には、行かせてヤレそうに無い。父ちゃんを許してくれ—-。』

初めの頃は、威勢の良かった手紙は、次第に空元気と成り、最後に届いた手紙は、泣き言に落ちカケていた。

学校の事はドウでも良かった。教科書は、一度眼を通せば充分だった。

◎◎には、学校など、つまらなカッタ。

問題は、家の事だ。

父親は遥か海の彼方の戦地で命を削っている。

無事に帰って来れれば良いが、戦争である。命の保証など無い。

辛いが、父ちゃんが戦死する事を考えて置かネバならない。

現実に、同級の◯△の父ちゃんは、先月に、戦死した。

戦死は、『公報』と呼ばれた『葉書1枚』が、残された家族に届くダケだった。

◯△も、その母ちゃんも、葉書を前に、人目も憚らず泣いてバカリいた。

『戦死』は『名誉の事』とされていた。

◎◎は、ダメだと思った。

立派な事だから胸を張るベキなのに、『泣く』などダメなのか?

ソウでは無い!

人前で泣く事は、逆に、偉い事だ。

戦争が、いつの間にか始まって以来、まだ子供の◎◎に取って、怖く成った大人が増えて来た。以前より目尻が吊り上がり、静かに話すとは程遠く、怒鳴る様に物を言うノで有る。ソレも、ドウ見ても自分より弱い立場の人に対してだった。

◎◎の顔見知りだった近所の叔父さんも、ソノ中に混じっていた。

一歩、間違えれば、◯△も、その母ちゃんも、怖い大人達に吊しあげを喰らうカモ知れ無かった。

戸を閉めて、家の中で、幾らでも泣けば済むノダ。

だから、誰が前に居ようと、憚らずに泣くノには、ある意味勇気が要るノであった—-。

では、何がダメなのか?

大黒柱が倒れる時、何も手を打たねば、家は崩れる。

泣いてバカリいてはダメだ。

◎◎は今、必死に考え、行動に打って出ようとシテいた。

まだ子供の◎◎を、ソコまで駆り立るには、理由が有った。

思いがけず、◎◎の母ちゃんが忍んで泣いてイルのに気付いたから—-。

◯△の父ちゃんの戦死公報が届いて、10日余り過ぎた頃の事だ。

その日ノ夜半、◎◎はトイレに起きようとシタ。

尿意で目が醒めたノでは無い。

かぼ細い、途切れ途切れの、押し殺した泣き声で、目が醒めたノだッた。

妹達は、寝息を立てていた。

(—-母ちゃん—-。)

電気など無い部屋は真っ暗である。

その闇の底に、母のか細い泣き声が閑かに響いている—-。

◎◎には、母の姿は手に取る様に解った。

子供達に悟られ無い様に、陽に焼けた肩を震わせて忍び泣いている事も—-。

その荒れ放題の手には、田畑で辛い仕事をする時にも御守りの様に肌身離さず、懐深くに忍ばせていた、父ちゃんからの読み古した最後の手紙が握り締めラレている事も—-。

戦地からの手紙が途絶えて、三ヶ月を超えた。

始めの頃は、郵便屋の自転車を心待ちシテいたノが、今は、避ける様に成っている。

手紙が葉書に変わって終(しま)わないか—-。

母ちゃんは、近頃、夢中で働いている。

疲れれば、夜、考えずに眠れるカラだった。

真っ暗な闇の天井を見詰める眼が、潤み始めた。

◎◎は、たまらず、寝ぼけた振りをシテ、便所の置かれた家の外に出たノだった。

木戸を一歩出た途端、大きく拡がる夜空は、拍子抜けする程、美しかった—-。

天の川銀河が夜空を横切り、無数の星々が閑かに瞬いている—-。

その中空に、やや欠けた円い月が穏やかに輝き、地上の闇を払い月影を落としていた。

そして、分け隔て無く◎◎の躰にも閑かに光を当てるノだった。

『アノお月様は、ビルマで戦っている父ちゃんも照らしているノだろうか?』

激しかった心の痛みが、安らいで行った—-。

そして、月の光の中で、心に誓った。

『母ちゃんを泣かせ無い為ダッタら、コレからオラは何でもスルっ!』

『父ちゃんがビルマで戦ってイルなら、オラは、ココで戦うッ!』

『敵の弾を喰らう覚悟で、死ぬ気でヤルっ!』

『コレは、オラの戦争だッ!』

◎◎は、考えていた。

戦をするノに、やたら正面から突撃しても無駄死にスルダケだ。

作戦を立てネバならない。

自分のもつ力と必要な力、そして用意出来る力を、秤に掛けて行かネバならない。

遊んでいる暇が、ゼロに成った。

ソンな時、戦争で稼ぎマクっていると噂の、軍事工場主の息子が、東京から転校して来た。

何でも、母親は、地元の◯◯御殿の姫君と聞いていた。

『暮らし向き』は、水と油の差が有るが、『人と成り』はドウなのか、◎◎は興味が有った。

転校の初日、先生から紹介を受け教壇の横に直立している眞人を視て、◎◎はドウでも良いと思った。ただの小奇麗な坊ッちゃまダッタ。

しかし、眞人の方は違った。

それと無く、教室内を一瞥した時、合いも変わらず、妬みや敵意むき出しの視線を感じたが、その中に独りだけ異質な生徒が居た。

◎◎だッ!

視線が合ったのは、ほぼ一瞬ダッタが、眞人は、思わずタジロいでシマッた。

その視線には、感情が全く無かった。何事も隠しオオセ様の無い、透き通った強い光を浴びている様だった。

本能としての『怖れ』が躰の芯から湧き上がり、心が震えた。

そして、事件は起きた。

学校からの帰り道、眞人は、土手の雑草を肥料用に刈り取っている同級生達と出くわした。

父親が戦死した◯△と大の仲良しの◯◎が、直ぐに突っ掛かって来た。

「お坊ちゃまニャー、草刈り鎌など、お使いアソバシませんダッペ!」(方言メチャクチャです)

眞人が無視して通り抜け様とすると、その背中に追い打ちの言葉を浴びせた。

「◯△の父ちゃんは戦争で命を奪われ、誰かの父ちゃんは戦争で大儲けダッペよ。世の中、上手く渡らネェとヨー—-。」

言葉が終わらぬ内に、眞人は踵を返して◯◎に跳びかかってイタ。

しかし、簡単に地面に組み伏せられ身動きが取れぬママ罵詈雑言を浴びせられた。

「ドウしたッ!お前なんざ弱過ぎて殴る値打ちもネェーんだヨーッ!」

そして、口の中に貯めた唾を、眞人の歪む顔に吐き捨て様とした時、◯◎の肩に触れて、ソレを制止した者が居た。

◎◎である。無言の会話に、◯◎は従ったノダ。

「チェっ、一つ貸しナッ。」◯◎は立ち上がると、道端に唾を吐き捨て、鎌を手に土手を降りて行った。

仰向けの姿で、今も息が荒れてイル眞人の傍らに、◎◎がスーッと立っていた。

片手には鎌を、残す手には草紐で強く締められた一抱え程の草束を軽々と抱えていた。

◎◎が眞人を見下ろす姿に成っていた。

眞人は眼を閉じ、息を整え様としてイタが、ハッとして眼を見開いた!

信じ難い視線で、眞人は見下ろされてイタのだ!

眞人は、『人』として、ソコに居なかった。

眞人は、悟った。

◎◎に取って眞人は、頭の左右に転がっている道端の小石と等価である事を。

◎◎は、何事も無かった様に、片手の草束を集積場に降ろすと、無言で土手の下に消えて行った。 

眞人は、夢中で立ち上がると、泥土で汚れた服を払いもせず、その場から走って逃げた。

逃げて逃げて逃げ、走り走り走った。

疲れ切って、足を止め辺りを見回すと、人影は無かった。

眞人は、道端に転がる大き目な石を掴むと、突然コメカミに打ち付けた。

力任せに、二度三度と—-。

遂に皮膚が破れ血が噴き出し、右眼を真っ赤に染めて頬を伝い口の中に流れ込んだ。

血の濃い味がした。

眞人は虚ろに笑い出した。

『ハッハッハッ、見ろ!血だッ!どうだッ!僕は人だッ!石なんかジャ無いッ!』

剥き出された歯は、血で真っ赤に染まっていた。

エーっ、映画とは少々、趣きが変わりヤシタが、仕方御座んセン。

で、映画での、コノ後の眞人の立ち振る舞いでヤスが、アタイは、本当、納得が行か無いのでヤスょ。

(オカシイ その2)

眞人の頭の傷は、仮に何針か縫う様なモノでも、単なる外傷でヤショ?

実際には、縫ってネェーでショ?

映画じゃ、ドバドバ派手に動脈切ったミテェな真っ赤な血が流れるンスが、アレ、動脈血だったラ、お家に着く前に失血死でヤショ?

って事は、静脈の毛細血管が切れた訳で、鼻血と同じでヤショ?

(もし◎◎だったラ、学校の医務室(もし、当時有ったら)で赤チン塗ってもらって、家に帰れば、直ぐに田畑で母ちゃんとキツい農作業をシテるハズっす。)

ベッドで安静にして寝ている必要が、ドコに有るンすかネェー?

アタイには、サッパリ解りヤセン。

まして、陰湿なイジメに遭った訳でもネェーのに、何日も学校ズル休みするナンザ、アタイの理解の限度を超えて—-って、

エッ、親方っ?どうしてココに居るノ?

「どうして、ココに居るノ?ッテ、何言ってヤンデェーッ!

与太、テメェの話は、デレデレ、まどろっこシーンだヨッ!

カカァの野郎が、『この前、与太が来てアノ映画ヤッパおかしい、とか言ってたケド、アンタ知ってる?また金魚の糞みたいに成っチャゥと大変だよッ!』ッテから、冷や汗かいてタラ、カカァの野郎、コウも言ったンだョ。

『ソノ映画、アタイも見たいカラ、一緒に行かない?アンタも見とキャ与太に四の五の言われても平気でしょ!』ッテから、オイラも付き合って、重宝シネマ行った訳ヨ。

そしたら、カカァの野郎、途中から可愛い顔してスースー寝やガッてヨー。映画終わったら、『アー、良く寝た、スッキリしたーッ!近頃のアニメって難しいンだネ。アタイ、馬鹿だからサッパリだったヨ。キャハハハっ。』って笑ッテお終メェよ。コチトラ、全部見とかネェーと話に成らネェーから、一生懸命、見終えたケドよー、主人公のガキ、じゃネェ、お坊ちゃまが、江戸っ子の風上にも置けネェー、ロクデナシと来やがったカラ頭に血が上っチマッて話に成らネェーや!

何だ?コノ野郎は!喧嘩に一回負けた位ェでテメエの頭、石でカチ割って、テェした怪我でもネェのに御大層にベッドで御安静遊ばしヤガッて、オイラ大工達ャー、あんな傷、唾付けて絆創膏貼っ付けて平気で仕事してラァ!いくらガキの話だってフザケてんジャネェぞ!第一ナァソレ以上に—-」

「アノネ、親方ネ、ココは、アタイのブログてかレビューなのネ。アタイがコレから言おうとシテる事、親方が横取りしてはイケません。」

「何が横取りダヨ、泥棒した見テェに言いヤガッて。俺ッチが何時、泥棒したっテンだヨッ!ブログの旦那ンとこ顔出しタラ、『ソノ映画、与太の野郎が丁度レビューしてるハズ』ってカラお前ェーんトコ来たら良い所だったンで話てるダケじゃネェーか。続きが有るンだから俺ッチに任しトキな!」

「そんな事言われテモ—-、アタイドウしようカナ—-?アッ、そうだッ!アノネ、親方ネ、アタイちょっと急な用足しデ外に出ます。後は宜しく御願いシヤス。」

「アイよ!気ぃ付けてナッ!って俺ッチの話、ドコ迄だっけ?アッ、ロクデナシの坊ッチャマの話だッ!次いで頭来たノはコノ野郎がベッドで『吸い吞み』を使うシーンだ!

『吸いのみ』ってノは、高熱で起きるのがヤットの病人が使う道具ダローがよー!何様のツモリだ、コノ野郎ーは!

ソンで、一番頭来たノは、親戚の爺様ン所で自分の頭ン傷を見せ付けて言いヤガッた事だッ!

野郎、コンな事言いヤガッた!

『コレは僕の悪意デス!』

何、ホザいテンだ、コノすっとこドッコイっ!

テメエの悪行を人前に曝サラす時ャァ、少しは恥入りヤガレってンだヨッ!

ソレを、まるで『選手宣誓』見テェに、正々堂々と宣(のたま)いヤガッて!

『お坊ッちゃま』には『羞恥心』ってノが『絶滅』したンで御座ンスか?ッてんデェー!

無神経にも程が有るッテもんダ!

ソレばっかジャ無ェーぞッ!

『僕は、コレから友達を作りマス!』だと?

フザケルのもイー加減にシロてんダヨッ!

テメエには、友達作る前に、まず先にヤルべき事が有るダローがよーッ!

テメエが喧嘩した『生徒さん』に、チャンと謝る事ジャ無ェーのかヨッ!

『御免なさい。僕が悪かった。嘘をつきました。』

素直に、顔、真っ赤にして詫びるダケの事ジャ無ェーか!

ソレだけが、濡れ衣を被っテルに違ぇネェ『生徒さん』の『心の血止め』に成る。

謝る気ナンザ、サラサラ無ェーんカヨ、この野郎!

ソレだけジャ無ェーぞ!

ガキがガキなら、爺イも爺イだッてんダッ!

ロクでも無ェー、デタラメ世界、創りヤガッて!

テメエの創ったノはナァ、『心柱の無ェ五重之塔』だッテンだヨッ!

観てクレは、荘厳でも、中身はスカスカの張りぼて、崩れるノは、アタボーだッテンだッ!

何ッ?アタボーが分かりません?

『当たり前だ、篦棒(べらぼう)め』ッテンだヨッ!

俺ッチは、大工デェー。

俺ッチ、大工はナァー、『重力』って化け物と何時だって格闘、真剣勝負してラァー!

チョットでも油断すリャー、建物は崩れて、中に居る人様が、大変な事に成ッチまう。

その点、漫画、アニメは良ィーよナァー!

百乗之塔ダローが、五百乗之塔ダローが、描いチマエば、建ち上がった事に成ッチまう。

気楽で結構で御座んすネェー!

コノ異世界、アッチコッチに木材が使われテル場面が出て来るダローがよー。

オイラ、大工デェ。木材ッちゃぁプロだ!

家の柱、梁、床、扉、階段、窓枠、テーブル、椅子、全て、木材デェー!

木材は木(樹木)、木は林、林は森だ!

早ェー話が、異世界に家が有るッテ事は、

異世界に大工が居て、森や林が有るッテ事だローがヨッ!

ところが、この異世界ニャー、大工や森林の、影も形も無ェーと来やがった!

別に、大工を画面に出せッテな野暮、言ってンじゃネェー。

『気配』だヨッ、『気配』ッ!

例えば、家の前の『道』が、小石で覆われてレバ、雨の泥濘(ぬかるみ)対策で、結構な人数で作業進めッテ事だし、土で固めたママの道でも、轍(ワダチ)が残ってイレば、その道には荷馬車が往来し、道の先には『街』が有る事が解らぁ。

『街』には大工も何処かに 混じってラァ!

ソンで、景色の遥か彼方に、霞む山々が見えレバ、雨水や雪解け水が川と成って流れ、森が、林が生まれ、平地の流域ニャー田畑が広がってイル事は、俺ッチ見テェーな馬鹿でも解るんだヨッ!

コレが、『気配』ッテもんダ!

この異世界ニャー、人や動植物の生きてる『気配』がホトンド無ェーてんダヨッ!

ジャぁ、死後の世界かッテたら、爺イは生きてるし、タバコ喫(の)みノ下品な婆アの若返ッタ野郎がシレッと生きてヤガラァ。(コノ野郎、タバコ1本の為なら平気で娘まで売り飛ばす様な顔してヤガッたノが、急にヒロイン顔して出て来ヤガッて、アノ強烈な下品さは、何処に消えチマッタてんダッ!オマケに、コノ野郎、異世界の事、主(ぬし)見テェーに何でも熟知してヤガル。ドコで覚えヤガッたテンダよっ!帆引き船まで器用に操りヤガらぁ。何でも有りダナッ!)

オマケに、坊チャマ野郎の母親が、娘(むすめ)っ子に成ってヤガッて、生意気にテメエの家迄、持ってイヤがる。呆れたモンだヨッ!

何処の死後の世界に、テメエの家持って普通に暮らしテル奴が居るンだヨッ!

あげくの果てに、コノ娘っ子の家がヒド過ぎラァ!

見りゃ判ッだろーガヨ!

火の魔女だか知らネェーが、生意気に家ニャー暖炉まで有りヤガル。

暖炉っチャー、石か煉瓦造りだ。ッテ事は、コノ家造るニャー、俺ッチ大工の他に、石屋や煉瓦職人が居て、コノ異世界ニャー石切場や煉瓦焼きの工房が有るッテ事デェー。

他にも、窓はガラスだし、カーテンや調度品は、ゴッチャリお揃いで御座んす。

で、ドア開けて、外に出ると御丁寧に畝(うね)の立った菜園が有りヤガル。

コリャ呆れるシカねぇ!

ウンザリ、ベッタリだッてんダヨ!

畑仕事、舐めてんジャ無ーェゾッ!

鍬(くわ)鋤(すき)振り上げ、振り下ろして、畑を耕して、畝こさえて、便所から手前ェの糞尿汲み取って、肥桶(こえおけ)担いで畑に撒いて、足り無きゃ、草刈って来て土混ぜて、捏(こ)ねて、まだ臭ぇ堆肥作って、畑に鋤込んで、病害虫と戦いナガラ作物を育てる。

コレが(当時の)リアルな菜園ってモンでェーっ!

お子ちゃまのお嬢様が、臭くて鼻が捩(もじ)れる糞尿汲み取って、ピチャピチャ跳(は)ねる肥桶担いで、大人でもズッシリ重い鍬を振り上げるッテか?

いい加減にシヤガレってんだヨッ!

ソレとも、気の弱そうなインコの親子攫(さら)って来て、子供インコを人質に取って、言う事、聞か無きゃ、子供インコを炎で炙(あぶ)って焼き鳥にして喰うゾッて脅して、作男にデモするッテか?

でも無きゃ、魔法のスティック、一振りで、家から調度品から菜園まで、御見事、完成で御座んすッテか?

上等だヨッ!ペラペラの薄っペラ。リアリティのカケラも有りゃシネェー!

デモなぁ、もっと頭ン来てる事が有るンでェーッ!

お子ちゃまの『御嬢様』と、ロクデナシの『お坊っちゃま』の食事のシーンだヨッ!

何だ、コリャ?!

手作りパンにチーズにジャムが食事?!

コノ異世界は、コノ家ダケは、食い物で溢れてイヤがラァ!

ケドよ、パン作るノに、まさか小麦粉や酵母(イースト)まで『手作り』ジャ無ェーだろーヨッ。

ッテ事は、コノ異世界の何処かカラ手に入れテルって訳だッ!

つまりヨーッ、コノ異世界の何処かニャー、小麦畑が有り、小麦を育てテル農家の人々、家族が暮らしてヤガって、自分で小麦粉に挽くか、専門の小麦粉屋が居るッテ事ッテェー。

チーズだってソーよ!

まさか手作りジャ有るメェよ。手作りの製法、コノ時代(大正?)に日本で解る訳がネェーッ!

ッテ事は、欧州あたりカラの輸入品ですカイ?ドンだけ贅沢してヤガんデェーッ!

ッテか、コノ異世界にゃ欧州に匹敵する異文化の国々が有るンかい?

ンでもって、輸入屋と流通販売屋が有るッテ事ッテェーッ!

コノ異世界、何も無ェー様で、トンでもネェ、出て来る、出て来る、何でも有りヤガル!

コレで驚いてチャ行けネェーぜ!

ロクデナシの『坊ちゃま』が宣(のたま)いヤガッたっ!

「先(せん)に母さんが作ってクレたノと同じ味だッ!」

ッテ事は、現実世界でも、パンにチーズにジャムを、お食べ遊ばしマシタってコッタ!

戦争の最中だか、戦争前だか知らネェーが、当時の日本人の食料事情をチョットでも考えたら、涙がチョチョびるッテもんダぜ!

戦争中、原則、食料は国の配給だぁナ。元々充分じゃネェー配給量が、足り無くなるノは目に見えてラァ!最後にゃー、芋の蔓、タンポポ、何でも喰ってンだッ!

何っ?米は何処行ったッテ?

何言ってヤガんデェーっ!

戦争何年も続いて、農家の主(あるじ)迄、徴兵に取られタラ、田んぼの面倒、誰が見るンでぇ!

田んぼ仕事、舐めてんジャ無ェーぞ!

田起こし、代掻き、田うない、女子供や年寄りジャ無理な作業が目白押しデェー。

年取れば腰が曲がっチマウ重労働が、(当時の)米造りッテ奴だ。

ソレを、働き盛りの旦那、兵隊に取られチマったら、米、半分も獲れれば良い方デェー!

まして、アジア中の海外に拡げチマッた戦線には、日本中から集められた数百万の兵隊さん達が戦ッテいらしてたンだヨッ!

コノ人達に、大量の米、海を超えて届けニャいけネェー。

悔しいケドよ、直ぐに制海権、取られチマッた海上で、米積んだ日本の輸送船は潜水艦の餌食だろーガヨ!日本に残された母ちゃんや子供達が必死に作った米は、海の藻屑デェー。

海外の戦場で必死に戦ってる、日本の兵隊さんの多くに満足な米、食料が届くハズがネェ。

だから、日本の兵隊さん達の戦死の多くが、『戦闘死』じゃネェ『戦病死』ナンでぇ!

餓えて、餓えて、餓えて、病で死んで行きなさったンじゃネェーか!

話てるダケで、俺ッチ、辛ェーンだヨッ、ふざけてんジャ無ェーぞ—-!

ところがナァ、戦争前は、もっとヒデェんだ。

東北地方中心に、寒い夏が数年も続いて、稲穂はスカスカで、ほとんど米が取れネェー。

最悪の凶作だ—-。

喰うや喰わず通り越して、ほとんど喰えネェ、喰える見込みが全くネェ—-。

実質上の餓死や、一家心中が起こり始まる—-。

そして、農家の娘さん達の身売り(娼婦への人身売買)が一気に拡がって行く。

1つの村だけで数十人単位で、身売りが行われたンだヨッ!

そりゃソーさ。

『隣村の◯◯は、子供達の首締めて楽にした後で、夫婦は首括った』、ッテな噂が耳にリャ、

他人事じゃネェ。明日は我が身に違いネェー人達が、ゴマンと実在したンだヨッ!

いくら親兄弟の命を繋(つな)ぐ為ッても、親に売られた娘さん達が、どんな想いで、揺れる夜汽車の暗いガラス窓を眺めていたノか。

今日、女衒(ぜげん、人買い)に娘を売った父親が、眠れぬ寝床でどんな想いで闇に包まれた天井を見詰めていたノか、コノ『お嬢様、お坊ちゃま』ニャー、金輪際、死ぬ迄、解リャーしネェーだろーガヨっ!

何が「先(せん)に母さんが作ってクレたノと同じ味だッ!」

ナメてンじゃネェーぞ、コノ野郎—-。

でも、ヤッパ一番、頭来るノは、爺イだっ!

コノ異世界はテメェーが創ったンじゃネェーんか?

一番、可哀想なのは、ペリカンだろーヨッ!

普通の世界で、穏やかに魚喰って不自由無く暮らしてたノに、爺イが問答無用で異世界に押し込みヤガッたっ!ソレも異世界の海だか湖だかニャ、喰える魚が居ネェーと来ヤガる。

仕方ネェーから、空に浮かび上がッテ来る『ワラワラ』ッテのを捕食してるッテーと、ロクデナシ『坊ちゃま』の母君のお子ちゃま時代のお嬢様、『火の魔女』が海上に現れ、問答無用で強烈な火炎放射でワラワラごとペリカン達を焼き殺してヤガル!

さぞかし気持ち良いーンだろーヨッ!

ココのペリカンは、人の言葉を話せるンだぜ!

火の魔女は、殺す前に、ペリカン達と先ず話し合いをしネェーのカヨ?!

ペリカン達の長老はコウ言うに違いネェーや!

『火の魔女様、お逢い戴き有り難う御座います。

コノ異世界を創られた方は、貴方の血縁に当たる大伯父様と伺い、お願いが有るノです。

我々の一族は『上の世界』で、代々、魚の採って不自由無く平和に暮らしてオリました。

ところが、ある日、一族全てが、コノ異世界に降り立っていたノで御座います。

元の世界に戻る事は、無理だと諦め、コノ異世界で生き抜く覚悟をしたのデスが、何処の水辺にも、我々の採れる魚が全く居ないのデス。

背に腹は変えられず、天に昇るワラワラ達を狩り、食べ、命を継ぐ他は有りマセンでした。

しかし、狩りの際、必ず貴方様が現れ、火球を打ち上げ、ワラワラ諸共、我々の一族を炎で炙り、結果、ある者は焼死し、ある者は眼を焼かれ視力を失い、ある者は地に落ちた衝撃で羽を折り飛べない鳥と化すので御座います。

イヤ、貴方様の事を咎(とが)め立てするツモリは無いノです。

貴方様には、貴方様なりノ事情が御座いマショウ。

唯々(ただただ)、我々一族の置かれてイル事情を知って戴き、大伯父様に御取り次ぎ戴きたいバカリなのです。

貴方様の放った火球の炎から無事に逃げ果(おお)せ、嘴の中のワラワラを我々の営巣地に届ける事が出来た者も少なからず居ります。

しかし、如何せん、一族全体の命を継ぐには、程遠い量です。

そこで、貴方様が火球を撃ち終え、その姿が去った事を確かめると、我々は、二番目の狩りを始めるノで御座います。

夜空高く放たれた真っ赤な火球に、我らペリカンやワラワラが焼き殺されて行く様は、地獄絵図に違い有りマセン。

しかし、本当の地獄絵図はコレから始まるノです。

二番目の狩り、ソレは火球に焼かれ、地に落ち、水辺に落ちた我らペリカンやワラワラを、狩る為に探す事から始まるノで御座います。

焼かれ落ちたペリカンの中には、嘴の内にワラワラを秘めている者がおるノです。

死後の硬直が起こる前に、そのペリカンを見つけ、出来る限り手早く、ワラワラを取り出さねば成りマセン。

また、そのペリカンの嘴が閉じてイルと、外からは開けられず、貴重なワラワラを諦める他、有りマセン。

ソレを防ぐ為、一番目の狩りに出る前、我らペリカンは仲間の命を継ぐ為に心に誓う事が有るノです。

ソレは、ワラワラを嘴の中に捕らえたが、無念にも炎に焼かれ地に落ち、命が消えんトする時、最期の力を振り絞り、僅かでも、嘴を開けずには決して息絶えぬ事を、誓うので御座います。

狩りの相手が、既に息の絶えたペリカンで有ッテも、ソレは何とも辛い仕業(しわざ)に違いは無いノです。

しかし、その相手が、まだ息の残るペリカンだった場合、ソレは本当の地獄絵図と化すので御座います。

炎に焼かれ、地に激突した衝撃で、翼は砕かれ、折れた骨が臓物を抉り、その痛みは息絶える間際まで続くと申しマス。触れるダケでも激痛が走るに違い無い相手に対し、否応無しに嘴を入れ込み、ワラワラを移し取って行くので御座います。

息が残っていると申しマシてもホトンドが虫の息で、激痛に暴れて抗する事など出来ようハズも無く、動けぬ躰で、繰り返される激痛に耐えるしか無いノで御座います。

救う事も、楽にしてヤル事も出来ず、唯々(ただただ)、瀕死のペリカンの嘴を開いて、ワラワラを移し取って行く仕業の際、ホトンドのペリカン達は黙して、涙を流してイルので御座います。

更に、瀕死のペリカンが見知った者の場合、ましてや、縁者の場合、その仕業の辛さは、もう言葉に成らぬノで御座います。(参照 お話の1)

涙と申せば、ワラワラにも触れて置かねば成りません。

如何に、我らペリカンの狩りの獲物と言えども、炎に焼かれ地に落ちたワラワラの姿は余りに酷く、とりわけ、まだ息の残る瀕死のソノ姿は正視に耐えマセン。

焼かれた眼の、上瞼(まぶた)、涙袋は腫れ塞がり、全身は赤く爛れて膨れ上がり、皮膚の一部は剥がれて厚い布切れの様に垂れ下がってイルノで御座います。

そして、途切れ途切れの荒い息を吐きナガラ、小さな躰を不規則に震わせてイルので御座います。

ご存じの通り、ワラワラは言葉を発しマセン。

しかし、ソノ酷い姿を目の当たりにすれば、ワラワラの、か細い声無き悲鳴が、誰でアレ、耳の底に焼き付くので御座います。

『—-痛いよぅ—-。』『—-熱いよぅ—-。』

出来る事なら、直ぐ楽にしてヤリたい。

しかし、我らペリカンに、その術(すべ)は無いノです。

何時しか、母ペリカンの中に、一旦、両の翼を大きく拡げ、続いて、打ち震える瀕死のワラワラの小さな躰を、翼内側の柔らかい羽毛でソッと包み込む姿を取る者が現れ始めたノで御座います。

羽毛に伝わる、ワラワラの小さな躰の震えは心做し(こころナシ)か次第に収まって行き、ソレでも荒い息は続くのデスが、その息が弱まり、絶える迄、母ペリカンはソノ姿を唯々(ただただ)ジッと保つノで御座います。

そして、最期の息を終えたノを確かめると、母ペリカンは翼を閉じ、露わと成ったワラワラの小さな骸(むくろ)をソッと嘴の中に収めると、一声大きく鳴き声を上げ、翼を拡げ羽ばたくと、月の照る夜空高く飛び去って行くノです。

今、ソノ姿は、雌、雄、老、若、を問わず、見られるノで御座います。

本来は、どんな姿で有れ、否応無しに、素早く効率的にワラワラを回収すべきナノでショウ。

しかし、我らペリカンは、ソコ迄、賢くは成れぬノです。

我らペリカンは、ソコ迄、心は強く無いノです。

愚か者は、そして、心の弱き者は、淘汰され滅び去る。

覚悟は致して居ります。

ただ、滅びノ前に、成すベキ事を成さネバ成りません。

ソレが、貴方の大伯父様に我らペリカン一族の願いを聞き届けて頂く事なノです。

難しい事では御座いマセン。

『我らペリカン一族を、否応無しにコノ異世界に移し住まわサレタ様に、

我らペリカン一族の食する事の出来る魚族を、コノ異世界の水辺、湖沼、河川、海に、同じ様に移し住まわサセテは戴けナイか。』との願いで御座います。

大伯父様にお目通りが無理ならば、せめて、貴方様から我らペリカン一族のコノ願いをお伝え頂けます様、伏してお願い申し上げます。

コノ老いさらばえた躰、炙ろうと、焼こうと、存分に成さって結構で御座います。

ですから、何卒、何卒、我らペリカン一族のコノ願い、取り計り戴きます様、重ねてお願い致します。』

言い終わると、老ペリカンは頭を地に擦(こす)る様に付け、その場を動こうとは、しなかった。

そして、火の魔女の返答を、微動だにせず、待ち続けるノだった。

(お話の1)

炎に焼かれ地上に落ちた瀕死の雌ペリカンの、激痛を喘(あえ)ぐ微かな声が、夜の闇に紛れて途切れ途切れに漂っている。

片方の翼と足は衝撃で折れて曲がり、瞬(またた)きを忘れた眼は、もう何も映(うつ)さ無い。

最期の力が振り絞られ、ワラワラを閉じ込めた嘴(くちばし)はユックリと開いて行った。

月明かりが、ソノ姿を閑かに包んでいた。

と、身近で羽ばたきノ音が起き、何者かが地に降り立った。

羽音は雄ペリカンのソレだった。

そして、羽を閉じ終えると、一歩一歩、近付いて来る。

その足音には、微かに覚えが有った。

地に伏せた嘴の傍(かたわら)で、足音は止まった。

微かな風が草を撫で、傍に立つ雄ペリカンの羽毛を閑かに揺すった。

瀕死の雌ペリカンは、ハッとする。

忘れるハズの無い匂いだった。

「—-貴方 なの—-?」

「アア、私だ—-。」

「—お願い しま す—-。」

「アア、決して、無駄にはシナイ—-。」

雄ペリカンは、瀕死のペリカンの嘴の中に自分の嘴をソッと差し込むと、まだ微かに動いているワラワラを静かに移し取って行った。

虚ろに成った半開きの嘴から漏れ出る喘ぎ声は、もう終わろうとシテいた。

その中で、最期の言葉を紡いだ。

「—- 有り 難う—- 。」

その時、瀕死のペリカンは、渇き切った下嘴の中に、温かい雫を感じた。そして再び、雫が—-。

その温かさは、逝こうとシテいる、折れ曲がり焼け焦げた雌ペリカンの躰を、優しく包むノだった。

最期の息が絶えたノを確かめると、雄ペリカンは、想いの全てを断ち切る様に、一際大きく羽ばたくと、月明かりを受け、夜空高く飛び去って行った。

で、火の魔女さんヨォー、トットと返答シヤガレってンだヨっ!

コチとら江戸っ子デェーっ!手前ェの答え、グダグダ待ってる暇ナンザ無ェーんダヨっ!

しかし、何たって、一番悪いノは、大伯父様とか言うアノ爺いだッ!

ペリカンの長老が言う見てェーに、魚、一緒に連れて来りゃ済んだ話ダローがヨォ!

言い逃れ出来無ェー、手抜かりジャねぇかっテンだッ!

だから、爺いの造った世界は、芯柱の無ェー、スカスカだっテンダよっ!

何オッ?

『ペリカンもインコもメタファー(暗喩)で、お解り頂けマセンか?』だとッ!

上等だヨッ!お解り頂けマセンで御座いますデスよっ!

俺ッチのカカアの野郎ナンザ、お解り頂く前に、ぐっすり、お休み頂いチマッてラァーッ!

ざまぁ見ヤガレってンだッ!

俺ッチも、カカアの野郎も、教養だの、溢れる知識だの、絵画芸術だの、トンと御縁が無くて遊ばしマシてイラッシャイますノで御座いますッテンダよっ!

何がメタファー(暗喩あんゆ)だ、

笑わせンじゃネェーやッ!

総入れ歯が外れチマッた爺いジャ有るメェーし、話が有るなら、ファーファー言ってネェーでハッキリ、スッキリ喋りヤガレってンだッ!

何オッ?

「『ハッキリ』言えば、ソレは、『メタファー』には成りません。ご理解下さい。」だとッ!

コレまた上等だヨっ!コノ映画はアニメだろーがヨォ!

アニメっちゃあ、本来、ガキの見るモンじゃネェーのかヨッ?!

俺ッチはアニメも映画も詳しくネェーが、カカアの野郎はアニメとか結構見てて、コノ映画もジブリとかのアニメ映画だからッテ、見るノ楽しみにシテたんジャねぇーか!

カカアの野郎が言うニャー、ジブリのアニメ映画ってノは、ガキ共が夢中に成って喜んデル他に、中ニャー大人も嵌(は)まって大ファンが居るッテ話じゃネェーか。

するッテーとヨーッ、コノ映画の公開の仕方、オカシくネェーか?

例えばコンな事ッテェー。

お子様ランチが大評判の食堂が、料理長の店主の高齢化でココ数年は店を閉じていた。

ところが、店主が心変わりして、店を開けると決まった。

常連客は上や下への大騒ぎで、オープンの日を待ち兼ねテル始末デェー。

で、いざオープンの日、期待に胸膨らまして店に入ると、コレ迄と様子が違う!

テーブルの上にはナプキンが立てられ、左右にナイフ、フォークが数本づつ既に置かれている。「イラッシャイませ!」の元気な掛け声の代わりに、ヒソヒソ話の様な小声で、

『特別オープンの為、店主のシェフの意向でフレンチコース料理の単一メニューと成ってオリマス。』との説明が有る。

俺ッチ見テェーな箸しか触った事の無ェー人種で、テーブルマナーもヘチマも無ェー野郎の中には、コノ時点で子連れでオロオロしチマウ優しいお方も居らっシャルだろーよッテンだ。

ソンな方が、蚊の鳴くような声で「お箸は使えマセンか?」ッテ尋ねると、薄笑い浮かべて「ご遠慮頂いてオリマス。」と来やがる。

上等な商売ダヨっ!

店先に以前と同じ『お子様ランチの暖簾(のれん)』下げてて、客、誘ってコレかよッ!

せめて入り口に大きく『当店は、今回、高級フレンチコース料理単一メニューです。』紙一枚貼っとキャ済む話だろーガヨーっ!

マッ、食堂だったら後払いダカラ、「帰りマス」。で席立チャお終ェーよ。

ケドよぅ、折角、電車乗り継いで、子連れで楽しみに食堂に来た客を、顔真っ赤にして帰らせるッチャ上等な商売だよナァ!

俺ッチなんざ心臓毛だらけダカラ、箸使えネェーんダッタラ、近くのコンビニ行って割り箸一束買ってきて、箸、欲しがってる客に、「粗品で御座んす。」ッテお配りスラァ。

店員だか、スタッフだかが、文句言うダローよ。

「お客様、箸を配るなど、勝手な事をされタラ、お店が迷惑致します。お止め下さい。」

何を仰るスタッフ様、

「お店様が、箸を配ら無いなど、勝手な事をされるカラ、お客様が迷惑しているノです。お止め致しマセン。アタボウでぇ!」

ケドよぅ、映画だと一旦入っチマウと、10分で即退場でも、払い戻しはゼロ。

まして、予告篇もゼロだから、中身の見当も付かネェー。

せめて、こんな説明の予告篇や宣伝が有りゃ良かったノにナァ!

『貴方はアニメ映画が、芸術に昇化する瞬間に立ち会う!

巨匠◯◯の集大成にして最高傑作!

妥協ゼロの、純粋◯◯ワールドが炸裂!

本物の感動と絶賛の嵐!見逃すな!

(※尚コノ映画の御観賞には、美術、文学、等の芸術文化に対する、相応の教養知識をお持ち頂いている事が望ましく、お持ち合わせの無い又は乏しいお客様の映画鑑賞後の御満足は、保障致しかねマス。尚、当然ですが、お客様の御事情に拠る映画御鑑賞後の入場料金の返還の御要望には、一切受け付けておりませんノで宜しく御了承下さい。)』

てな事を、宣伝してクレてタラ、カカアの野郎もコノ映画、『アア、お子様映画じゃ無いノネ。』ッテんで見ネェーで済んだローよ。

俺ッチも、カカアの野郎も、無教養の馬鹿で御座んすヨッ。

ケドなぁ、お天道様に顔背ける様な生き方、してネェーんダヨっ!

簡単な話じゃネェーか。

『水は、低きに流れる。』

コレが『自然』の『摂理』ってモンだぜッ!

コイツさえ守ってリャ良いッテもんダローがヨォ!

教養も芸術知識も、一切関係御座んセン。

何オッ?「良く解らない」ダト?

俺ッチ見テェーな馬鹿でも分かる事ッたぜ。

耳の穴、カッポじって良く聞きヤガレってンだッ!

心得の1、『力が足りず、困っている野郎が居たら、力の余ってる野郎が手を貸す。』

当たり前ェーの話だ。爺いや子供が重そうに荷物運んでタラ、代わりに持ってヤリャ良いーンだ。

カッパらうンじゃネェーぞッ!

ケドよぅ、相撲取り見テェなデブがドジ踏んで、崖っぷちカラ落ち掛けテル時、無闇矢鱈に手を貸しチャいけネェー!自分が先に、崖から落ちチマわぁー。

じゃァ、見殺しにスルのかッテ?

何ご託、並べテンダよっ!そこら辺の四五人とっ捕まえて、デブに縄掛けて引っ張り上げリャお終ェーよっ!

心得の2、『金が足りず、困っている野郎が居たら、金の余っている野郎が手を貸す。』

コレも、アタボウの話ダローがヨーッ!

何オッ?アタボウ何か忘れましたダト?

当たり前だ、ベラボーめッてんだヨッ!

貧乏で、腹すかしたガキが居たら、金のチョット余ってる野郎が飯喰わせリャお終ェーよ。

ソンなガキが、喰い物、カッパらっタラ、大人の誰かが、替わりに金を払えばお終ェーよ。

ガキ、とっ捕まえたり、ぶっ叩いたり、絶対すんジャねぇーぞッ!大人の恥でぇーッ!

貧乏で、一家揃って腹すかしてタラ、金が結構余ってる野郎が皆に飯喰わせリャお終ェーよ。

ケドよぅ、金の余って無ェー野郎が、他人様の飯、喰わせチマウと、今度は手前ェーの飯が喰え無く成っチマウから御用心だぜ!

心得の3、『知識が足りず、困っている野郎が居たら、知識の余ってる野郎が手を貸す。』

コレもアタボウだぜ!

読み書きの出来無ェー野郎が、説明書き見てサッパリ解らず、困ってタラ、読み書き出来る野郎が、チョィと御免ッてんで、説明書き読み上げてヤリャーお終ェーよ。

「以上の説明で、何かお解り頂け無かった点、何かご質問が御座いマスか?」ッてな事オマケすれば満点ダローがヨ。

ケドよぅ、『コノ心得の3』っチャー、ボロくそダよナァ。

知識の足り無ェー野郎ってノは、言い換えリャー、頭の悪い奴って事で、

知識の余ってる野郎ってノは、言い換えリャー、頭の良い奴って事ダローがヨ。

心得の1で、力の足り無ェー野郎の事、馬鹿にスル奴ァ、居ネェー。

心得の2で、金の足り無ェー野郎の事、馬鹿にスル奴ァ、ホトンド居ネェー。

ケドよぅ、

心得の3で、頭の悪い野郎の事、馬鹿にスル奴ァ、ウヨウヨ居ラァな!

『オヤ、マア、何たって、頭の悪い野郎の事を、馬鹿と呼ぶンで、馬鹿を馬鹿にスルのは当たり前。馬鹿を馬鹿にシナければ、アチキは、一体、誰を馬鹿にスレば良いノで御座ンス?ホホホホホ。』

てな、屁理屈をコネ出すロクでナシもウヨウヨ居ヤガル。

つまりダなぁ、コノ、心得の3は、心得の中で、一番、泥に塗(まみ)れテって事ッたぜ。

俺ッチは、映画のレビューなんて御縁が無ェーし、サッパリ分かんネェーけどヨゥ、

ブログの旦那ん所で、コノ映画のレビューってノ見せて貰ったケドよぅ、驚いチマッたぜ。

チンぷんカンぷんの☆と、感動感激雨霰の☆☆☆☆☆とが半々で、両極端デェー!

ソンでヨーッ、☆☆☆☆☆の野郎が☆の野郎を結構、馬鹿にしてヤガル。

コレは駄目デェー!絶対にッ!

知識の足り無ェー野郎が、頭が悪い、つまり馬鹿だッテなら、馬鹿は治るッテ事ッテぇー!

ソーだろーヨ!?

エッ?何故かッテ?

『馬鹿は死なナキャ治ら無い』、『馬鹿に付ける薬は無い』ハズだッテ?

何、聞いてヤガッたンだヨッ!

『馬鹿』に付ける『特効薬』が有るダローがヨッ!

『知識』コソが、『特効薬』じゃネェーか!

『血』が足り無くて死にカケてる人に『輸血』すリャ生き返るダローがヨッ!

『知識』が足り無くて馬鹿にサレて、世の中で死にカケてる人に、『知識』を『輸血』してヤリャ生き返るダローがヨッ!

コノ映画のレビューだってソーだろーヨッ!

☆☆☆☆☆の『知識』豊かな方々は、☆の『知識』乏しくコノ映画の豊かな果実を全く賞味出来ネェー野郎達に知識を分け与えて、コンナに美味しかったンだッテ解らしてヤンナきゃイケネェーッ!

ソレが出来なきゃ、ご自慢の『知識』とヤラは、本物たぁ大違いデェーッ!

御本人は、金襴緞子(きんらんドンス)の十二単衣(ひとえ)で着飾ッてるツモリだろーガ、ソーじゃネェ。

本当の所は、腐った生ゴミのタレ汁を拭き廻った蛆(ウジ)が湧いたボロ雑巾の十二単衣を着て、鼻が捩れる腐臭を辺りに放ちナガラ、歩く毎に、大量の蛆(ウジ)をボタボタと落としてヤガルのと変わりネェーや!

知識なんて物はナァ、金と一緒で、使い方次第で簡単に腐っチマわぁ。

オッと、大部、話が逸れチマッたゼ。

兎に角、爺いノ造った世界が、如何に出鱈目かッテ話だ。

コウ成りゃ、洗い浚(ザラ)いブチまけるシカねぇーナッ!

先ずは、爺いノ暮らす世界ダゼ。

コレがヒデェーもんダッ!

手前ェーの暮らす場所は、花が咲き乱れ、果実は成り放題、喰い物に困るハズも無ェー!

ところが、一転、手前ェーの造った世界じゃ、満足に喰い物が無く、ペリカン族はワラワラ族を、やむを得ず喰ってる有様だ。

ところが、爺いの親族は特別で、チーズだジャムだッテ贅沢し放題してヤガル。

傑作なのは、ワラワラ族が、上の世界で『人』に生まれ変わる『基』で、どうやら『食事』が必要らしいト来やがる!

爺ぃが、異世界どう造ろうト勝手だケレド、現実世界と『適当』に『リンク』させチャ、イケネェーや。

ドコが『適当』か?ダッて?

何、言ってヤガんデェーっ!アンタも俺ッチも、生まれる前、ワラワラだったッテ訳かい?

与太の野郎なんざ、アレで結構、ウブな所が有っカラ、

『親方、アタイ、生まれる前はワラワラだったンですカイ?チットも知りヤセンでした。』

てな具合で、信じ込んジマウぜ。

冗談キツ過ぎて、首括っチマわぁ。

デもって、ワラワラの食事はタバコ吸みの婆ァの若い野郎が『世話』する事に成ってヤガル。

死んヂマッた後の『魂』を『敬う』気が有るンだったラ、

生まれチマウ前の『魂』を『敬う』気は無ェーのかヨッ!

ワラワラの扱いは、ドウ見ても上から目線のペット扱いで、食事じゃネェ、餌やりデェーッ!

『敬う』気なんざサラサラ無ェーって事ッた。

ソレよかヨー、タバコ吸みの婆ァの若い野郎、ワラワラ達の食事、チャンと用意出来るンか?

絶対、無理に決まってラァーッ!

何故かッテ?

アタボウでぇ!俺ッチ、大工は算術勘定ぐれェは出来るンデェーっ。

コノ時分、日本だけデ、毎日、2000人の赤ちゃんが産まれテル勘定に成ラァ。

ッテ事は、日本だけデ、毎日、2000体のワラワラが必要だって勘定に成ラァ。

ソンデ、ワラワラが上の世界に旅立つノが10日ゴトとすリャ、10倍たまって2万体のワラワラ用の食事が必要って事ッた。

コノ時分、世界の人口は日本の15倍くれぇダカラ、世界で考えリャ、毎日3万人の赤ちゃんが産まれテル勘定に成り、毎日30万体のワラワラの—-ってウンザリすらぁ!

若返りの婆ァ独りで、ドウ捌(さば)くンでぇ!

コノ若返りの婆ァ、ワラワラの食事用に、イルカよりデカイ魚の怪物ミテェなの大包丁で捌いてヤガッたケド、はらわたブツ切りにシテ、ただバラ撒いテルんジャねぇダローなッ?

チョットでもワラワラへの『敬意』が有りゃ、食卓と皿ぐれェは用意してアタボウでぇ!

ソレを毎回、2万席、事に寄りゃぁ30万席、用意せにゃ成らネェー!

土台、無理って事っテェーッ!

若返りの婆ァ、ヒヨコに餌やるミテェに食事の『世話』してヤガんダローよ。

『敬意』もヘチマも有りゃシネェやッ!

『敬意』っチャー、火の魔女はモットひでぇーヤっ!

コノ野郎、テメエが焼き殺したワラワラやペリカン達の為に、掌を合わせた事、一度でも有るンかッ?

戦争だって、アンナに殺しマクレば、頭オカシク成る奴はゴロゴロ居らぁ。

アッ、街に爆弾投下しても、木っ端微塵でバラバラに成った子供の死体が見え無ェーのと同じで、痛くも痒いくも無ェーって訳かッ!

成る程ネェ、恐れ入谷の鬼子母神ッたぁコノ事でぇッ!

コノ野郎、正真正銘の『魔女』野郎だナッ!

でも、ヤッパ、爺ィにゃ適わネェーや。

爺ィ、万巻の書物、読破してテモ、根性が腐ってヤガンでぇー!

何が、「コノ世界、あと1日は持つ。」だっ!

手前ェも、コノ世界が出来損ないでブッ壊れカケテルって知ってンじゃネェーかッ!

何を悠長に、テーブル前にして椅子にブッ座り込んデンだヨッ!

俺ッチだったら、ドウしたら壊れカケテル所を直せるか、一番、頭の切れる方に知恵貸して貰って、他の親方衆と一緒に、毎日、若い衆、全員引き連れて、徹夜続きダローが構うコッタねぇ、夢中で直しマクッてラァ。

ソレを、爺ィの野郎はドウだ!

何一つシネェ所か、インコ大王だが何だかノ為すがママにサセて置いて、異世界丸ごとブッ壊れるノを黙って視てヤガル。

じゃァ、『皆殺し覚悟』か、って思うとソーじゃネェーんだヨッ!

喰い物と一緒で、身内だけを助けるンでぇーッ!

信じられるカイ?身内だけダゼっ!

何おッ、「ペリカン達もインコ達も助かりマシタ。」だとっ!

じゃ聞くがナッ、ワラワラ達は助かったンかい?

火の魔女の家、造った俺ッチ大工仲間や家具職人、建具師、石屋、ガラス屋、陶器職人、商人、運送屋、等々、画面の陰に確実に実在する人々は助かったンかい?

コイツ等、全員、住んでる街ごと皆殺しダゼっ!

ソレだけジャねぇーゾッ!

火の魔女の家の菜園を実らせた、蝶や蜂、蟻、そして、土壌を陰で耕すミミズ達、菌類、全て、皆殺しダゼっ!

そして林、森の樹々、ソコに生きる獣はじめ動植物の全て、皆殺しダゼっ!

更に、山に、川に、海に暮らす生き物の全て、皆殺しダゼっ!

前代未聞の大殺戮じゃネェーかッ!

爺ィの野郎、意気地クタバリの眞人が跡目を継がネェーって御託並べた時に『炎で焼かれる世界に戻るのか?』ッテな事を言ってヤガったが(こん時の眞人の野郎、本当に頭来るヨナっ!何がコレは僕の悪意ですだッ!手前ェーの恥ずべき事を威張ッてる奴は、連続幼児殺しのシリアルキラーが『幼児殺しは、私の崇高なる芸術表現だ。何人も私の表現の自由を侵す事は出来無い!』ってホザいてるノと一緒じゃネェーか!お前ェーの心なんざ真っ黒デェーっ!)コリャ、核戦争の事を言ってンじゃネェーだろーナッ!

もし、ソーなら、お笑いダゼっ!

核ミサイルの標的は、大都市と軍事基地だよな。

つまりョー、核爆発で死んだり滅ぶのは都市や人間だ。

森林、平原、山々、河川、湖沼、海洋、そしてソコに生きる動植物、生物は、確実に生き残るッ!

人間に追い遣られ、絶滅に瀕していた獣の中には、人が焼き尽くされる様を見て、祈りを唱えた『神』に涙を流して感謝するダローよ。

ところが、比べてドーだッ、爺ィの実行した事は!

生きとし生ける物、全て、世界、丸ごと平然と殺しヤガった!

ナチス所か、『神』でさえ行わない、大殺戮デェーっ!

何処で知りヤガったか知らネェーが、核爆発を危惧してる野郎が、核爆発なんざ話にも成らネェー大殺戮を実行して、どうするンでぇッ!

但し、チャッカリ身内だけは助けてヤガル。

虐殺爺ィも爺ィだが、チャッカリ助かった身内も身内だ。

先ず、若返りの婆ァだ。手前ェーが世話してヤガったワラワラは置きざりかヨッ!

ソレで、良く平気の平左で居られンなぁ!

次に火の魔女野郎だ。「素敵じゃないか。眞人を産むなんて!」上等だヨッ!

素敵じゃネェーか。他者が飢える最中、贅沢し放題、食べ物喰い放題。話し合いも眼中に無く、結果的に救う為と称して、ワラワラごとペリカン達を虐殺し、心に陰1つ残さない黒魔女が、生み落とした眞人は見た目とは裏腹な、心に堂々たる悪意を潜めた、意気地クタバリじゃネェーかッ!

続いて、後妻の野郎だ。

手前ェーが産屋だか何だかに、入り込んだか連れ込まれたンだか知らネェーが、廻りは大迷惑だっ!出る気も逃げる気も無ェー。ソレが、異世界がブッ壊れると、いつの間にか脱出口にお出ましデェー。で、元の世界に戻ると、遅れて逃げて来た人喰いインコ達が普通の小鳥のインコ達に姿を変えると言いヤガった。「マァ、可愛い!」

お気楽の極みダゼっ!

アーッ!後妻ってば、火の魔女の妹だったヨナっ!同じお姫様だ。上等だヨッ!

最後は、眞人の野郎だ。

コノ野郎、意気地クタバリのロクでナシが、異世界で少しは変わるンかと思ったケンド、同じジャねぇーか!

ヤッパシ、手前ェーか、手前ェーの身内の事しか考えてネェーや。

異世界がブッ壊れる時、少しでもペリカン達が哀れと思ったら、何とかして助けヨウと考えるンじゃネェーのか?

何1つ考えネェー、何1つシネェーっ!

火の魔女の家で過ごした身で、その家を造った人達がコノ異世界の何処かに大勢暮らしており、異世界がブッ壊れれば、確実に死ぬ。出逢いはシ無かったケド、他にも多種多様の人々が無数に居るハズで、全て死ぬ運命ってノに、手前ェー達だけ助かって、顔が青ざめる事も無ェーのかヨッ!

全く、平気の平左だッ!

実に見事な『生き方』ダゼっ!

ソンで、『君たちは、どう生きるか?』だとっ!

上等だヨッ!へへへのへッてンだッ!

まだまだ有るンでぇッ!コノ野郎っ! 」

「オーや、マぁ、大層、威勢が良ゥ御座んすネェーっ!」

「ソウよ、大層、威勢が良いッテ—-、エッ?その声は?」

「アーれ、マぁ、アチキの声を、お忘れカイ?」

続くーっ!

ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝

アノネ、この間、アタイがブログの旦那ン家に、エンニオモリコーネの原稿、持ってッタ時、

旦那、変だッタんだ!

何時も見たく、書斎に入ると、旦那、机の上にうっ伏したママだ!

直ぐに「旦那、大丈夫ですカイッ!」って声掛けると、うっ伏したママ片手チョット持ち上げて、挨拶してるツモリだょ。

「アーッ、ビックリしたぁーっ、脅かしッコ無しデスょ。アタイ、旦那がヒックリ返っチャッタと思いヤシタ。何、有ったンすか?」

デネ、傍に行くと、机の上が濡れテル。ヤッパ、変な事に成ってる!

「旦那っ!大変デスぜ!眼が大汗かいてヤスぜ!早くふかネェと風邪ひきヤスよ。」ってーと、旦那、顔上げて言いヤシタ。

「与太ッ!コノ馬鹿野郎ッ!他人のオメェーがソレ言っチャお終めぇダロがヨゥ!」

「エッ?旦那、ジャその眼から出てたノは、何デスかい?エッ?マカサ、鼻水?キッタネェーすょ。ウン?だッタら、もう風邪かな?ティッシュ持って来ヤショーか?」

「いちいちウルセェー野郎だなッ!ドコのドイツが眼で風邪ひくンだよッ!涙!涙だよッ!

泣いてたンダョっ!解ったかコノ馬鹿野郎ッ!」

「デへッ、旦那、怒るの無しデスぜ。ソーですカイ。泣いてたンですカイ。よっぽどコッピドク、おかみさんにトッチメられたンすか?アタイ、代わりに、謝って来やショーか?」

「うん、ソーしてクレると大変有難い—-ッテ、違う違うッ!そんな訳ネェーだろ!

コレだよ、コレっ!」

ってンで旦那がアタイに指し出したノが、一枚の映画チラシでヤシタ。

コレが、大変な代物で、一見して『アリャマ』って成りました。

宝塚歌劇団的少女漫画100%の直球ど真ん中ッ!

さすがのアタイも、こりゃパスと思いヤシタ。デネ、旦那に、

「アタイも映画に掛けチャ守備範囲は狭くはネェつもりデおりヤシタが、旦那にゃ、恐れ入りヤシタ。イャーっ、人間、色色、旦那も色色。かくの如き嗜好をお持ちタァ、お見それシヤした。で、ソレなりのフィギュアなんざも、コレクトされているンすか?その目ん玉飛び出るレア物フィギュア、内緒で買ったのバレちゃって、オカミサンと、一悶着有ったンすかい?」

「何がフィギュアだ、コノ馬鹿野郎ッ!そのチラシ、スタッフんトコ、よく見てみなッ!

シリーズ構成、誰に成っテル?」

「ソー言われても、アタイ、少女漫画アニメの監督も、脚本家も、よく知らネェーから—-

ッテ、アレッ!?コノ映画のシリーズ構成、吉田玲子女史に成っテルっ!?」

「ソーだローがょ。なぁ、もう解っただローがょ!お前さんの贔屓の『ガールズ&パンツァー』『聲の形』の脚本家、吉田玲子女史!オイラも、最初はヨー、パスだったケド、コレ見ッけて、映画館直行ヨーッ!

で、どんなに良い映画だッタかは、パンフレット、完全品切れって事でも判る!

お前さんも、四の五の言ってネェで、重宝シネマのチケット有るから、コレで、トットと見といでッ!」

ってンで、アタイ、コノ映画、見て来やした。

パンフレット、やっぱ品切れでした。

で、旦那ン家に映画の報告しに行くと、待ち構えてて、直ぐ言われチャイました。

「オウッ、映画、どうだッタイ?」

アタイ、映画の事想い出しチャッて、黙って、下向いてると、

「ナンでぇー、お前さんも眼に汗かいテルんカイ?ソレとも、鼻水カイ?

黙ってチャ判らネェ—-って、判る、か。マッ、良いヤ。でヨー、コノ映画のブログ、

オイラ、書いといタカラ、お前さんは、別の又、頼むワァー。」

コン時、旦那に、アタイ手伝いマショーかッテ言ったンだケド、相変わらず、

「心配ご無用、ガッハッハッ!」てなモンで、ケド、やっぱ、超、超遅れて、早1年、結局

アタイ今、手伝いしてます。

でも、旦那、今回は結構頑張って、何とか言う映画サイトに、DVD出る前に、やっとこさ、

レビューっての、投稿出来たッテ言ってた。

ケド、やっぱ、遅すぎダヨね。アタイ、早く手伝ってレバ良かったョ。

デネ、今回はネ、旦那のレビューの続きの原稿を、アタイが仕上げてオリヤス。

何しろ、アノ旦那の字でショ!アタイ、随分、慣れたケド、アリャ、初めての人は、感動するか、トラウマに成るか、ドッチかダヨね。

エッ?お前はドッチだったッテ?

デへッ、あのね、アタイは、結構、感動してヤシタ。だって、アレ見れば凄いンだモノ!

最初から最後まで、知恵の輪がズラーッと並んでルンだモノ!

アタイなんか、オツムが少々なんで、知恵の輪ッテ、憧れチャウんだョ。

ソレが何10ページも有るンだモノ!凄かったネェーッ!

エッ?もうイイから早く始めろッテ?

判りヤシタ。ドーもスイマセン。ジャ、始めマス。

アッ、イケネェ、タイトル。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 永遠と自動手記人形』ですョ。

良い映画とは、私にとって、心に残る場面、台詞、音楽が、有る映画です。

この映画、心に響き刻まれた場面、台詞は、両の手指でも足りません。

4つ、並べて見ます。

(この映画の底には、戦争のうめき声が閑かに流れています。

そして、主人公の心の底には、戦場の飛び散った肉片と血飛沫がこびり付いています。

 以下、ネタバレどころか、バレバレです。)

その1。 オープニング場面。

青空に向かって、思い切り広げられた、小さな手の平のアップ—-。

カメラが引く—-。海洋をカモメと伴に進む客船の甲板—-。

その手摺りに、もたれかかっている、目深に帽子をかぶった子供の乗客—-。

バッグから、折り目がボロボロになっている古びた手紙を取り出し、

口を真一文字にして、ジッと見詰めている—-。

潮風が、容赦なく子供の頬を叩く—-。

両の端を小さな手で握り締められた手紙は、潮風に小刻みに揺らいでいる—-。

小さな、ため息が洩れる—-。

その子は、憂いた顔で、波頭を切って流れて去る波の行方を眼で追っていた—-。

と、一瞬、その瞳が輝いて、舳先に向かって、バタバタと足音を立て走り出す。

舳先にかじり付くと、子供の視線の彼方に、陸地が、そして目的地の港が

その姿を現し始める—-。

一片の説明も、一言の台詞も有りマセン。

在るのは、小さなため息と、カモメの鳴き声、

そして、子供を乗せた船が、海を切り分け進む、潮の音—-。

この子供は、どこから来て、どこに行こうと、しているのか?

そして、青空に向かって差し出され、精一杯、拡げた手の平で、

この子供は、一体、何を掴もうと、あるいは、何を伝えようとしたのか?

イヤー、実に見事なプロローグです。実写の『名作映画』でも、導入部から

『名作』は、なかなかナノです。

エーッ、始めから申し開きで、失礼致します。

自分で言うのも、おこがましいノですが、私、敢えて申しますと、

『馬鹿』種族に分類されてオリマシテ、そのセイか、映画の『分析』とか、

『総括』とか、無理デス。

ご覧の通り、『馬鹿の一徹』で、以下も、自分の心に響いた場面を、

ダラダラと書き綴ったダケと成ります。

(実際の映画場面との差異、『馬鹿』に免じ、ご容赦下さい。)

その2。 降る雪。

驚きました–。この映画に降る雪は、『雪』では、ありません。

この映画で降っている雪は、『雪の結晶』でした—-。

本編の主人公、ヨーク家子女イザベラが、まだ違う名前で暮らしていた少女時代—-。

孤児の彼女は、粗末な家で、「まともな稼ぎ」とは無縁の、荒んだ暮らしを

選ぶ他に道は無かった。

そして、彼女の、余裕など無い暮らしにすら、「戦争」の余波は忍び寄り、

容赦無く蝕んでゆく—-。

遂に、その日稼いだ小銭が、『絶望』と言う値を付けた時、彼女は、耐え切れず

怒り叫んで戸外に飛び出す—-。

と—-、

そこには、閑かに、雪が舞っていた—-。

彼女を、家を、街を閑かに包んで、舞い降り続ける—-。

そこに舞い落ちているのは、『雪の結晶』。

それが単独で、あるいは重なり合い、結び付き、それでも『結晶』の姿を保って

降り続けている—-。

『空気』の次に身近で大切な『水』。

その『ありきたりの水』に秘められた『結晶』の姿は、

この『世界』が、それだけで『美しい』事の、揺るぎ無い、証(あかし)。

地の表を、「戦争」と言う、愚かさと、醜さの「極み」が覆い尽くそうとする—-。

その同じ空の高みから舞い落ちる、無数の『雪の結晶』は、一つとして同じ物は無く、

その全てが、この上無く、美しい—-。

そして、降る雪の中、独り残され佇む幼女に歩み寄った彼女は、その手を、

幼女にギュッと握られる。

小さな指先は、凍てつく寒さで、すでに薄赤く変色している—-。

その幼女の手の甲に『雪の結晶』が舞い降りる。

それは、幼女の生きている証の体熱で閑かに溶け、透き通った水滴に生まれ変わる—-。

彼女は、ここで、誓うのだ。

名前すら判らない、この児は、物心すら付かぬのに、孤児として生きる他ないのか—-。

辛酸をなめ尽くしたはずの自分には、粗末ながらも、雨露、寒さをしのぐ家が有る。

悔し涙を流せる寝床が、貧しくとも暖かい煮炊き出来るカマドが有る—-。

この児には、何も無い。有るのは、自分でさえ持て余すに違いない幾つもの重荷—-。

心の底に怒りがたぎった。

「この児が、何をした!」

「この児が生きて、何が悪い!」

「この児の行く末を邪魔する者は、私が許さない!」

「どけっ!近づくなっ!立ち去れ!」

「その代わり、私はどう成ってもいい!—-だから、頼むから、—-お願いだから、

この児に構わないでくれ—-。」

彼女は、誓うのだ。

「この児は、必ず、自分が、守り、育てる!」と。

『雪の結晶』、それは、ありふれた奇跡。

幼女に優しく話し掛けている彼女と幼女を見守る様に、

『雪』は、閑かに舞い続けている—-。

その3。  二人だけの食卓

薄明かりの下、二人だけで囲む小さな食卓の上に、場違いな大きさの

幾枚ものホットケーキが重ねられている—-。

少女は、その上に蜂蜜をタップリと回し掛け、切り分けたケーキを幼女に

差し出し食べる様に促す—-。

そして、尋ねる—-。『美味しい?』

幼女は、顔中を笑顔にして、全身で肯き、応える—-。

『ネェーネッ(姉ェーネ)!』

言葉の芯に有るのは、無条件の、そして、絶対の『信頼』。

彼女の心に、灯がともり、暖かさに包まれる–

ハズの、その灯がかき消えた—-。

同時に、幼女の姿も消えた—-。

眼の前に残された、裸の椅子と机—-。

『夢』—-なのか—-?!!

『独り』の荒れ野に、再び投げ出されるのか—-!

躰の全てが叫び声を上げようとした、その時、

ヨーク家子女、イザベラは、贅を尽くしたベッドで、泣き疲れた眼で、『夢』から、

醒めるのだった—-。

そして、全てが同じ、遠い過去の現実の光景—-。

薄明かりの下、二人だけで囲む小さな食卓の上に置かれた、スープ皿。

2粒の豆と、指先程にもならない、数片の野菜くずが浮いている—-。

少女は、ほとんど白湯(さゆ)に等しい、そのスープをすくうと、

何度か息を吹きかけ、幼女に差し出して、飲む様に促す—-。

そして、尋ねる—-。『美味しい?』

幼女は、顔中を笑顔にして、全身で肯き、応える—-。

『ネェーネッ(姉ェーネ)!』

言葉の芯に有るのは、無条件の、そして、絶対の『信頼』。

彼女の心に、灯がともり、暖かさに包まれる—-。

そして、心の底に溜まった澱(おり)が、透き通って、消えてゆく。

貧しく、そして、満ち足りて豊かな食卓—-。

しかし、この危うい『幸福』が、長続きする道理など、無かった—-。

僅かな糧を得る為に、底冷えのする深夜の街角に、立ち続ける少女—-。

凍える息を吸うたびに、少女の気道は、確実に蝕まれてゆく—-。

心の悲鳴の変わり身である、咳き込む少女の姿が、見慣れた景色に

変わり始めた矢先、『運命』が戸口の前に立つと、扉を押し開けた—-。

そして、少女に自らの誓いの証を迫り、少女は閑かに応じた—-。

幼女の先行きの見守りと引き換えに、少女、エイミー・バートレッドは、

その名を納めた小さな柩の閉じ釘を、全て打ち終えると、心の底に埋めた—-。

その封印された名前を、自ら名付けた幼女、テイラー・バートレッドが、

喉を涸らし叫び続ける呼び声に、背を鞭打たれ、断腸の悲しみを産声とし、

その日、ヨーク家子女、イザベラは生まれた—-。

その4 鋼(はがね)の手

贅沢な家具で飾られた、独りには広すぎる部屋の窓辺に、少女は佇んでいた—-。

ガラスに微かに映る少女の瞳は、消え入るように虚ろだった—。

名門良家の子女のみで閉ざされた学園—-。

少女にとって、日々の暮らしは、鎖で繋がれた獄舎と変わりが無かった—-。

ヨーク家子女、イザベラ。

(—-「泥水」をすすって、生を継いで来た彼女には、場違いに過ぎた—-。

彼女の周りは、世の中には「泥水」が有る事を想像すら出来ない人々の

集まりだった—-。歩く事も、座る事も、息を継ぐ事すら、惨めだった—-。)

日を重ねるごとに、心が吐き出す闇の糸で、黒い繭が彼女を覆ってゆく—-。

イザベラは、自分を、『僕』と呼ぶ—-。

それは、彼女が心の底で『本当の私とは違う—-。』と呟く、無音の叫び声—。

そうする事で、弾(ハジ)けて崩れてしまう、心の釣り合いを、守っていた—-。

しかし、ひ弱な盾の隙間を突かれ、日に日に、心の傷は、深まってゆく—-。

(心の悲鳴は絶叫に近づき、その変わり身である、激しい咳の発作の苦痛が過ぎ去るのを、

独りには広すぎる部屋の贅沢に飾られたベッドで、背を丸め、指を強張らせ、爪を立て、

誰にも看られず耐え忍ぶ姿が、見慣れた景色に変わり始めた矢先、)

『運命』が、学園の門の前に立つと、扉を押し開けた—-。

そして、その靴音は、彼女の部屋の戸口で止まり、ドアが開いた—-。

イザベラと変わらぬ年格好の、何処か大人びた少女が、閑かに立っていた。

そして、名前を告げた—-。

「お初にお目にかかります。お客様がお望みなら、何処でも駆け付けます。

自動手記人形サービス、バイオレッド・エバーガーデンと申します。」

『運命』は、エイミー・バートレッドを縛りに来たのではなかった—-。

『運命』は、エイミー・バートレッドを解き放つ為に来た—-。

自ら造り上げた『幻』に過ぎない、黒い繭の中で溺れかけている、

イザベラ、いや、エイミーを解き放つ為に—-。

そして、物語の幕が閑かに上がって行く—-。

バイオレッドが差し伸べようとした手を、

イザベラは、一喝の下に振り払った!

「僕に、触るなっ!—-」

その言葉が終わる前に、彼女は信じ難い衝撃に打たれた。

イザベラが強張った顔で、言葉を失っている様を見て、バイオレッドは

肘まで覆っていた白いサテン地の手袋を、おもむろに、外して行く—-。

光沢に輝く、鋼の手が、ゆっくりと姿を現し始める—-。

そして、鋼の両の手を全て露わにすると、少女は、穏やかに告げた—-。

「この両手は、先の戦争で失いました。」

『悲痛な人生』に喘ぎ続けて来たエイミーの目の前に、

『苛烈な人生』が閑かに微笑み、立っていた—。

イザベラの本能は、目の前に微笑みを浮かべ立っている少女の内に、

踏み越えて来た『苛烈な人生』を悟った。

彼女は、『悲痛』に溺れかけていた—-しかし、

今、眼の前に立っている少女は、『苛烈』を生き抜き、乗り越えかけていた—-。

イザベラは、表の意識では、少女への『未知への恐れ』で顔を強張らせていたが、

意識の底には、少女により『確かな希望』の小さな灯りが瞬き始めていた—-。

そして、その微かな光は、闇の中で眠り続けているエイミーを、閑かに目覚め

させてゆく—-。

その夜更け、激しい咳の発作がイザベラを襲った—-。

独りには広すぎる部屋の贅沢に飾られたベッドで、

上体を起こし、背を丸め、指を強張らせ、爪を立て、

身が捩れる苦痛が過ぎ去るのを、眼を閉じ、黙って耐える他ないのか—-。

と、その背に触れる物を感じた。

苦痛の涙に濡れた眼を、ゆっくり開けると、昼間の少女が傍らにいた。

イザベラは、もう、『独り』では無かった。

少女、バイオレットの鋼の手は、イザベラの背に、優しく添えられていた。

そして、イザベラの口元には、吸い吞みが、そっと当てられる—-。

『鋼の手』は、激しい咳の発作で熱したイザベラの背中を

優しく冷やした—-。

同時に、黒い繭の闇の中で、凍え、眼を閉じ、震えているエイミーを、

優しく温めた—-。

そして、『鋼の手』は、イザベラの、強張りが残っている手の甲に、

優しく重ねられる—-。

エイミーを覆っている黒い繭を生んでいる、心の闇が閑かに払われて行く—-。

遙か彼方に在るハズの『闇の果て』は、エイミーの目の前に在った。

闇が、閑かに明けて行く—-。

そして、エイミーはゆっくりと目覚めて行く—-。

イヤーァ、心に響くドコロか、揺さぶられっパナシです。

しかし、「話」が長い!って、馬鹿なモンで、短く出来ナイのデス!

エッ?威張るナって?ドーもスイマセン。

ところで、ご存知ですか?『馬鹿』種族には、2種類有りまして

1つは、『自覚の有る馬鹿』で、2つは、『自覚の無い馬鹿』。

『馬鹿』種族は、顔見りゃ、直ぐ判る。

でも『自覚の有る馬鹿』は、私も含め至って単純。

「馬鹿デショ?」「当たりっ!」で、軽々と国境を越える。

 問題なのは、『自覚の無い馬鹿』。顔見りゃ直ぐ判るのに、

 呼んでも応えない。

「馬鹿デショ?」「—-」「エッ?馬鹿じゃ無いノ?」

「失礼な!馬でも鹿でも無い!ちょっと頭が不足がちの人ナノだ!」

って、話が又々、ズレまくってオリマス—-。スイマセン。

エッ?「お前は、『自覚の無い馬鹿』では無い!」ウレシイなっ!

エッ?「お前は、『自覚の全然足りて無い馬鹿』ダッ!」

イヤー、ソコまで褒められると、照れマスナー。って褒めてナイ?

ソーなんデスかい!

京都アニメーションの方々には、最大限の敬意と、最大限の「ありがとう」を

言わせて下さい。

この映画にも、星空が映し出されますが、満天の星空を渡り流れ行く『天の川銀河』は、

都会の明かりの喧噪で、その姿を隠してしまいました。

しかし、コンクリートとアスファルトの臭いに囲まれ、時計表示で夜を迎える暮らしから、

土と草木の臭いに囲まれ、夕陽が山の端に沈み夜を迎える地に足を踏み入れた途端—-

見上げる夜空には、満天の星々の中央を、光の瞬きが群れと成り、蕩々と流れ行く『天の川銀河』の『永久の姿』が、確かに、ここに『在る』—-。

その『光の瞬き』の一つ一つは、取るに足らない小事に躓き、眉間にシワを刻み俯いたまま歩みを止めしまった私達の、全ての者に、分け隔て無く、希望の光と成ってソノ傍らに閑かに寄り添う—-。

そして、『光の瞬き』は、いつの間にか、私達の心の芯を共鳴させ、或る者は自ら再び歩み始め、或る者は、差し伸ばされた手を恥ずかしソウに摑み、顔を挙げ、一歩を踏み出す—-。

ソレは、エイミーとヴァイオレットの物語その物であり、

その物語を映し出す銀幕こそが『天の川銀河』であり、

その物語を創ったスタッフの一人一人が、永久の『銀河に瞬く星々』で有る事は、疑う余地は有りません。

京都アニメーションの皆さん、本当に、有難う御座いました。

与太郎のコロナ新型ウィルス対策

ご無沙汰しておりヤス。与太郎デス。

アノネ、こ前、アタイがブログの旦那ん家に「エンニオ モリコーネ」の原稿

届けに行った時、旦那、アタイの隣座って、夢中でツバ飛ばして、『コロナ新型ウィルス』の話、シヤシタ。

エッ?『ツバ』飛んだら危ない?『ソーシャルデスタンス』知らないノかッテ?

デヘッ、それが、大丈夫ナンス!

アノネ、アタイも最初旦那の姿見た時は、ビックリしました。

旦那ね、頭にスッポリ、『透明ビニール袋』被ってヤシタ。

旦那コウ言いヤス。

「オゥ、与太の兄さんョ、コイツ(透明ビニール袋)は『マスク』なんざヨリ、役者が

二枚も三枚も上ダゼ!考えても見ナァ、『コロナ新型ウィルス』ッテのは、『鼻の穴』、

『口の穴』、それと『目ん玉』から入るんダロ?コイツ(透明ビニール袋)被ってリャ

全部ほぼ100%シャットアウトだぜ!ざまぁ見やがれッテンだ!比べて『マスク』はドーでぇ?

『鼻』周り、『口』周りは、隙ダラケ!そもそもメッシュで次元が違う!まして、『目ん玉』は、無防備だぜ!」

アタイ、勿論『マスク』してタンだけど、ココまで言うと、旦那、その上からアタイの頭に、

『透明ビニール袋』を被らせチャッタ!

「ドーデー、コレで、お前さんは、オイラ以上の一丁前デェ!ソレとヨゥ、お前さん、

『コロナ新型ウィルス』の『接触感染』って知ってるカイ?」

「アタイ、良く知らない。」

「ソーだろぅヨー。お前さんが被っテル、『透明ビニール袋』、コイツは『接触感染』ニャー、キッチリ100%シャットアウトだぜ!ざまぁ見ゃがれッテンダ!

エッ?どうしてかッテ?

ヨシヨシ、これから話すから、よーく聞いてな!

あのなァ、家の外、家の中、ありとあらゆる物に『コロナ新型ウィルス』が引っ付いテル

可能性が有るダロ?。だけど、コイツ等を、全部消毒スルなんざ、出来る訳ネェー!

第一、消毒スルにも、肝心な消毒用アルコールが完全品切れジャ、話に成らネェー!

けど、チョットでも触れば、オイラの手に『ウィルス』が乗り移って来る。ジャ、ドーする?」

「アッ!アタイ、知ってる!よーく『手を洗う』!正解ダヨネ?」

「不正解!答えは、もっと簡単!ソレじゃぁ答え!

『手を顔に、特に、『鼻の穴』、『口』、『目ん玉』に近付けるな!』コレだけ!

近付くダケでダメなんだから、触ったりシチャ絶対にダメ!

コレさえ守れば、手を洗う必要は、全く無いハズだっ!

けどネェー、コレが実際は、極めて難しいンダ!

オイラなんか、しょっちゅう、顔や頭のドッカ(何処か)、(髪、眉、髭、額、頬、顎、『鼻』、『口』、)触ったり、掻いたりシチャってる。花粉症で『目ん玉』、指でゴシゴシしちゃう!

だから、感染シチャう。

こりゃ絶対ダメだぁー!ジャ、ドーする?『マスク』するッテか?

オイラも『マスク』するケド、結構、あちこち触った手で、『マスク』上からイジっチャう。

それに、『マスク』って、『目ん玉』は無防備ダロ?こりゃダメだぁ!

ジャー、ドーするノ?

そんで、『透明ビニール袋』様の出番だ!コイツ被ってリャ、『ウィルス』だらけの手で

顔中どこ触ろうと、引っ叩こうと、ヘッチャラでぇー!

コレで、『飛沫感染』も『接触感染』も五重丸でシャットアウトだぜ!ざまぁ見ろッテンダ!

なー!良ーく、解ったヨナ!与太郎の兄さんョ!」

ココまで話すと、ブログの旦那、手伸ばしてビニール袋の上から、アタイの頭、ゴシゴシして

更にツバ飛ばして、『コロナ新型ウィルス』の大きさとか、感染のもっと詳しい話を、

アタイにも解る様に、『ドラえもんのお話し』にして、ひとしきり、話してくれマシタ。

ケドも、旦那の『ドラえもん』、キャラが今イチで、チョット違和感ありヤシタ。

ソコは旦那も、自覚してるミタイで、

「与太の兄さんョ。オイラ、『ドラえもん』余し良く知らネェーんダ。

ケンド、お前さん、映画も見て知ってんダロ?」

「アイ、アタイ、映画、何本か見てる。旦那よか知ってる。」

てな訳で、アタイには、『ヨタマ作戦』以来の、新たなミッション-インポッシブルが

課せられたノデす。

「おはよう、与太君、君の使命だが、『コロナ新型ウィルス』の世界に『ドラえもん』が

乱入する、『緊急特別劇場版 ドラえもん のび太のコロナ新型ウィルス探検隊』の脚本

を大至急、完成する事に有る!

例によって、君もしくは、君のメンパンが、汚れ腐ろうと、すり切れようと、

当局は一切、関知しないので、早めにチャーンと洗濯するヨーに。

尚、このテープは自動的に消毒スル。って事は、バンドエイドですナ。便利ですネェ。」

ってンで、アタイは『コロナ新型ウィルス』を、旦那から借りてるタブレットで、アチコチ、ググって、調べたンだけど、アタイ、サッパリ、判んネェー。

ブログの旦那も、

「念の為だっ!解んなカッたら、コレ見な!」って、メモ綴り、くれたケド、

あの旦那の字ダヨ!解る以前に『「知恵の輪文字」の解読』ってー、難所が有るョ。

こりゃ困ったナァ-と思いヤシタ。

デモね、その時、遠山の御奉行様の事、思い出しタ。

「ヨタマ作戦」以来、御奉行様、アタイん家や親方ん家、「金さん」の時、タマに

顔を出す。そんデね、

「オゥ、与太朗君、何かオイラに出来る事あったら、遠慮しチャ、駄目ダゼ!

奉行所デモ、オイラん家デモ訪ねトイで!構わネェーよ。」

って、言ってくれマシタ。んデネ、アタイは、御奉行様を思い切り忖度(そんたく)

シヤシて、南町奉行所に、聞きに行く事にシヤシた。

デ、アタイ、今、御奉行所のオ白洲ジャなかった、裏手の小さな座敷にチョコンと

お座りしてオリヤス。お茶とお菓子、ありヤス。デヘッ。

アタイ、裏門から入ったら、丁度、側役人の旦那が居て、目が合っチャった。

「おう、コレは、与太公殿では、ゴザランか!如何した?」

ッテンで、アタイ、訳を話したら、ココに通された。

しばらくスルと、側役人の旦那が又来て、

「与太公殿、遠山様に話した所、この一件、知恵一番の大岡様の方が良かろう、との

仰せでアッタ。後ほど、大岡様がお見えにナルので、しばし待たレヨ。アッ、ソレとな、

オヌシは、大岡様には初対面のハズじゃが、心配無用と遠山様からの言づてジャ。」

んデネ、アタイ、大岡様から話、聞いタンだ。サスガだネェー。

ちっともエバラないし、アタイでも、チャンと判るように、話してクレたョ。

ソレに、アタイと大違い、話に無駄がネェー。10分も掛からネェー。

本当の切れ者、ッてぇのは、こうした御方の事なんだッて、アタイはシビれヤシタ。

んデネ、アタイ、これから、大岡様から聞いた話、するケド、アタイのオムツ、

ジャない、オツムに免じて、間違いヤシタら、御免ナスって、下さいな。」

(何しろ、アタイの耳、まるで猿みたい、ウン?ちょっと違うナ?何ダッケ?

アッ!まるでザルみたい、の評判でヤス。右から左、ほとんど残りヤセン。

スゴイでショ、って、ヤッパ、エバレませんか。ソンでネ、大岡様、アタイに

お話のメモ綴り、くれたンだっ!。親方のオカミさんの字、スゴく綺麗だけど、

大岡様の字も、スゲーや!本当、マチュピチュ、って、インカの遺跡?違うナ、

マツピツ?アッ!タツピツ、達筆だっ!)

デネ、大岡様、最初にコウ言ってた。

「与太郎君、コレは、『コロナ新型ウィルス』との『戦(いくさ)』だ。

『戦(いくさ)』ならば、コレさえ押さえトケば大丈夫!と言う『肝(キモ)』が有る。」

ッテンでネ、えーと、何ダッケ?

アッ!アレアレッ!

『敵のお尻と、自分のお尻、ドッチが辛(カラ)い?』

んっ?大部、違うカナ?

『敵おしり、自分おしり、ハックション、三丁目のアヤちゃん試験に受から無い。』

アレッ?近いヨーナ、遠いヨーナ?

ンっアッ!大岡様のメモ綴り見りゃイイんダヨ!えーと、コレだっ!

『敵を知り、自分を知れば、百戦危うからず。』でした。

『敵』は、『コロナ新型ウィルス』。コレを良ーく、知る!

『自分』は、アタイも含めた、『人間』。コレを良ーく、知る!

ケドね、詳しく知るダケじゃ、ダメなんダッテ!

情報の山の中から、『急所』を突く!コレが羊羹、じゃネェー、肝要なんダッテ!

ソンじゃ、『敵』『コロナ新型ウィルス』のお話しデス。

エッ?前置きが長過ぎるッテ?

アノね、アタイ、オムツじゃネェ、オツムがチョット不足してるンで、短くスルの

無理ッテ、分かったカラ早く始めろッテか?ドーも、スイヤセン。

コロナ新型ウィルスって、とっても小さいンだって!

ブログの旦那も『ドラえもん』の声色で、ミクロンとか何とか、話してタケド、

『ドラえもん』テより、『お姉のジャイアン』見てぇで、アタイ、よく分かりマセン。

ケドね、大岡様の話聞いタラ、ビックリしチャッた!よーく分かりマシタ!

アノネ、大岡様の話ってネ—-、

エッ?「コレじゃ何時もの与太話」だって?

アッ!そうだっ!コレ、『ドラえもん のび太のコロナ新型ウィルス探検隊』

のお話しにスルのデシタよ。デヘッ、アノネ、今回は、大部、出来てヤス!

ソンじゃ、『緊急特別劇場版ドラえもん のび太のコロナ新型ウィルス探検隊』の

始まり、始まりーっ!

のび太 「ネェ、ドラえもん、スゴく怖いンだけど、コレって戦争なの?」

ドラえもん 「エッ?何が戦争だって?」

のび太 「ホラ、さっきもテレビのニュースで、外国の偉い人が言ってたよ。」

ドラえもん 「アーッ、諸外国の首脳が国民や市民に向けた演説の事ね。

      『コレは、人類とコロナ新型ウィルスとの戦争デス!この戦場では、一発の

      銃声も響かず、一兵の姿も見えマセン。。しかし、敵は、静かに、確実に我々の      社会に広く侵入し、我々の油断を誘うノです—-。』とかネ。」

のび太  「そうデショ。ヤッパ、僕、怖いヨー!」

ドラえもん 「ショーが無いナァー、のび太君は。怖がってバカリじゃダメなんだ!

     『戦争』なら、コレさえ守れば大丈夫って『お約束』が、昔から有る! 

     のび太君は『孫子の兵法』って、まだ習って無いカナ?」

のび太 「『孫子のへーほー』?」

ドラえもん 「ンーッ、まっ、イイや。お約束の一番がコレ!

    『敵を知り、自分を知れば、百戦危うからず。』」

のび太 「アーッ、ドッカで、聞いたヨーな気がスル。時代劇?、大河ドラマかな?

    ちょっと待ってネ、この意味って、エーと、アッ!そうダ!情報ダ!

    敵の情報、姿、形とか、色々な情報を知って、次に、自分の姿形を、インチキせずに    に、見詰めて、知っとけバ、100回戦っても、負けない!ッテ事ダヨネ。

    例えば、ジャイアンは転んダラ、なかなか起きナイ、それと、母ちゃんにカラきし

    ダメ。勉強と宿題も弱点。

    で、僕は眼鏡外されるト、何も見えない。勉強と宿題は、同じく弱点。

    だったら、ジャイアンが喧嘩仕掛けて来たら、どうすリャ良い?

    アッ!ジャイアンの母ちゃんが呼べる場所で喧嘩すれば良いンだ!

    そうダっ!ジャイアンの家に逃げ込んデ、ジャイアンの母ちゃんに挨拶して、一緒に    宿題しますッテ言えば、そもそも、喧嘩に成ら無いヤッ!」

ドラえもん 「のび太君にしては、上出来ダネ!

     ジャ、『敵』を『コロナ新型ウィルス』

     『自分』を『のび太君や僕』として考えて見よう。

     だけど、『100回聞くより、1回見れば、すぐ解る!』ッテ言うでショ?

     だから、これから、『コロナ新型ウィルス』を見に行こう!」

のび太 「エーっ!『コロナ新型ウィルス』って、ものすごく小さくて、電子の顕微鏡で見る

    とか、聞いたヨー?」

ドラえもん 「まぁまぁ、チョット待ってネ—-、アッ、コレコレ!

     『コロナ新型ウィルス探検キット!』」

のび太 「エッ?この『魔法の絨毯』みたいナ物、何?コレ、乗れるノ?」

ドラえもん 「エヘヘン、僕とのび太君がコレに乗って、『何処でもドア』の向こう側に

     入れば、ソコは、バーチャルな『コロナ新型ウィルス』の世界って訳さ!

     ジャ、僕から乗るヨ!」

のび太 「チョット待ってヨ、僕も乗るカラって—-エッ!アッ!イヤだヨー!

   アレ何?—-僕とドラえもん、ココに居るヨネ!ジャ、アソコに並んで

   立ってる僕とドラえもんは、何なの?誰なの?第一、僕達よりズーッと大きいヨ!     エー、怖いヨー!」

ドラえもん 「全く、のび太君は意気地が無いンだから。アレはネェ、本物の僕達だヨ。

   コッチの僕達の方が偽物なんだよ。ホラ、勉強机も椅子も、巨人サイズに見えるヨネ。   今、僕達の身長は、本物の丁度2分の1に設定されてルンダ。」

のび太 「嘘だヨー!だって、見えるし、喋れるし、ホラ、ドラえもんのホッペタ

   だってツネれるし。」

ドラえもん 「アイタタ!アノネ、のび太君!コレから探検する『コロナ新型ウィルス』の

   バーチャル世界じゃ、僕達は『コロナ新型ウィルス』と同じサイズに迄、縮むンだヨ。

   いくら僕でも、ソレは、無理なんだ。つまり、コッチの僕達が、本物の僕達の分身、

   『アバター』って事ダヨネ。」

のび太 「フーン、やっぱ、ドラえもんッテ、スゴいネェー!

   だったら今度、僕の分身、『アバター』に宿題やらせヨーかな?」

ドラえもん 「ンもーっ!のび太君はすぐソレだっ!

   ジャ、本当に出発するヨ!『何処でもドア』出してト、ソレじゃ、のび太君、

   行くヨ!」

のび太とドラえもんを乗せた『魔法の絨毯』は、アッという間に『何処でもドア』の向こう側に吸い込まれ、バタンとドアは閉まった!

部屋に残っている、本物ののび太とドラえもんは、息を呑んで、『何処でもドア』を見詰めている。

「本当に行ったネェー!」

「アア、本当に行っチャッたネェー!」

「大丈夫かな?」

「大丈夫だヨ、キット。」

     

コチラは、何処でもドアの向こう側。

コロナ新型ウィルス探検キットの魔法の絨毯に乗ったのび太が、ドラえもんにギュッとしがみ付いて、何やら叫んでいる!

のび太 「ネェ!ドラえもん!コレって、何なの?僕達、今、落ちテルの?コレから落ちル     の?やっぱ、怖いヨーッ!」

ドラえもん 「イテテ!のび太君!そんなにギュッとしがみ付いチャ、痛いヨ!

   大丈夫だよ。僕達はネ、落下してるンじゃナイ。ゆっくりと、縮んでるンダヨ。

   だから、絶対に大丈夫!10秒で10分の1に縮んデクから、1分チョットで

   済むハズ—-エーと、『何でもタイマー』だと—-アッ!もう10秒切るヨ!カウントダウ   ン!8,7,6,5,4,3,2,1,0—」

のび太 「—-アレッ?ドラえもん何処—-?エッ?僕、何も見えないヨ!第一、手足の感覚が無    いヨ!僕、どうしチャッたの?イヤだヨー!ドラえもん、早く助けてヨーッ!」

ドラえもん 「アッ!のび太君ゴメンゴメン。スイッチ、一回飛ばして押しチャッた。

    エーと、『ウィルスと同じサイズに縮んだら最初に入れるスイッチ』は、やっぱ      隣のコッチだっ!スイッチ、オン!のび太君、コレで元通りになるヨ。」

五感が元に戻ったのび太、キョトンとして、まだ魔法の絨毯に独りで座っている。

ドラえもんは、絨毯から数メートル先で、何やら大きなリモコン操作の最中である。

のび太 「アーッびっくりシタ!ネェ、ドラえもん、僕どう成っチャッたの?」

ドラえもん 「本当にゴメン!間違って、先にのび太君にコロナ新型ウィルスに

    成って貰っチャッたんだ。」

のび太 「エーっ!僕、さっき迄、コロナ新型ウィルスに成ってタノ?

    本当?コレって、怖いッテよりも、不思議感の方が強いヨーな気がするョ。

    スリルとサスペンスでゾクゾクしチャウよ!」

ドラえもん 「アリャマ!のび太君は、アバターの方が度胸が有るんダ!

    アノネ、のび太君、『敵』を知るには、『敵』の立場に立って、出来れば

    『敵そのもの』に成って見るのが一番早いンダヨネ。

    だから、最初に『コロナ新型ウィルス』の姿形を知ってカラ、次にのび太君に

    『コロナ新型ウィルス』に成って貰うツモリが、順番、間違えチャッた。

    じゃあ、実物大の『コロナ新型ウィルス』、今、ココに出すカラね。チョット待って    ネ。」

ドラえもんが、大きなリモコンの仕上げの操作を終えた。すると—-

ドラえもんの隣の空間に、ホログラムと言うより、見えない3Dプリンターが

急速に、丁度ドラえもん位の大きさの球体を、実体化しつつ有った—-。

のび太 「ド、ド、ドラえもん!コ、コレって、『コロナ新型ウィルス』なの?

    お、大きさ、丁度ドラえもんと同じダヨネ!」

ドラえもん 「のび太君、まず、落ち着こう!最初の僕の説明、忘れチャだめデショ。

    僕達の方が、『コロナ新型ウィルス』の大きさ迄、縮んだカラ、大きさ同じで

    当たり前ダヨネ。じゃあ、どの位、縮んだと思う?後で聞いてびっくりするヨ。

    ソレはトモカク、まず、コレが『コロナ新型ウィルス』のバーチャルなサンプル

    です!」

のび太 「ウワァー!コレ、すごいネェ!真ん丸ダヨネ!表面、丸や円盤の突起が一杯ダョ!

    固そうな殻で出来てるミタイ!触って見よット!だけど、ちっとも動かナイよ?

    サンプルだからナノ?本物は動くの?」

ドラえもん 「のび太君のアバターは、本物より冷静で賢くて、びっくりダョ!

    アノネ、のび太君。円盤の突起が、『王冠』に見えるカラ、『コロナ』ウィルスって

    名前ナンダ。本物も動かナイよ。」

    

のび太 「エッ?動かナイの?じゃあ、『ウイルス』って、まるで機械みたいダョ!

    とても生きてる様には、見えないヨネ!」

ドラえもん 「その通り!『ウイルス』は生物とも、生物では無いとも言われているンダ!

    ヤッパ、のび太君のアバターは、偉い!本物とチェンジしたい!」

のび太 「エーっ!『ウイルス』って生物じゃあ無いノ?

    だって、『ウイルス』って増えるヨネ!

    人の躰の中で増えて、悪さして、病気にかかったり、移したりしチャウんダヨネ!

    本当に生物じゃ無いノ?中身より見た目なの?」

ドラえもん 「そう、見た目なのッテ、違う違う、中身と見た目で、意見が分かれるンダヨ。

    のび太君の言う通り、『ウイルス』は、空気中じゃあ増えナイ。お餅の表面でも、

    増えナイ。自分じゃ動かナイ。食べない。息しない。ソレで、生物じゃあナイって考    える人がいる。 (青カビなんか、お餅で、いくらでも増えるヨネ。)

    だけど、人の躰の中(正しくは、寄生してる宿主)でダケ、増える。ソレで、生物だッテ

    考える人もいるンダ。

    だから、『ウイルス』は『死ぬ』ンじゃナイ、『壊れる』ッテ言う人もいるし、

    同じく、『ウイルス』は『殺す』ンじゃナイ、『壊す』ンだッテ言う人もいる。

    それじゃあ、今、僕と同じ大きさに見えてるコロナ新型ウィルスの、実際の

    大きさ、のび太君、知ってる?」

のび太 「だからサー、普通の顕微鏡じゃ見えナイ位、スゴーく小さいンデショ?」

ドラえもん 「のび太君にシチャ、まあまあダネ。数字だとコウだよ。

    1mmの1000分の1の更に10分の1。つまり1μm(ミクロン)の10分の1。

              0,1μm(ミクロン)。

    のび太君、この大きさ、サッパリ分かんないデショ?」

のび太 「ひどい事言うナ、ドラえもんは。僕だって、ミクロン位、聞いた事有るョ。

    確か、ミクロメートルとかも、同じダヨネ。でも、本当、サッパリ想像出来ナイ  

    よ。」

ドラえもん 「エヘヘッ、ゴメンのび太君。数字ダケの知識って、イイカゲンだからネ。

    その点、アバターの、のび太君は正直で大変ヨロシイ!

    それじゃあ、コレから、10分の1ミクロンの大きさの世界を、のび太君の眼で

    確かめてモラウよ!

    サテと、のび太君は、僕の身長、分かるよネ。」

のび太 「そりゃ、知ってるョ。1m29cmダヨネ!」

ドラえもん 「正解!さすが、のび太君だョ。その身長の僕達が、随分と縮んじゃッテ、

      0.1ミクロンのコロナ新型ウィルスと同じに成ってるヨネ。

      ところで、『何処でもドア』の向こう側には、今も、縮んでない巨人の

      『本物の僕達』が居るヨネ。

      その姿を、今から向こうに映し出すカラ、ビックリしちゃ、ダメだよ!

      サァ、映すよ!」

のび太とドラえもんの佇む空間の彼方に、視野を覆う極めて巨大な何物かが、うっすらと

姿を現し始めた—-。

のび太 「エッエーっ!ド、ドラえもん!あれ、『本物のドラえもん』なのッ?

    巨大過ぎて霞んで見えるョ!」

ドラえもん 「その通り!じゃ次に、『本物の僕の姿』の隣に『同じ位の大きさの物』の映像    を並ベて見るから、ハッキリ映る前に、ソレが何か当ててネ!」

のび太 「じゃ、東京スカイツリー!」

ドラえもん 「全然、小っちゃい!」

のび太 「じゃァ、富士山!」

ドラえもん 「まだまだ、小っちゃい!じゃ、ヒント。真ん丸。

    ホラ、うっすら、形が浮かんで来ちゃうョ—-。」

のび太 「エーッ!コッ、コレって、地、地球だよネ!嘘でショ?地球なのッ?!」

ドラえもん 「のび太君、クールダウン、クールダウン。地球だよ。

    つまり、僕達が『コロナ新型ウィルス』に成ったら、本物の僕やのび太君の身長だ     と、丁度、地球の大きさ位に見えるンダ。」

(簡単答え合わせ) ドラえもんの身長約1m(1000mm)が0.1ミクロンに縮んだ。

         (1000分の1掛ける1万分の1=1000万分の1に縮んだ。)

         0.1ミクロンに成ったドラえもんから見た元のドラえもんは

         約1mの1000万倍=1000万m=1万X1000m=1万Kmに見える。

         ドラえもんの身長、正確には1.293mなので、1万2930Km。

         地球の直径1万2742Kmとホボ同じ。

ドラえもん 「のび太君、僕達にとって、1000万分の1の世界は、想像する事は

    難しいヨネ。だったら、その世界に立って見れば解り易いンダ。

    1000万分の1に縮んで、コロナ新型ウィルスと同じ大きさに成っチャッたのび太君     が、今見ている『元の僕達の世界』は、丁度1000万倍に成るヨネ。

    1000万倍をナメちゃイケないョ。

    例えば、『元の世界で1cm』は、このウィルスの世界から見ると、どの位の大きさに

    成るでショーか?のび太君!」

のび太 「エーッ?ちょっと待ってョ。1cmの1000万倍だから、エーっ、1000万cm!」

ドラえもん 「モーッ、のび太君、ズルしちゃダメだよ。

    1000万cm=1000X(100X100)cm=1000X100X1m=1000mX100=100Km。

    間違ってナイよね!

    ソレじゃあ、地球大の『本物の僕』の隣に、今度は『本物ののび太君』を映しチャウ    よ!」

のび太 「ウワァーッ!ぼっ、僕の本物、デカ過ぎーッ!コッ、コノ世界、オッ、面白過      ぎッ!」

  

ドラえもん 「ヤッパ、アバターのノビ太君は、何か違うナ?まっ、イイや。

    あの本物ノのび太君の鼻の穴、丁度1cm位でショ?て事は?」

のび太 「エーっ!本物の僕の鼻の穴、100Kmも有るの?本当なの?」

ドラえもん 「本当ダヨ。ウィルスは、鼻の穴から出たり入ったりスルよね。

    つまり、ウィルスに取って、鼻の穴とは、直径100Kmの巨大洞窟って事サ!」

    

のび太 「僕の鼻の穴、ジャイアンじゃナイから、もっと小さいヨ。7mmとか8mm位

    ダヨ。」

ドラえもん 「おやおや、アバターのノビ太君はヤッパ違うネェ。7mmつまり0.7cmだと

    面積では、約半分(0.7X0.7=0.49)に成っチャウから大違いダヨネ。

    ソレでも、70Km四方と言うと、千葉県の面積位にナル!

    まあ、鼻の穴はソレで良いとして、口は、どうダロー?

    のび太君のオチョボ口でも、5cmは有るヨネ。

    て事は、本物ノのび太君の口は、今の僕達から見れば、何Km?」

のび太 「1cmで100Kmだから、5cmだと、エーっ、500Kmに成っチャッウよ!」

ドラえもん 「その通り!東京から大阪間の距離に成ルンダ。オチョボ口にしては、

    エラく大きな口だっ!この巨大な口の『くしゃみ』1回の中に僕達と同じ大きさの

    コロナ新型ウィルスが10万個位入ってるンダ。コレって、少ない?それとも多い?

    のび太君はどう思う?」

のび太 「ドラえもん!ソレってサァ、多い、少ないの問題じゃナイと思う。

    ソレは、密度の問題ダヨ。

    仮に10回くしゃみした時、ウィルスは10万X10回=100万個、

    コレが1m立方に全て閉じ込められテルと考えた場合、コウ成るヨネ。

    1m立方には、1cm立方の小部屋が100X100X100=100万個出来るヨネ。

    つまり、100万個のウィルスは100万個の小部屋に全て納まる。

    て事は、ウィルスとウィルスの互いの距離は、1cmに成るヨネ。

    ここで大事なのは、ウィルスにとっての1cmの大きさダヨネ。

    僕達は今、ウィルスと同じサイズに成っチャッテルから、この1cmは

    僕達にとって、ウィルスにとって、100Kmに相等する。

    これ以上密には成らないハズのウィルス間の相互の距離が、最短でも

    100Km、つまり、“ドラえもんウィルス1号”が東京に居る場合、お隣さんの

    “ドラえもんウィルス2号”は、熱海って、離れ過ぎデショ?超過疎ダヨネ!

    ウィルスは生物でも無生物でもあるッテ、言うケド、生物だとしたら、

    互いの情報交換の方法は何ダロウ?僕達の思いも付かない未知の生理器官が

    潜んで居る?無生物だったら、未知のナノテクのロボットで、じゃあ、開発

    したのは、誰?そもそも人間?それとも、ナノサイズの異次元の知性体?

    だとしたら?目的は何?コレって、答え、有るの?

    第一、僕、さっきカラ何言っテルの?」

ドラえもん 「ヤバイ!アバターののび太君、正解し過ぎ!問題見つけ過ぎ!、コリャ普通     じゃナイ! ヤッパ暴走しかけテル!緊急リセットしなくっチャ、ええと—-。」

『アバターのドラえもん』、コメカミに指を当てて、しきりに呟いている。

コレだけで、『本物のドラえもん』に通じるノダ。

ドラえもん 「あっ、『本物の僕』ダヨネ?解ってると思うケド、『アバターのノビ太君』、    真っ当な事、言い過ぎ。暴走しかけテル。ソッチでリセットすれば確実だから、      お願いシマス。

    ソレとネ、コッチのアバターのノビ太君、最初から、出来過ぎ見たいダッタけど、

    どうしてカナ?エッ?ソーなの?何だ、ソー言う事か!有難うネ。

    じゃ、リセットして下さい。」

『本物のドラえもん』、早速『アバターのノビ太』のリセットを行う。

と言っても、『コロナ新型ウィルス探検キット』の緊急リセットボタンを押しナガラ、

「『アバターのノビ太君』をリセットして下さい。」と言うダケ。簡単なのデス。

エッ?『アバターのノビ太君』が暴走した理由?エーっ、コレも簡単なのデス。

エーっ、『アバターのドラえもん』は、『本物のドラえもん』が作りマシタ。

では、『アバターのノビ太』は、誰が作った?そうデス、『ドラえもん』が作ったのデス。

優秀な未来の猫型Aiロボットである『ドラえもん』に集積された『のび太君のデータ』を

使って、『ドラえもん』が作ったのです。ソコには、極めて大量の「希望的観測データ」、

例えば、「ンもーっ、のび太君、もうチョットだけ計算ドリルやればイーのに—-。」とか

「のび太君!『継続は、力』ってカタカナの『カ』じゃナイでショ!漢字の『ちから』でショ!

だからコノ読み仮名は『けいぞくは、か』ジャなくて、『けいぞくは、ちから』でショ! 

5分でイイから毎日、漢字ドリルすればイーのに、『継続は力』だから—-。」とか、

こうした「希望的観測データ」の一部が、「必須『のび太君』改善事項㊙ファイル」に紛れ込んで、『アバターのノビ太』作製時に反映してシマッタ—-。

そして、冷静に見れば、大した事ナイが、本物ののび太と比べると、トンでもナク優秀な

『アバターのノビ太』が出来てシマッタのです。

しかし、万一の為の修正プログラムが発動し、優秀過ぎるのび太の修正を図った所、思わぬ

『アバターのノビ太』から反撃を食らったノでした。こんな風に—-。

「ネェ、君は一体、何者?僕が正しく答えようとスルと、決まって邪魔に入るヨネ。」

「イヤ、君は君なりの答え方の枠が有って、ソレから大きく外れると、マズイから—-。」

「何、訳の解らない事、言ってるノ!僕が間違えると、ドラえもんは怒るケド、

正解すれば、褒めてクレルよ。当たり前デショ?ソレを君は何!第一、君は何者か答えてナイ!」

「イヤ、見ての通り、僕は『君の目付役の君』ダヨ。顔も姿も声も、同じデショ?」

「全然、意味分かんナイ!君との情報交換は、頭の中の声ダケ!顔も姿も、僕、見てナイ!」

「イヤ、確かにソーなんダケド、間違いナシに、僕は君ナンダよネ—-、困っチャッタなー。」

「困っチャウのは、僕の方だよ!何がお目付役だよ、お目付役は教育係、先生でも有るハズでしょ?生徒を『間違い』に導こうとスル先生なんて、聞いた事ナイ!まして、僕の先生が僕なんて、あり得ない!コッチからお断りダネ!僕の頭の中から、直ぐに出て行きナサイ!」

「ソ、ソコまで言う?ぼ、僕だって、好きで君に成って『君のお目付役』やってる訳じゃイ。アッソー、今直ぐ、辞めチャウよ。出てキャ良いンダろ!ケドね、『お目付役』ってのは、

『君の制御係』、『安全ブレーキ装置』だっ!たった今、全部停止したから、この後、君に何が起ころうと、君が自分で決めた事!独りで解決して下さい!じゃ、サイナラ!あっかんべーダッ!」

コレじゃ、子供の喧嘩、って、のび太君は子供でしたネ。

てな訳で、『アバターのノビ太』の目付役、安全制御ブレーキがハズれて、暴走が始まりかけたノでした。

でも、事は、至って簡単、『アバターのノビ太』のリセットボタンをポチッで完了でしたが、

ソコは優秀なドラえもん、『お目付役』をチェンジしたのデス。『のび太』vs.『のび太』では、イケマセン!のび太君が絶対服従する、そうデス、『お目付役しずかチャン』で万事解決させマシタ。

(アバターの)ドラえもん 「のび太君、のび太君、気が付いた?僕の事、解る?」

(アバターの)のび太 「うーん、エーと、ココ、コロナ新型ウィルスの世界ダッケ?

    アッ、ウィルスの密度、スゴく薄くて、お隣さんが100Kmも離れテルって、

    僕が計算したような—-って、この僕が計算したの?!」

ドラえもん 「ウン、チャンとリセットしてるネ。

    アノネ、のび太君ネ、君はクシャミした時のウィルス密度を自分で計算してタヨ。

    偉いネ。ダケドね、『コロナ新型ウィルス』は空中に単独で露出して居る事は無いン    ダ。

    ほとんどが、『咳』や『クシャミ』の細かいツバや、『会話』『歌声』それと『息』    の、もっと細かいツバの水滴の中に『コロナ新型ウィルス』は集団で居るんダヨ。

    のび太君は、『飛沫感染』て聞いた事有るヨネ?

    『咳』や『クシャミ』の細かいツバの水滴を飛沫って言うンダょ。

    『会話』、『歌声』、『吐く息』の、もっと細かいツバの水滴を『マイクロ飛沫』と    も呼んでるネ。

    水滴ッても、ツバや鼻の奥の粘膜が元だから、薄めた糊ミタイな物ダヨ。

    だから、サラサラの水の粒じゃナイ。

    『飛沫』も『マイクロ飛沫』も、鼻の穴や口の穴から、空気中に、飛び出したり出た    りすと、水分はドンドン蒸発して糊の固まりダケが残るヨネ。コレを飛沫の核『飛沫    核』ッテ言うンダ。

    アレコレ、言葉で説明するヨリ、コレから現場で、のび太君の眼で見て貰おう!

    最初は、『飛沫』からダヨ。」

のび太 「エーッ、ドラえもん、怖いのイヤだよー。怖いの無しの約束ダヨー。」

ドラえもん 「オヤオヤ、リセットし過ぎチャッタみたい。ま、イイや。

    アノネ、のび太君、大丈夫!ちっとも怖く無いヨ。コレから本物ののび太君に

    『クシャミ』をして、『コロナ新型ウィルス』の潜んで居る『飛沫』を鼻と口から出    して貰う。

    その『飛沫』に、僕達が行って見るンダよ。

    それじゃ、チョット待ってネ—-。」

ドラえもん、再びコメカミに指を当てて、本物のドラえもんと交信を始めた。

「アッ、『本物の僕』ですヨネ。『アバターのノビ太君』、リセット旨く行ってマス。

コレから、予定通り、『飛沫の臨場体験』に移りますカラ、ソチラの準備、お願いシマス。

あと、ウイルスの色、ブルーでイイです。じゃあネ。」

ドラえもん 「じゃ、のび太君、遥か向こうの『本物ののび太君』が、コレから『クシャミ』    しますカラ、チャンと見ててネ。アッ、『本物ののび太君』、疑似コロナにかかって    て、『クシャミ』の『飛沫』には、『コロナ新型ウィルス』が潜んで居るカラ気を付    けテネ。じゃ、行きます!」

のび太 「チ、チョット待って!ドラえもん、僕達コロナ新型ウィルスにかかっチャッウの?

    イヤだよ、怖いよ。」

ドラえもん 「大丈夫!コレはバーチャル、嘘っ子の世界ダヨ。『ウイルス』も『疑似コロナ    新型ウィルス』って言ったデショ?それとネ、『飛沫』は見えナイから、白く光るよ    うにシタからネ。良く見ててネ。じゃクシャミ、行きます!」

本物ののび太、タイミングを合わせたかノ様にクシャミをする。

のび太の鼻と口の穴から勢い良く、白く光る煙が広がって行く。

その光る煙は、アバターのノビ太とドラえもんの遥か上空に達しつつ有った。

のび太 「コレッ!何!?綺麗ダネーッ、ドラえもん!白いオーロラだよ。

    ゆっくり動いてるョ。ヤッパ、ドラえもんはスゴいヨ!」

ドラえもん 「エヘヘ、のび太君が嬉しいと、僕も嬉しいヨ。ジャあの飛沫の白いオーロラま    で、コレから瞬間移動するカラ、のび太君、絨毯に戻ろう。」

のび太とドラえもんが絨毯の場所に戻ると、様子が変わっていた。

一つは、絨毯が空中、50cmばかり浮いていた事。

もう一つは、その絨毯が、透明な球体のカバーに守られていた事であった。

のび太 「何、コレ。スゴいネ、ドラえもん!いかにも探検って気分にナルよネェ。」

ドラえもん 「のび太君、僕達、今、探検中です。さぁ、早く乗った乗った!」

    

のび太とドラえもんが絨毯に座ると、透明な球体の丸い入り口が独りでに閉じた。

のび太 「ネェ、ドラえもん、コレ、本当に透明ダネーッ!言われナキャ分かんナイね!

    何で出来てるノ?」

ドラえもん 「ソレは、僕にも分かりマセン。ただネ、物凄く強くて、何が有っても大丈夫!    特に、中に居る僕達は、どんなショックも受けない様に成ってるカラ安心ダヨ。

    何しろ、コレから行くのは、コロナ新型ウィルスの『現場』の世界でショ。

    ジェットコースターがブランコに成っチャウ程の世界だから、ビックリしちゃ駄目だ    よ。」

のび太 「脅かさナイでよ、ドラえもん。ケド、いつまでも怖がってチャ、しずかチャンに笑わ    れチャウから、僕、頑張って見るヨ!」

ドラえもん 「(オヤまぁ、しずかチャン効果、もう出てるンダ。まぁ、イイや。) 

    僕も一緒だから、安心ダヨ。

    ジャ、のび太君、本当に行くヨ!出っ発ーっ!」

    intermissionインターミッション

    

    」

    

    

    

   

新型コロナウィルス 誰も言わないコノ対策!

誰も言わないコロナ対応

自分で言うのも、おこがましいノですが、私、『馬鹿』種族です。
で、コロナ対策の『三つの密』、
『馬鹿』の私には、伝わりマセン!
何故か?
『三つの密』が、『言葉』の説明、『文字』の説明ダカラです!
だけど、『馬鹿』に付ける薬、実は、有るンです。
それは、何か?
答え。『漫画』や『アニメ』。
『百聞は一見にしかず』、コレなら『馬鹿』の私も解る!

では、『三つの密』をアニメにすれば良いのか?
違います。『馬鹿』の私を甘く見てはナリません。

それでは、ドウすれば良いノカ?

『三つの密』の一歩手前の、
『コロナ新型ウィルスは、こうしてウツルンです』の所から
アニメ化するのデス!
コレ無くして、
『コロナ新型ウィルスは、こうして防ぐんデス。』としての
『三つの密』なんか『馬鹿』の私には、理解の『圏外』デス。

で、『馬鹿』の結論。

『コロナ新型ウィルスは、こうしてウツルンです。』と
『コロナ新型ウィルスは、こうして防ぐんデス。』

の両方を『アニメ』化すれば、『馬鹿』の私も、解るんデス。

で、ドウするか?

国難なんだから、四の五の言わず、国民的ヒーロー、
『ドラえもん』に登場して頂ければ良い!
『馬鹿』は何事も遠慮しないンです。

それでは、『ドラえもん』登場、と、その前に

『馬鹿』なりのオマトメ。

コロナ新型ウィルスのウツリ方、防ぎ方の芯柱。
アノサー、『飛沫感染』、『接触感染』ッテ、四文字熟語デショ?
コレって、『馬鹿』の私にとって、『電波の届きにくい場所』
なのデス。
そこで、お『馬鹿』様向きに言い換えると、コウです。

まず、『飛沫感染』。

コロナ新型ウィルスの『患者さん』の
『鼻の穴』と『口』から『ウィルス』は出て来る!
だから、吐く息、話す声、にも『ウィルス』は在る!
(咳、クシャミだけでは、有りません。)

そして、自分の『鼻の穴』と『口』、そして『目』からダケ
『ウィルス』は入れる!
繰り返しマス。
『コロナ新型ウィルス』は、『皮膚』から入って来マセン!
『コロナ新型ウィルス』は、『手指の皮膚』を食い破って、入れマセン!
『馬鹿』は何事も繰り返しチャウんデス。

で、例えば、どうウツルのか?

『実は患者さん』の香水の甘い匂いがハッキリ解る距離で、
(ソウとは知らず)チョットの間、楽しく『会話』したダケで、
ウツルんデス!

では、どう防ぐ?

簡単です。
まず、『患者さん』の『鼻の穴』と『口』をマスクで塞ぐ!
次に、究極のお『馬鹿』新兵器、『透明ゴミ袋』、じゃ無かった
『透明ビニール袋』を頭から被(かぶ)せる!
そして、自分もマスクを着けた上に、『透明ゴミ袋』じゃない、
『透明ビニール袋』を頭から被る。
コレで、自分の『鼻』『口』『目』が、ホボ100%ガード出来てる。
『飛沫感染』防止の究極の完成デス!。

次に、『接触感染』。

家の一歩でも外に有る、全ての物は、
『ウィルス』に汚染している、と、考えて見ます。
『馬鹿』は何事も大袈裟ナンです。
ッテーと、何かに触れば、
自分の手指には『ウィルス』が乗り移って来ます。
この『ウィルス』ダラケの手指を、
自分の『鼻』や『口』そして『目』に、近づけるダケで、
『ウィルス』は『鼻の穴』や『口』そして『目』の中に
飛び込んで来チャウ。

で、例えば、どうウツルのか?

『実は患者さん』の、瞳をみつめナガラ(ソウとは知らず)重ねた『手』を、
ソッと離し、何気なく、自分の『鼻』先に近づけて、「アー、甘い香りダ—。」
コノ時、ウツルんデス。

では、どう防ぐ?

簡単です!
何よりも、まず、コレです!

『絶対に『自分の顔』を触るな!!!』
 繰り返しマス。
『自分を、他人を、死なせタク無かったら、絶対に『自分の顔』を触るな!!!』
『馬鹿』は何事も繰り返しチャウんデス。

でもネェ、ついつい触っチャウんです、この指が、ッテ
ご安心下さい。次の一手、『マスク』を着ける、が有ります。
コレで、直には『鼻』や『口』に触れない—-。
けれど、『マスク』の隙間に油断が有るカモ?って、
それに、『目』はどうするノ?って、
『馬鹿』は何事も心配性なのデス。
更に、ご安心下さい。
究極のお『馬鹿』新兵器が有りましたヨネ!
そうです!『透明ゴミ袋』じゃない『透明ビニール袋』!
コレを頭から被ってレバ、自分で触ろうが、患者さんが
触ろうが、ホボ100%『ウィルス』から守れマス!
コレで、『接触感染』防止の究極の完成デス!

で、『透明ビニール袋』ですが、安価で使い捨てOK、
(万一、買い占め騒ぎになっても、ご安心!マスクと
違って、ハサミとノリ、で自作は超簡単!国産材料超豊富!)
また、脱ぐ時に、ひと工夫が有りまして、コウです。
一廻り大きなサイズの袋を重ねて被らせてカラ、一緒に脱ぐ。
エーっ、『馬鹿』は何事も慎重なンです。
(ちなみに、『プロ用防護服』を脱ぐ時、『ウィルス』飛散の
リスク有りッテ聴きましたが、一番安いビニール製の、充分に大きな
サイズの『人型』を重ねて着てから、一緒に脱ぐのは、如何ですカネ?)

それでは、お待たせシマした。
ドラえもん登場です!
名付けて、緊急特別篇ドラえもん 
『のび太の新型コロナウィルス対策決定版!』

のび太「ネェドラえもん、コロナウィルスって、目に見えナイよネ。
    どうやって人にウツルの?」
ドラえもん「チョイ待ち、これこれ、“ウィルス見え見えライトー”っ!
     このライトで、ウィルスに当たれば赤く光って見えるョ。」
のび太「わー!すごいナァー、ネェ、ドラえもんのウィルス
    早く見せてヨゥ。」
ドラえもん「しょうが無いナァ、のび太君は。僕はこれでも
    ロボットなんだから、ウィルスには感染しないンだもん—-
    (ポケットを探る)
    あっ!有った!“疑似ウィルス感染キット”
    これを僕に当ててスイッチ入れてと—。
    コレで僕が咳をしたりクシャミをすれば、
    疑似ウィルスが青に光って見える。
    ジャ、のび太君に向けて咳するから、見ててネ。」

1mほど離れてる、のび太の顔中、胸、肩、両腕に至る、上半身に、

無数の青い点がキラメき始める。

のび太「ワーッ!すごいネェ、ドラえもん、コレって匂いスルの?」

のび太、袖でキラキラ青く光る“模擬ウィルス”に鼻を近づける。

ドラえもん「アッ!ダメダメ!のび太君!ウィルスに感染しちゃう!
     あーあ、感染しちゃった。」
のび太「えーっ!そんなに早く判るの?」
ドラえもん「のび太君、鏡、見てご覧。目も顔も、青くなってるデショ。
    青の疑似ウィルスに感染すると、目も顔も、青くなっチャウんだ。」
のび太「本当だっ!僕の目と顔、青くなってるッテ—-アレッ?コレ何?
    僕が喋ると、口の中から青い光の粒粒が漂い出てくョ。
    エッ?コレって、疑似ウィルスなの?
    エッ?ちょっと待って、息するダケで、青い光の粒、少し
    出て来ちゃうヨ!コレもウィルスなの?」
ドラえもん「のび太君にしては、上出来ダネ。その通り!
    息しても、声出しても、ウィルスは出ちゃうンだ
    それじゃ、これから『飛沫感染』のテストをして見よう。
    まず、僕の『疑似ウィルス感染』をリセットして、ウン、コレで
    良し。それじゃ、のび太君、僕に話し掛けてネ。それで、
    僕の顔が青くなったら、『感染』ダネ。」
のび太「エーっ!、ドラえもん、さっき咳した時より遠くだョ。
   2mは有るョ。本当に感染するの?ッテ、アレレ?
   青いウィルスの粒粒が、僕の口からドンドン出て来る!
   ほら、もう本当にドラえもんに届きそう、
   いや、2つ3つ、もう顔にくっ付いチャッた。
   エッ!更にドンドンくっ付いテク、身体にも付いてくョ。
   白いポケットが青いウィルスの粒粒ダラケに成っチャッた!
   ネェ、ドラえもん、何してンの?
   ソレ辞めた方が良いョ。
   だから、ポケットで手を拭いちゃうと、青いウィルスの粒が
   手に移っチャウ—-。
   アッ!その手で鼻こすっチャ駄目!って、
   アーア、感染しちゃった。目まで青い『青ドラ』だ。
   ネェ、ドラえもん、手は、ワザとデショ!」
ドラえもん「エヘヘッ、ばれチャッた。」
    
    
てな訳で、『飛沫感染』も『接触感染』も別世界の「分かり易さ」
になるのデス。何しろ、『馬鹿』の私が判るンですカラ。
で、この後、『しずかチャン』が加わり、『防ぎ方篇』、
『バーチャルの街の中で感染と防御の様子の観察篇』等、有るんデス。

「君の名は。」ヨタマ作戦part0プロローグ+エピローグ


夏の終わり……。

OO駅頭……。

雑踏の中、蝉の鳴き声が響いている……。

駅前のベンチの端に、所在なげに腰かけている、

どこか垢抜け無い制服を着ている長い髪の少女……。

三葉……。

痛みかけの学生靴の足元に転がっている、乾いた蝉の抜け殻に

眼を落としている……。

その美しく整った後ろ髪には、赤と白の絹糸で編み込まれた組み紐を

輪郭とした蝶が、閑かに羽根を休めていた。

時折、フッと頭を上げ、改札の方を見詰めるが、

再び、うな垂れてしまう……。

数分ごとに発着する電車から、乗客が押し出された行く……。

駅員のアナウンスと車体の軋む音に、少年の、ハァハァという

息遣いが、かぶさる……。

そして、少年のタッタッという、駆ける足音が加わってゆく……。

ブランドのスニーカー、どこか垢抜けたネクタイ姿の制服が、

駅の階段を一気に駆け上がる……。

そのまま改札を抜けようとして、間一髪、中年の男性客と

ぶつかりそうになる……。

「ア……ッ、スイマセン……。

男はチラッと顔をしかめるが、そのまま過ぎ去る……。

少年は、改札を出ると両手を膝に当て、前屈みで息を整えている……。

「イヤーッ、結構キツーッ……!」

同時に、首を左右に回して、誰かを眼で追っていた……。

そして、駅前のベンチの端で、うつむいている少女を見つけると、

少年の表情がパッと明るくなった。

同時に、手を思い切って振りながら、少女に呼びかけた……。

「三葉さーん!! コッチコッチ……!!」

少年は、そのまま小走りで、ベンチの少女の前に立ち、

学生カバンを開けて、何やら取り出そうとした……。

「イヤーッ、間に合わないかと、冷や冷やでしたョ。

エーッと、コレコレッ……!」

少年が取り出したのは、安物の合皮のケースに入れられた

学生証であった。

三葉は、それを手に取り、ジッと見詰めていた……。

美しく整った眉の間に、深い皺が浮かんでいる……。

「ネッ! アッ、それと肝心な、コレッ……!!」

少年は、再び鞄に手を入れ、何かを掴むと、学生証と引き換えに

三葉の手に握らせた……。

単色の紅い絹糸で編み込まれた組み紐が、そこに有った……。

「コレで、約束、守りましたからネッ! アッ、それからノートの日記帳、

チャンと机の上に置いて預かってマスョ。勿論、絶対に読んでマセンから。

アーッ、本当、助かったァー……。」

少年は、ココまで言うと、三葉の表情が一気に雲っている事に気付いた。

三葉の唇の両端は、微かに震えている……。

「 (……エエッ……?) 」

何と言葉を掛けたら良いのか……少年は戸惑うばかりだった。

次の瞬間、三葉は決心したように、少年の手首を左手でギュッと

掴むと同時に、紅い組み紐をその腕に叩き付けた。

反動で組み紐は、少年の腕をクルリと回る。

三葉は、一瞬のスキを捉え、それを結び付けていた……。

少年の腕に、美しい紅い蝶が羽を休めていた……。

「アッ……」 少年は、小さな声をあげた。

しかし、三葉は、もう何も言えない……。

唇の震えは、三葉の肩から腕に広がっていた……。

言葉を紡げば泣き崩れそうになるのを、必死で

こらえていたのだ……。

それでも、勇気を絞って、震える口を開いた……。

「……滝……君……。」

「……滝…君……、私の事……忘れな……」

三葉の声は、余りにか細く、駅前の雑踏の音の中で、

かき消されて行く……。

「……エッ?何ッ?……三葉さん……本当にどうしたンデ……」

少年、いや、滝がココまで尋ねた時、三葉の眼から溢れ落ちた涙が、

紅い蝶の羽根を透かして、滝の腕を叩いた。

その途端、滝はハッとなる……。

三葉が泣いた事に驚いた…のでは無い。

その時、滝は、三葉の心の景色がハッキリと見えたのだ……。

絶望と恐怖の嵐の只中で三葉は泣き叫んでいた……。

そして、三葉の音に成らない叫び声が、滝にはハッキリと聞こえた……。

「……滝……君……!!、滝…君……!!、……私の事……、忘れないで……!!!」

三葉の心が、強く弾かれ震えた時、滝の心も強く震える……。

何故、こんな事が……?

滝には訳が判らない……。

しかし、そんな迷いを一蹴する、信じ難い1つの確信が、

滝の心の底から一気に沸き上がり、言葉と成って、

滝の口から漏れ溢れた……。

「……三葉さん、……君は…誰だッ……?!!」



……これより映画タイトル……



     デヘッ、与太郎ッス。プロローグ、終わりでヤンス。
     続いて、エピローグに飛びヤス。

     アタイ、ズイブン前に、ブログの旦那に

     「ヨタマ作戦」、出来具合はドウですか?って聞いタンスけど、

     「オーッ、任しとけっ!」って言ってヤシタが、

     ヤッパ、任せナキャ良かった……、反省ッス。

     皆様には、大変なご心配とご迷惑を……

               エッ?早く引っ込め?

     どうもスイヤセン……。

     エピローグ、始まりヤス。

……

….


彗星落下から5年……。

晩夏

水宮神社

油蝉からヒグラシの鳴き声に変わってゆく……黄昏時…..。

境内を、静かに箒で掃き清めて居る、白い衣と緋色の袴の巫女…..。

後ろ髪を、緋色の組み紐で蝶の形に結んでいる……。

三葉……。

竹箒が、石畳を払うサラサラという閑かな音の拡がりの向こう、

微かなハァハァという息遣いと、長い石段を急いで登って来る、

確かな足音が近付いて来る……。

石段を登りきり、両手を膝に付け、しばし息を整えている青年。

「イャー、結構キツゥー……!」

青年は顔を上げると、視界に入った三葉の向こうから、声をかける。

肩に下げた大型のバックから、カメラとスケッチブックが顔を

出していた。

「すいません、お社の写真、撮らさして戴けますか?それと、

スケッチ宜しいですか……?」

三葉は黙ったまま、閑かに頷いた。

「ありがとうございます。」

青年は軽く頭を下げ、足早に三葉の傍らを通り過ぎ社殿に

向かおうとした。

そして、三葉が払った箒の視線の先に、青年が肩に下げたバックの

持ち手を右手で持ち直す様が映った。

その刹那、青年の手首に巻かれていた、年代物の赤黒い何物かが、

遂に切れて、落ちかけている事に気づいた。

「アッ、何か落ちま………」

三葉の言葉はココで途絶えた。

何故なら、三葉の眼前には、信じられない光景が広がっているからだ。

地に落ちるハズの物が、スローモーションの様に、宙に漂い始めている。

そして、その動きは更に遅くなってゆく……。

遂に、地に着く前に、ソレは停止した。

次の瞬間、三葉は閑かな衝撃の中に居た。

時間が、止まった?いや、違う!

時間は、確実に、今も流れている。

三葉の、時間に応じる感覚が、一気に、研ぎ澄まされた……。

紐は、三葉の指先、数10cmの空中に浮かんで静止していた。

勿論、三葉の指の動きも視界も、完全に固定していた。

しかし、三葉の意識は、限界を軽々と超え、研ぎ澄まされてゆく……。

そして、三葉は見た……。

光を、いや、光の生まれる瞬間を………。

黄昏の茜色の中、紐の切れた端の繊維の断片の一点が、微かに輝くと

極めて小さな光の粒が現れた……。

すると、四方に極限の細さの光の筋糸を放ちながら、三葉に向かって来る……。

この僅かな間にも、堰を切った様に、次々と様々な色をまとった光の点が

現れては、たちまち光の筋糸を放ち始める……。

その光景の全てが、スローモーションの様に、三葉の眼にハッキリと映った。

種々な色の光線の束は、交差し、重なり合い、混じり合って行く……。

そして、衝突をした光は、一瞬で色を変え、更に繊細な光の綿毛となり、

様々な形を造りながら、閑かに世界に拡がって行く……。

そうした光の粒と筋が三葉に達すると、

ある物は、何も無かったかの様に、三葉の躰を通り抜け、

ある物は、三葉の躰の表面でハネ返り向きを変え、あるいは光の綿毛と成り

周囲に拡がって行った……。

そして、三葉の躰と心を組み立てている全ての要素の、最後の一つが

そうした光の粒と束に出逢った、その瞬間、

プラチナの光のフラッシュが

三葉の全てを包み、貫いた……。

三葉は茫然とするしか、無かった………。

しかし、全ては、「一瞬」が「永遠」に引き延ばされた間に生じた「瞬時」

の出来事であった………。

そして次の瞬間、

三葉の「時間」は、2つの意味で、戻っていた……..。

青年が、三葉の「アッ、何か落ちま……」の声に踵を返し三葉の傍らに

戻って来た。

「イャー、とうとう切れチャイましたか…..。何か良い事でも起き……」

こう言いながら、青年が手を伸ばして、地面に落ちているミサンガを

拾おうとした、その瞬間、

三葉は突然、青年の手首を上から両の手でギュッと掴んだ。

「どッ、ドウしたんですか……?」

三葉は腰を半ば折り、青年の眼を避ける様に、頭を下げた姿勢を崩さない。

驚いている青年に、三葉は下を向いたまま、黙して何も応えない………。

次の瞬間、三葉は決心したように右手を離し、髪を結んでいる赤い

組み紐を解くと、片方の手でギュッと掴んだままの青年の手首に

ムチのように叩きつけ、クルリと反転して戻って来た端を掴むと、

一瞬で結び付けた………。

青年の手首に、美しい赤い紐の蝶が、羽根を休めていた………。

三葉は再び、両手で青年の手首をギュッと掴んだ……。

その指先が、微かに震えている………。

その震えが、指を伝わり、腕から肩に拡がってゆく……

三葉は、怖さに震えていたのだ………。

プラチナの光のフラッシュを浴びた、その一瞬、

三葉の失われた五年の「時間」は戻っていた——。

切れ落ちたミサンガが誰の物で、今、必死で、その腕を

二度と離すまいと、固く掴んでいる青年が誰なのか……。

三葉は全身で確信していた……。

この手を離せば、再び青年は二度と戻って来ない………。

三葉は不安と怖れが吹き荒ぶ暗闇の嵐の中で、もがくしか

無かった……。

三葉の眼には、涙で霞んだ石畳の地面が映っていた….。

顔すら挙げられない……。

唇の端が小刻みに震えている……。

ひと言でも発すれば、その場に泣き崩れてしまうのは明らかだった。

それでも三葉は、全身の有りったけの勇気を絞って、唇をギュッと

噛み締めて、途切れ途切れに、必死で言葉を紡ぐのだった……。

「……滝………君………。」

「……滝……君………。」

「……私の事………、…..覚えて………」

ここ迄で精一杯だった……。

これ以上眼を開けていては、泣き崩れる……。

大粒の涙が、滝の手首の赤い蝶の透ける羽根に

滴り落ちた……。

三葉が眼を閉ざし、文字通りの闇の嵐の中に、再び身を

委ねようとした、その瞬間………、

青年の腕を掴んだまま、小刻みに震えている掌に

三葉は、暖かい何かを感じた……。

その暖かさは、硬く凍え冷え切っていた三葉の心と躰に、

一瞬で染み渡った。そして、又、温かい何かが……。

闇の嵐は、閑かに光に払われ、姿を消して行った……。

三葉は、暖かい光の繭玉の中で目覚めようとしている………。

三葉は閉じていた眼を開けると、うつむいていた顔を、

青年の方に、ゆっくりと挙げて行った………。

その唇から震えは消えていた……。

三葉の視界に、青年の腕が、胸が映し出され、そして、

微笑を浮かべた唇が映った、その時………、

青年の口元が微かに動いた。

それは空気を暖かく震わせ、三葉の心と躰を優しく

抱きしめていた………。

「……三葉…………。…….忘れないよ……..、君の……名前……….。」

黄昏の茜色の光が二人を包み、長い影法師は交わり、

一つになっている。







(側役人) 御無沙汰してオリマス。側役人デス。

エーッ、本来は、ココで「オシマイ」ナノでアリマスが、

そうトハ参りマセヌ。

よく見て下さい。「……一つになっていた。」ではアリマセン。

よく見て下さい。「……一つになっている。」のデス。

私、細かい事が気になるタチでして、

「いた。」なら無事、終わりナノでアリマス。

しかし、ソウでは無い!

ソウ、「続き」がアルノデス。

エーッ、私は、勿論、反対したノデありますが、

コレは、あくまで「ヨタマ作戦」、即ち、かの与太郎が、

頭をヒネッテ作りし物。オマケがゴザイマス。

御奉行様も「アルがママで良い。」との事、

以下、ノーカット完全版をお届けシマス。

ですから、これから先は、別世界。

気分を害す方もイラッシャルでしょうし、又、コレ迄、

気分を害されていた方には、福音となるヤも知れマセヌ。

エーッ、兎にも角にも、私の責任ではアリマセンので、

何卒、宜しく、お引き立て、願い奉りマス………。

(エッ? 拙者の出番はコレ迄? ソーナノデスカ、

オツカレ様デシタ。アッ、又、ウツッタ!)





三葉と滝が「二人だけの世界」に没入している、その最中……、

先刻、滝が登って来た、水宮神社の長い石段の遥か下から、

「節回し?」が有る様な無い様な、一連の「文句」が、

ドスン、ドスンという足音を引き連れて、近づいて来た………。

「歌?」と思われた方もイラッシャルかと存じマスが、

断じて、ソーでは有りマセヌ。

「百聞は一見、イヤ、一聞に如かず」でアリマス。

実際に、その「文句」をお聞き頂きまショウ。

「アッタマ来る来る、頭クルっ!アンナ野郎に告(コク)られるッチャー

自分で自分をケナシてヤリてぇー!バカでマヌケでオッチョコでぇー!

テメェー、バカヤロ、コノヤロ、チキショー!

もう一発、喰らわせトキャ良かったカナカナカナのヒグラシ様デェー!

ヨーッシャ、明日、一発、カマシタれーっ!!」

とか何とか、辺り構わず大きな声を震わせ、学生鞄を振り子として

リズムを取りながら、一段飛びで長い石段をドスンドスンと

駆け登って来る何者か……。

そして、早くも、最上段近くに差し掛かると、その頭だけが、

神社の石畳の端から、顔を出した……。

その眼は、獣の様にギラギラとし、目聡く三葉と青年の姿を捕らえるヤ

一瞬、動きがフリーズし、小声が洩れた……、

「 (….アッ…!!)」

しかし、その直後には、凄まじい勢いで石段を登り切るヤ石畳の端には、

夕陽の逆光を浴びた全身のシルエットが浮かび上がっていた………。

それは、間違えようも無い、学生鞄を片手に下げたセーラー服姿の三葉

だった……ではナイ、顔形はOO姉の完璧なコピーである、中坊の、

四葉でアッタ……。

そして、次の瞬間、凄まじい「ウォーッ!!」という雄叫び(オタケビ)、

イヤ、雌叫び(メタケビ)を挙げるや、学生鞄を空中高くほうり投げ、

一気に、青年に向かって駆け出した……。

青年と三葉の二人だけの世界を護っているバリアは、

先の雌叫び(メタケビ)で、早くもヒビが入り、

続く音響攻撃に、脆くも全て瓦解した………。

「ウォーッ!! 滝兄(タキニィ)ダッ!! 滝兄ダッ!!、

アタイの、大事な大事な大事な、滝兄ダァーッ!!」

投げた鞄が、ユックリと回転しながら、放物線を描いて地に着く前に、

四葉は既に滝の背後に迫っていた。そして、鞄が地に着くのと、

四葉が滝の背中に飛び付き、強制オンブしたノが、同時でアッタ……。

「アーッ、本当に!!本物の!!滝兄ダッ—-!!アリガトねっ!!アリガトねっ!!

本当に、アリガトねっー!!」

四葉は、両足を滝の胴の前でガッチリと組み合わせ、フリーな両手で

滝の顔を挟むと、顔と言わず、首と言わず、頭と言わず、

キスの、雨を降らした。

そのドシャ降りが、一瞬、止んだ……。

四葉は、滝の口元を、いや、唇をジッと見つめてイタ……。

「イイや、戴いチャエッ!」

滝の唇に、四葉が自分の唇を無理矢理ヒッツケようとシタ、その途端、

何者かが、ソレを遮った……。

「四坊(ヨツボウ)、ソコは三葉の姉ヤンに、取っといて挙げナキャ

いけネェーや……。」

文字通り、声はすれども、姿は無かった………。

しかし、四葉の口元は、何者かの見えざる手によって、猿ぐつわの様に

塞がれていた……。

「……放せッ!!バッカ野郎ッ….!オセッカイすんナッ!!噛むゾッ!!」

四葉は、見えざる何者かが、判っている様な、口振りデアル……。

「痛テテ….、本当に噛みヤガッタ……。四坊は、マダマダ、

お子チャマだネェー…..。」

次の瞬間、四葉の躰は、滝の背中から引っ剥がサレルと、

子犬の様に、地面に転がっていた……。

「痛テェーじゃネェーか!! このバカッ!!」

四葉は、言葉の終わる前には既に立ち上がって、滝に向かって

突進していた……。

しかし、又もや、見えざる何者かが、四葉の前に、立ち塞がった……。

「だから、ドケやがれッテ、言ってンだっ!!」

「マァマァ、四坊、クールダウン、クールダウン……。」

「ウルセェーッ、いつも四坊、四坊、言いヤガッテ!

アタイは、坊ヤじゃネェーや。レッキとした、お嬢ちゃんデェー!!」

「オヤオヤ、ソレは勘弁ナッ! だけど四坊….、

アッ! 又、言っチャった……。」

「だから、坊やジャねぇッテ、このバカタレッ……!!」

四葉は、姿の無い何者かに向かって、ワメいてイタかと思いきや、

ソウではナイ………。

滝と四葉の間の空宙に、両手を広げた透明な人形(ヒトガタ)の輪郭が

フーッと浮かび上がったノダ………。

ソレは、急速に半透明に移行し、見る見るうちに、実体を現して行く

………。

そして、粋な縞模様の着流しの後ろ姿が、浮かび上がる、その間際、

その背中に、満開の桜が風吹き散る絵姿が有るのを、

滝は、見逃さなかった!!

「アッ!! 御奉行様……!!」

滝の言葉が終わる迄には、滝の目の前に、粋な縞柄と腕と度胸を

纏った、凛々しい男の後ろ姿が有った。

男は、振り返ると……、

「……何デェー、オイラの事も、一緒に想い出しチマッタのカイ……!

こりゃ、いけネェーや。奉行所の記憶除去班の連中は、全員、

お灸モンダョ!原因究明する迄、オヤツは抜きダナ……!」

(以下、掛け合いに成りマス。)

滝 「……御奉行様……何で、ココに……?」

奉行 「そりゃー、滝兄の行末が心配じゃネェーカイ、って言いたい

  所だが、ソーじゃネェーや。

  オイラ、この四坊を迎えに来たんダヨ。

  実は、オイラと四坊は、もう三度もバディを組んで、“事件”を

  解決してイルんダヨ。

  ソレも、とんでもネェー、アッチャラ、コッチャラでネッ!!

  ソレで、今度も神社の石段の登り口で、四坊を待ってタラ、

  やっとこさ、現れるなり、トンでもネェー歌ぁーガナリ立てて、

  アンマシ面白レェーから後付いて来たら、サッキのザマさ。

  だけどネッ、アンマシ時間もネェーンダ。

  四坊、借りてくカラ、滝兄、後の事ァ頼んダゼ!」

滝 「……頼むッテ言われテモ……。」

奉行 「野暮言ってンじゃネェーょ、滝兄ョ。」

ココで、奉行は、何が何だか判らず、呆然としてイル三葉に

声を掛けた……。

奉行 「三葉チャン、ビックリさせて、勘弁ナッ!

  オイラの事ァ、この滝兄から聞いとくれ!

  それから、四坊とオイラの事に付いチャぁ、

  四坊が戻って来てから、本人が話すダローょ。

  心配イラネェー、四坊は、無事にコノ場所、ッテカ

  コノ時間のコノ場所に、必ず戻すカラ……。」

三葉 「……御奉行様……で宜しかったでショウか?……貴方と

     四葉は……、マサカ………入れ替わり……?!!」

奉行 「オッ! さすが三葉チャン! 宜しかったデスョ。

  半分、当たり。デモ、半分、外れダネ。

  入れ替わりニューバージョン。

  互いの躰に、時空を超えて、出入り自由。

  早ェー話、四坊の躰にオイラが入ったとスルョ。

  ビックリしちゃ行けネェーョ。

  四坊の意識は、残っているコトが出来るんダゼ!

  ソレも、自由な割合で。

  共同生活なら、半分コ、端ッコは、100%オイラか、

  100%四坊、オイラ30%四坊70%もアリマスョ。

  だからネ、ココに四坊が居ても、その実体(意識)は

    ①オイラの場合もアリャ、

  (コン時ャ、四坊は、0%だけど、居無いンじゃネェー、

  完全に隠れんぼシテルンだよネ。いざッテ時ャパッと現れて、

  オイラをガブッと噛み付く事も出来るから、オッカネェーんダヨ。)

  ②そして、オイラと四坊の半分同居の場合も、

  ③それから、(オイラが隠れんぼシテる)四坊の場合も有るンダヨね。

  ソレとネェ、三葉チャンと滝兄は、入れ替わると、同時に同じ場所

  にはマズ、居られネェーだろう?

  オイラ達は自由に出来るンダヨ。

  ソレにサァー、二人が合体してる時ャ、身体能力も、頭(オツム

  の脳力もスーパーアップ。

  1+1=2 どころか 1+1=11 てな訳ョ。

  スーパーヒーローの誕生。

  それも、四坊バージョンとオイラバージョンの二人。

  コノややっこしい、シッチャカメッチャカのコンビが、

  アチャラコチャラで、ややっこしい“事件”を、もう三度も

  ヤヤコシク解決して来たッテ訳ョ。」

奉行は、ココまで話すと、今度は四葉に向かって

奉行 「四坊、待たせたナッ、それじゃ、行こうか?」

四葉 「イヤでぇー!! アタイは金輪際、バカ金となんか

   ドコだって、絶対に行かネェーャィ!!」

奉行 「相変わらずの、オ子チャマ駄々ッ子ダネェー、四坊は。」

四葉 「二度と言わネェーぞ、バカ金!! アタイは坊ヤじゃネェー、

   お嬢ちゃんデェーッ!!」

奉行 「オーッ、度々、悪う御座ンシタ。しかし、で御座イマスよ、

   お嬢様、今回の“事件”は、幕末、それも四坊お気に入りの、

   坂本龍馬がらみの……」

四葉 「じゃ、アタイ行くッ!!」

奉行、滝と三葉に向かって、

奉行 「滝兄よ、こんな訳で、四坊の事ァ、オイラに任せろ。

   で、三葉チャンの事ァ、滝兄、オヌシに任せたゾ!!

   大丈夫ダヨ。自信、持ちな!!

   何しろ、お前ェーさんは、三葉チャンの為に、一度は

   死んだ身ダッ!そして、三葉チャンも滝兄を救い出す為、

   三年の辛苦に耐えた……。

   コノ事ァ、OO奉行所の中でも、モッパラの語り草ダゼ!

   ……オッとイケネェー、もうコンナ時間ダッ!

        それじゃ、四坊、借りてくゼッ!!」

奉行、四葉に向かって、

奉行 「それじゃ、いつも通り、合体してジャンプだぜ。イイかい?」

四葉 「オーよっ!!」

言うが速いか、四葉は奉行の方に一気に駆け寄ったか、に見えたが、

その姿は、瞬く間に、煙のように消え、奉行独りが残っていた……。

しかし、その躰は、今迄とは別人の「気」で満ちてイタ……。

奉行-四葉 「滝兄、三葉、それじゃァ、アバヨ!!」

……その声には、奉行と四葉の二人の響きが、明らかに有った………。

そして、煙のように立ち消えて行く奉行………。

寄り添って立ちつくす、滝と三葉の二人の影法師は、

更に長く延びていた。

黄昏の赤い残照が、最期の輝きを放ち、神社の石畳に放り残された

四葉の鞄の口金を射て、一瞬、プラチナに眩しく輝いた、その時……。

鞄の持ち手を掴もうとシテイル、人影の様な物が、フーッと現れた……。

見る間に、鞄は地面を離れ、宙に浮かぶ……。と、瞬く間に、右手に

鞄を下げた、人の姿が現れた………。

………四葉? イヤ、四葉だッ……!!

その顔と服は、泥と埃と汗で汚れてイル……。

「滝兄、姉ヤン、タダイマ。アーッ、腹減った…..。何か喰わせろ!!」



「君の名は。」ヨタマ作戦part2エピローグ

彗星落下から5年……。

晩夏

水宮神社

油蝉からヒグラシの鳴き声に変わってゆく……黄昏時…..。

境内を、静かに箒で掃き清めて居る、白い衣と緋色の袴の巫女…..。

後ろ髪を、緋色の組み紐で蝶の形に結んでいる……。

三葉……。

竹箒が、石畳を払うサラサラという閑かな音の拡がりの向こう、

微かなハァハァという息遣いと、長い石段を急いで登って来る、

確かな足音が近付いて来る……。

石段を登りきり、両手を膝に付け、しばし息を整えている青年。

「イャー、結構キツゥー……!」

青年は顔を上げると、視界に入った三葉の向こうから、声をかける。

肩に下げた大型のバックから、カメラとスケッチブックが顔を

出していた。

「すいません、お社の写真、撮らさして戴けますか?それと、

スケッチ宜しいですか……?」

三葉は黙ったまま、閑かに頷いた。

「ありがとうございます。」

青年は軽く頭を下げ、足早に三葉の傍らを通り過ぎ社殿に

向かおうとした。

そして、三葉が払った箒の視線の先に、青年が肩に下げたバックの

持ち手を右手で持ち直す様が映った。

その刹那、青年の手首に巻かれていた、年代物の赤黒い何物かが、

遂に切れて、落ちかけている事に気づいた。

「アッ、何か落ちま………」

三葉の言葉はココで途絶えた。

何故なら、三葉の眼前には、信じられない光景が広がっているからだ。

地に落ちるハズの物が、スローモーションの様に、宙に漂い始めている。

そして、その動きは更に遅くなってゆく……。

遂に、地に着く前に、ソレは停止した。

次の瞬間、三葉は閑かな衝撃の中に居た。

時間が、止まった?いや、違う!

時間は、確実に、今も流れている。

三葉の、時間に応じる感覚が、一気に、研ぎ澄まされた……。

紐は、三葉の指先、数10cmの空中に浮かんで静止していた。

勿論、三葉の指の動きも視界も、完全に固定していた。

しかし、三葉の意識は、限界を軽々と超え、研ぎ澄まされてゆく……。

そして、三葉は見た……。

光を、いや、光の生まれる瞬間を………。

黄昏の茜色の中、紐の切れた端の繊維の断片の一点が、微かに輝くと

極めて小さな光の粒が現れた……。

すると、四方に極限の細さの光の筋糸を放ちながら、三葉に向かって来る……。

この僅かな間にも、堰を切った様に、次々と様々な色をまとった光の点が

現れては、たちまち光の筋糸を放ち始める……。

その光景の全てが、スローモーションの様に、三葉の眼にハッキリと映った。

種々な色の光線の束は、交差し、重なり合い、混じり合って行く……。

そして、衝突をした光は、一瞬で色を変え、更に繊細な光の綿毛となり、

様々な形を造りながら、閑かに世界に拡がって行く……。

そうした光の粒と筋が三葉に達すると、

ある物は、何も無かったかの様に、三葉の躰を通り抜け、

ある物は、三葉の躰の表面でハネ返り向きを変え、あるいは光の綿毛と成り

周囲に拡がって行った……。

そして、三葉の躰と心を組み立てている全ての要素の、最後の一つが

そうした光の粒と束に出逢った、その瞬間、

プラチナの光のフラッシュが

三葉の全てを包み、貫いた……。

三葉は茫然とするしか、無かった………。

しかし、全ては、「一瞬」が「永遠」に引き延ばされた間に生じた「瞬時」

の出来事であった………。

そして次の瞬間、

三葉の「時間」は、2つの意味で、戻っていた……..。

青年が、三葉の「アッ、何か落ちま……」の声に踵を返し三葉の傍らに

戻って来た。

「イャー、とうとう切れチャイましたか…..。何か良い事でも起き……」

こう言いながら、青年が手を伸ばして、地面に落ちているミサンガを

拾おうとした、その瞬間、

三葉は突然、青年の手首を上から両の手でギュッと掴んだ。

「どッ、ドウしたんですか……?」

三葉は腰を半ば折り、青年の眼を避ける様に、頭を下げた姿勢を崩さない。

驚いている青年に、三葉は下を向いたまま、黙して何も応えない………。

次の瞬間、三葉は決心したように右手を離し、髪を結んでいる赤い

組み紐を解くと、片方の手でギュッと掴んだままの青年の手首に

ムチのように叩きつけ、クルリと反転して戻って来た端を掴むと、

一瞬で結び付けた………。

青年の手首に、美しい赤い紐の蝶が、羽根を休めていた………。

三葉は再び、両手で青年の手首をギュッと掴んだ……。

その指先が、微かに震えている………。

その震えが、指を伝わり、腕から肩に拡がってゆく……

三葉は、怖さに震えていたのだ………。

プラチナの光のフラッシュを浴びた、その一瞬、

三葉の失われた五年の「時間」は戻っていた——。

切れ落ちたミサンガが誰の物で、今、必死で、その腕を

二度と離すまいと、固く掴んでいる青年が誰なのか……。

三葉は全身で確信していた……。

この手を離せば、再び青年は二度と戻って来ない………。

三葉は不安と怖れが吹き荒ぶ暗闇の嵐の中で、もがくしか

無かった……。

三葉の眼には、涙で霞んだ石畳の地面が映っていた….。

顔すら挙げられない……。

唇の端が小刻みに震えている……。

ひと言でも発すれば、その場に泣き崩れてしまうのは明らかだった。

それでも三葉は、全身の有りったけの勇気を絞って、唇をギュッと

噛み締めて、途切れ途切れに、必死で言葉を紡ぐのだった……。

「……滝………君………。」

「……滝……君………。」

「……私の事………、…..覚えて………」

ここ迄で精一杯だった……。

これ以上眼を開けていては、泣き崩れる……。

大粒の涙が、滝の手首の赤い蝶の透ける羽根に

滴り落ちた……。

三葉が眼を閉ざし、文字通りの闇の嵐の中に、再び身を

委ねようとした、その瞬間………、

青年の腕を掴んだまま、小刻みに震えている掌に

三葉は、暖かい何かを感じた……。

その暖かさは、硬く凍え冷え切っていた三葉の心と躰に、

一瞬で染み渡った。そして、又、温かい何かが……。

闇の嵐は、閑かに光に払われ、姿を消して行った……。

三葉は、暖かい光の繭玉の中で目覚めようとしている………。

三葉は閉じていた眼を開けると、うつむいていた顔を、

青年の方に、ゆっくりと挙げて行った………。

その唇から震えは消えていた……。

三葉の視界に、青年の腕が、胸が映し出され、そして、

微笑を浮かべた唇が映った、その時………、

青年の口元が微かに動いた。

それは空気を暖かく震わせ、三葉の心と躰を優しく

抱きしめていた………。

「……三葉…………。…….忘れないよ……..、君の……名前……….。」

黄昏の茜色の光が二人を包み、長い影法師は交わり、

一つになっている。

(側役人) 御無沙汰してオリマス。側役人デス。

エーッ、本来は、ココで「オシマイ」ナノでアリマスが、

そうトハ参りマセヌ。

よく見て下さい。「……一つになっていた。」ではアリマセン。

よく見て下さい。「……一つになっている。」のデス。

私、細かい事が気になるタチでして、

「いた。」なら無事、終わりナノでアリマス。

しかし、ソウでは無い!

ソウ、「続き」がアルノデス。

エーッ、私は、勿論、反対したノデありますが、

コレは、あくまで「ヨタマ作戦」、即ち、かの与太郎が、

頭をヒネッテ作りし物。オマケがゴザイマス。

御奉行様も「アルがママで良い。」との事、

以下、ノーカット完全版をお届けシマス。

ですから、これから先は、別世界。

気分を害す方もイラッシャルでしょうし、又、コレ迄、

気分を害されていた方には、福音となるヤも知れマセヌ。

エーッ、兎にも角にも、私の責任ではアリマセンので、

何卒、宜しく、お引き立て、願い奉りマス………。

(エッ? 拙者の出番はコレ迄? ソーナノデスカ、

オツカレ様デシタ。アッ、又、ウツッタ!)

三葉と滝が「二人だけの世界」に没入している、その最中……、

先刻、滝が登って来た、水宮神社の長い石段の遥か下から、

「節回し?」が有る様な無い様な、一連の「文句」が、

ドスン、ドスンという足音を引き連れて、近づいて来た………。

「歌?」と思われた方もイラッシャルかと存じマスが、

断じて、ソーでは有りマセヌ。

「百聞は一見、イヤ、一聞に如かず」でアリマス。

実際に、その「文句」をお聞き頂きまショウ。

「アッタマ来る来る、頭クルっ!アンナ野郎に告(コク)られるッチャー

自分で自分をケナシてヤリてぇー!バカでマヌケでオッチョコでぇー!

テメェー、バカヤロ、コノヤロ、チキショー!

もう一発、喰らわせトキャ良かったカナカナカナのヒグラシ様デェー!

ヨーッシャ、明日、一発、カマシタれーっ!!」

とか何とか、辺り構わず大きな声を震わせ、学生鞄を振り子として

リズムを取りながら、一段飛びで長い石段をドスンドスンと

駆け登って来る何者か……。

そして、早くも、最上段近くに差し掛かると、その頭だけが、

神社の石畳の端から、顔を出した……。

その眼は、獣の様にギラギラとし、目聡く三葉と青年の姿を捕らえるヤ

一瞬、動きがフリーズし、小声が洩れた……、

「 (….アッ…!!)」

しかし、その直後には、凄まじい勢いで石段を登り切るヤ石畳の端には、

夕陽の逆光を浴びた全身のシルエットが浮かび上がっていた………。

それは、間違えようも無い、学生鞄を片手に下げたセーラー服姿の三葉

だった……ではナイ、顔形はOO姉の完璧なコピーである、中坊の、

四葉でアッタ……。

そして、次の瞬間、凄まじい「ウォーッ!!」という雄叫び(オタケビ)、

イヤ、雌叫び(メタケビ)を挙げるや、学生鞄を空中高くほうり投げ、

一気に、青年に向かって駆け出した……。

青年と三葉の二人だけの世界を護っているバリアは、

先の雌叫び(メタケビ)で、早くもヒビが入り、

続く音響攻撃に、脆くも全て瓦解した………。

「ウォーッ!! 滝兄(タキニィ)ダッ!! 滝兄ダッ!!、

アタイの、大事な大事な大事な、滝兄ダァーッ!!」

投げた鞄が、ユックリと回転しながら、放物線を描いて地に着く前に、

四葉は既に滝の背後に迫っていた。そして、鞄が地に着くのと、

四葉が滝の背中に飛び付き、強制オンブしたノが、同時でアッタ……。

「アーッ、本当に!!本物の!!滝兄ダッ—-!!アリガトねっ!!アリガトねっ!!

本当に、アリガトねっー!!」

四葉は、両足を滝の胴の前でガッチリと組み合わせ、フリーな両手で

滝の顔を挟むと、顔と言わず、首と言わず、頭と言わず、

キスの、雨を降らした。

そのドシャ降りが、一瞬、止んだ……。

四葉は、滝の口元を、いや、唇をジッと見つめてイタ……。

「イイや、戴いチャエッ!」

滝の唇に、四葉が自分の唇を無理矢理ヒッツケようとシタ、その途端、

何者かが、ソレを遮った……。

「四坊(ヨツボウ)、ソコは三葉の姉ヤンに、取っといて挙げナキャ

いけネェーや……。」

文字通り、声はすれども、姿は無かった………。

しかし、四葉の口元は、何者かの見えざる手によって、猿ぐつわの様に

塞がれていた……。

「……放せッ!!バッカ野郎ッ….!オセッカイすんナッ!!噛むゾッ!!」

四葉は、見えざる何者かが、判っている様な、口振りデアル……。

「痛テテ….、本当に噛みヤガッタ……。四坊は、マダマダ、

お子チャマだネェー…..。」

次の瞬間、四葉の躰は、滝の背中から引っ剥がサレルと、

子犬の様に、地面に転がっていた……。

「痛テェーじゃネェーか!! このバカッ!!」

四葉は、言葉の終わる前には既に立ち上がって、滝に向かって

突進していた……。

しかし、又もや、見えざる何者かが、四葉の前に、立ち塞がった……。

「だから、ドケやがれッテ、言ってンだっ!!」

「マァマァ、四坊、クールダウン、クールダウン……。」

「ウルセェーッ、いつも四坊、四坊、言いヤガッテ!

アタイは、坊ヤじゃネェーや。レッキとした、お嬢ちゃんデェー!!」

「オヤオヤ、ソレは勘弁ナッ! だけど四坊….、

アッ! 又、言っチャった……。」

「だから、坊やジャねぇッテ、このバカタレッ……!!」

四葉は、姿の無い何者かに向かって、ワメいてイタかと思いきや、

ソウではナイ………。

滝と四葉の間の空宙に、両手を広げた透明な人形(ヒトガタ)の輪郭が

フーッと浮かび上がったノダ………。

ソレは、急速に半透明に移行し、見る見るうちに、実体を現して行く

………。

そして、粋な縞模様の着流しの後ろ姿が、浮かび上がる、その間際、

その背中に、満開の桜が風吹き散る絵姿が有るのを、

滝は、見逃さなかった!!

「アッ!! 御奉行様……!!」

滝の言葉が終わる迄には、滝の目の前に、粋な縞柄と腕と度胸を

纏った、凛々しい男の後ろ姿が有った。

男は、振り返ると……、

「……何デェー、オイラの事も、一緒に想い出しチマッタのカイ……!

こりゃ、いけネェーや。奉行所の記憶除去班の連中は、全員、

お灸モンダョ!原因究明する迄、オヤツは抜きダナ……!」

(以下、掛け合いに成りマス。)

滝 「……御奉行様……何で、ココに……?」

奉行 「そりゃー、滝兄の行末が心配じゃネェーカイ、って言いたい

  所だが、ソーじゃネェーや。

  オイラ、この四坊を迎えに来たんダヨ。

  実は、オイラと四坊は、もう三度もバディを組んで、“事件”を

  解決してイルんダヨ。

  ソレも、とんでもネェー、アッチャラ、コッチャラでネッ!!

  ソレで、今度も神社の石段の登り口で、四坊を待ってタラ、

  やっとこさ、現れるなり、トンでもネェー歌ぁーガナリ立てて、

  アンマシ面白レェーから後付いて来たら、サッキのザマさ。

  だけどネッ、アンマシ時間もネェーンダ。

  四坊、借りてくカラ、滝兄、後の事ァ頼んダゼ!」

滝 「……頼むッテ言われテモ……。」

奉行 「野暮言ってンじゃネェーょ、滝兄ョ。」

ココで、奉行は、何が何だか判らず、呆然としてイル三葉に

声を掛けた……。

奉行 「三葉チャン、ビックリさせて、勘弁ナッ!

  オイラの事ァ、この滝兄から聞いとくれ!

  それから、四坊とオイラの事に付いチャぁ、

  四坊が戻って来てから、本人が話すダローょ。

  心配イラネェー、四坊は、無事にコノ場所、ッテカ

  コノ時間のコノ場所に、必ず戻すカラ……。」

三葉 「……御奉行様……で宜しかったでショウか?……貴方と

      四葉は……、マサカ………入れ替わり……?!!」

奉行 「オッ! さすが三葉チャン! 宜しかったデスョ。

  半分、当たり。デモ、半分、外れダネ。

  入れ替わりニューバージョン。

  互いの躰に、時空を超えて、出入り自由。

  早ェー話、四坊の躰にオイラが入ったとスルョ。

  ビックリしちゃ行けネェーョ。

  四坊の意識は、残っているコトが出来るんダゼ!

  ソレも、自由な割合で。

  共同生活なら、半分コ、端ッコは、100%オイラか、

  100%四坊、オイラ30%四坊70%もアリマスョ。

  だからネ、ココに四坊が居ても、その実体(意識)は

     ①オイラの場合もアリャ、

  (コン時ャ、四坊は、0%だけど、居無いンじゃネェー、

  完全に隠れんぼシテルンだよネ。いざッテ時ャパッと現れて、

  オイラをガブッと噛み付く事も出来るから、オッカネェーんダヨ。)

  ②そして、オイラと四坊の半分同居の場合も、

  ③それから、(オイラが隠れんぼシテる)四坊の場合も有るンダヨね。

  ソレとネェ、三葉チャンと滝兄は、入れ替わると、同時に同じ場所

  にはマズ、居られネェーだろう?

  オイラ達は自由に出来るンダヨ。

  ソレにサァー、二人が合体してる時ャ、身体能力も、頭(オツム

  の脳力もスーパーアップ。

  1+1=2 どころか 1+1=11 てな訳ョ。

  スーパーヒーローの誕生。

  それも、四坊バージョンとオイラバージョンの二人。

  コノややっこしい、シッチャカメッチャカのコンビが、

  アチャラコチャラで、ややっこしい“事件”を、もう三度も

  ヤヤコシク解決して来たッテ訳ョ。」

奉行は、ココまで話すと、今度は四葉に向かって

奉行 「四坊、待たせたナッ、それじゃ、行こうか?」

四葉 「イヤでぇー!! アタイは金輪際、バカ金となんか

   ドコだって、絶対に行かネェーャィ!!」

奉行 「相変わらずの、オ子チャマ駄々ッ子ダネェー、四坊は。」

四葉 「二度と言わネェーぞ、バカ金!! アタイは坊ヤじゃネェー、

   お嬢ちゃんデェーッ!!」

奉行 「オーッ、度々、悪う御座ンシタ。しかし、で御座イマスよ、

   お嬢様、今回の“事件”は、幕末、それも四坊お気に入りの、

   坂本龍馬がらみの……」

四葉 「じゃ、アタイ行くッ!!」

奉行、滝と三葉に向かって、

奉行 「滝兄よ、こんな訳で、四坊の事ァ、オイラに任せろ。

   で、三葉チャンの事ァ、滝兄、オヌシに任せたゾ!!

   大丈夫ダヨ。自信、持ちな!!

   何しろ、お前ェーさんは、三葉チャンの為に、一度は

   死んだ身ダッ!そして、三葉チャンも滝兄を救い出す為、

   三年の辛苦に耐えた……。

   コノ事ァ、OO奉行所の中でも、モッパラの語り草ダゼ!

   ……オッとイケネェー、もうコンナ時間ダッ!

         それじゃ、四坊、借りてくゼッ!!」

奉行、四葉に向かって、

奉行 「それじゃ、いつも通り、合体してジャンプだぜ。イイかい?」

四葉 「オーよっ!!」

言うが速いか、四葉は奉行の方に一気に駆け寄ったか、に見えたが、

その姿は、瞬く間に、煙のように消え、奉行独りが残っていた……。

しかし、その躰は、今迄とは別人の「気」で満ちてイタ……。

奉行-四葉 「滝兄、三葉、それじゃァ、アバヨ!!」

……その声には、奉行と四葉の二人の響きが、明らかに有った………。

そして、煙のように立ち消えて行く奉行………。

寄り添って立ちつくす、滝と三葉の二人の影法師は、

更に長く延びていた。

黄昏の赤い残照が、最期の輝きを放ち、神社の石畳に放り残された

四葉の鞄の口金を射て、一瞬、プラチナに眩しく輝いた、その時……。

鞄の持ち手を掴もうとシテイル、人影の様な物が、フーッと現れた……。

見る間に、鞄は地面を離れ、宙に浮かぶ……。と、瞬く間に、右手に

鞄を下げた、人の姿が現れた………。

………四葉? イヤ、四葉だッ……!!

その顔と服は、泥と埃と汗で汚れてイル……。

「滝兄、姉ヤン、タダイマ。アーッ、腹減った…..。何か喰わせろ!!」

「君の名は。」ヨタマ作戦part1プロローグ

夏の終わり……。

OO駅頭……。

雑踏の中、蝉の鳴き声が響いている……。

駅前のベンチの端に、所在なげに腰かけている、

どこか垢抜け無い制服を着ている長い髪の少女……。

三葉……。

痛みかけの学生靴の足元に転がっている、乾いた蝉の抜け殻に

眼を落としている……。

その美しく整った後ろ髪には、赤と白の絹糸で編み込まれた組み紐を

輪郭とした蝶が、閑かに羽根を休めていた。

時折、フッと頭を上げ、改札の方を見詰めるが、

再び、うな垂れてしまう……。

数分ごとに発着する電車から、乗客が押し出された行く……。

駅員のアナウンスと車体の軋む音に、少年の、ハァハァという

息遣いが、かぶさる……。

そして、少年のタッタッという、駆ける足音が加わってゆく……。

ブランドのスニーカー、どこか垢抜けたネクタイ姿の制服が、

駅の階段を一気に駆け上がる……。

そのまま改札を抜けようとして、間一髪、中年の男性客と

ぶつかりそうになる……。

「ア……ッ、スイマセン……。

男はチラッと顔をしかめるが、そのまま過ぎ去る……。

少年は、改札を出ると両手を膝に当て、前屈みで息を整えている……。

「イヤーッ、結構キツーッ……!」

同時に、首を左右に回して、誰かを眼で追っていた……。

そして、駅前のベンチの端で、うつむいている少女を見つけると、

少年の表情がパッと明るくなった。

同時に、手を思い切って振りながら、少女に呼びかけた……。

「三葉さーん!! コッチコッチ……!!」

少年は、そのまま小走りで、ベンチの少女の前に立ち、

学生カバンを開けて、何やら取り出そうとした……。

「イヤーッ、間に合わないかと、冷や冷やでしたョ。

エーッと、コレコレッ……!」

少年が取り出したのは、安物の合皮のケースに入れられた

学生証であった。

三葉は、それを手に取り、ジッと見詰めていた……。

美しく整った眉の間に、深い皺が浮かんでいる……。

「ネッ! アッ、それと肝心な、コレッ……!!」

少年は、再び鞄に手を入れ、何かを掴むと、学生証と引き換えに

三葉の手に握らせた……。

単色の紅い絹糸で編み込まれた組み紐が、そこに有った……。

「コレで、約束、守りましたからネッ! アッ、それからノートの日記帳、

チャンと机の上に置いて預かってマスョ。勿論、絶対に読んでマセンから。

アーッ、本当、助かったァー……。」

少年は、ココまで言うと、三葉の表情が一気に雲っている事に気付いた。

三葉の唇の両端は、微かに震えている……。

「 (……エエッ……?) 」

何と言葉を掛けたら良いのか……少年は戸惑うばかりだった。

次の瞬間、三葉は決心したように、少年の手首を左手でギュッと

掴むと同時に、紅い組み紐をその腕に叩き付けた。

反動で組み紐は、少年の腕をクルリと回る。

三葉は、一瞬のスキを捉え、それを結び付けていた……。

少年の腕に、美しい紅い蝶が羽を休めていた……。

「アッ……」 少年は、小さな声をあげた。

しかし、三葉は、もう何も言えない……。

唇の震えは、三葉の肩から腕に広がっていた……。

言葉を紡げば泣き崩れそうになるのを、必死で

こらえていたのだ……。

それでも、勇気を絞って、震える口を開いた……。

「……滝……君……。」

「……滝…君……、私の事……忘れな……」

三葉の声は、余りにか細く、駅前の雑踏の音の中で、

かき消されて行く……。

「……エッ?何ッ?……三葉さん……本当にどうしたンデ……」

少年、いや、滝がココまで尋ねた時、三葉の眼から溢れ落ちた涙が、

紅い蝶の羽根を透かして、滝の腕を叩いた。

その途端、滝はハッとなる……。

三葉が泣いた事に驚いた…のでは無い。

その時、滝は、三葉の心の景色がハッキリと見えたのだ……。

絶望と恐怖の嵐の只中で三葉は泣き叫んでいた……。

そして、三葉の音に成らない叫び声が、滝にはハッキリと聞こえた……。

「……滝……君……!!、滝…君……!!、……私の事……、忘れないで……!!!」

三葉の心が、強く弾かれ震えた時、滝の心も強く震える……。

何故、こんな事が……?

滝には訳が判らない……。

しかし、そんな迷いを一蹴する、信じ難い1つの確信が、

滝の心の底から一気に沸き上がり、言葉と成って、

滝の口から漏れ溢れた……。

「……三葉さん、……君は…誰だッ……?!!」

……これより映画タイトル……

     デヘッ、与太郎ッス。プロローグ、終わりでヤンス。

与太郎の千夜一夜物語 part1

「10年カカルか、20年カカルか、まるで敵討ちダッ!」

コレ、映画のセリフですョ。

題名「丹下左膳余話、百万両の壺」。監督は、天才、山中貞夫。

名匠と言われる日本の映画監督を100人、大グランドに集めて、好き勝手に

10分ぐれーの短編を撮ってモラウとスルよね。

山中貞夫のは、一発で、解る。異彩が、ビッカビカ!

ドコが、違う?ココですョ。

漫才だと、「(自分で拍手)ハーイ、いらっしゃーいッ!」で始めるノト、

「君、君、うちトコの、お嬢様と、君トコの、クソガキが、校長室に呼ばれた

事件、知ってル?」で始まるノトの違い。

一つは、ココからは、普段の暮らしトハ、別の世界ダヨと、大声で呼び込んデ

ル。

もう一つは、普段通りの暮らしダケド、チョコッと面白いカモね、って囁いテ

ル。

片方は、縁日の見世物小屋(懐かしいデスカイ?)の入り口スタート。

一方は、知り合い同士の、飲み屋の世間話スタート。

次に、中身。

いかにも普段の暮らしブリで描いてマス、ってケド、実に嘘クセェーっての、

多いデショ。

例えばネ、アタイ、オムツじゃナイ、オツムがチョコッと不足気味デショ、

で、3通りのアタイの描き方、ありますョ。

その1。 与太朗君、お気の毒に。これは少ないケド取って置いてクレタマエ。

マァー、奥様、アチラの方、オムツが足りなくて、エッ?違うザマスの?アッ、

オツムが足りなくて、ご不自由の御様子よ、ナラ、決めマシタ、与太朗さん、

貴方は、今から私の家族です!(かなり嘘クセェー!だけどネ、サンドラブロッ

クの実話映画でこんな事、してた人、いましたョ。世の中、広いッス。)

その2。 イジメでボコボコ、独り取り残され、うずくまッテいる与太朗。

赤黒く腫れた瞼や、破れた唇から流れた血は生乾きダ。吐いたヘドは、

まだ赤く泡立っている。それでも、ヨロケながら立ち上がると、夕陽を浴びて、

いつもの坂道をゆっくりと、一歩一歩、登ってゆく。片足と長い影法師を

引きずりナガラ……。(ヤッパ、嘘クセェー!)

その3。 周囲の者、極一部を除いて、与太朗の在る事を、無視して、自分達の

普段通りの暮らしを続ける。(良い悪いジャねぇーッス。コレ、本当ッス。)

(エッ?ブログの旦那のアタイの描き方?アッ、アレは論外。メッチャの

クッチャでヤンス。)

エーッ、つまりですネ、山中貞夫って監督は、ど真ん中の3番目ってコッテス。

デネ、『百万両の壺』に戻りヤスとね、コレ、本当にスゴイッス!

誤解されネェーように、言っときヤスがネ、コレ、『お笑い時代劇』ッスよ!

『アーッ可笑しかった!』の映画ッス。

でもネ、『ご自分様』と『お他人様』の間の距離感覚が、実に見事ッス。

アタイのバッチャマ、こう言ってヤシタ。

「自分の子が転ぶのと、人様の子が死ぬのとが、つり合う。」

コレが基本、建物で言えば、土台でヤンス。

コイツが、キッチリ出来てネェーと、チョコッと揺すられリャ、本体は、

ぶっ壊れチマウ。

『時間』ッテー、閑かな揺さぶりにカカレバ、ヒトタマリもネェーよ!

デネ、この映画は、80年以上前(1935)に、出来てオリヤス。スゲェーよネ!

(ちなみに、コノ映画撮った時、監督25,6才デスょ。草笛御覧、ゥン?アッ、

グザヴィエドランは19才で、オドロしい映画を撮りヤシタが、アタイは、

ヤッパ、山中貞夫ターシェー大師デスょ。)

アタイ、オツムがチョコッと不足でショー。だからネ、アタイが、「イイ映画

だナァーッ!」って思うのはネ、このアタイが、台詞や場面を、覚えてる映画

に成りヤス。(だからネ、アタイが、『千夜一夜物語』で話そうッテ思うのも、

台詞と場面が、バッチリのに限るツモリの、今日この頃ナノです。)

で、この映画の台詞と場面を、数えてミヤス。

アッ!、その前に、この映画の鍵に成る人物を、紹介シヤス。

〈一人目〉主人公、丹下左膳。片目片腕の浪人。剣術の腕前は、超一級。

  矢場(射的屋)の用心棒、兼、居候。

〈二人目〉孤児の坊や。両手で抱っこ出来る大きな壺をカカエてる。

  この壺こそ「百万両の壺」。裏長屋で二人暮らしの父親を、映画の巻頭で

  殺され、天涯孤独となる。

〈三人目〉大剣術道場主、というより若殿様。(婿殿、住まいは、御殿。)

  「百万両の壺」の所有者。剣術の腕前は、超ヘボ級。「婿入り道具」の

  壺の真価が判らず、くず屋に、二束三文で売り飛ばし、壺探しを口実に

  百万両も何のその、江戸の街を遊び歩く。

〈四人目〉矢場の女将。特異キャラの丹下左膳を飼い慣らしている、凄腕。

ちょっと、ネタバレしやしたが、この映画、落語と同じで、何ベン見ても

オモロイので、心配ご無用。

で、台詞と場面でヤンスょ。(映画本編とチョコっと差異が御座いヤス。

アタイの足りないオムツじゃネェー、オツムに免じて御勘弁ください。エッ?

チョコじゃない?じゃクッキーですカイ?エッ?飛び込むホド違う?アッ!

ダイブ違うノネ。スイヤセン。皆様ニハ大変ナ御迷惑ト御神体じゃネェー、

ご心配ヲ……エッ?心がコモッてナイからヤメトケ?ソーなんデスカイ。)

その1,「私が行って、泣かして来てヤル。」

 

矢場の女将の台詞。お腹を空かせた、一人ポッチの坊やに「父親が死んだ」

 と伝えられず、スゴスゴと帰って来て言い訳スル丹下左膳に向かって、

 言い放つ!

 スゴイでショー!

 ケドね、直後の場面で、坊やは、矢場の女将の座敷で出された御飯を、

 喜んで食べている。『口』と『腹』が『違う』って事の、見本。

 「私は、貴方が死ぬホド好き!」ッても、本当は

 「私は、貴方が死んだ方が好き!」ダッタリするし、デヘッ。

 「貴方を殺して、私も死ぬ!」ッても、自分だけヤッパシ止めといチャッ

 たりネ。エッ?話が暗い方にズレまくっテル?申し訳ゴザンセン。

 (デモね、「アンタ殺して、アタイも死ヌッ!」ッて場合は、嘘じゃナイ

 とは思いマセンか?微妙な違いッスょ。)

 (コレはオマケ。女将役の女優さん、セリフは『素人の棒読み』デスょ。

 だけど、上手デス。アタイのオムツに残リマス。変ダヨネ。アッ、オツム

 でした。本当、変デシタ。)

その2, 「よほど腹が空いてイルんだゼ!お前の作った料理を、喜んで食べて

 いるヨ!」

 

対する丹下左膳の台詞。女将と左膳の関係が、透けて見えマスょ。

その3, 「アッ!一度だけ泣いた、母ちゃんが死んだ時、泣いた。」

 

矢場のオウチで御飯を食べ終えた坊やに、父親が死んだ事を伝える

 役目の丹下左膳。「坊やは、コレまで泣いた事あるカイ?」「アタイ、泣

 いた事無いヨ。」「(坊やは強いんだナァ……。)」とば口に立たされた左膳

 が覚悟を決め本題を語ろうとした、その瞬間、坊やの放った一言。

 絶句する左膳。

 スゴイでショー!台詞が生きてルッ!

   そして、次の場面。

その4, 左膳は去り、縁側で、深く頭(こうべ)を垂たママ、ピクリともしない、

 後ろ姿の坊や。傍らにソッと寄り添うような大きな壺……。

 

ヤッパ、スゴイでショー?

 「坊や、泣いた?」尋ねる女将に、無言で座敷に横になり、向けた背中が

 泣いてイルのは、左膳の方ダッ!

 映画の教科書。「役者さん」って、「演技」が仕事だけど、この場面では

 「演技」はイラネェーや。姿勢ダケ。

 コレが「演出」ナンダと、アタイは思いヤス。

 (ヘンリーフォンダって旦那は背中で演技したッてコッテスょ。世の中、

 広いデス。)

 左膳の「告知」で、坊やの心は血の涙でイッパイだけど、左膳の旦那の心

 も同じかソレ以上。コレを、涙一粒も見せずに、描き切っテル。

 「音叉」ッテ有るヨネ。音が伝染するヨネ。共鳴。本当、不思議ダヨネ。

 「心の音叉」、心が共鳴スル。「悲しみ」、「喜び」、「怒り」

 坊やの「悲しみ」の心の音叉は、左膳の心の音叉を確実に鳴らしたョ。

 コレで、二人の「心」の間には、「ホットライン」が生まれタと、アタイ

 は思いヤシタ。コレで、二人は、「虫の知らせ」が開通デスょ。

その5, 「10年カカルか、20年カカルか、まるで敵討ちダッ!」

 

お待たせシヤシタ。道場主の若殿の台詞。

 百万両の壺探しを口実に、江戸市中を遊び歩く若殿が、お姫様用にコサエタ

 決め台詞。言われた方は、タマリマせん。(デネ、内緒だけどネ、ブログの

 旦那のペースも、「まるで敵討ちダッ!」に間違いネェーっすョ。本当、

 大変見テェーっすョ。)

この映画は、レンタル屋さんナラ、旧作、100円ぐれぇデ借りれマスょ。

リンゴ1個食べれば、体の栄養っす。ケドね、コノ映画借りて見れば、心の

栄養っすョ。(本当は、NHKあたりが、プレミアムシネマで繰り返し再放映

してクレリャ世話ネェーんすケド、『ジェンマ様』(※1)のマカロニウエスタン

ばっか再放送しまくっテテ、溜息っすョ。NHK、「ジェンマ様」ペロペロっ

す。)

アッ!アタイの覚えてる台詞、もう1つ、アッタ!

その6, 「ヤダイッ!」

 

女将の指図に、口先だけ逆らう、左膳の決まり文句。

 「ネェ、○○してクレルて゛ショ?」

 「ヤダイッ!俺は、金輪際○○シネェーッ!」

 「ヤダイッ!俺、マダ飯食ってナィンだい!」

 続く場面で、必ず○○してる左膳。

 この映画、ほとんどの台詞は、「現代語」デスょ。

 伝エル物が有リ、伝える腕が有れば、伝ワル。手段は選ばず、デスょ。

その他にも、「ウゥー……ン….。」「おじチャン、うなっテルね。」

「博打(ばくち)に負けたんダロ。」とか「(百万両の壺の用途を尋ねラレ)

コノ壺は、塩せんべい入れとく壺ダヨ。」とか、色々ゴザんすケド、

見た方が早いンデ、是非、ご覧下さいヤシ。

「コレでオシマイ」のハズが、何か足りネェー。何ダロ……?

エッ?「お前のオムツ」?

ソーじゃネェーっす。足りナイのは「アタイのオツム」、じゃナイ、アッ!

アレだっ!『映画の音楽』だっ!ソーでヤシタ!

チョコっと足りネェーアタイのオツムでも、覚えてルのは、『台詞(セリフ)』

と『場面』と、それに、『音楽』、でヤシタ。

(『音楽』、一番、覚えてヤス。肝心ナノを忘れてヤシタ。ヤッパ、アタイ、

馬鹿ッス。エッ?「充分に知ってるカラ先に進めろ」?ソーなんデスカイ。)

コノ映画、「とうりゃんせ」が、メインテーマ見テェでヤス。

アタイのオツムの中じゃ、この前奏曲が鳴り出してオリヤス……。

『チャンチャーきチン、チャかチン、チャかチン、チャかリカチン』

アッ!イケネッ!こりゃ『くず屋さん、のテーマ』ダッ!デヘッ、

『タンちチ、タンちチ、タンちタちン。チリたテ、とトらチ、タンちラちン。

♬♬(とーりゃーンせ、とーりゃンせ、コーコは、ドーコの細道じゃ?)』

コウして、アタイのオツムの中では、『丹下左膳余話、百万両の壺』の1時間

32の幸福な時間が、音楽という魔法で、1、2分で過不足なく、味ワエルん

でヤス。音楽ッて、スゲェーっす!

エッ?「メロディーには、情報の転写機能、能力が有る。」?

エッ?「文字言葉、話し言葉ジャ運べナイ情報を、音楽は軽々と運んジャ

う。」?ソーなんデスカイ?で、アンタ、誰?

エッ?「名乗るホドじゃナイが、時々、混ぜて下さいナ。」

ノープラモデル、じゃネェー、ノープログラム、あっ、ノープロブレムでヤス

「バカ免疫」ってノが有りヤシテ、ガキの頃に「バカ」をヤッてネェーと、

タイ「バカ」は、移るンです。コレを「バカ感染」と言いヤシテ、強い

感染力がアリヤス。

良い子でお育ちの、成績優秀な坊チャマは、是非、医療機関で「バカ全種対応

チン」ってノを、接種される事をオススメいたしヤス……って、

「そんなワクチン有る訳ナイ!」

早速のご参加、有難うゴザンすケド、ソーなんデスカイ。ケドね、空気感染

シヤんで、お兄さんダカ旦那ダカ知りヤセンが、クレグレもゴ注意下さいネ、

デヘッ。って、アタイの話、何でしタッケ?

アッ!映画の音楽の話ダッ!

「音楽」には、情報を運ぶパワーが、ハンパねぇ、言葉が一人前としたら、音

は、百人前とか、それ以上。言葉が一般人なら、音楽はスーパーヒーロー、

『ゲゲゲの鬼太郎』、昼間は墓場でスーやスや、ッて、コリャ違いヤシタ、

ヤッパ、『ウルトラマン』ッスょ。

デネ、映画の画面にカブサル音楽が、調和のレベルを超えた時、「画面」と

「音楽」は「共鳴」し始めるンダと、アタイは思いヤス。

そして、その増幅された見えネェー波動は、アタイ見テェーなオムツじゃ

ネェ、ツムのチョイと足りない観客の心の弦さえ、強くハジクんでヤス。

するっテェーと、アタイの心の底の印画紙に、その光景がクッキリと焼き付く

ヤスょ。

「忘れようとシテも、決して想い出せない」ジャねぇー(コレじゃ滝兄デスょ)

「忘れようとシテも、決して忘れラレない」景色がコウして増えるンでヤス。

(※1 ジュリアーノ ジェンマ、イタリア人男優。別名マカロニウエスタン

貴公子、熱狂的オバ様ファン多数。スゴイっす。NHKもお仲間デスょ。) 

マカロニウエスタンっちゃー、天才映画音楽家がイヤス。

何しろ、アタイのオツムがチートなモンで、アタイの回りは、天才がヒシメイ

リヤス。

で、次回は、かのE-M大師様のオ話をシヤス。